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お愉しみはココからだ!!

映画・音楽・アート・おいしい料理・そして...  
好きなことを好きなだけ楽しみたい欲張り人間の雑記帖

濡れるなら、泳ぐ覚悟で

2006年03月25日 | Cinemaを愉しむ
『マッチスティック・マン』の中で娘が父親に言う台詞。正体を知らないとは言え、詐欺師に向かってはぴったりの台詞だ。

父親のニコラス・ケイジは詐欺師。相棒が見つけてきたカモ相手に大きな詐欺を働こうする時に、別れた妻の元から娘が家に入り込んでくる。14歳の娘を相手に初めて父親としての生活が始まる。どんどんと絆が深まっていく父娘。詐欺のタイミングがずれたことで、娘を詐欺の現場に連れて行って手伝わせることになってしまう。人を撃ってしまった娘を逃がして身代わりになろうとするが...

実は、大きな詐欺を仕掛けているつもりが逆に相棒から詐欺を仕掛けられていた。家に転がりこんできて娘は、詐欺の一味だった。

カモにされたことが分かってから一年後に、まっとうにカーペット店で働いているケイジが娘と出会ってしまう。本当の父娘でないことは判明しているが、それでも娘と思おうとする。

「私の名前を知りたい?」
「もう、知っている」


この何気ない別れ際の会話にケイジの思いがこもっていた。にこっと笑って娘が言う。

「またね、パパ」

娘と一緒に暮らすうちに詐欺師としての生活が、どんどん父親としての生活に変わっていく。また、カーペット店で出会った瞬間の戸惑いと苦悩の表情が、話をしていくうちに父親としての楽しくやさしげな表情に変わっていく。ニコラス・ケイジの変わり具合がとっても良い。


14歳の娘役を演じたアリソン・ローマンは22歳だった。DVDの特典として付いているメーキング集は、そんな情報だけではなく、製作中のエピソードや脚本家の思い、監督のリドリー・スコットの狙いが収められている。解説を聞きながら、映画を観ると、最初は気付かなかったシーンの一つ一つ、折り込まれた小さなヒントが分かって映画が2度愉しめました。

Whoever loved, that loved not at first sight?

2005年10月10日 | Cinemaを愉しむ
「ディヴォース・ショー」の中で、やり手離婚専門弁護士のジョージ・クルーニーが、食事の席上でキャサリン・ゼタ・ジョーンズが引用した下の台詞に切り返す引用。

Dismiss your vows, your feigned teras, your flattery. For where a heart is hard, they make no battery.

キャサリン・ゼタ・ジョーンズが扮する女がなかなかのツワモノで、金持ちの男を誑かして結婚しては慰謝料をふんだくるという危険な女。そして何と行ってもモラルのかけらもないワル。何の古典だか分からないが、こんな台詞を自由に引用できるのだから、お頭も良い美人で超魅力的な女。引っ掛けられたのが南部の石油成金かと思いきや、実は自分だったという冴えない弁護士役のクルーニー。それでも愛はすべてを超越するという今の時代のおとぎ話よろしく悪女も愛に目覚めて、一件落着と相成りました。

冒頭シーンで掛かっているSimon&Garfunkelの"The Boxer"がこの2つの台詞以外では印象的だったな。

「皆消費者だ。買わないとライフ・スタイルが崩れるという恐怖感がある」

2005年02月13日 | Cinemaを愉しむ
『ファイトクラブ』ですべてもう一人の自分が言ってのける台詞。 資本主義がはびこった今の世に、この台詞が自分に関係ないとせせら笑って右から左に聞き流せる人間がいるだろうか。そんな人の心の暗闇を見せ付けている映画がこれだ。こんな挑戦的な台詞もあった。
  ・「持っているものが自分を束縛する」
  ・「歌って踊るだけの世の中のクズ」

衝撃的な映画、内容も映像も。人は誰も持っているもう一人の人間が形となって現われ、本人と一緒に生活をしだす。本人の望む外見と思考、そして大胆な行動。周りの総てを破壊してみたい、思いっきり他人をぶん殴ってみたい、心底からアウトローな自分を楽しんでみたい。そんな誰もが持っている心理を映画にして目の前に差し出され、見せつけられた驚き。反発するどころかどんどん引き釣り込まれた。
もう一人の自滅的な自分がどんどん肥大化し独走し、仲間を作り出す。プロジェクト・メイヘムという名の爆破計画。計画が始まる2分前に、本人はもう一人の自分との闘いに勝つ、自らの口にくわえた銃をぶっぱなすことで。重症をおいながらも、窓の外ではビルが次々に爆破されて崩れていく。夢と現実が混ざり合って、どこまでが本当の世界なのか分からなくなって映画が終わる。
かびの細胞の塊ようなタイトルバック映像、サブリミナル効果のようにところどころ他のコマが挿入されたり、きめ台詞の時に画面を揺らしてみたり、パンク系の音楽をバックに使ってみたり、本道ではないゲリラ的な映像が多くいものの、やはりストーリーテリングの手法は爆破3分前の自分がもう一人の自分に縛られ銃を口に突きつけられているシーンから過去を回想することで物語を始めるという昔から使われている正攻法ではあった。

オーシャンズ・イレブン

2005年01月12日 | Cinemaを愉しむ
かの有名なフランク・シナトラの名作のリメイク。オリジナルはカジノ強盗が失敗に終わったはずだが、こちらは見事に成功に終わる。悪事の成功が許されるような社会的風潮になってきた証左か。
去っていった妻が付き合っている男がラスベガスでカジノ経営をしている辣腕経営者。女を取り戻すことと金を奪うことの一挙両得を狙うカッコよい男がジョージ・クルーニー。そのよき相棒でかつ参謀がブラッド・ピット。彼らがその道のプロを9人募って見事にカジノから1億6千万ドルを盗み出す。それぞれがプロで見事だが、一同に会するとクルーニーとピットの二人が上手に見える。役もあるだろうが、衣装が大きい。9人はシャツ姿やラフな格好なのに、二人はそれなりのジャケット姿なのだ。特にブラピがフロリダに詐欺師老人を迎えに行く時のごくうすいベージュのジャケットスーツと赤縞のシャツの組み合わせがセンスよい。
リメイクにもかからわずオリジナルに負けない程の秀作で充分に楽しめる映画であったのは大きな収穫だが、盗みが成功してメンバーがホテルを見るシーンのバックにながれるのがドビッシーのスイートベルガマスクなのは、いただけなかたった。他の音楽にしてほしかったな。

「たそがれ殿は遣い手でがんしたか・・」

2005年01月03日 | Cinemaを愉しむ
『たそがれ清兵衛』の中で、清兵衛を見下していた同僚たちが、清兵衛が剣の遣い手であることを知った時にボソっともらす台詞がこれ。
たそがれ妻を亡くして幼い子供二人とボケた母親の面倒をみながら暮らす下級侍の清兵衛は、幼馴染が元夫から乱暴を受けているのを助ける。このことから遣い手として見られるようになった清兵衛に上意討ちの藩命が下る。幼馴染の女性への恋慕の思いと子供達への心配を残して清兵衛は相手を討ち取りにいく。
刀を抜いての切りあいがあるが、通常の時代劇とは異なり山田洋次らしいほのぼのとさせる人情映画。清兵衛が幼い子供たちによせる愛情があちらこちらに見られ、同年代の娘を持つ自分にとっては共感を寄せずには観られない。討ち取りに行く日の朝、二人の子供達が寺子屋に通うために家を出るシーンで、戸口からそっと顔を出して見守るシーンなどは山田洋次ならでは。討ち取られる側は家に篭ったきりで清兵衛が来るのを予期している。暗い部屋の中で顔半分に光があたり、のどの筋が浮いてみえるところなどは、当人のやつれ果てた状況をよく映し出していて、寅さんシリーズには観られなかった迫力ある映像も楽しめた。
主題曲には尺八をつかい、その変奏をフルートで映画中にも用いて、ものかなしい雰囲気を醸し出していた。

監督:山田洋次
脚本:山田洋次
主演:真田真之、宮沢りえ
音楽:富田勲

「神様は画家だったに違いない」

2004年12月30日 | Cinemaを愉しむ
精神分裂症を病んだ天才数学者と彼を支える妻の物語『ビューティフルマインド』。ハリウッド映画ならではのヒューマンドラマといったところ。
"神様は画家だったに違いない。Why else would we have so many colors?"
"Conviction is a luxuary for those on sidelines"といった面白い文句が聞けたことが収穫。

監督:ロン・ハワード
主演:ラッセル・クロウ、ジェニファー・コネリー
音楽:ジェイムズ・ホ-ナー

海猿

2004年11月18日 | Cinemaを愉しむ
欧州出張の飛行機の中で見ました。
中身は「愛と青春の旅立ち」を潜水士のドラマに塗り替え、そこに親友の死と男女の愛を重ね合わせたもの。トレンディードラマっぽい軽い映画だが結構楽しめた。海の中の綺麗さと若者らしい恋愛ドラマで、涙を誘うところも笑えるところもある。
トンネルの中に入るバスの後部座席で主人公の二人がキスするシーンは、今までで見た日本映画の中で最もきれいなラブシーンだったな。

監督:羽住英一郎
脚本:福田靖
主演:伊藤英明、加藤あい
音楽:佐藤直紀