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一見無駄な記述も文学には必要なのか?『貘の檻』by道尾秀介

2019年08月20日 | 小説レビュー
~あの女が、私の目の前で死んだ。
かつて父親が犯した殺人に関わり、行方不明だった女が、今になってなぜ…
真相を求めて信州の寒村を訪ねた私を次々に襲う異様な出来事。
果たして、誰が誰を殺したのか?
薬物、写真、昆虫、地下水路など多彩な道具立てを駆使したトリックで驚愕の世界に誘う、待望の超本格ミステリー!「BOOK」データベースより


お盆に実家に戻った際に、お坊さんの車を停めるスペースを空ける為に、自分の車を近所のブックオフに停めにいきました。

そのまま帰ると、結構な駐車料金を取られるので、100円の文庫コーナーを見て回りました。

お盆の間に読もうと思って、ハードカバーを3冊も図書館で借りてきていたんですが(^_^;)、東京往復に持ち歩くには重たく、ちょうど手頃な文庫本は?・・・と、探していると、大好きな「道尾秀介」さんの作品の中で、まだ読んでいなかった『貘の檻』が目についたので購入しました。

422ページの長編で本格ミステリーとのフレコミから、楽しみに読み始めました・・・が、

これが中々の読みづらい(^_^;)

いわゆる、事件の犯人や、事故の真相・経緯を追いながら、過去の記憶や関係者への聞き込みなどで、色々な謎が少しずつ明らかになっていきます。

章と章をつなぐところで、主人公の頭の中というか、夢の中の物語というか、そのモヤモヤ~っとした奇妙な世界のストーリーが挿入されています。

これがなかなか難解な表現で、このターンに入ると、読むスピードが遅くなり、結局、東京往復では読破できませんでした((;´д`)

クライマックスで、どんでん返しが連続するんですが、ある程度、予想された内容やったんで、「そうやろうねぇ~」という感じです。

登場人物が多い割には、あまり共感できる人物がいなくて、感情移入も出来ませんでした。

やはり、普通のミステリーでは、道尾氏らしくないということなのか?
夢想世界のターンがしんどくって・・・、盛り上がりに水を差されるような感じで、「このターンは必要なんか?何となく言わんとすることは伝わるけど・・・。」という感じでした。

巻末の解説を読むと、「そうそう!そやねん!」と共感しながらも、「文学作品としては必要不可欠なのか?」と、妙に納得したりもしました。

いずれにしても、やや期待はずれ感は否めず、
★★★3つです。