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生きる為の力とは『ペテロの葬列 上・下巻』by宮部みゆき

2020年05月19日 | 小説レビュー

『ペテロの葬列(上・下巻)』by宮部みゆき

 

~(上巻)待ち受ける驚愕の展開。ドラマ化もされた話題作、待望の文庫化

杉村三郎が巻き込まれたバスジャック事件。実は、それが本当の謎の始まりだった――。『誰か』『名もなき毒』に続くシリーズ第三弾。

今多コンツェルン会長室直属・グループ広報室の杉村三郎は、ある日、拳銃を持った老人によるバスジャックに遭遇する。事件は3時間ほどであっけなく解決したかに見えたが、実はそれが本当の謎の始まりだった――。  事件の真の動機に隠された、日本という国、そして人間の本質に潜む闇。杉村三郎が巻き込まれる最悪の事件。息もつかせぬ緊迫感の中、物語は二転三転、そして驚愕のラストへ。2014年、小泉孝太郎主演で連続ドラマ化。「BOOK」データベースより

~(下巻)杉村三郎らバスジャック事件の被害者に届いた「慰謝料」。送り主は?金の出所は?老人の正体は?謎を追う三郎が行き着いたのは、かつて膨大な被害者を生んだ、ある事件だった。待ち受けるのは読む者すべてが目を疑う驚愕の結末。人間とは、かくも不可思議なものなのか―。これぞ宮部みゆきの真骨頂。「BOOK」データベースより

 

『誰か』(2015年1月読了)、『名もなき毒』(2014年12月読了)、から続く長編三部作の一応の完結編です。(一応というのも、その後に主人公の杉村が活躍する『希望荘』に繋がっているとのこと)

約5年ぶりに続編を読んだことになるので、朧気にしか内容を覚えていません

それでも、上下巻をあっという間に読み終えてしまったことを思うと、やはり宮部みゆきさんの筆力は素晴らしいものがあると思いましたね。

宮部さんは、人間の深層心理というか、心の中の闇の部分を描くのが本当に上手です。自分でも思い当たるところが色々とあるので、読んでいてドキリとさせられたり、感心させられることもしばしば・・・。

今回の作品の内容は、ネットワークビジネスを利用した、人間の心の中の『悪』が描かれています。

マルチ商法やネズミ講などで見かけるキャッチコピーに、「簡単に儲かる!誰でも出来ます!」という言葉。僕自身もネットワークビジネスの説明会に行ったこともありますし、色々な人から勧誘を受けたこともあります。

誰でも簡単に始めることが出来て、実際に大金を得た人たちの体験談などを聞かされると「自分にも出来るんちゃうの?」と、飛びついてしまうことでしょう。

この話の中でも、色々な人がネットワークビジネスに嵌まり込み、どうにもならなくなってしまった件が出てきます。

「人間が健全に生きていくための力とは、どういう力ことなのか?その力はどうすれば身に付くのか?」ということを暗に語りかけてきてくれているような小説でした。

 

★★★☆3.5です。