二葉鍼灸療院 院長のドタバタ活動日記

私が日頃行っている活動や、日々の鍼灸臨床で感じたことなどを綴っていきたいと思います。

子どもの体力低下・学力低下 ①

2009年04月11日 | 成長期の身体と心
現在、子どもの体力低下、学力低下が問題となっています。今年1月に文部科学省から発表された初の全国体力テストの都道府県ごとの結果が波紋を広げつつあるようです。

地域間での格差があるようです。この地域間の格差や評価方法は置いといて、”子どもの体力低下”の原因はというと、やはり直接的には「身体活動量の低下」です。携帯電話やインターネットの普及、テレビを視聴する時間やテレビゲームの増加により、“外で遊ぶ”機会が減少しています。また、学校の統廃合の問題や、通学での安全確保という観点から、保護者の車やスクールバスでの送迎により、学校へ行く時ですら運動する機会が失われています。

昔は、山や川、公園など外で遊ぶ環境がたくさんありました。学校から走って帰ってくると、ランドセルを家に置き、また走って外に遊びに出る子どもが多かったように思えます。生活の中に運動があったのではないでしょうか。山で虫をとり、道なき道を探検し、川で魚をとり、木に登り、でこぼこの山道を駆け巡ることで、総合的な神経機能が発達し、さまざまな生活に順応する強い体力が養われたのだと思います。

外で遊ぶ=自然との対話の中で、「これは危険だ」「虫はこう動くから、こうしたら上手くとれるんだ」「川には深いところもあるんだ」「この草は草笛がふける」「木を速く登るにはどうしたらいいか」などなど、自然から危険、対応力、知恵、関心、興味、いろんな体験を通じて、総合的な判断能力や体力が養われます。

確かに現代は危険と隣合わせですが、「あれをしてはいけない」「危ないから…」など過剰に安心、安全を強調しすぎてもいけないし、また、文明の発展してきた一つの要素である“便利””楽”というものも追及し、子どもの頃からその環境につかっていると、ストレスに弱い、対応力、応用力の欠如した、総合的体力がない子どもが育つことは目に見るより明らかではないでしょうか。

また、間接的というよりも、これも身体運動量減少と並列して、大きな要素となっているのが、食事や睡眠などの生活習慣の悪化です。例えば、朝食を食べてこない子供は、小学生で約1割、中学生で約2割、高校生では3割であり、食べている子どもも、パン1枚であったり、おにぎり1個であったりという例も多いようです。

食事は現代医学的なカロリー(熱量)で計算されるようなものでは、片手落ちです。その食品自体の食性(漢方で言う熱・温・涼・寒など)、含有栄養の量(旬のものか、地元産のものか、オーガニックのものか、など)、ご飯をつくるお母さんはたいへんかもしれませんが、そのあたりも少し意識にいれておいたほうが、質のよい食事ができます。

朝食に関しては、食べないほうが健康になるという説をとる方々もいて、考え方も様々ですが、学校では、体育あり勉強ありで、エネルギーを消費するので、食べすぎない程度の、ビタミン・ミネラル豊富な朝食をとるべきだと思います。私は和食がおススメだと思います。そして、ゆっくり噛んで胃腸の働きを良くし、排便反射を起こさせ溜まった便をスッキリ排出することが大切でしょう。

睡眠は成長ホルモンの分泌が最大になる時間です。また、記憶をしっかり脳に刻み込むことも行われるようです。また、胃腸の機能が活発になり、体の新陳代謝が行われ、細胞新生が活発に行われます。「寝る子は育つ」とはよく言ったもので、昔の人は人間をよく観察していたんですね。

低体温であったり、貧血であったり、疲れやすい、半分眠ったような状態であったりする子どもが多くなり、このような子どもの多くは、学校へ登校しても体調不良で、そのまま保健室に登校する子どもが増加しているようです。これは遅くまで起きていたりなど、睡眠のリズムが狂っていることが大きな要因の一つでしょう。

通学意欲・学習意欲の欠如の原因の第1位は「体調不良」であるという調査報告もあります。今、子供には「心のおかしさ」ということより、むしろ「体のおかしさ」が起こっており、早急に体のケア=運動の処方が必要であるようです。

文部科学省は、「早寝早起き朝ごはん」「外遊び」を軸にして、正しい生活習慣を身につける重要性を訴えています。人間の営みから言えば当然のことなのですが、当たり前のことを当たり前にやれないのが現代です。文科省が行う学力テストでトップクラスの福井、秋田県などは体力面でも上位に位置しているということです。

この他に、体育授業時間数の減少や質の変化などもあり、複雑に原因が絡み合っており、教師、親、行政、地域社会など協力して子どもをサポートしていくことが大切なのだと思います。

子どもは社会の宝です。子どもの健康を考えることは大人の責任です。それが国の基礎ともなります。

②では、体力(運動)と学力(脳)の関係をみていきましょう。

二葉鍼灸療院 田中良和

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