かどの煙草屋までの旅 

路上散策で見つけた気になるものたち…
ちょっと昔の近代の風景に心惹かれます

豊寿園(愛知県新城市)

2014-05-23 | 東三河の近代建築

 新城市町並の別所街道を歩いていて、偶然にも絵に描いた様な洋風ファサードの看板建築を見つけました。この建物は豊寿園という戦前からの老舗の和菓子屋さんですが、近代建築の資料にも掲載が無く、まったくのノーマーク物件だったので、「ほんと出会えてよかった!」という感じで、まさに建築探訪冥利に尽きます。

 最近は大正末~昭和戦前期に建てられた看板建築は老朽化による取り壊しなどで激減しており、愛知県でこれだけ良い状態の現役で営業している看板建築に出会えるのはめったにありません。一近代建築ファンとしては、このままの店舗で少しでも長く、美味しいお菓子を造り続けていただけることを願うばかりです。

 豊寿園さんのHPを調べてみると、創業は前身の太田屋時代の明治時代までさかのぼるそうで、現在の店舗は大正末頃に建てられたようで、その当時撮影された店舗の写真が掲載されています。HPにはその当時の別所街道の写真もあり、大正~昭和にかけての新城の町の様子がご覧になれます。
「御菓子司 豊寿園」HP→http://www.h6.dion.ne.jp/~ho-juen/index.htm

■看板建築とは~
関東大震災(大正12年)後、商店建築などに用いられた建築様式。典型的なものは木造2階建ての店舗兼住宅で、建物前面を平坦として(軒を前面に出さない)モルタルや銅板で仕上げて装飾をつける。ちょうど看板のような平坦な壁を利用して、しばしば自由なデザインが試みられたため、看板建築と命名された。(wikipedia 看板建築より引用)


■愛知県でも当時のままの外観で、現役で営業している数少ない看板建築だと思われます。
「ALWAYS三丁目の夕日」の映画にそのまま使えそう。




◆豊寿園/愛知県新城市字町並146
 竣工:大正末頃
 構造:木造2階建
 撮影:2014/05/03



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2 Comments

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看板建築と唐破風の融合? (JOE COOL)
2014-05-25 21:20:28
shortwoodさん また好みな看板建築が出てきたので、お邪魔いたします。

破風の中心にあるマークは、きっと屋号でしょうね。
ヤマサとかカネテツみたいなね。会社のマークとして使用されているんでしょうか。
山の下に「ト」や、丸囲みの「ト」の屋号は見たことがありますが、亀甲囲みの「ト」は初めて見ました。
豊寿園HPでは、大正時代の包装紙に亀甲モチーフが見て取れますね。
亀甲囲みの屋号と言えば、断然キッコーマンが有名ですが、このように他にも色々あるんでしょうね。

豊寿園ファサードのチャームポイントは、やはり半円アーチ状に張り出した破風のデザイン。

このまま江戸東京たてもの園にあっても違和感なさそうだと思ったら、まさに江戸東京たてもの園の「植村邸」によく似てるじゃありませんか。

http://sumainoact.blog58.fc2.com/blog-entry-1567.html

こちらの紋章、今でもかなりカッコイイ。

さらに、植村邸の画像をじっくり見てて考えました。これってもしかして、大正から昭和の時代の建築家たちが、店舗の顔に、なんとか日本のお城の唐破風を違和感ない形で取り込めないかと思案の結果、生まれたデザインなのかも?!
もし、そうだったら面白いなぁ。これまた建築ロマン…(*˘︶˘*).。.:*♡

他の建物ブログでも、豊寿園とよく似た看板建築を見つけましたよ。
茨城県のお花屋さん↓「大栄フラワー」。嬉しい事にこちらも現役営業中。

http://blogs.yahoo.co.jp/kikuyaseika_in_takaramachi/52652348.html

現在は隣に新築した店舗の方で営業してて、旧店舗は倉庫に使用しているようです。取り壊さず、そのまま使ってるのは、きっとオーナーの愛着ゆえかなと想像します。

これが唐破風とすると、同じ常総市にある旧岩見石版印刷所↓の方は、千鳥破風といったところでしょうか。(笑)

http://blog.goo.ne.jp/a-ly/e/b685570d002caea9b533e9dee8c9428c

それではっ。( ⌒ー⌒)ノ゛゛゛゛
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擬洋風リバイバル (shortwood)
2014-05-26 22:37:34
JOE COOLさん、いつもありがとうございます。

ファサードの半円アーチ状の張り出しは看板建築にはよく見られるパターンですが、唐破風からヒントを得たデザインという見方は面白いですね。

そもそも看板建築は、プロの建築家ではなく、地元の棟梁や職人、施主が自由気ままにデザインした和洋折衷の何でもござれですから、明治期の擬洋風建築リバイバルと考えてもいいかもしれません。

それではまた、よろしくお願いします。

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