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「オペレッタ狸御殿」

2005年06月03日 | ★痛快!な映画
ネタバレ注意報:
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狸御殿+鈴木清順ということで

もっとめちゃめちゃかと思っていたが、
案外まとまっていた。まとまらせていた。

祭りでした。
楽しかった。

主役の二人がいいじゃん!というのが第一印象。
久々に美男美女が登場する映画を見たような気がする。

チャン・ツイイーは表現力が抜群だ。
そしてオダギリ・ジョーの美男ぶりと素直な演技がよい。

私はこの二人にイカレた!

私の隣に座った男性は始まるとすぐに体中をかきまくって
中盤には寝てしまったんですけどね。
ひとり途中で出て行った人もいた。(at 渋谷シネパレス)

狸姫が中国語を喋ろうと片言の日本語をしゃべろうと
どちらでもよいこと。
だって狸なんですからね。

キャスティングへの疑問は始まってすぐに吹き飛んだ。

と、いうのはチャンが国籍すら人間すらも超越し、
美空ひばりのCGよりも光り輝いていたから。
どんな色・衣装も自分のものにしてしまう美貌と
身体の動きの美しさには目をみはった。

中国語がぽんぽんと入ることでかえって映画として彩りが鮮やかになったように思う。
面白いコントラスト。北京弁(?)の響きが可愛らしく心地よい。

言語超越!これは新しい効果だと思った!

日本画の中でヒロインたちが動きまわる、
デジタル処理による美術は大変美しかったが、
黒澤明の「夢」の”ゴッホのエピソード”で見た表現に似ていて
ことさら新しさは感じなかった。
「夢」は油絵ではあったが。

どこのメーカーか忘れたが、日本画から鳥が飛び立つ美しいCMと
中国の水墨画アニメに描かれる桃源郷も思い出した。

音楽的にはスカパラの曲はカリプソ風でいつものお祭り騒ぎのノリ。
白井くん(楽団員として画面にも登場)のポップでひねったナンバーはさすがで
二人がデュエットする「恋する炭酸水」は美しい美術(by木村威夫)と相まって
甘くとろけるよう。あのシーンは切り取ってうちに持って行きたかった。

チャンの「いつか王子様と」、
薬師丸ひろ子が黄金の綱を引きながら歌う「思い下りますな」もよかったな。

全部が歌で綴られるわけではなくて台詞も入るので
フランス映画の「恋するシャンソン」のような当惑感は無いです。

平幹二朗はゴテゴテメイクもきまっていて、
「奇異(あさま)しく むくつけく怖しかりし人の有様かな/今昔物語」 ポン!

また、入れ込めなかった役柄もあった。

でも狸御殿ですからね。

2005年 鈴木清順監督作品 脚本: 浦沢義雄 プロダクションデザイナー: 木村威夫
    音楽: 大島ミチル、白井良明 挿入曲:東京スカパラダイスオーケストラ

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