かどの煙草屋までの旅 

路上散策で見つけた気になるものたち…
ちょっと昔の近代の風景に心惹かれます

宮田西元杁・遺構(江南市~一宮市)

2011-02-06 | 尾張の近代建築

江南市の北を流れる木曽川流域には明治から昭和のかけて造られた近代土木遺産が現在も多数現存しています。
宮田町に残る宮田西元杁は、江戸初期の宮田用水の元杁を明治43年に改築したもので、明治中期~末期にこの地方でたくさん造られた、「たたき閘門」と呼ばれる人造石を使用した明治特有の工法で造られています。

人造石とは愛知県三河出身の服部長七が、日本古来の「たたき」に改良を加えた日本版コンクリートと呼べるもので、当時は輸入品のセメントが超高価だったので、安価な人造石工法は各地の土木工事で重宝されました。

宮田西元杁はその後廃止され、用水路自体がコンクリートで固められ閘門も完全に失われ、全く当時の面影を見ることができません。
ただ閘門に使われた服部人造石は、現在も当時となんら変わることない堅牢な状態が維持されており、明治の近代化を支えた先達の創意工夫に、あらためて日本のもの造りの原点を見る思いでした。


◆宮田西元杁・遺構/江南市宮田町~一宮市浅井町
竣工:明治34年(1901)
構造:たたき閘門(服部人造石工法)
撮影:2011/02/06







自然石と石灰に風化花崗岩と水、砂を混ぜ練ったものを交互に積み固めると
コンクリート並みの超堅牢な構造物が出来上がる(昔の人はすごい!)









用水に架かる橋の親柱には「明治34年改築」の銘が刻んであります
一宮市側に唯一残るモダンな洋風建築が当時の様子を今に伝えます