新・むかごの日記

高槻市に在住の、人間と自然が大好きな昭和1桁生まれの爺さんです。
出かけるときはカメラ連れ。
目標は毎日1記事です。

リョウブ:令法(笠をかぶった冬芽)

2006-02-13 07:00:36 | 植物観察1日1題
変わった漢字名のリョウブ:令法(リョウブ科リョウブ属)(3月19日記事)は、葉の落ちた冬の期間も、なめらかな赤褐色の樹皮が白い雲紋状にはげる独特の木肌からすぐに名前がわかる木のひとつです。
このリョウブの冬芽もまた独特で、頂に小さい笠をかぶっているのです。この笠のようなものは芽鱗といわれるもので、触れるとはらりと落ちて、裸芽が現れます。
この剥げ落ちやすい色あせたような薄褐色の笠をを見ていると、いったい何のためにあるのかななど考えてしまいました。

ハリエンジュ:針槐(コウモリに似る冬芽)

2006-02-12 07:25:26 | 植物観察1日1題
ハリエンジュ:針槐(コウモリに似る冬芽)2006.2.12
昨日のカラスザンショウもそうでしたが、ニセアカシアの名でよく知られるハリエンジュ:針槐(マメ科ハリエンジュ属)(5月12日記事)も、葉が茂っているときはあまり目立たない棘が、冬樹になるとよく目立ちます。
近所で見かけたハリエンジュの棘も葉痕の両側に大きく鋭く突き出ていました。葉痕は大きく、奥に小さい冬芽が潜んでいます。維管束痕は3個です。
この葉痕と両側の棘を合わせて見ると、羽を伸ばしたコウモリに見えるというのですが、いかがでしょうか。

カラスザンショウ:烏山椒(帽子をかぶったピエロ)

2006-02-11 07:15:20 | 植物観察1日1題
カラスザンショウ:烏山椒(帽子をかぶったピエロ)
見れば見るほど愛嬌が出てくるこの顔は、カラスザンショウ:烏山椒(ミカン科サンショウ属)の若木の冬芽です。
カラスが好んで食べるのでこの名があるというカラスザンショウは、本州、四国、九州、琉球など暖地の山野に生える高さ10mにもなる落葉高木で、枝に鋭い棘があり、大木の幹肌には、いぼいぼの棘のあとが残るのでよくわかります。
奇数羽状複葉の葉は長さが80cもあり、それだけに葉痕も灰色のハート型で大きくてはっきりしています。冬芽は枝と同色で、2枚の芽鱗が芽の大部分を包んでいます。3個の維管束痕は絶妙の配置で、さながら帽子をかぶったピエロのように見えます。

ハンノキ:榛の木(ひそやかに早い春)

2006-02-10 07:09:24 | 植物観察1日1題
近所の谷沿いの散歩道にハンノキ:榛の木(カバノキ科ハンノキ属)が花をつけています。
観察に関心が薄かったついこの間まではこの木があることさえ気づかなかったことですが、薄い小豆色に見える梢をよく見ると、それは枯葉でも新芽でもなく確かに花の穂でした。
日本各地、朝鮮、台湾、中国の温帯から暖帯に分布し、林野の湿地に好んで生える落葉高木です。
遠くから見ると枯れ木のようであまり目立ちませんが、花期は1~3月と早く、葉が開く前に開花します。雄花は長さ4~7cmでひも状に垂れ下がり、下方に小さい雌花が上向きにつきます。
隣に樹脂を分泌して少し粘る冬芽があり、2年枝には松かさを小さくしたような枯れた果穂も残っていて、移り行く季節が凝縮しているような光景です。

ネコヤナギ:猫柳(柔らかな猫の尻尾)

2006-02-09 07:08:03 | 植物観察1日1題
流れのほとりにネコヤナギ:猫柳(ヤナギ科ヤナギ属)の芽が膨らんでいます。
日本各地および朝鮮、中国に分布し、おもに日当たりのよい川辺にはえる落葉低木です。
牧野図鑑ではカワヤナギで載っていますが、普通はネコヤナギで知られ、同様に白灰色の花穂を猫や犬の尻尾に見立てたネコニャンニャン、コロコロ、チンコロなどかわいい地方名があるそうです。
この見立て日本だけではなく、英名でもプッシーとかプッシーウィロウなどと呼ばれているそうですから面白いものです。
冬芽の芽鱗(表皮)は1枚で合わせ目がなく、剥がれると中からやや太い灰白色の綿毛が現れます。
雌雄異株で、晩春、雄花穂は長さ3~6cmとなり赤い葯から黄色い花粉を出し、雌花穂は雌蕊の集合体で長さ2~4cm、花粉はつけません。

ソヨゴ:冬青(風にそよぐ)

2006-02-08 07:10:05 | 植物観察1日1題
風に吹かれてかすかな音を立ててそよぐというところからこの名がついたというソヨゴ:冬青(モチノキ科モチノキ属)は、本州中部以西、四国、九州、および台湾、中国に分布しやせた山地に生える常緑小高木です。長さ4~8cmの葉はやや光沢があり、葉の縁が波立つので比較的よくわかります。
雌雄異株で、6~7月に咲く白い花は雄花は多数、雌花は単生します。
赤く熟す果実は直径8mmほどで、4cmほどの長い果柄があり、枝先に一個ずつ垂れ下がります。写真は、見事に枝いっぱい実をつけた木で、遠目には垂れ下がる感じというより、枝先に突き出ているという感じでした。 
日本では冬青の字をあてていますが、中国ではこの字は日本でいうナナミノキのことだそうです。

タマミズキ:玉水木(冬の森にくっきり赤く)

2006-02-07 06:52:57 | 植物観察1日1題
お寺の裏山の椎の森に、ひときわ真っ赤に目立つ一本の木がありました。
タマミズキ:玉水木(モチノキ科モチノキ属)です。
本州静岡県以西、四国、九州、および台湾、中国に分布し、山地に生える落葉高木で、成長が早く高さ10~15mになります。
雌雄異株で、晩春に集散花序に付いた花が、秋に熟します。果実は3mmくらいですが、真っ赤な実がすっかり落葉した枝の上に群がって付くので、遠目には木全体に赤い花が咲いたような見事さです。
和名の玉水木は果実を玉、樹ミズキに似ることから来ています。

カナメモチ:要黐 (芽も実も赤い) 

2006-02-06 07:10:15 | 植物観察1日1題
全面に赤い実がなっている木を見つけ近づいてみるとカナメモチ(バラ科カナメモチ属)でした。
本州東海道以西から九州にかけての暖地にふつうにみられますが、赤い新芽で人気があり、よく家の生垣に使われています。もっとも最近では生垣にはやや葉の大きいレッド・ロビン(セイヨウカナメモチ)が多くなっているようです。
新芽が赤いとことからアカメモチの別名があり、牧野図鑑ではこちらが本名で、カナメモチはそれが転訛したものとしています。とすれば漢字名の要黐も、材が扇子の要に使われたからカナメモチだという説は怪しくなってきます。
びっしり付いた赤い実をよく見ると間違いなくバラ科特有の形を呈しています。果実はいわゆる偽果で、種子を包んでいる赤い皮は花床の膨らんだもの、先端に宿存するガクがへそのようくっついています。

クチナシ:梔子(花か実か主役はどちら?)

2006-02-05 07:09:06 | 植物観察1日1題
万博公園日本庭園の池のほとりになにやら花のようなものが見えました。この時期、何かと思って近づいてみるとクチナシ(アカネ科クチナシ属)でした。  
7月、白い花で芳香を放っていたクチナシは、(7月9日記事)(7月9日記事)いま実をつけているのです。この黄と赤の縦じま模様の液果は、熟しても開裂しないので口無し(クチナシ)の名の由来になったとか、宿存する嘴状のガクをクチと呼び、細かい種子のある果実をナシに見立ててこの名がついたたなどの諸説がありますが、いずれも花ではなくこの実が名前の由来になっているのは面白いところです。
干した果実は生薬の山梔子として吐血、利尿剤に、またこの実も使われています。我が家ではよくサツマイモのきんとんを作るときの色付けにつかっているみたいです。物の本には、この実を煎じた汁で炊いた鮮黄色の飯を梔子飯といい、重詰めに用いるとありましたがまだ賞味したことはありません。

トサミズキ:土佐水木 (同居する冬芽と秋実④)

2006-02-04 06:58:26 | 植物観察1日1題
春、葉に先立って淡黄色の花を開くトサミズキ:土佐水木(マンサク科トサミズキ属)は、高知県の蛇紋岩地帯に自生する落葉低木で、庭木、盆栽、生花材料としておなじみです。
朔果は秋成熟して2裂し黒色の種子をはじき出します。花と同じように穂状の果序を作り垂れ下がります。鶴見緑地公園で見たトサミズキは、この枯れた朔果を残したまま、柔らかな紅黄色の皮を着た花芽を膨らませていました。

ヤマコウバシ:山香し (同居する冬芽と秋実③)

2006-02-03 07:14:08 | 植物観察1日1題
すっかり葉を落としきった落葉樹の林の中で、いまなお枯葉を落とさずにつけているヤマコウバシ:山香し(クスノキ科クロモジ属)は 、今の時期よく目立つ存在です。
枯葉が残っているものの、その間にしっかりと冬芽が蓄えられていて、ここかしこに黒い実も残っていて、いくつかの季節が同居しているようです。
あたりまえですが、芽をつぶすと、名前どおりにやはり香ばしい香りがしました。

ムラサキシキブ:紫式部 (同居する冬芽と秋実②)

2006-02-02 06:55:49 | 植物観察1日1題
夏に間はほとんど気づかなかったムラサキシキブ:紫式部(クマツヅラ科ムラサキシキブ属)も、晩秋、紫の実をつけるころにはよく目立つようになります。(11月2日記事)そしていま、葉がすっかり落ち去った林中では、わずかに残った実だけでもすぐそれとわかります。ほとんどしなびきった実はまだはっきりと紫の色を留めています。
隣に冬芽がこれもちょうどいま伸びはじめたように赤紫色にふくらんでいました。ムラサキシキブの冬芽は幼い葉が2枚向き合う形になっている裸芽です。

コバノガマズミ:小葉の莢蒾 (同居する冬芽と秋実①

2006-02-01 07:05:12 | 植物観察1日1題
去年の秋は、どういうわけか、木という木はたくさんの実をつけ近来にない豊作でした。
そのせいか、例年なら小鳥たちに食べられてしまうこの時期になってもしなびたまま枝に残っているのが目に付きます。コバノガマズミ:小葉の莢蒾もそのひとつです。
(11月29日記事) 
写真の冬芽はたぶん花芽と葉芽が一緒になった混芽で外側の芽鱗は小さく、付け根付近に短い星状毛があります。
少ししなびた真っ赤な実の果柄が、どういうわけか冬芽にむかって曲がっていてなんとも面白いかたちになっていました。しなびたようなその実の味は、水気こそ少ないものの晩秋に味わったのと同じでした。