「社長の教科書 リーダーが身につけるべき経営の原理原則50」 小宮一慶・著、ダイヤモンド社、2010年2月18日
p.20 経営を「管理」だと考えている経営者は沢山いますが、「管理」は正しい方向付けができているという前提があって、初めて生きてくるものです。方向付けが違っているのに正しい管理がなされてしまうと、むしろ会社は早く崖っぷちに到達するだけです。間違った方向へ、それが正しいという前提で、急速に進んでいってしまうからです。
p.22 会社の方向付けを行うとき、一番見極めなければならないことは、実は「お客様の動向」です。自社のお客さまが何を求めているのかを見つけだすことが、方向付けの最重要課題であり、基本中の基本なのです。
p.25 QPSの組み合わせを考えるとき、もう一つ注意しなければならないことは、自社のライバルがどのようなQPSの組み合わせをお客さまに提供しているかということです。
p.27 素直な目で、お客さまが求めているQPSの組み合わせや、ライバル会社が提供しているQPSを見つけ出すこと――それが経営者の資質の一つであることは間違いありません。
p.30 「お客さま第一」の考え方をベースに、多くの人がアイデアを自由に出し、その仮説を高い確率で成功するまで検証した上で実行していける会社が、最終的には成功するのです。一倉先生が言うまでもなく、「アイデア社長は会社を潰す」のです。
p.34-5 サラリーマン社長であっても、社長になれば止める人がいませんから、自分に都合のいいことばかりやっている人も少なからずいます。でも、そんな経営者のいる会社は絶対にダメになります。
p.36 「誰を自分の後継者にすればいいと思いますか」
「これまでの発言を見ていて、自分のことしか言わない人が、それとも会社全体のことを思って、少しくらいは自分の部門が不利になることでも、やろうと言ってくれた人かどうか、という基準で判断すると間違わないですね」
p.41 食べていくためだったり、お金持ちになりたいという動機から、会社を興した人も多いでしょう。しかし、問題はそこからなのです。そこそこうまくいったときから、その後、食べるのに困らなくなった後、それでもお金のために働くのか、それとも仕事にもっと高い目標を見出せるかで、仕事の質やレベルが上がるかどうかが決まるのだと思います。
p.42 大切なのは、良い仕事をすることです。良い仕事をして、お客さまに喜んでいただいて、従業員さんにも喜んでいただいて、社会に貢献して、その結果儲かる――そういう気持ちになれるかどうかです。
豊かになることを目的に仕事をしているうちは、本当に豊かにはなれません。仕事が手段で、手段としての仕事はそのうちに荒れてくるからです。経営者は、それに気づかなければいけないのです。
p.43 利益は結果です。良い会社をつくれば、結果として儲かるのです。会社とはそういうものです。でも、ここを乗り越えられずに、お金儲けのため、自分の私利私欲のためだけに経営していると、どこかで限界がきます。そして会社はどんどん悪い方向へ回り始めます。
p.47 社長として大事なことは、いかに「お客さま志向」の会社をつくれるか。つまり、お客さまのために、という気持ちで働き、お客さまにとって「良い仕事」をする会社とすることです。お客さまは、お客さま志向の会社が好きだからです。
p.48 (「お客さま第一」をやっているのにうまくいかない理由は)「お客さま第一」を儲けるための「手段」にしている会社と、「お客さま第一」そのものを「目的」としている会社の差なのです。
「お客さま第一」の話をどこかで聞きかじってきて、儲けるために、部下に対して「『お客さま第一』をやろう」と言ってやらせる。そうすると、ある程度は儲かります。ただし、それは「お客さま第一」が儲ける手段になっているから、儲かってしまえば「そろそろいいか」となってしまうのです。もしくは、より効率的に儲ける手段を考えるのです。
p.49-50 良い仕事をすることをずっと目的にしていたら、とにかく良い仕事をしていればいいわけですから、従業員さんは楽しいのです。
働く人が会社にルンルン気分で来られるのは、仕事が好きだからであり、ひいては、良い仕事を目的としているからに他なりません。もし仕事が、お金を稼ぐための手段でしかなかったら、お金を稼ぐまでは楽しいけれど、ある程度稼いでしまったら「もうこんなものでいいか」と思ってしまいます。それか、お金の亡者になるかどちらかです。いずれにしても仕事は儲けるための手段でしかありません。
p.51 稼ぐための仕事はしていませんが、稼ぐことができるくらい良い仕事をしなければならないのです。良い仕事かどうかは、人が評価するもので、自分で自己満足していてはダメなのです。評価するのはあくまでもお客さまです。
p.54 「お客さま第一」、つまり良い仕事をすることを目的にできるかどうか、さらに目的にし続けられるかどうか、ここが働く人をルンルン気分にし、会社が継続的に繁栄するかどうかの大きなポイントなのです。「お客さま第一」を手段と考えてしまうと、会社は一時的に儲かっても、いずれうまくいかなくなってしまいます。
p.57 お客さまは実は、従業員の「考え方の向上」など求めていません。
お客さまが求めているのは「小さな行動」なのです。働く人の意識などではありません。
p.59 リーダーが持つ「優しさ」とは、中長期的にみんなを幸せにしてあげられるかどうかということ。
p.60 厳しいことを言うには勇気がいります。その勇気はどこから出てくるのでしょうか。
私は、勇気は信念から生まれると考えています。つまり、この会社を良くして、お客さまに喜んでいただいて、働いてくれている人にも幸せになってもらおうという信念があれば、厳しいことも言えるのです。
p.62 とにかく長期的に成功したければ、つまるところ「正しい信念」を持つことです。
「正しい信念」を持っているかどうかは、長期的に人がその経営者を支えてくれる、その会社を支持してくれる大前提であり、会社が成功するかどうかは、リーダーが正しい考え方を持っているかどうかに掛かっているところがすごく大きいと言えます。
p.65-6 経営者として大事なことは、自分の気持ちや考え方を伝えられるかどうかです。そのために、自分の「信じるところ」は何なのかを確立していない限り、伝わりません。そして正しい考え方が伝わらないと、会社は長期にわたってはうまくいきません。
p.72 余裕を持ったら、その余裕に甘んじるのではなく、精神的余裕があるときに必ず「お客さま第一」を徹底しなければなりません。そうすると良い循環が生まれますから、余計にお金が入ってくるのです。「お客さま第一」は目的です。
p.86 会社が利益を出さなければならないのは当然のことですが、もし、金儲けのためだけ、つまり、儲けることだけが「目的」の戦略を立ててしまうと、働いている人が続かなくなってしまいます。
儲けるためだけの会社に命をかけてまで働いてくれる人は少ないでしょう。それは使命感がないからです。経営者にとって、良い仕事をすることで、その結果から儲かる会社をつくろうとすることが、正しい考え方です。
p.90-1 ビジョンは会社の存在意義であり、それが本当に会社全体に徹底されていれば、「働きがい」が生まれます。「自社の仕事を通じて社会に貢献すること」や「それを通じて働く人が幸せになること」が会社のビジョンであると誰もが理解していれば、そのために頑張ろうと思うことができるのです。
p.92 経営者自身がビジョン・理念を実践しようとすることが大切なのです。
p.94 会社の求心力を「考え方」に置く。
p.134 本当に大事なことは、お客さまから見てオンリーワンになるということです。オンリーワンになったらライバルがいなくなって楽だなどといった、自社中心の考え方に基づいてオンリーワンを目指しても、結局はうまくいきません。
ライバルが沢山ある中で、「あなたの会社しかない」と言われる会社づくりをしていこうと考えることが重要なのです。
p.135-6 ライバルがいなくなれば一人勝ちできる、などと考えるのは、本当のオンリーワンではありません。それは、むしろ弱者の考え方です。ライバルがいてくれて有難いと言えるくらい、強い会社こそがナンバーワンになれるし、真の意味でのオンリーワンなのです。
p.139 つまり、「売る」という発想ではなく、「買っていただく」という発想をもてるかどうか。考えるべきは、お客さまはどういうモノを買いたいのか、ということなのです。
p.142 どんな商人にも、「値ごろ感」があります。だから、あまりに安すぎるとお客さまは逆に買わないのです。本当にきちんとした商品なのか、大丈夫なのだろうかと、疑ってしまうからです。
p.153 コストの間違った下げ方をして、お客さまが望んでいるQPSの組み合わせを出せなくなると、商品を買ってもらえなくなります。何度も繰り返しますが、お客さまが興味があるのはQPSの組み合わせであり、コストは関係ないのです。 #RM
p.155 QPSの組み合わせにお客さまが認める価値がなかったら、お客さまは誰も買ってくれません。しかし、価値があれば、高くても買ってくれるのです。
p.156 非付加価値活動は、お客さま満足に直接関わらない業務です。経理や総務などの分野です。営業活動など、全体で見れば付加価値活動の場合でも、内部での報告資料の作成などは非付加価値活動となります。
そして、コスト削減の第一歩は、非付加価値活動から行なうというのが大原則です。
p.159 一番良いのは、新規のお客さまが増えながら、既存のお客さまの売り上げも上がっていることです。しかし、ダメな会社のほとんどは、新規営業の売り上げは上がっているのに、今まで儲けさせてくれていた既存のお客さまの売り上げが下がっていたり、既存のお客さま自体が大きく抜け落ちている、という事態になっています。
p.166 リレーションシップ・マーケティングでは、6段階あるお客さまとの関係を深めていくときに、それができるかどうかは、お客さまが「主観的に」自社を「一番だ」と思ってくださるかどうかなのです。言い換えれば、客観的に一番である必要はないということです。
p.167 お客さまとの関係を深めていこうとするとき、大事なポイントとなるのは、一人ひとりのお客さまを「特別」に扱えるかどうかです。 #generic
p.168 レジで会計するとき、私はいつも心の中で「なぜ名前を呼ばないのかな?」と思うのです。会計前には、ポイントカードを渡します。それを機械にかければ、私達が誰なのか、以前はいつ買い物をしたのかなど、すべて分かるはずです。それなら、「小宮様、いつもお買い物をしていただき有難うございます」と一言、なぜ言わないのでしょうか。その一歩の踏む込みができていないのです。結果、ありきたりの平凡なサービスしかできないわけです。
p.169 お客さまに対して「あなたは特別です」ということを伝えられるかどうか。そのために何をすべきかを経営者は考えなければならないのです。
p.171 店員がコンピュータのデータを使い切れていないのは、会社や経営者にお客さまを大切にしよう、どうすればもっとお客さまに喜んでいただけるのかという気持ちがないからに他なりません。だから、ありきたりのことしかできないのです。
p.176 経営というのは、人の心理をいかにつかめるかにかかっています。ビジネスを成功させたいなら、どんなときに人は感動するのか、どんなときに満足するのかを、時々仲間内で話し合うと良いでしょう。
p.178 大切なのは、お客さまに喜んでもらいたい、という気持ちを持つことです。それが、「マーケティング・マインド」です。そうではなく、「これをやれば儲かるかな」といったくらいの気持ちでいると、お客さまに喜んでいただくことが「手段」になってしまいます。お客さまはとても敏感ですから、ただ儲けたいと考えている会社からは離れていくのです。
p.179-80 では、「お客さま視点」をどうすれば持てるのでしょうか。
戦略的には、ライバル会社のQPSを分析したり、世の中を観察することがとても大事ですが、そのベースには「感謝の気持ち」を持っておかないと、良い商品やサービスは提供できないのです。「有難い」という感覚のない会社、経営者は、長期的に良い商品やサービスを提供できません。
ですから、感謝の気持ちを常に持っていられるように、社員教育をすることが経営者には求められます。
それと同時に、経営者自身も常に感謝の気持ちを持っておかなければ、部下にだけそれを持たせようとしても、それは「感謝の気持ち」を儲けるための手段にするようなものです。
まずリーダーである社長自身が、感謝の気持ちを持たなければなりません。
p.206 明日の資金繰りに気を取られていたら、目の前のお客さまに一生懸命になrません。ですから、実践的には自社の資金繰りを心配しなくてもいい額を、保っておくべきなのです。
p.210-1 会社が儲かっていても、経営者が自社の預金残高を気にしていなかったとしたら、その人は会社を潰します。結局は、キャッシュこそが会社の実力です。いざというときに頼りになるのはキャッシュ、つまり現預金以外にありません。
p.216-7 モチベーションを上げることを考えるより、「働きがい」を高めることを考えるべきで、働きがいが上がればモチベーションは自然に上がるものなのです。
つまり、「働いていて楽しいな」と思うことができたら、いくらでもモチベーションは上がります。モチベーションを上げることを目的にするのではなく。モチベーションが上がるような働きがいを、会社が従業員へ与えればいいわけです。
p.219 お金を直接的にインセンティブにモチベーションを高めると、途中で「もういいや」と思う人と、金の亡者になり、何が何でも稼ごうとする人が出てきます。そういう風潮を社会に蔓延させます。そして、従業員たちは次第に疲れていくのです。なぜなら、働くことがお金を儲けるための手段でしかなくなり、次第に「どこかで手を抜けないか」という気になり始め、「良い仕事」という認識がなくなっていくからです。
p.221 お金や地位だけが目的となると、働く人は疲れてしまいます。なぜなら、お金が目的であるということは、つまり売上高や利益も目的になるという意味だからです。本来、良い仕事をした結果や目標であるべき売上高や利益が、目的化しがちなのです。
そういう会社で働く従業員は、会社の売上高や利益を出すためだけに働いているようなものですから、仕事がそれほど面白くありません。それに、たとえ褒めてもらえないような仕事であっても、売上高や利益を上げることはできます。そういった、良い仕事ではなく、売上高や利益、ひいては給料を上げる仕事を目的にしてしまっているために、従業員は疲弊していくのです。
p.227 「それが、給与や地位に直接関係するかどうかは和亜kリマ千が、あまり目立たないところで縁の下の力持ちをやっていた人が、「自分のやっていることが認められていたんだ」と気づけることが、とても大事なのです。
p.229 根底のところで、褒められる社風や、お金や地位を目的としないという「考え方」がないまま、従来のようなお金で従業員を釣る人事制度を作ってしまうと、会社は殺伐とし、結果としてうまくいかないのです。お金で動く人間ばかりが集まった会社など、うまくいくはずがありません。お客さまさえも、儲けるための手段にしようとしますし、周りにいる人も設けるための手段になってしまいます。
p.238 リーダーと呼ばれる立場にある人は、とにかく「理屈で人は動かない」ことをわきまえておくべきです。
自分を動かせない人は、人を動かすこともできません。自ら動かなければないけないのです。
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p.20 経営を「管理」だと考えている経営者は沢山いますが、「管理」は正しい方向付けができているという前提があって、初めて生きてくるものです。方向付けが違っているのに正しい管理がなされてしまうと、むしろ会社は早く崖っぷちに到達するだけです。間違った方向へ、それが正しいという前提で、急速に進んでいってしまうからです。
p.22 会社の方向付けを行うとき、一番見極めなければならないことは、実は「お客様の動向」です。自社のお客さまが何を求めているのかを見つけだすことが、方向付けの最重要課題であり、基本中の基本なのです。
p.25 QPSの組み合わせを考えるとき、もう一つ注意しなければならないことは、自社のライバルがどのようなQPSの組み合わせをお客さまに提供しているかということです。
p.27 素直な目で、お客さまが求めているQPSの組み合わせや、ライバル会社が提供しているQPSを見つけ出すこと――それが経営者の資質の一つであることは間違いありません。
p.30 「お客さま第一」の考え方をベースに、多くの人がアイデアを自由に出し、その仮説を高い確率で成功するまで検証した上で実行していける会社が、最終的には成功するのです。一倉先生が言うまでもなく、「アイデア社長は会社を潰す」のです。
p.34-5 サラリーマン社長であっても、社長になれば止める人がいませんから、自分に都合のいいことばかりやっている人も少なからずいます。でも、そんな経営者のいる会社は絶対にダメになります。
p.36 「誰を自分の後継者にすればいいと思いますか」
「これまでの発言を見ていて、自分のことしか言わない人が、それとも会社全体のことを思って、少しくらいは自分の部門が不利になることでも、やろうと言ってくれた人かどうか、という基準で判断すると間違わないですね」
p.41 食べていくためだったり、お金持ちになりたいという動機から、会社を興した人も多いでしょう。しかし、問題はそこからなのです。そこそこうまくいったときから、その後、食べるのに困らなくなった後、それでもお金のために働くのか、それとも仕事にもっと高い目標を見出せるかで、仕事の質やレベルが上がるかどうかが決まるのだと思います。
p.42 大切なのは、良い仕事をすることです。良い仕事をして、お客さまに喜んでいただいて、従業員さんにも喜んでいただいて、社会に貢献して、その結果儲かる――そういう気持ちになれるかどうかです。
豊かになることを目的に仕事をしているうちは、本当に豊かにはなれません。仕事が手段で、手段としての仕事はそのうちに荒れてくるからです。経営者は、それに気づかなければいけないのです。
p.43 利益は結果です。良い会社をつくれば、結果として儲かるのです。会社とはそういうものです。でも、ここを乗り越えられずに、お金儲けのため、自分の私利私欲のためだけに経営していると、どこかで限界がきます。そして会社はどんどん悪い方向へ回り始めます。
p.47 社長として大事なことは、いかに「お客さま志向」の会社をつくれるか。つまり、お客さまのために、という気持ちで働き、お客さまにとって「良い仕事」をする会社とすることです。お客さまは、お客さま志向の会社が好きだからです。
p.48 (「お客さま第一」をやっているのにうまくいかない理由は)「お客さま第一」を儲けるための「手段」にしている会社と、「お客さま第一」そのものを「目的」としている会社の差なのです。
「お客さま第一」の話をどこかで聞きかじってきて、儲けるために、部下に対して「『お客さま第一』をやろう」と言ってやらせる。そうすると、ある程度は儲かります。ただし、それは「お客さま第一」が儲ける手段になっているから、儲かってしまえば「そろそろいいか」となってしまうのです。もしくは、より効率的に儲ける手段を考えるのです。
p.49-50 良い仕事をすることをずっと目的にしていたら、とにかく良い仕事をしていればいいわけですから、従業員さんは楽しいのです。
働く人が会社にルンルン気分で来られるのは、仕事が好きだからであり、ひいては、良い仕事を目的としているからに他なりません。もし仕事が、お金を稼ぐための手段でしかなかったら、お金を稼ぐまでは楽しいけれど、ある程度稼いでしまったら「もうこんなものでいいか」と思ってしまいます。それか、お金の亡者になるかどちらかです。いずれにしても仕事は儲けるための手段でしかありません。
p.51 稼ぐための仕事はしていませんが、稼ぐことができるくらい良い仕事をしなければならないのです。良い仕事かどうかは、人が評価するもので、自分で自己満足していてはダメなのです。評価するのはあくまでもお客さまです。
p.54 「お客さま第一」、つまり良い仕事をすることを目的にできるかどうか、さらに目的にし続けられるかどうか、ここが働く人をルンルン気分にし、会社が継続的に繁栄するかどうかの大きなポイントなのです。「お客さま第一」を手段と考えてしまうと、会社は一時的に儲かっても、いずれうまくいかなくなってしまいます。
p.57 お客さまは実は、従業員の「考え方の向上」など求めていません。
お客さまが求めているのは「小さな行動」なのです。働く人の意識などではありません。
p.59 リーダーが持つ「優しさ」とは、中長期的にみんなを幸せにしてあげられるかどうかということ。
p.60 厳しいことを言うには勇気がいります。その勇気はどこから出てくるのでしょうか。
私は、勇気は信念から生まれると考えています。つまり、この会社を良くして、お客さまに喜んでいただいて、働いてくれている人にも幸せになってもらおうという信念があれば、厳しいことも言えるのです。
p.62 とにかく長期的に成功したければ、つまるところ「正しい信念」を持つことです。
「正しい信念」を持っているかどうかは、長期的に人がその経営者を支えてくれる、その会社を支持してくれる大前提であり、会社が成功するかどうかは、リーダーが正しい考え方を持っているかどうかに掛かっているところがすごく大きいと言えます。
p.65-6 経営者として大事なことは、自分の気持ちや考え方を伝えられるかどうかです。そのために、自分の「信じるところ」は何なのかを確立していない限り、伝わりません。そして正しい考え方が伝わらないと、会社は長期にわたってはうまくいきません。
p.72 余裕を持ったら、その余裕に甘んじるのではなく、精神的余裕があるときに必ず「お客さま第一」を徹底しなければなりません。そうすると良い循環が生まれますから、余計にお金が入ってくるのです。「お客さま第一」は目的です。
p.86 会社が利益を出さなければならないのは当然のことですが、もし、金儲けのためだけ、つまり、儲けることだけが「目的」の戦略を立ててしまうと、働いている人が続かなくなってしまいます。
儲けるためだけの会社に命をかけてまで働いてくれる人は少ないでしょう。それは使命感がないからです。経営者にとって、良い仕事をすることで、その結果から儲かる会社をつくろうとすることが、正しい考え方です。
p.90-1 ビジョンは会社の存在意義であり、それが本当に会社全体に徹底されていれば、「働きがい」が生まれます。「自社の仕事を通じて社会に貢献すること」や「それを通じて働く人が幸せになること」が会社のビジョンであると誰もが理解していれば、そのために頑張ろうと思うことができるのです。
p.92 経営者自身がビジョン・理念を実践しようとすることが大切なのです。
p.94 会社の求心力を「考え方」に置く。
p.134 本当に大事なことは、お客さまから見てオンリーワンになるということです。オンリーワンになったらライバルがいなくなって楽だなどといった、自社中心の考え方に基づいてオンリーワンを目指しても、結局はうまくいきません。
ライバルが沢山ある中で、「あなたの会社しかない」と言われる会社づくりをしていこうと考えることが重要なのです。
p.135-6 ライバルがいなくなれば一人勝ちできる、などと考えるのは、本当のオンリーワンではありません。それは、むしろ弱者の考え方です。ライバルがいてくれて有難いと言えるくらい、強い会社こそがナンバーワンになれるし、真の意味でのオンリーワンなのです。
p.139 つまり、「売る」という発想ではなく、「買っていただく」という発想をもてるかどうか。考えるべきは、お客さまはどういうモノを買いたいのか、ということなのです。
p.142 どんな商人にも、「値ごろ感」があります。だから、あまりに安すぎるとお客さまは逆に買わないのです。本当にきちんとした商品なのか、大丈夫なのだろうかと、疑ってしまうからです。
p.153 コストの間違った下げ方をして、お客さまが望んでいるQPSの組み合わせを出せなくなると、商品を買ってもらえなくなります。何度も繰り返しますが、お客さまが興味があるのはQPSの組み合わせであり、コストは関係ないのです。 #RM
p.155 QPSの組み合わせにお客さまが認める価値がなかったら、お客さまは誰も買ってくれません。しかし、価値があれば、高くても買ってくれるのです。
p.156 非付加価値活動は、お客さま満足に直接関わらない業務です。経理や総務などの分野です。営業活動など、全体で見れば付加価値活動の場合でも、内部での報告資料の作成などは非付加価値活動となります。
そして、コスト削減の第一歩は、非付加価値活動から行なうというのが大原則です。
p.159 一番良いのは、新規のお客さまが増えながら、既存のお客さまの売り上げも上がっていることです。しかし、ダメな会社のほとんどは、新規営業の売り上げは上がっているのに、今まで儲けさせてくれていた既存のお客さまの売り上げが下がっていたり、既存のお客さま自体が大きく抜け落ちている、という事態になっています。
p.166 リレーションシップ・マーケティングでは、6段階あるお客さまとの関係を深めていくときに、それができるかどうかは、お客さまが「主観的に」自社を「一番だ」と思ってくださるかどうかなのです。言い換えれば、客観的に一番である必要はないということです。
p.167 お客さまとの関係を深めていこうとするとき、大事なポイントとなるのは、一人ひとりのお客さまを「特別」に扱えるかどうかです。 #generic
p.168 レジで会計するとき、私はいつも心の中で「なぜ名前を呼ばないのかな?」と思うのです。会計前には、ポイントカードを渡します。それを機械にかければ、私達が誰なのか、以前はいつ買い物をしたのかなど、すべて分かるはずです。それなら、「小宮様、いつもお買い物をしていただき有難うございます」と一言、なぜ言わないのでしょうか。その一歩の踏む込みができていないのです。結果、ありきたりの平凡なサービスしかできないわけです。
p.169 お客さまに対して「あなたは特別です」ということを伝えられるかどうか。そのために何をすべきかを経営者は考えなければならないのです。
p.171 店員がコンピュータのデータを使い切れていないのは、会社や経営者にお客さまを大切にしよう、どうすればもっとお客さまに喜んでいただけるのかという気持ちがないからに他なりません。だから、ありきたりのことしかできないのです。
p.176 経営というのは、人の心理をいかにつかめるかにかかっています。ビジネスを成功させたいなら、どんなときに人は感動するのか、どんなときに満足するのかを、時々仲間内で話し合うと良いでしょう。
p.178 大切なのは、お客さまに喜んでもらいたい、という気持ちを持つことです。それが、「マーケティング・マインド」です。そうではなく、「これをやれば儲かるかな」といったくらいの気持ちでいると、お客さまに喜んでいただくことが「手段」になってしまいます。お客さまはとても敏感ですから、ただ儲けたいと考えている会社からは離れていくのです。
p.179-80 では、「お客さま視点」をどうすれば持てるのでしょうか。
戦略的には、ライバル会社のQPSを分析したり、世の中を観察することがとても大事ですが、そのベースには「感謝の気持ち」を持っておかないと、良い商品やサービスは提供できないのです。「有難い」という感覚のない会社、経営者は、長期的に良い商品やサービスを提供できません。
ですから、感謝の気持ちを常に持っていられるように、社員教育をすることが経営者には求められます。
それと同時に、経営者自身も常に感謝の気持ちを持っておかなければ、部下にだけそれを持たせようとしても、それは「感謝の気持ち」を儲けるための手段にするようなものです。
まずリーダーである社長自身が、感謝の気持ちを持たなければなりません。
p.206 明日の資金繰りに気を取られていたら、目の前のお客さまに一生懸命になrません。ですから、実践的には自社の資金繰りを心配しなくてもいい額を、保っておくべきなのです。
p.210-1 会社が儲かっていても、経営者が自社の預金残高を気にしていなかったとしたら、その人は会社を潰します。結局は、キャッシュこそが会社の実力です。いざというときに頼りになるのはキャッシュ、つまり現預金以外にありません。
p.216-7 モチベーションを上げることを考えるより、「働きがい」を高めることを考えるべきで、働きがいが上がればモチベーションは自然に上がるものなのです。
つまり、「働いていて楽しいな」と思うことができたら、いくらでもモチベーションは上がります。モチベーションを上げることを目的にするのではなく。モチベーションが上がるような働きがいを、会社が従業員へ与えればいいわけです。
p.219 お金を直接的にインセンティブにモチベーションを高めると、途中で「もういいや」と思う人と、金の亡者になり、何が何でも稼ごうとする人が出てきます。そういう風潮を社会に蔓延させます。そして、従業員たちは次第に疲れていくのです。なぜなら、働くことがお金を儲けるための手段でしかなくなり、次第に「どこかで手を抜けないか」という気になり始め、「良い仕事」という認識がなくなっていくからです。
p.221 お金や地位だけが目的となると、働く人は疲れてしまいます。なぜなら、お金が目的であるということは、つまり売上高や利益も目的になるという意味だからです。本来、良い仕事をした結果や目標であるべき売上高や利益が、目的化しがちなのです。
そういう会社で働く従業員は、会社の売上高や利益を出すためだけに働いているようなものですから、仕事がそれほど面白くありません。それに、たとえ褒めてもらえないような仕事であっても、売上高や利益を上げることはできます。そういった、良い仕事ではなく、売上高や利益、ひいては給料を上げる仕事を目的にしてしまっているために、従業員は疲弊していくのです。
p.227 「それが、給与や地位に直接関係するかどうかは和亜kリマ千が、あまり目立たないところで縁の下の力持ちをやっていた人が、「自分のやっていることが認められていたんだ」と気づけることが、とても大事なのです。
p.229 根底のところで、褒められる社風や、お金や地位を目的としないという「考え方」がないまま、従来のようなお金で従業員を釣る人事制度を作ってしまうと、会社は殺伐とし、結果としてうまくいかないのです。お金で動く人間ばかりが集まった会社など、うまくいくはずがありません。お客さまさえも、儲けるための手段にしようとしますし、周りにいる人も設けるための手段になってしまいます。
p.238 リーダーと呼ばれる立場にある人は、とにかく「理屈で人は動かない」ことをわきまえておくべきです。
自分を動かせない人は、人を動かすこともできません。自ら動かなければないけないのです。
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