新・むかごの日記

高槻市に在住の、人間と自然が大好きな昭和1桁生まれの爺さんです。
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滋賀県浅井町にて(4)歴史ある古刹に咲く“都忘れ”:ミヤマヨメナ

2005-06-23 06:23:44 | 植物観察1日1題
野瀬の在所から谷沿いに小一時間登ると大吉寺という古刹があります。平治の乱に敗れた源義朝一族からはぐれた頼朝をかくまったというこの寺は、後信長の焼き討ちにあいます。当時の広大な伽藍、寺領は大部分消滅したものの、残された遺構や、老杉等往時の盛大さを偲ばせます。 檀家を持たない大吉寺では、9月15日、380有余年にわたり引き継がれてきた虫供養法要と放生会が行われます。おみくじにより、頭人(供養人)に選ばれた土地の人が、多大な費用を負担してこの行事を執り行う特異な伝統が今も続いています。
この境内近くにミヤマヨメナ(キク科)がひっそりと薄紫の花を咲かせていました。承久の乱で佐渡に配流された順徳上皇は、林に咲く白菊を仮御所に植え都を忘れようとしました。それでこの白菊は“都忘れ”といわれました。この花は今ではミヤマヨメナのこととされていますが、今園芸店で売られている濃紫や桃色の“都忘れ”の原種でもあります。
いまでは林下に密かに咲くミヤマヨメナに目をとめる人も少ないようですが、この場所でこの花を見て、“都忘れ”の故事と寺の歴史を思うとき又別なる感慨が湧いてくるのではないでしょうか。