邦画ブラボー

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「四十七人の刺客」

2005年01月12日 | ★ぐっとくる時代劇
四十七人と聞いて、
3秒以内にぴんとくるあなたも私も日本人。

新しい角度で撮られた大石内蔵助、忠臣蔵。
大石がなんと高倉健

全編荒い息づかいが満ちている男臭い、
男の匂いムンムンする
男の!
(しつこいでしょうか?)「忠臣蔵」だ!

浅野内匠頭(橋爪淳)が切腹させられ、
吉良(西村晃)は放免されたことを聞いて
大石は激しい怒りを幕府、上杉に向ける。
そしてあらゆる手を使ってでも上杉の面子をぶっつぶす!と吼えるのだった。

これはもう戦争。

光と影のバランスが絶妙なシャープな画像。
吉良邸はまるで忍者屋敷のように仕掛けがめぐらされている。
立派な池がある日本庭園のかわりに大迷路、そして水壕。

討ち入りの前に健さん大石は
「これから我らは吉良を殺す!」と、
獅子のように咆哮。

おなかにドンと響く重さ。高倉健の凄さを見た!

陣羽織ではなく黒尽くめのいでたちは「影の軍団」?
それとも「忍びの者」か?
と、思わせるスタイリッシュさであった。
お決まりの「陣太鼓」、無し。

石坂浩二の思いっきり悪役・柳沢吉保、
そして上杉藩江戸家老・色部又四郎・中井貴一の、
これ以上は力めないほどの熱演、特異なメーキャップも必見。
大狸の千坂兵部には森繁久弥。

乾いたサスペンスタッチの進行。
無機的な効果音の合間に、刀が風を切る音が響く。

この「忠臣蔵」には涙は無い。非情な男の戦。
西村晃の命乞いもはねつけ、冷酷なゴルゴ・・の、
じゃなく、大石の刃が光る!

「りく」の浅丘ルリ子、黒木瞳、女性たちも美しい。
宮沢リエの「かる」がふっくらほっぺで可愛らしい。
市川監督は女優の持ち味、美しさを出すのがうまい。

尾上丑之助(現・菊之助)が健気で端正なたたずまいの大石主税を演じ、
ぴかっと光っていた。

他に岩城滉一 宇崎竜童、山本学、中村敦夫、松村達雄、石橋蓮司など。

1994年 市川崑 東宝

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