かどの煙草屋までの旅 

路上散策で見つけた気になるものたち…
ちょっと昔の近代の風景に心惹かれます

旧山田歯科医院(岐阜県多治見市)

2013-06-04 | 東濃の近代建築

旧昭和橋郵便局からさらに南へ向かうと県道15号線の錦町2の交差点に出ます。
交差点を左折して東へ向かうと、東海地方では有名な喫茶店チェーンのコメダ珈琲店の向かいに、コンクリートの塀に囲まれた歴史を感じさせる洋風の邸宅が建っています。

昭和初めに歯科医院として建てられたもので、県道側から見ると大きな寄棟の住宅の南側に、急勾配の切妻屋根を持つ洋風の建物が取り付いています。
建物はよく手入れされ、外観もかなり改修されているので、ちょっと見はそんなに古い建物には見えません。
しかし細部をじっくりと観察すると、2階の庇部分のブラケット(持送り)や小神殿風の東側玄関などに、戦前の洋風建築ならではの特徴を見つけることができます。

いかにも西洋館という建物ではありませんが、伝統的な日本建築に部分的に古典様式のモチーフを取り入れた和洋折衷の建物は、昭和初めの医院建築の特徴をよく表しています。


■県道15号に面した建物南側~二層に塗り分けたコンクリート塀にも昭和な匂いが感じられます



■建物東側~2階の庇の下にはブラケット、玄関にはギリシャ風のペディメントとオーダーを配し洋風建築のツボを押さえた造り





■玄関はルネサンス建築などによく見られる小神殿風
小神殿とはエンタブラチュア(梁)とその上のペディメント(三角形の部分)を支える二本のオーダー(この場合はトスカナ式?)から構成され、モダニズム前の洋風建築ではこのモチーフが装飾の定番の一つとして用いられました



■門柱には旧字体で書かれた医院名がそのまま残る



◆旧山田歯科医院/岐阜県多治見市錦町2
 竣工:昭和初年(1926) 
 構造:木造2階建
 撮影:2013/04/29 



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