素浪人旅日記

2009年3月31日に35年の教師生活を終え、無職の身となって歩む毎日の中で、心に浮かぶさまざまなことを綴っていきたい。

朴慶南(パク・キョンナム)さんと再会

2011年11月28日 | 日記
 再会といっても実際にお会いしたわけではない。正確にいえば朴さんの書かれた本との出会いである。15年ぐらい前になるだろうか、『私の好きな松本さん』という本を通じて朴さんと出会った。市井で誠実に生きる人との出会いを静かな語り口で平易な文章で書かれていたが、心に
暖かさと元気を与えてくれた。取り上げているテーマは重いものであるが朴さの筆にかかると消化の良いものとして入ってくる。続いてすぐに『ポッカリ月が出ましたら』も読み終えた。

 ところが、その後朴さんに関する情報が私の前から消えた。当時は今のようにパソコンで検索するというシステムも進んでいなかったので梅田などに出かけた時に大きな書店で探すのだが見つけることはできなかった。もう、執筆活動をやめてしまったのかなと思うようになり、いつしか気にかけなくなっていた。

 しかし、先週の日曜日の書評欄に朴さんの本が取り上げられていた。『私たちは 幸せになるために 生まれてきた』という本である。すぐに取り寄せて土曜日から読み始めている。“願生”(がんしょう)という仏教用語をテーマに、朴さんが出会ってきたいろいろな人たちの人生や話を紹介する形で、四季折々のうつろいとともに静かな語り口で書かれている。

 本の中でわかったことだが、1995年の12月に突然病に倒れ、1ヶ月余り集中治療室で生死の境をさまようという経験をされている。ちょうど私が朴さんの本に出会った頃なので、情報が消えたのもそのことも関係していたのかと思った。

 3日間で、ほぼ読み終わっているが心にじんわりと沁みてくる感じは15年ぐらい前と同じである。永平寺の機関誌『傘松』の2009年11月号から2011年8月号まで連載されたものをまとめられたものなのでタイムリーな話題も多く興味深く読み進んできた。俳優・滝田栄さんとの出会いも書かれているが、ちょうど“三蔵法師の天竺展”の時の特別講座で滝田さんの話をうかがう機会があった。その時の内容を思い浮かべながら読ませてもらうことに不思議な縁というものを感じた。
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