邦画ブラボー

おすすめ邦画(日本映画)のブログ。アイウエオ順(●印)とジャンル分け(★印)の両方で記事検索可能!歌舞伎、ドラマ感想も。

「猫と庄造と二人のをんな」

2005年06月24日 | ★人生色々な映画
堪能しました。

海に近い芦屋の通り。
りり~という猫を異常に可愛がる庄造(森繁久彌)を巡って
女たちが争う。原作は谷崎潤一郎。

この映画は
「猫と庄造と三人のをんな」というべき内容。

三人とは、
アプレなふくちゃん(香川京子)、
前妻品子(山田五十鈴)そしてもうひとりは庄造の母(浪花千栄子)。


香川京子が形のいい脚を勢いよく投げ出したり、庄造をヒステリックにいじめたりする。
清楚なイメージを気持ちよくぶち壊す体当たり演技。

めまぐるしく変わる女心の機微を面白おかしく、
時に恐ろしく演じているのは山田五十鈴。
猫なで声、甘え声、ヒステリー・・七色の声色を使い分ける。
ほんとにこの人は汚れ役をやるとすごい。

息子を女手ひとつで育て上げた母、
浪花千栄子とダメ息子森繁の絶妙な台詞の応酬は
そのまま一流の掛け合い漫才のようだ。

リリーの名演にも注目。

豊田四郎監督の腕で
名人の演技、昭和の芦屋の風景がピタと
谷崎の世界にもつながっている。

鯵のとれとれ~~を売るおじさん、
夏・・海・・雑貨屋。
砂埃が舞う道。自転車。雨の浜辺。
関西弁で構築される豊潤な世界。

ラストもまた素晴らしく余韻が残る。

森繁・豊田四郎で「痴人の愛」も見たかった。

他に山茶花究 横山エンタツ、都家かつ江 、三木のり平など

1956年  豊田四郎監督作品 脚色  八住利雄 美術 伊藤熹朔 
 撮影 三浦光雄 原作 谷崎潤一郎

■人気ブログランキングへ
よろしかったらお願いします