邦画ブラボー

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「阿修羅のごとく」

2005年01月08日 | ★人生色々な映画
***阿修羅とは、表面的には、仁義礼智信を揚げるかに見えるものの、
内には猜疑心が強く、互いに事実を曲げまたいつわって他人の悪口を言い合い、
言い争いの象徴とされるインド民間信仰上の神の事。****

向田邦子原作の小説
森田芳光監督が映画化。

人から見ると幸せそのもののような家庭でも、何かしら問題を抱えている。
仲がよさそうな家族にも実は裏の顔がある。

仲代達矢演じる70歳になる父親にはなんと愛人と子供までいた!
それを知った4姉妹はあわてふためくが、
おっとりした優しい母(八千草薫)にだけは秘密にしていようと約束しあう。
だが姉妹にもそれぞれ人にはいえない秘密があった・・・

向田邦子は人間の心のひだを丁寧に描く。
姉妹の間にも複雑な感情が見え隠れ。
互いを妬んだり、争ったり、憎んだり。
作家の目のぐさりと鋭いことに驚く。
だけどその根底には家族、家庭への暖かい思い、優しさがあると思う。

長女の大竹しのぶは妻(桃井かおり)ある男(坂東三津五郎)と不倫関係にある。
本妻桃井かおりが大竹の家に乗り込んでくるシーンが面白い。

名女優のガチンコ勝負!

ばちばち火花が散っていたと思ったら、初共演だとか。
あわてて飛び出してくる坂東三津五郎。
深刻なのに笑わせる三角関係。

設定が昭和54年ということで、懐かしい風景もちらちら。
暮れの白菜漬けとか、正月の様子など・・
全体に漂う空気がどこかしらふんわりと暖かい。
懐かしいあれこれを探すのも、向田作品を鑑賞する楽しみでもある。

冬、お正月あたりになるとなぜか遠い昔の日々が恋しくなる。
幼い日家族ですごした思い出が、傷だらけの心?にもよぎるのか。

そんな季節に放送される久世光彦演出、黒柳徹子ナレーションの
向田ドラマにも根強いファンが多い。

仲代達矢が病院で、意識の無い妻に向かい、
「ふられちゃったよ、ははは。ふられて戻ってきちゃったよ。」
といって泣くシーンにじんときた。

2女に黒木瞳、3女に深津絵里、4女に深田恭子。
他の男性陣に小林薫、中村獅童など。

この世は阿修羅だらけ・・でも愛しい。

2003年 森田芳光監督作品

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