あれから10ページも読んでいない。先日書店で表題の書を見つけた。ちくま学芸文庫である。この種の本はやはり解説書がないとだめだ、と思い出していたので早速贖った。
東大の教授でいわゆる「プルースト学者」のひとりらしい。ちょっと読んでみたが詠嘆調が強くて読みずらい。抵抗があるというのかな。身も世もなく詠嘆調になるとかえって説得力がなくなる。それにあとがきを書いているのが、これまた東大の教授でプルースト学者のひとりらしい。
お互いに褒めあっている。ちょっと仲間内で傷を舐めあったいる感じでどうも引けちゃうね。私のような天邪鬼には逆効果である。わたしはどうも入って行けない本に出合うと、途中から終いのパートを読みだす癖がある。特にミステリーなど。この本はミステリーじゃないけど適当に見当を付けて、しまいのほうを少し読んだ。
実は14巻のうち最初に第一巻と十四巻を一緒に買おいたのだ。そういうこともあるかな、と思ってね。終章は幼年時代から半世紀がたって、夜会で老いさらばえた昔の登場人物が描かれているようだ。つまり執筆当時のプルーストと同年配の人物描写である。それだからか、描写には冴えが見られる。
もっともランダムに十頁ほど読んだだけであるが。この書はお好み弁当みたいにいろいろな具が入っている。卵焼きからつまんでもいいし、野菜の煮つけから食べてもいいようだ。
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