かどの煙草屋までの旅 

路上散策で見つけた気になるものたち…
ちょっと昔の近代の風景に心惹かれます

旧兼山郵便局(岐阜県可児市)

2011-08-10 | 中濃の近代建築

木曽川流域に位置する兼山町は、古くは水運によって栄え、近代に入るとダムや発電所が建設されました。
町の中心は木曽川と山に挟まれた街道沿いの狭い地域で、その旧街道に面して明治期に建てられた古い土蔵造りの郵便局舎が現存しています。
岐阜県には同様の漆喰塗土蔵造りの擬洋風建築、旧加治田駐在所(加茂郡富加町)がありますが、県内でも土蔵造りの郵便局舎で現存するものは極めて珍しいと思われます。
こちらも旧加治田駐在所と同じように、外壁の漆喰が剥げ落ちてボロボロ、土壁が見えている状態ですが、実際現地で建物の前に立つと、「よくぞ今まで取り壊されもせず建っててくれました」と感慨胸に迫るものがあります。
建てられてから100年以上が経過していますが、縦長の上げ下げ窓や、コーニス、玄関の破風の飾りなど、創建当時のディテールがそのまま残っているのは嬉しい限りです。
兼山町の明治から1世紀の歴史を語る貴重な産業遺産として、今後の保存と再生活用が望まれます。

 

 ◆旧兼山郵便局 /岐阜県可児市兼山町
 竣工:明治36年(1903)
 構造:木造2階
 撮影:2007/04/08

 


正面は漆喰のままですが、側面は最近板張りに改装された様子



玄関ポーチの軒下には明治~大正期の洋風建築によく見られる板状の装飾がつららのように下がります
ギボウシのような玄関照明もなかなか味があります



玄関軒下に付けられたアールヌーボー風の鋳鉄製の持ち送りや
木製の玄関扉、窓枠も当時のままです

 

 



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