老いの途中で・・・

人生という“旅”は自分でゴールを設定できない旅。
“老い”を身近に感じつつ、近況や色々な思いを記します。

大阪南港のATCへ  その② ~テオ・ヤンセン展~

2022年07月24日 19時17分40秒 | 旅行/色々な風景

 昨日の大阪南港のATC行きの主目的は、テオ・ヤンセン展でした。

 以前にTVで、木材を組み合わせたような構造物が風を動力源として、まるで生命体の様に、例えが悪いかも知れませんがムカデのように多くの足が統一感を持って、或いはフラミンゴの行進のように優雅に砂浜を動くのを見て非常に不思議な感じを受けましたが、その実物が大阪で見られるとあって是非ともこの目で見たいと思った次第です。

 この構造物の製作者は、オランダ人のテオ・ヤンセン(Theo Jansen,1948~)です。

 彼のことは彫刻家とか造形作家とか或いは物理学者とかいう様々な呼び方をされていますが、私には「現代のレオナルド・ダ・ビンチ」という呼び方が相応しいようにも思えます。

彼の経歴は非常に多彩で、

・デルフト工科大学で物理学を専攻中に、1975年に画家に転向。

・1986年から新聞のコラムを執筆している中で、ヤンセンならぬハンセン(帆船)にヒントを得て風の動力を利用して、動く人工生命をコンピューター上で実験をしていた。

・1990年から1997年まで、チューブを粘着テープで接合したビーストの制作に始まり、風力を活動のエネルギーとする作品を制作。

・1997年から2001年、木材を素材とした巨大なビーストを制作。

・2001年から2006年、活動のエネルギーであった風力が、ペットボトルに風を貯めた圧縮空気に変わる。

・2006年から2014年まで、プラスチックチューブと弁を組み合わせた部品のストランドビーストを制作。

・2015年に塩ビ管、タイラップ、ロープ、2016年には塩ビ管、帆布を組み合わせて制作。2017年にプラスチックチューブ、2018年にはPVCチューブ、プラスチック、キャンバスを使用。

・2019年は塩ビ管、タイラップ、テープ、ロープを使用してビーストを制作。

 彼の製作した作品は、「ストランド・ビースト」(オランダ語で<砂浜の生命体>の意)と呼ばれ、最近の作品は黄色いプラスチックチューブで造形され、物理工学を基盤としたその動きは生き物を思わせるほどに滑らかで有機的です。言い換えれば「タンパク質からなる生物ではなく、プラスチックからなる生物形態」ということです。

 また、上記したようにこのストランド・ビーストは、作者亡き後も自立して砂浜で生き延びることを目指して、歩行、方向転換、危険察知などの機能を備えて、さまざまな環境に適応していくためのシステムを獲得して、生物の進化を模しているようですし、多くの賛同者を得て色々な活用方向も検討されているようです。

 
 以上、少し長くなりましたが、このテオ・ヤンセン展の印象は強烈でした。
 会場内には10基以上が展示されていますが、1時間ごとくらいに動く実演もされていますし、色々なビデオも放映されていて、実際に目にした新しい生命体(?)への感動を味わいました。

 ルネサンス期の天才であるレオナルド・ダ・ビンチの残した作品やイラストなどが、その後多くの発明品を引き出したように、このテオ・ヤンセンのストランド・ビーストが環境・資源問題に直面している地球の将来への解決策を生み出してくれる大きなヒントとインパクトを持っているような気もします。(まさ)

<余談>
①ストランド・ビーストは生き物なので、こちらに携わる方は「学芸員」ではなく、「飼育員」と呼ばれているようです。

②動く生物なので、写真では迫力に欠けると思います。先ずは動画で鑑賞されることをお勧めします。
www.youtube.com/watch?v=vBZcbpEAPeMhttps://www.mbs.jp/theojansen-osaka/がお薦めです。

③小型の模型も製造販売されているようで、会場内ではこれで製作された小型のストランドビーストを実際に動かす体験もできます。
動力源としてウチワが置いてありますが、携帯扇風機が便利なようです。


会場入り口

会場内の展示

展示品① 飼育員に拠る実演開始です

同上 意外に早い速度で見物人に接近してきます。(この動力は後ろからの送風のようです)また、多くのペットボトルも使われています。

同上 足元

同上 元の位置に戻る。(今回は飼育員さんが手で押していました)


展示品② これも実演ですが、向かい合った2つの個体が顔に見える部分を振りながら会話しているように見えます

同上 顔を動かして会話?


展示品③

展示品④

展示品⑤  (①~⑤は正式番号ではなくて、私が写真整理上でつけた番号です)


ビデオによる説明

同上

体験コーナー

同上 携帯扇風機が便利なようです