かどの煙草屋までの旅 

路上散策で見つけた気になるものたち…
ちょっと昔の近代の風景に心惹かれます

さらば旧布袋駅舎(愛知県江南市)

2011-02-12 | 失われた建物の記憶

昨年になりますが名鉄犬山線の布袋駅舎がついに取り壊されました。 

名鉄布袋駅は大正元年に竣工、周辺の古い町並とマッチした擬洋風建築の木造駅舎で、同じ犬山線の犬山、扶桑、古知野(江南)の木造駅舎が次々に建て替えられる中、名鉄最古の現存駅舎として1世紀近く現役でがんばってきました。
しかし布袋駅も遅まきながら駅の高架化が決定、2009年10月に工事が開始され、旧駅舎は仮駅舎の新設に伴い2010年2月で使用を終了しました。

その後市民の間から旧駅舎の保存の声も高まりましたが、駅舎全体の保存は費用の面で断念され、車寄や飾り天井、ベンチや備品などを市が譲り受け保存展示されることになり、旧駅舎は惜しまれながら2010年10月に解体撤去、100年に及ぶ長い歴史に幕を下ろしました。
 
近代建築ファンのひとりとしては、できれば名鉄現役最古の大正時代の木造駅舎をそのまま保存して欲しかったのですが・・・、やはり問題は移築保存にかかる莫大な費用(6000万円とか)です。
そこで現実的方法として、車寄や備品を一部保存し別の施設で展示することになり、旧駅舎の記憶がこれからも引き継がれることになりました。
ちょっと前なら取り壊される駅舎の一部が保存されるのは珍しく、最近になって近代化遺産として古い駅舎の価値が見直されてきたのは嬉しい限りです。


◆名古屋鉄道犬山線 旧布袋駅舎/江南市布袋町西布212
 竣工:大正元年(1912)
 構造:木造平屋





◆在りし日の旧布袋駅舎
 玄関車寄に透かし彫りになった名古屋電気鉄道時代の社紋が残ります(撮影:2006/05/05)



◆100年近く布袋の町を見つめてきた古い駅舎、更地にぽつんと建つ姿は寂しそう





◆工事用トラ柵に囲まれ最後の時を待ちます(撮影:2010/06/20)
 この後9月20日に車寄部分が保存の為取り外され、駅舎は解体撤去されました