
湯の山温泉の歴史は古く、その発見は養老年間(718年)まで遡る。
ここには、谷川のくぼみに足を付け、傷を癒していた鹿が教えてくれたと言う「鹿の
湯伝説」が残されていて、別名「鹿の湯」とも呼ばれている。

御在所岳の東麓、温泉街の中心を三滝川が流れ、そこを通る抜ける道は狭く、
緩やかに登り、曲がりくねっている。その渓谷沿いの道縁に、20軒ほどの旅館や
ホテルが犇めいていてそれらは比較的大型のものが多い。

温泉は、日帰り入浴も出来る旅館も有り、アルカリ性ラジウム泉の泉質が昔から
「美人の湯」と言われ、そのため女性の人気も高く、関西や中京からは気軽に行け
る行楽地となっている。

しかし残念なことに温泉街は昔ほどの勢いは無く、観光客の減少や、後継者難
から廃業を余儀なくされた旅館や土産物屋も多く、所々で空地も目立ち、廃屋が
無残な姿をさらけ出している。

そんな温泉街の観光名所の一つが、温泉街の最奥に位置する大石公園だ。
三滝川の渓流と緑に覆われた地に、日本一大きい御影石が鎮座している。
かの大石内蔵助はこの大石繋がりの石を眺めながら、日々悶々の心の憂さを晴
らしたであろうと言われている。

近くには、かつて僧兵が勢力を誇示していた三岳寺がある。
今ではここに伝わる「折り鶴伝説」により、若い人たちから恋結びの寺として支持を
集めていることは知らなかった。(続)
みちのくに息づく伝統こけしを訪ねる旅
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