素浪人旅日記

2009年3月31日に35年の教師生活を終え、無職の身となって歩む毎日の中で、心に浮かぶさまざまなことを綴っていきたい。

Eテレ15時からの「青春舞台2013」を見る

2013年09月21日 | 日記
 15時の休憩時に新聞のテレビ欄を何気なく見ていたらEテレの青春舞台2013・第59回全国高等学校演劇大会▽2100校の頂点を決める演劇の甲子園▽熱き夏に密着▽最優秀校の舞台をノーカットで放送が目にとまった。漫画、詩、合唱、吹奏楽、書道など文科系の高校生の全国大会は見たことはあるが演劇はなかった。どんな感じだろうとスイッチを入れた。

 8月2日~4日に長崎市で開催された、“演劇甲子園”ともよばれる、高校演劇の頂点を目指す全国2100校の中から選ばれた高校の演劇部12校の高校生たちの青春をかけた熱き夏を密着し、全てをかけて舞台を創り上げて行く姿をドキュメントすると共に、大会の裏側や、12校の舞台のハイライトを紹介し、日本一に輝いた最優秀校の舞台を、ノーカットで放送するという番組である。

 もし、番組最初の出場校紹介の時に近畿ブロック代表が大阪市立鶴見商業でなかったら、少しだけ見てテレビを消し用事の続きをしていた。鶴見商業は進学指導を通じて浅からぬ縁があり、直接何かがあったのではないが心に残っている高校である。「へ~ぇ演劇で、全国大会に!どんな舞台をつくったのかなあ?」と100%好奇心でそのまま見続けた。

 面白い切り口だなと思ったのが長野県丸子修学館高等学校の「K」。
 カフカの作品とカフカ自身の人生を高校生の内面に抱える悩みとリンクさせていて興味深かった。
 また、三重県の高田高校の「マスク」も、個性を重んじるといいつつ、みんなと同じことを強要する空気が強くなっている現代の世相を鋭くついていた。
 
 栃木県立さくら清修高等学校は地元に起こった放射性廃棄物最終処分場問題を題材に斬新な切り口で「ここだけの問題ではない」と鋭く問いかけていた。
   興味のあった大阪市立鶴見商業は在日韓国人・朝鮮人問題という社会性の高い、難しいテーマに真っ向挑んだものだった。 規律の厳しい集団性の高い朝鮮学校から、自由を求めて日本の学校に来たが、だらしなさやバラバラさなど自分の求めていたものとは違うことに葛藤するスナとミレの姿を通じて、‟一人の人間”として認めることからつながりは生まれるということを強く訴える。脚本は今年卒業した演劇部OBの趙清香さんが実体験をベースに書いたものでリアリティがあった。

 日本で「脱北者」として生きるリ・ハナさんのブログをまとめた「日本に生きる北朝鮮人 リ・ハナの一歩一歩」(アジアプレス出版社)に書かれている戸惑いや悩み、憤りなどと重なるところもあり深く考えさせられた。
 そして、審査の結果鶴見商業が最優秀賞を獲得した。


 『第59回全国高等学校演劇大会(第37回全国高等学校総合文化祭演劇部門)」審査結果
【文部科学大臣賞(最優秀賞)】大阪市立鶴見商業高等学校「ROCK U!」
【文化庁長官賞(優秀賞)】長野県丸子修学館高等学校「K」
【文化庁長官賞(優秀賞)】北海道北見北斗高等学校「ちょっと小噺。(ちょこばな)」
【文化庁長官賞(優秀賞)】沖縄県立八重山高等学校「O《ラブ》~ここがわったーぬ愛島~」
【創作脚本賞】趙清香 (大阪市立鶴見商業高等学校)
【舞台美術賞】東京都立東高等学校
【内木文英賞(特別賞)】栃木県立さくら清修高等学校


 偶然の偶然で見始めた番組であったが、いいものを見たなというお得感があった。
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