
1万数千人の人力と最新の技術を駆使した碓氷新線の工事で使用された資材は、
れんが1800万個、セメント1万7500タル、松丸太や杉丸太等が六万本、他にも切石
や砂などが東京や群馬、長野、新潟など広い範囲からから運ばれたと言い、こんな
難工事ながら1年6ヶ月で完成させている。

こうして運用の始まった碓氷峠のアプト式鉄道ではあったが、昭和も半ばに
なると時代の趨勢には合わず、このボトルネック的な特殊区間の改善策の検討
は急務であった。様々な案が検討された結果、補助機関車を使用した通常の運
転方式で複線化と決められ、昭和36(1961)年に工事に着工し、その2年後に
アプト式線路の北側に新線が開通した。これにより信越本線のアプト式鉄道は
完全に撤退となり、70年余の歴史は幕を閉じることになった。

これに合わせ機関車も新たに開発され、EF62形機関車を本務運転に、EF63形
機関車を補助運転とした牽引で、その牽引量は飛躍的に増え、列車の運行回数も
倍増させている。
何よりも特筆すべきはその所要時間を、なんと17分まで短縮していることだ。

「碓氷峠鉄道文化むら」には、嘗て峠を上り下りしたその、EF63形機関車が
動態保存されていて指導員の添乗の元、運転の体験が出来るメニューが用意さ
れていて、それは国内ではここでしか体験できないコースだという。

学科講習を受け、その翌日に片道400mの線路を往復する30分の体験乗車が
出来る。運転実技はその走行回数により、見習いから始まり補助機関士、本務
機関士の資格認定があり、各ステップの腕章が与えられるという。
(勿論有料で予約が必要)(続)



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