素浪人旅日記

2009年3月31日に35年の教師生活を終え、無職の身となって歩む毎日の中で、心に浮かぶさまざまなことを綴っていきたい。

21年度始業時 公立校2558人教員不足

2022年02月01日 | 日記
 今日の毎日新聞一面に文部科学省の全国調査の結果が報じられていた。
 
 全国の公立学校のうち1897校が2021年度の始業日時点で、産休などで欠けた教員の代役となる「臨時教員」(常勤講師)を補充できず2558人の「教員不足」が発生していたという。主な原因は、産休や育休を取得する教員の増加や、代役となる講師の候補者不足だという。

 その内容より驚いたのは、文科省が「教員不足」について全国調査をしたのが初めてということである。

 新聞の見出しを見た時「エッ!今ごろ何を?」とつぶやいた。この問題は、私が退職する10数年前にすでに顕在化していた。退職後元同僚だった方から講師依頼の電話がよくかかってきた。当時、数学の少人数学級指導が推し進められていて数学の教員不足が深刻だった。私も退職間際1年生の数学で少人数学級による指導を経験したが、ペアを組んだのは教員採用試験を目指す方と早期退職制度で嘱託となられていた方だった。

 当時はまだ嘱託の方や採用試験を目指す方がかなりの数いたので1クラスを2つに分割して受け持っても何とか教師の数を確保できたが、抜本的な対策を考えていかないといずれ理念と現実の間にギャップが生じることは予想できた。そのことについては以前ブログでも書いたと思う。

 退職した教員による嘱託期間は限度があるし、新設校ラッシュの時に大量に採用された層の退職に伴い新規採用者が急増していく。若返るということは産休、育休の需要も高まる。必然的に常勤講師を必要とする学校が増えていく。

 元同僚であった校長から講師の依頼の電話を受けると事情が分かっているだけに断るのが心苦しかったがこちらの事情も話し了解してもらった。「講師をいかに確保するかが、校長の力量を測るものさしみたいになっている。もう営業マンですよ」と自嘲気味に言った言葉が耳に残っている。

 それから10年余り、教育改革のもとにさまざまな改革を行ってきたが、肝心要の担い手である教員の確保についての対策がなされてこなかったということが露呈した。現場の声を反映するシステムができていればこの問題はもっと早い段階でとらえられ対策も検討されただろうが、記事の中に、ある中学校では20年度に教員が3ヶ月の病気休暇を取ったが、市教委に相談してもすぐに補充されず、同じ教科の免許を持つ校長が1ヶ月間教壇に立ちながら知人のつてをたどり自力で講師を見つけた。という事例を見た時、無策のまま来たんやなと思った。

 自分自身が生徒だった時、教師として過ごした時を通してさまざまな改革を経験してきたが、すべて教師あってのことである。その土台がしっかりできていないと砂上の楼閣に終わる。

 人材確保という一番大切な課題が解決の方向に動くだろうか?まだ文科省は楽観的じゃないかなと感じる。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする