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老いの途中で・・・

人生という“旅”は自分でゴールを設定できない旅。
“老い”を身近に感じつつ、近況や色々な思いを記します。

追いつめられる石炭火力発電

2021年09月18日 19時37分53秒 | 政治・経済・環境・核兵器など

 世界的なCO2発生削減に向けて再生可能エネルギーへの切り替えが進む中で、CO2発生量の多い石炭火力発電を取り巻く環境は日々に厳しくなっていくようです。


(1)世界的に見ても欧州でも石炭火力発電所の損害保険の引き受け見直し機運が強まっているようです。9月1日付の日経新聞では「石炭火力の損保引き受け停止 欧州先行、脱炭素促す」との見出しで、下記のような報道がされています。

◆世界の保険会社が石炭火力発電所に絡む損害保険の引き受けを相次いで止める。
・独アリアンツなど欧州勢は石炭火力の売上高が一定割合を超える企業とは保険契約しないし、国内勢も発電所ごとに引き受けるか判断する。
背景としては、自然災害の頻発でリスクを分散するための再保険料が急騰していることも、選別の背景にあるが、銀行や機関投資家の生命保険だけでなく損保も産業界に脱炭素を迫っている。

・アリアンツは23年から新規に石炭採掘を計画する会社や石炭火力発電所を建設する電力会社、発電量または収益の25%以上を石炭火力に依存する電力会社などへの損害保険の提供を停止する。仏アクサも案件単位でなく企業単位での引受停止を基本としている。石炭火力だけでなくオイルサンド(石油を含んだ砂岩)事業を手がける企業の引き受けも停止した。

・日本の大手3グループも20年秋に新設の石炭火力の保険引き受けを原則停止する指針を公表した。
MS&ADインシュアランスグループホールディングス(HD)は今年6月、国内外の新設案件の引き受けを全面停止した。SOMPOHDは指針を海外子会社に広げる検討をしており、東京海上HDは既設発電所の新規引き受けも止めた。


◆電力会社は発電所を新設する際、事故や想定外のトラブルに備えて必ず損害保険に入りますが、「保険を使えないのは建ててはいけないのと同義」で、引受停止は新規撤退を促す効果が大きい。
日本では未着工の石炭火力発電所の新設計画は現時点でゼロのようですが、経済産業省は「環境負荷の高さに加え、保険も契約できないとなればもう新設計画は出せないだろう」(幹部)と見る。
既存の発電所への対象拡大や高効率の発電所への建て替え時の対応が今後の焦点になる。

・このような損保会社の動きは、損保会社も脱炭素への動きが鈍いと資本市場から資金を引き揚げられるリスクを抱えているからです。
現に、米保険会社AIGは6月、英運用会社リーガル・アンド・ジェネラル・インベストメント・マネジメント(LGIM)の投資先から外されましたが、石炭事業へのエクスポージャー(リスクの割合)や脱炭素への対応が不十分と判断されたからのようです。

・更に、SMBC日興証券の村木正雄シニアアナリストによると、「状況は単なるアピール競争の域を超えている。脱炭素の取り組みが遅れた金融機関には、脱炭素の取り組みが遅れた企業向けのハイリスクな投融資や保険ポートフォリオ(座礁資産)が集中するリスクがある」と指摘しています。


◆これらの動きのもう一つの大きな背景としては、再保険料が高騰しているという事情がある。
・再保険大手のスイス・リーによると21年上期(1~6月)の世界の自然災害に伴う損害保険額は400億㌦(約4兆4000億円)と10年ぶりの高水準になり、再保険料も上昇傾向にある。米再保険仲介大手ガイカーペンターによると世界の自然災害の再保険料は21年に17年比で17%上昇している。

・日本でも損保会社向けの風水害の再保険料は21年に前年比1割上がり、過去25年で最高値圏にある。

・スイス・リーは、3月に経済協力開発機構(OECD)諸国は30年まで、その他の地域は40年までに石炭火力の引受残高をゼロにする方針を示したため、再保険に頼れなくなるとの危機感があるからのようです。

※ 再保険:
保険会社は自己の引き受けた保険のうち、主として高額契約や、地震・災害やテロなど巨額の保険金の支払いが見込まれる保険について、リスクを分散するために国内・国外の再保険引受会社と結ぶ保険契約のことで、いわば「保険の保険」なので「再保険」といいます。
この再保険の引受会社の大手には西欧の会社が多いです。


(2)日本に於いても、8月24日に国際協力銀行(JBIC)は24日、石炭火力発電に対する事業融資については2040年度をメドにゼロにする目標を明らかにしましたが、欧州のように積極的な方針というよりは受動的な方針といえそうです。
というのは、21年3月末時点の融資残高は6605億円だが、その後新規の融資案件が途絶えており、既存融資の返済が進むことで残高が減るというものです。

 尚、JBICは再生可能エネルギーのほか、排出した二酸化炭素(CO2)を地中に埋める石炭火力発電向けの新技術の普及などに力を入れる考えで、脱炭素社会への移行を後押しするとのことです。
(まさ)


菅首相退陣

2021年09月05日 19時54分25秒 | 政治・経済・環境・核兵器など

 菅首相という人が退陣をされるそうです。

 念仏のように「安全・安心」を唱えるだけで、今まで国民に対して自分の心からの発信がなかった人なので、その決意の真意などは判るはずもありません。  

 ただ、退陣表明と共に株価が上がったというのは、仲間だと思っていた人からも見放されていたこの政権を象徴するものでしょう。


 魑魅魍魎が跋扈する永田町の権力闘争に負けて、裸の王様だったことが明るみになっただけで、次も同じような仲間の人が首相になるだけの話でしょう。

 こんな人は早く辞めるに越したことはありませんが、個人的な感想としては、
(1)「新型コロナウィルス対策に専念する」ということですが、専門家の意見もろくに聞かない人が、どのような対策をするのでしょうか?
辞めると決めたのなら、悪あがきせずに1日でも早く退陣して頂いた方が良いのでは???

(2)今までの政権と違って、ポーズだけにせよ環境問題には一応前向きな姿勢を見せ、「2050年にはCO2排出を0とするが、とりあえず2030年度の排出量を2013年比46%削減する」という数値目標を政府として設定したのは、国際社会に向けての約束だったのですから次の政権を担う人も引継ぎを公言すべきでしょう。(まさ)


「核兵器禁止条約」と日本   その②

2021年08月12日 20時01分24秒 | 政治・経済・環境・核兵器など

(昨日の続きです)

時代錯誤の外交政策  ~核は抑止力になるか~
・今まで見てきたように、日本政府が核兵器禁止条約を批准しないのは、「米国の核の傘」すなわち核抑止力が安全保障上必要だという考えに立っています。

・この核抑止力という考え方はかつての米国とソ連のように、両サイドの政策が計算可能な時にはある程度妥当だったかも知れません。
しかし、今やテロやサイバー攻撃などの新しい脅威のなかでは、核抑止力は成り立たなくなっているといえるのではないでしょうか。

 事実、2001年の米同時多発テロ発生時には、米国は1万発以上の核をもっていたが、航空機をハイジャックされてビルに突入するのを何ら防げなかったのです。
更に、サイバーテロに至っては、核抑止力など何の役にも立たないでしょう。
即ち、現在では「核の傘」はもはや安全保障上の柱とは言いにくいでしょう。

・更に、現在の核兵器の多くは1980年代に生産されたもので、老朽化して新しいものとの入れ替えが必要なようです。

 ある意味では、核兵器があること自体が、安全保障上の資産であるよりもリスクになっているようで、そのような兵器を安全保障の政策上から排除していくことは、核兵器保有の各国の現実的な選択肢にもなっているようです。


◆橋渡し?
 日本政府は核兵器に対する国内と国際的なダブルスタンダードを糊塗するために、「橋渡し」役を務めるとか、「核保有国を巻き込まなければいけない」などと言っています。

・日本政府は本心では“核兵器の使用を援助し、奨励し、勧誘する”と思っているが、それを言えば多くの国民が反対することは明らかなので、「橋渡し」のような実態のないぼんやりした言い方でごまかしているのであり、他方では、「核保有国が加入していない核禁条約は意味がない」という言い方もしています。

・「橋渡し」というのは、自分の態度を曖昧にしたままで両者の合意を図るということでは成り立たず、自分の立つ位置を明確にした上で、それに向かって反対の立場の人を説得する役目を果たすということが求められる役割ではないでしょうか。

 つまり、「核保有国が加入していない核禁条約は意味がない」と思うのなら、この条約に反対すれば良いのです。
逆に心から「核兵器のない世界の実現に向けた国際社会の努力を着実に前に進める」というのであれば条約を批准した上で、反対国を説得に回るのが筋でしょう。

 自国民をごまかすために、「橋渡し」を明言しながら、何も積極的な活動をしないというのは単なるゴマカシ以外の何物でもなく、日本の国際的な発言力は益々低下するのは必然です。


◆核兵器は絶対悪という国際的認識を
・非人道性が問題になった対人地雷やクラスター爆弾については、対人地雷禁止条約やクラスター爆弾禁止条約があり、米国、ロシア、中国は加入していませんが、非常に大きな影響力があるようです。

・即ち、対人地雷やクラスター爆弾が非人道的な兵器であるという新しい法規範ができると、それらを使用することも、製造することも許されないという認識が広がっていきます。

 現実に、企業が製造をやめ、あるいは金融機関が融資をやめるということが対人地雷についてもクラスター爆弾についても、実際に起きたし、米国が条約に加入していなくても、米国企業も製造や融資をとりやめたようです。

・現代のグローバル化した企業は、例え自国の政府が加入しなくとも、国際的な新しい法規範には従わざるを得なくなという傾向が出てくるのです。

・これと同様に、核兵器についても、核禁条約が採択された2017年以降、世界で100以上の金融機関が核兵器製造企業への融資をやめているようです。
即ち、核兵器製造へ融資すること自体がリスクになりつつあるのです。

 この条約批准国が広がれば、経済界も含めて核兵器は社会的にダメなものだという認識が浸透し、核保有国や日本など「核の傘」のもとにある国の政府が核兵器を違法と認めなくとも、核兵器の製造・保有することは、自国の孤立化を進めることになっていくでしょう。(まさ)


「核兵器禁止条約」と日本    その①

2021年08月11日 19時33分53秒 | 政治・経済・環境・核兵器など

 8月9日に、長崎への原爆投下から76年目の日で平和祈念式典が開催されました。

 またもや出席の菅首相は、今回は原稿を読み飛ばさなかったようですが、その発言内容は、相も変わらず“核兵器のない世界の実現に向けた国際社会の努力を着実に前に進める”と述べる一方、日本が署名・批准していない核兵器禁止条約については、昨年まで参列した安倍晋三前首相と同様に全く触れなかったようです。
 更に広島で発言した国が今まで認定していない被爆者への救済問題についても言及がなかったようです。


 原爆については「唯一の戦争被爆国」であり、今までも世界の先頭に立って核兵器廃絶を目指してきたはずの日本が、2021年1月に発効した核兵器禁止条約の批准を見送っていることは、多くの国民の率直な感情からは大きく乖離していることでしょう。

 広島市の原爆死没者慰霊式・平和祈念式典においては松井広島市長が、そして長崎市の平和祈念式典では田上長崎市長が共に、強い言葉でこの条約の批准を求めていることは、極めて当然なことでしょう。


 なぜ、日本政府が世論を無視して、この条約批准に消極的なのか先日の毎日新聞に掲載された川崎哲・国際NGO「核兵器廃絶国際キャンペーン」(ICAN)国際運営委員のご意見などを参考にしながら少し整理してみました。(2回にわたって書き込みます)


◆核兵器禁止条約とは
 まず、この条約は2017年に国連総会で採択されました。
当初はこの採択に向けて日本も積極的に奔走していたこの条約は、“核兵器を作ることも、持つことも、使うことも、それらに協力することも、いかなる場合も禁止される。”、即ち核兵器を絶対悪だと断定し、非常に明確に核兵器反対を目指す国際法です。

◆日本の態度
・いざこの条約が発効したのち、当然に批准するはずの日本は、この批准を見送る態度を採りました。
一方で、歴代の首相は毎年8月に広島/長崎を訪問し、核廃絶を訴えているにも関わらず、国際舞台ではそれと反対のことをしているのです。

・その理由は、「核保有国が加入しない核禁条約は意味がない、唯一の戦争被爆国としての日本は、これらの核保有国が条約を批准するように、橋渡しの役目をするのが役割だ」と訳の分からない理論でした。

 正に国内向けと国際向けの二つ矛盾する基準(ダブルスタンダード)を用いているのです。

◆その本心は
・根幹にあるのは「米国の核兵器が日本の安全保障にとって必要」という考え方です。
 核禁条約では核兵器の使用を援助したり、奨励したり、勧誘したりすることが明示的に禁止されていますが、その点が日本政府の立場と抵触するから、批准できないのです。

・もっと踏み込んで言うと、その根幹にあるのは「米国の核兵器が必要」という外交政策なのです。
即ち、日本政府の立場は核兵器使用の援助、奨励であるということでしょう。

◆米国との関係並びに諸外国からの評価
・オバマ米政権が「核なき世界」を掲げたのは、このまま核の時代を続けていけば、結局は米国自身が核の被害者になるという危機感からで、核拡散や核テロによって自分たちが攻撃されるリスクをなくすためには、世界から核をなくさなければならないという極めてまっとうな考え方でした。

・そして、オバマ政権は核兵器の先制不使用宣言を検討しましたが、実現しませんでした。
その最大の理由は、米国内の核軍備維持を主張する勢力ですが、もう一つは同盟国の反対でした。
米国が先制不使用を宣言すると、自国の安全が担保されないと主張する国があり、その筆頭が日本だったようです。

・バイデン政権がどのような核政策をとるかはまだ明確ではありませんが、先日の日米首脳会談の共同声明では「米国は、核を含むあらゆる種類の米国の能力を用いた日米安全保障条約の下での日本の防衛に対する揺るぎない支援を改めて表明した」という、わざわざ核使用に言及した部分があります。

・これはトランプ前大統領と安倍晋三前首相の首脳会談の際と同様の表現です。
日本が核の使用を明言してほしいと米国に求め、米国が配慮して表明したといわれています。

・国外では日本は北大西洋条約機構(NATO)加盟国と同様に、米国と同じスタンスで行動する国だとみられていて、日本が核兵器禁止条約に参加しないことも、外交関係者の間では驚きはないようです。(まさ)


思わず漏れた本音?  ~広島平和記念式典での菅首相が原稿読み飛ばし~ 

2021年08月06日 19時22分14秒 | 政治・経済・環境・核兵器など

 広島への原爆投下から76年目となる今日8月6日、広島市で開催された平和記念式典(広島市原爆死没者慰霊式並びに平和祈念式)に出席した菅首相のあいさつで、原稿の読み飛ばしがあったようで話題になっています。

 Gooニュースなどによると、

・菅首相のあいさつの該当部分は以下の通り。
「・・・広島および長崎への原爆投下から75年を迎えた昨年、私の総理就任から間もなく開催された国連総会の場で、ヒロシマ・ナガサキが繰り返されてはならない。この決意を胸に日本は非核三原則を堅持しつつ、核兵器のない」と言った後、「核軍縮の進め方をめぐっては各国の立場に隔たりがあります。このような状況のもとで核軍縮を進めていくには・・・」とつながりのない発言となったようです。

・この部分の、NHKのTV画面の下に流れる、該当部分のテロップは以下の通りで、発言内容と明らかに違っていました。
<広島及び長崎への原爆投下から75年を迎えた昨年 私の総理就任から間もなく開催された国連総会の場で「ヒロシマ ナガサキが繰り返されてはならない。この決意を胸に 日本は非核三原則を堅持しつつ核兵器のない世界の実現に向けて力を尽くします」と世界に発信しました>

 どうやら、首相のあいさつの中で読み飛ばしがあったようです。


 毎日新聞などに拠ると、読み飛ばした原稿部分は、「世界の実現に向けて力を尽くします、と世界に発信しました。わが国は、核兵器の非人道性をどの国よりもよく理解する唯一の戦争被爆国であり、核兵器のない世界の実現に向けた努力を着実に積み重ねていくことが重要です。近年の国際的な安全保障環境は厳しく」という内容だったようです。


 その後に行った記者会見で、首相は読み飛ばしを認め、「一部を読み飛ばし、この場を借りてお詫びしたい」と陳謝したとのことです。


 何についても自分の心からの言葉を持たずに、誰かが書いた形式ばかりで内容のない原稿を棒読みする首相には起こるべくして起こった間違いといえるでしょう。


 しかし、非常に皮肉なことに、この読み飛ばしは国の姿勢に関する事項で、「唯一の戦争被爆国であり、核兵器のない世界の実現に向けた努力を着実に積み重ねていくことが重要」と言いながらも、2021年1月に発効した核兵器禁止条約の批准もせずにいる我が国は、世界各国からは“日本は米国の腰巾着で、核兵器のない世界など期待していない”と見られていることが明らかです。

 だとすれば、単なる読み飛ばしではなく、首相もこのような内容の文章を読むのが心苦しくて、案外首相の素直な本心が出たのかも知れないと推測したりもします。

 また、首相挨拶の冒頭部で、広島市原爆死没者慰霊式の名称について、「原爆」の部分を「ゲンパツ」と述べ、直後に言い直したというオマケもあったようです。

 最近は、黒い雨問題で一見被害者寄りの姿勢を見せてはいるものの、核兵器廃絶などの根本問題に向き合おうともしない首相としては、このような平和記念式典に出ること自体が間違いなのでしょう・・・

 それとも、コロナの想定外の拡大で、自分の再選に暗雲が漂い、心ここにあらずという状態なのでしょうか。(まさ)