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最低賃金の上昇で、生活が豊かになりGDPも上昇する

2018年11月08日 12時18分42秒 | 政治・経済・社会・法律・文化
今日のテレ朝モーニングショーでのデービッド・アトキンソン氏の提案(玉川氏解説)は、非常に重要な実例を提示していた。
最低賃金を上げると、一人当たりのGDPが増え、国が豊かになり国民も豊かになるというのだ。

その実例として、イギリスのブレア政権の例を示した。
ブレア政権が、最低賃金を上げることを実施した結果、所得が増加し、その結果消費も増加し、GDPも大きく増加した。
現在もイギリスは、最低賃金を上げ続けている。
ヨーロッパ各国もこの政策に注目し、実施する国が増えているという。

その原因を次のように説明する。
最低賃金を上げると、企業は賃金上昇分をカバーするだけの収益を上げようと努力し生産性を上げる。(同時に付加価値の高いものを作ろうとする。それと同時に商品やサービスの価格も上昇するだろう。特にサービス業は人件費が中心なので、最低賃金上昇に伴い自動的に賃金上昇分だけサービス料を上げないと経営できなくなるが、これは当然のこととして受け入れる必要がある。)
こうした動きについていけない企業は、淘汰され倒産するが、倒産した企業に勤めていた人=失業者は、生産性の高い高収益の会社に雇われる。
即ち、最低賃金を上げることで消費が伸び、その結果景気は良くなり、求人は増加し失業者を吸収する。
(その間、倒産が増え多少の混乱は起きるかもしれないが、過渡期の混乱をカバーするのが政治だと思う。倒産せず生き残った企業は生産性を上げ国際競争力をつけ、輸出もしやすくなる。しかし、地方では企業が少ないので、企業誘致やその他の代替案や地域振興策を作る必要があるだろうし、財政力のない地方では生産性の低い企業の倒産と失業者を支えきれないので、政府の支援も必要となるかもしれない。)

現在、外国人材受け入れ法案(移民容認政策)が検討されているが、これはそうした動きに逆行する。
外国人材を入れる目的は、低賃金(最低賃金並み)の労働力確保である。
今人手不足が叫ばれている業種は、ほとんどが仕事内容や他業種に比べ低賃金である事が原因である。
例えば、介護士や保育士の人手不足の原因は待遇の問題であり、給料を一般企業並みに上げれば離職は少なくなり求職者も増加することが期待され、人材の需給バランスが改善され人手不足は解消されると考えられる。
建設労働者不足の問題も、労働環境の問題もあるが、それも含め待遇改善の問題であると考えられ、給与を上げることで改善されると思われる。
当然こうしたことを実施すると、介護料金や保育料金や建築料金に跳ね返るが、これは当然のこととして受け止めることが必要だ。
こうした、求人難の企業の給与を上げることで、そうした業種に従事する人の給与が増え、それが消費の上昇につながり、景気を下支えすることは間違いない。

逆に、こうした求人難の企業救済として、外国人人材を投入し賃金上昇を抑制すると、生産性の低い企業を残し全体の生産性も抑制することになり、一人当たりの消費やGDPも抑制され、日本の競争力は低いままで推移することになり、日本は貧しい国の状態となる。
そういう意味で、外国人人材に関しては、まず国内の最低賃金や求人難の職種の賃金を上げて日本人雇用需給バランスの変化の様子を見て、それでも求人難が解消できない場合に、移民につながらない方策を法律上で決めてから導入すべきと思う。
(特に介護や保育士の賃金は、国の制度・助成金で決まる側面が大きいので、財源問題とも絡み政治問題でもあると思う。)

これを提言したアトキソン氏はTVでもよく登場する人物であるが、彼は世界最大級の投資銀行ゴールドマンサックスの元共同経営者であり、退社して今は文化財の修理施工会社の小西工藝の社長になったという、超異色の経歴の持ち主である。
文化財の修理施工会社は、斜陽産業をというべきものだが、彼は、それを立て直して丼勘定の経理や在庫管理を一般企業の管理方式にし、職人の4割を非正規だったものを全員正社員にして経営を安定化させ様々な改革の結果、過去5年間の利益平均が、その前の5年間より80%以上伸ばしたという。
この様に、生産性の悪い企業でも経営を変えることで立て直せる可能性が高い。
(彼は多くの老朽化し朽ちかけた日本の国宝や重要文化財を救っている。)

こうした例を見ても、生産性の低い中小零細企業に関しては、まだまだ生産性を向上させる余地があると考えられる。(労働者の作業密度を上げるというより、設備投資や生産方法の改善や、新製品の開発やモデルチェンジで付加価値を上げることで、生産性や付加価値の向上を図れると考えられる。)
(昔、市バス等でワンマンバス運転が大きな問題<労働強化・安全性=過労による事故>になったことがあったが、心配された事故増加や労働強化という声は一部の違法事業者の事例を除き、今ほとんど聞かない。当時合理化反対、国鉄民営化反対の大きなうねりがあり、私もそうした主張に全面的に賛同していたが、結果を見れば当時の主張が誤っていたことは明白だった。
そこには労働強化にならないよう、労使共同で様々な改善に取り組んだことが大きいと思っている。このあたりの問題を、改めて検証するのも面白いと思う。
今はAIやロボット導入で産業革命が起こりつつあるが、そうしたことによる労働環境や業務内容の変化<特にホワイトカラー>を注視する必要があるとともに、政治的に新しい産業ビジョンを提示すべき時かもしれない。)


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