老いの途中で・・・

人生という“旅”は自分でゴールを設定できない旅。
“老い”を身近に感じつつ、近況や色々な思いを記します。

“〇〇ファースト”主義に思う

2017年03月03日 19時53分50秒 | 政治・経済・環境・核兵器など
 アメリカのトランプ大統領実現を巡る選挙戦では、同氏の従来のアメリカ大統領というイメージにはそぐわない「フェイクニュース」発言に見られる無責任な発言と、対立者への批難・暴言が目立ちましたが、最終的には“アメリカ・ファースト”と連呼したアメリカ第1主義の主張が彼を大統領に選出したのだと思います。

 これに刺激されたように、東京都の小池知事も“都民ファースト”をキャッチフレーズにして、人気を得ています。

 更に各政党は選挙での票獲得を最優先事項として、明らかに口にはしないものの、敢えて言えば「自民党ファースト」「民進党ファースト」を目指していますし、更に国民の立場でも、自己が所属する社会の優先を考えて「経済成長ファースト」「労働組合ファースト」或いは「△△組織ファースト」などのように形を変えながら、自己利益を追求しているのは否定できないでしょう。

 考えて見れば、今まではこのような直接的な表現はしてこなかったものの、全ての人が自分の属する組織なりを少しでも優位にしたいと思うのは根源的な感情で、1月24日付のこのブログで触れた「バイアス理論」とも深く関係しているのでしょう。

 しかし、ここで問題なのは、それぞれの“〇〇ファースト”或いは“△△ファースト”というのが、自己の利益の面だけを考えて、その裏にある不都合なことには目をつむってしまうという傾向でしょう。

 例を挙げると、“都民ファースト”という言葉は、小池知事が「議員や役所に任せるのではなく、都民の立場に立って政策決定や見直そう」ということでのキャッチフレーズだと思われます。

 しかし、“都民ファースト”に共鳴した人の多くは、自己の生活の安全や税金の有効利用は前向きに考えても、日常生活から出てくるゴミ処理場や生活基盤となる発電所、更に極端な例を上げると自衛隊の基地が自分の生活基盤近くに出来るとなれば、殆どの人が反対するでしょう。
現に、騒音や環境問題という視点から、自宅近くに保育所や介護施設の建設計画に対して、住民が反対活動を起こす姿が東京都だけでなく各地で見受けられます。

 このように見てくると、現在使われている多くの“〇〇ファースト”は言いかえれば、多くの場合は独りよがりで、極端な言い方をすれば“自分たちさえ良ければ!”という考え方に通じ、これが大きくなれば“我々の国さえ良ければ!”ということになるでしょう。

 更に、この考えは “我々の世代さえ良ければ!”という考えにも通じることで、そこには“将来の世代や、地球の為に…”という、将来を見据えて周囲との調和を図りながら人類がより住みやすい環境を築くという人類としての大きな責任感が読み取れない事ではないでしょうか。(まさ)