邦画ブラボー

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「近松物語」 :追記

2006年08月30日 | ★愛!の映画
「おさんと茂平衛」

この二人は行きがかり上、
一緒に出奔せざるを得なくなっただけで、
最初は駆け落ちしようとしたわけではない。

というのがそもそも面白い。

死を覚悟した茂平衛が
今ならバチはあたるまい・・と、主の妻である
おさんに愛を告白したとたん、
死のうとしていたおさんの気が変わるところで物語の
風向きは一変する。

それから二人は「どうにも止まらない」
「恋狂い」状態に陥るのである。

「恋はドラッグ」恋は魔術師」と
いう言葉が頭を駆け巡るほど
人目もはばからず抱きつき抱擁する様は傍目から見ると、
また理性で考えると異常だ。

「不義密通ものは重ねて4つに斬られる」という時代だったから
よけいに燃え上がったのか?

フランス映画にもないような
官能的な作品を、溝口監督はあの時代に撮ったのだ。

捕まって刑場へと曳かれる馬上においても
満足げに微笑む二人は究極のトランス状態にある。

共に死を迎えることさえもこの上ない愉悦に感じるなど
まるで殉教者のようでもある。

そのような精神状態に到達できるとは
恋のパワーとは恐ろしいものなのだなあ。

と、いうことで
私は「恋は宗教」という言葉も付け加えたい。

愛について考えたい人は必見の作品。
これもまた、何度も見返したくなる映画です。

以前に書いた
近松物語 記事

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