二葉鍼灸療院 院長のドタバタ活動日記

私が日頃行っている活動や、日々の臨床で感じたことなどを綴っていきたいと思います。

妊活と鍼灸 ~運動しましょう! 呼吸でエクササイズ 1~

2021年01月31日 | 不妊症

 寒い時期は、なかなかウォーキングも続かなくなりますよね。寒い

 その場に居ながらにして運動できれば、どんな時でも場所や環境を選ばず運動できるのではないでしょうか

 

 その運動は・・・呼吸 を使ったエクササイズです。

 呼吸は、「やりたくな~い」って言ってると生きていくことができません。その呼吸を利用して身体を元気にすることで卵子力をアップする運動「受胎気功」をご紹介いたします。

 不妊専門医で、IVF JAPAN CEOの森本義晴先生の著書『「卵子力」をアップさせるライフスタイルBOOK~赤ちゃんができる。理想的な身体と心になるために~』からご紹介となります。

 少し詳しく加筆し、説明も加えながら二部構成で説明させていただきます。

 では、はじまり~

 

気功の考え方 精・氣・神。

 精=生殖  氣=心  神=脳(全てのバランスが調和し、全身の氣がスムーズに流れる)

 現代人は脳を過剰に使っています。心と身体のバランスが崩れると、ストレスを過剰に受け、心のモチベーションも保てなくなり、ホルモン放出のバランスも悪くなると妊娠しづらい要因になることは理解できると思います。

受胎気功 心身のバランスを保ち、氣、血、ホルモンの巡りをよくすることで、細胞が良い氣(酸素)で満たされ、ミトコンドリアの働きも活性化されます。卵子力アップはもとより、身体自体の働きが良くなり、お肌のツヤが良くなる、疲れにくくなるなどの嬉しい効果もあります。

 慣れないうちは難しく感じますが、「なんだか気持ちいいな~」と楽しみ感覚を大切にしてください 
 頭で考えすぎないでね

 

受胎気功を実践するための大事なポイント

任脈(にんみゃく)

 身体の前面中央で、アゴから肛門付近(会陰)へ向かい流れる氣の流れ(経絡)のことで、陰脈の海(一つにまとめるところ)。

督脈(とくみゃく)

 身体の後面中央で、尾骨下端より頭の頂点にのぼり、上顎部に向かい流れる氣の流れ(経絡)のことで、陽脈の海。

〈身体の中央ライン〉尾骨下端から始まり 背骨をのぼって 頭のてっぺん から上顎にくだり 下顎から お臍へくだり 会陰までくだる この氣の流れをスムーズにし、全身に良い氣が流れるように行います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

丹田

・受胎気功の呼吸を行う際、一番意識して欲しい場所です。
・おへそと恥骨を結んだラインの真ん中くらいの位置です。
・ここは精神=氣が貯蔵される場所です。

・丹=赤き色のこと。血液循環に関係するところと想像できませんか

 ※鍼灸では、この部分に「関元(かんげん)」という大事な経穴(ツボ)があり、泌尿器、婦人科系症状によく使用されます。

 ※「男子は精を蔵し、女子は血を蓄うる」とも言われていますので、生命エネルギーとも密接に関わっています。

 ※丹田には上・中・下があり、上記は下丹田、上丹田は脳、中丹田は心臓とも理解されています。

 

氣が出入りする特に大切な経穴(ツボ)

百会(ひゃくえ) 先ほどの督脈上にあるツボで、頭のてっぺんにある経穴
          その名の通り、多くの経絡(氣)が交わり合うポイント
          脳=神 

労宮(ろうきゅう) 手のひらの真ん中にある経穴。中指と薬指の指先の間
           その名の通り、頑張った後に反応が出やすい経穴
           心臓=氣

湧泉(ゆうせん) 足の裏にある経穴
          精のエネルギーを蓄えている腎の経絡の始まり
          まさしく、上昇するエネルギーが湧き出る泉
          生殖=精

※これらの3点を指圧したり、マッサージしたりして氣を巡りやすくしておくといいです。

 

受胎気功の方法

 立位・座位での方法がありますが、手を上げるか、下げるかだけの差で、方法自体は大きくかわりませんので、どちらでも結構です。

1.ウォーミングアップ

①背筋がスッと伸びる姿勢でリラックスします。座位でも立位でもかまいません。

②リラックスできる体勢が整ったら、目を半眼にします。一度まぶたを閉じて、ほんの少し開きかけた状態です。頭の中を空っぽにしましょう。

③口の中にたまった唾液で口内をすすぎ、その後、ゴックンと飲み込みます。
 この動作は、氣を丹田に送る際のイメージトレーニングにもあります。
 ※唾液は氣から生成される分泌液で「津液(しんえき)」の一つとされています。

④次に首をゆっくり回して氣の循環をよくします。
 ボーリングの玉ほどの重い頭を支えているのですから氣や血の流れが滞りやすくなります。
 ・首を前にゆっくり傾け、息を鼻から吸いながら前から左後ろに向かって回していきます。
 ・回しながら、口から息を吐いて右側を通り正面へ戻します。
 ・左まわり3回、右まわり3回、行います。

 

2.「丹田呼吸法」は受胎気功の基本(準備)

・丹田の場所は確認しましたね。上の図でいうと下丹田です。手で押さえてみると分かりやすいです。

・基本は「腹式呼吸」です。鼻で大きく息を吸って、お腹の奥まで入っていくイメージが出来たら、ゆっくり口から息を吐きましょう。

・次に丹田を意識しながら、腹式呼吸を続けてみましょう。心がゆったりしてきましたか?!

 

では「丹田呼吸法」やってみましょう!

・どんな姿勢でも結構です(今回は立位での方法をご紹介)。

①身体を締め付けているベルト等を外し、足を肩幅くらいに開きます。肩と膝の力は軽く抜いて、そっと目を閉じます。

②鼻からゆっくり息を吸い込みます。お腹の奥まで空気の入っていくのを意識しながら、丹田を通していいエネルギーが身体の中に入り込んでいくイメージを持ちましょう。

③十分に息を吸い込んだら、口をすぼめて少しずつ息を吐き出します。ストレスや老廃物を身体の中から外へ出していくイメージです。

※心の中で「いーち.にー.さ~ん」とカウントしながら息を吸ったら、同じリズムで吐き出しましょう。
※コツをつかむまでは、両手のひらを軽く丹田にあてて、呼吸に合わせて手のひらが動くの感じて行ってください。

3.宇宙の氣を取入れる動作

①座った姿勢で複式呼吸ををしながら、ゆったりとした気分になります。

②両手のひらを合わせて、ゆっくりと擦り合せます。手のひらがポカポカ温かくなってきます。

③次に、両方の手のひらを頭の上にかざします(ウサギさんポーズ)。手のひらは前に向けて、息を吸いながら宇宙の氣を労宮のツボに集めて、身体に取り込むイメージでやってみてください。

④手のひらに氣を感じたまま、口からゆっくり息を吐きます。これを3回繰り返します。

⑤次に、手のひらをお腹の表面から2cmくらい離し、丹田のあたりに当てて、息を吐きながら手のひらに溜まった氣を丹田に送り込みましょう。これも3回繰り返してください。

 

4-1.受胎気功(座位)本番

 リラックスするのが最大の目的ですので、焦らずにやりましょう。慣れるまで難しく思うかもしれませんが、繰り返すうちに全身の氣が流れやすくなり、やがて大きなうねりを生み出せるようになります。徐々に時間を長くしていきましょう。

①目を半眼、丹田を意識して、ゆっくりと丹田呼吸を繰り返します。息を吸いながら丹田に氣を注ぎ、お腹をふくらませます。

②息をゆっくり吸いながら、会陰を通って肛門に向かって氣を移動させます。この時、少し肛門をすぼめます。

③少しずつ息を吸いながら、肛門からは背骨に沿って氣を吸い上げます。腰☞背中☞首の後ろ☞百会と移動させます。身体の後面は長い経路ですので、息苦しかったら息継ぎをしながら無理なく行ってください。

④気をおでこに降ろして鼻まで来た時に、舌先を上顎につけ、氣を舌を通って口へと移動させます。これは、生まれた時に切れた経路を舌で繋ぐという意味があります。

⑤口の中に溜まってきた唾液を飲み込み、唾液とともに一気に食道から胃を通って丹田へ氣を落とします。

⑥丹田☞督脈☞任脈☞丹田と再び戻ってきたら、、ゆっくりと息を吐きながら氣を全身に巡らせます。

この一連の流れを約5分間行いましょう。

 

4-2.受胎気功(立位)本番

 大地に深く広く根を張り、風雨に負けないどっしりと颯爽と構える大きな樹木のイメージで、全身の隅々まで氣を巡らすイメージで行います(屋久杉のイメージか)。とてもダイナミックで効果の高い気功法です。積極的にやりましょう

①背筋を伸ばし、足は両肩幅ほどに開き、両足の外側が肩からの線と一致するように立ちます。足先は身体と平行にしてください。目は半眼、膝は軽くゆるめて曲げます。肩の力は抜いて、手はだらりと下に降ろします
 百会から氣を取り込むことができる立ち方で、緊張と弛緩がバランスよく存在し、いつまでも立っていられれる姿勢。

②丹田を意識して、お腹にゆっくりと息を吸い込みます。吸い込んだ氣を太ももからふくらはぎへと身体の下に通して、足の裏の湧泉から吐き出します。

③次に、息を吸いながら、足の裏から丹田へと氣を上げていきます。この後は座位での受胎気功と同じように全身へ氣を流していきます。

④丹田から会陰を通って吐きながら肛門に氣を送り、次に肛門から背骨に沿って吸い上げていきます。氣が上がっていくのに合わせて、両手をゆっくり広げ、肩の高さまで上げます。腕はそこで止め、さらに氣を百会まで上げていきます。

⑤氣を百会から、おでこを通し、口元まで移動させたら、舌を上あごにつけてその中に氣を下ろし、唾液を飲み込み、唾液とともに氣を丹田に下ろしていきます。丹田に戻ったら、息を吐きながら腕をゆっくり下ろし、全身に氣を巡らせます。

⑥元の呼吸に戻して、肩の力を抜き、身体を緩めてリラックスしましょう。全身に氣を流すことで、氣や血、ホルモンの循環が良くなり、自然治癒力=自然妊娠力が高まります。こちらも5分程度を目安に行いましょう。

 

5.内臓マッサージ

 これは身体を横方向に循環させる気功法です。

 血流量が多い肝臓や脾臓の瘀血(滞った静脈血)を心臓へと返し、さらに骨盤内の瘀血も解消する効果があります。

 受胎気功の仕上げとして行ってもよし、単独で行ってもよしの方法です。

①足の外側を結んだ幅が肩幅に一致するように立ちます。肩の力を抜いて両肩をダラッと下げ、膝を少しゆるめます。

②軽く手を握ります。身体をネジって無心に両手をプランプランと振り回します(ラジオ体操みたいな~)。勢いがついてきたら片方の手は胸に、もう片方の手は腰にポンと当たるようにします。心臓や腎臓にも心地よい刺激が加わります。

③この動作に慣れてきたら、丹田呼吸も一緒に行ってみてください。息を1回吸うたびに4回プランプラン、1回吐くたびに4回プランプラン。

④10分ほど行ったら、身体の動きを徐々に弱めていきます。急に止めずに自然に止まるようにしていきましょう。

 

6.受胎気功の仕上げ「収巧」

 動きのある「動功」を行った最後は、氣を収める「収功」を行います。

 座り姿勢の受胎気功のみ、内臓マッサージのみの場合は「収功」は行わなくてもいいです。

①両足を肩幅に開き、目を半眼にし、背筋をまっすぐにして、丹田を意識して息を吸い、その氣を太ももから膝へと通します。

②全部吐き出したら、元の静かな呼吸に戻して身体をゆっくりとゆるめます。半眼にしていた目をゆっくりと開きます。

 

 1~6を全て行うと30分くらいです。すべてを毎日行うのは難しいし、継続できないかもしれませんが、できるものを継続してやってみてください。
 「丹田呼吸法」と「座り姿勢の受胎呼吸」だけでも行ってください。それでも氣が乗らない、体調がいまいちの方は、「内臓マッサージ」だけでもかまいませんよ。

 人間の細胞は、身体のどこかでいつも新しい細胞に入れ替わっています。心地よい空気を身体の末端にまで取り入れ、老廃物をできる限り排出し、よい細胞をつくっていきましょう。

 身体が良い細胞をつくり、循環をよくしていけば、自ずと生殖の力も高まったくることが想像できるのではないでしょうか。

 

 長くなりましたが、最後までお付き合いいただき、ありがとうございます。

 少しでも心身が良い環境に整い、ご夫婦が天使ちゃんを受け入れる身体と心づくりにお役に立てば嬉しいと思います。

 第二部では、呼吸は大事なんだよ、自律神経にも影響があるんだよ、ということをお話させていただきます。

 

二葉鍼灸療院(金沢)

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生活習慣の改善で精液所見は改善するのか?!

2020年12月29日 | 不妊症

 当院では、妊娠しやすいカラダ作りのための鍼灸を提供しています。

 しかし、これはいくつかの記事でも書いていると思いますが、当院においては施術に来院されるのは奥様だけが多い現状があります。

 不妊治療でも自然妊娠から体外受精まで、そして、その治療方法となると多くの選択肢や状況があり、それぞれのご夫婦で違った治療環境となることは周知のことです。

 体外受精の際は、精子と卵子を受精させるわけですが、受精しない場合や、受精3日目までの胚異常は卵子側の要因が強く、それ以降の異常は精子側の要因が強く影響されるとの報告もあります。

 

 お子様を授かることは、自然妊娠にしても、人工授精にしても、体外受精にしても、どんな場合もご夫婦の共同作業です。

 妊娠し、それを維持し、出産するという大役を行う女性の心身の環境を整えること、それは最重要であると思いますが、やはり、そこに遺伝子の半分を提供する男性にも大きな責任がありますよね。

 

 専門クリニックは行くけど「鍼灸院へ行ってまでもな~」と思っている旦那様もけっこういるでしょう。では、お家でできることは何かあるのかと考えてみると、やはり精子は毎日、精巣でつくられるわけですから生活習慣の改善が大きく影響しているのではないか ということになるかなと思います。そこらへんを少し見ていきたいと思います。

 

 生活習慣の改善で精液所見は改善されるのか

 結論は、生活習慣改善を促すことは必要です、ということです。

     

第65回 日本生殖医学会 学術講演会・総会~抄録集 一般演題より要約~

生活習慣改善指導による精液所見改善効果ー303例での検討」

・千葉大学大学院医学研究院泌尿器科 ・亀田IVFクリニック幕張

【目的】男性妊孕能に影響を与えうる生活習慣の頻度とその改善指導効果について調査

【方法】無精子症を除く303例に泌尿科器科学的介入前に不適切な生活習慣改善を促す

(検討因子)喫煙、習慣的アルコール摂取、密着した下着着用、身長・体重、禁欲期間、男性因子等

(解析)精液検査を生活指導前後に実施し、統計的に分析

(結果)年齢の中央値は35歳

 喫煙者69例(22.8%)、飲酒習慣あり139例(45.9%)、密着した下着着用207例(68.3%)、陰嚢温度を上昇させる習慣あり229例(75.6%)、BMIが30以上20例(6.6%)、精巣機能低下症47例(15.5%)、亜鉛欠乏症40例(13.2%)、脂質異常症100例(33%)、肝機能異常72例(23.1%)、Ⅱ~Ⅲ度の精索静脈瘤69例(22.8%)、勃起不全130例(42.9%)

 301例(99.3%)で何らかの因子を持っていた

 生活指導前後で実施された精液検査の間隔の中央値は28日

 禁欲期間=3.6日→2.9日に低下(P=0.0055)、乏精子症=145/303(47.9%)→99/287(34.5%)に低下(P<0.001)、精子無力症=231/303(76.2%)→146/286(51%)に減少(P<0.001)、乏精子無力症=115/303(38%)→62/288(21.5%)に減少(P<0.001)、総運動精子数=25.1x10⁶→41.2x10⁶に増加

 上記効果は、BMI30以上、濃精液症、勃起不全、精巣機能低下症、亜鉛欠乏症、薬剤性障害の症例で有意差なし

【結論】泌尿器科学的介入の前に男性の生活習慣改善を促すことは必要

    

 という演題です。

 全ての男性には当てはまらないとしても、妊娠率を少しでもあげるため精子の質や量を改善しておくことは大切であり、そのためには生活習慣の改善は簡単にお金をかけずに出来る方法だということです。

 さらに効果のなかった栄養学的問題、精巣や勃起機能に関する問題、肥満の問題(これは生活習慣ですが)、これらに関しても対応することによって生活習慣改善効果はさらに高まる可能性もあるということも言えるのかなと、私は理解しました。

 

 ご主人さんも、仕事や家庭環境の中で、様々な状況にあると思います。
 働き方、これまで長年継続した生活、自身の生活のバイオリズム、それがストレスを回避する行動であったり、習慣であったりもします。ご夫婦の話し合いの中で、今、何を一番大切に考え、ご主人さん自身ができる範囲で生活習慣を改善していくことが大切かなと思います。

 お聞きしていると、最近は、協力的なご主人さんが多いのはないかとも感じ、嬉しくも思います。

 食事、睡眠、運動、喫煙、飲酒など、少しでも生活習慣を改善していくことは、精子という問題だけでなく、今後の大きな意味での健康や長寿を実現し、天寿を全うする養生にも繋がっていくのだと思います。

 

 奥様のためにも、きっと出逢いを待ち望んでいる天使ちゃんのためにも、ご主人さんもできることを実践してみませんか
 実践しているご主人さんには申し訳ございませんが、流してくださ~い。

 

 当院では、ご夫婦で出来る 妊活セルフ灸 や 妊活指圧・マッサージ もご希望があればご紹介させていただきます。

 

 最後までお読みいただき、ありがとうございます

 

二葉鍼灸療院(金沢)

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不妊症に対する鍼灸最前線 聴講 ~不妊症に対する鍼灸治療ー諸外国における臨床研究の現状と課題を中心としてー~

2020年12月16日 | 不妊症

 少し前になりますが、第51回現代医療鍼灸臨床研究会(令和2年10月25日)にて、「不妊症に対する鍼灸最前線」というテーマで講座がありましたので、オンラインライブで参加させていただきました。 の続き第3弾

 午前中の基礎講座は聴講できなかったのですが、聴講した分を3回に分けて学んだ点や私の意見等も書いていきたいと思います。

 

 第1話 専門鍼灸師が実践する有効な治療方法とは?」【シンポジウム】

 第2話 不妊症の病態と東洋医学(漢方・鍼灸)が果たす役割【教育講演】

 第3話 (本日)不妊症に対する鍼灸治療ー諸外国における臨床研究の現状と課題を中心としてー【基礎講座】
      ※聴講できませんでしたが資料より

 

第3話【基礎講座】

不妊症に対する鍼灸治療ー諸外国における臨床研究の現状と課題を中心としてー

 東京有明医療大学 保健医療学部 鍼灸学科  安野 富美子 先生

 

 「不妊」、「鍼灸」をキーワードとして検索すると(2020年10月1日)、Googleで312万件、Yahooで316万件ヒットする現状です。その中で不妊に対する鍼灸治療の効果として、「妊孕性は高まるか」「出生率は高まるか」「体外受精前後の鍼治療は妊娠率を高めるか」など、鍼灸にエビデンス(科学的根拠)はあるのでしょうか?

 日本では、古くから不妊症や妊娠しずらいカラダの改善に鍼灸は頻用されてきましたが、不妊に対する鍼灸治療の論文は僅かであるのが現状です。

 諸外国で行なわれてきた鍼治療の臨床研究について紹介し、臨床研究の現状と課題をお話していただくのが、この基礎講座の趣旨でした。
 あっ、そうだオンデマンド(期間限定)で聴講できるのを忘れてました でも資料だけでも勉強になりました

 

体外受精(ART)における妊娠率に及ぼす鍼治療の効果ー世界初のRCT研究(2002年 Paulusら)ー

※RCT:「ランダム化比較試験」の略で、集団を無作為にいくつかに分けて、治療や介入の効果を比較研究する方法です。もっとも信頼のおける研究方法となっています。

ドイツ研究チームと中国武漢「同済病院」の合同研究

研究対象:ARTを受けている良質の胚を持つ160名の不妊患者

鍼治療を受ける群(80名)と受けない群(80名)にランダムに割り付け

評価:臨床妊娠(胚移植後6週間の超音波検査で胎嚢確認)

鍼治療:0.25×0.25mmの鍼を使用し、得気を起こした上で置鍼。10分後、再度、得気を起こすため鍼を回転(合計25分)

     鍼刺入深度;10mm~20mm(身体部位に応じて)

     胚移植前後に鍼治療

     (移植前)内関・地機・太衝・百会・帰来 (移植後)足三里・三陰交・血海・合谷・(耳鍼)

結果:鍼治療群 80名中34名(42.5%)、対照群 80名中21名(26.3%)の臨床妊娠確認(p=0.03)

鍼治療はART後の妊娠率を改善するために有用なツールであると報告

 

 鍼療法と生殖補助技術~コクランライブラリー2013ー~

※コクランライブラリー:世界中で実施されている治療や予防に信頼性ある論文を評価し、医療関係者、医療政策決定、消費者の意志決定に供するために収集されたデータのことです。随時、そのデータは更新されています。

論文検索エンジン(9つ、開始から2013年7月まで)から情報を入手

Cheongらが、ARTを受ける患者の鍼治療のエビデンスを上記よりメタアナリシス(MA)によりまとめたもの

※メタアナリシス:複数の研究結果を統合し、より高い見地から分析すること。またそのための手法や統計解析のことです。

20件のランダム化比較試験を選択

鍼治療と対照群の比較

 ・胚移植時(14試験 3632例) 採卵時(6試験 912例)

 ・対照群;プラセボ鍼と無治療群に分かれる

 ・対象はすべて体外受精(IVF)患者

 ・排卵誘発、人工授精に対する鍼治療の効果報告はなし

評価:出生率、臨床妊娠率、継続妊娠率、流産率、副作用

主な結果:鍼治療群は無治療群と比較し生児出生率が有意に多かった
        偽鍼群との間に有意差はなかった

エビデンス:胚移植前後と採卵時の鍼のMAでは、
鍼治療による妊娠率と出生率向上、流産率の低下に関するエビデンスは十分に示し得たとは言えない

 

 体外受精を受けている女性の生児出生率に対する鍼治療と偽鍼治療の効果ーRCTによる検討ー

ウエスタンシドニー大学国立補完医学研究所(NICM・オーストラリア)の大規模RCT

対象:新鮮胚移植、顕微授精を受け、鍼治療を受けていない18~42歳の女性

オーストラリア、ニュージーランドの不妊センター16カ所で実施

研究期間:2011年6月~2015年10月末(フォローアップ期間 2016年8月)

比較:鍼治療群(424名)と偽鍼治療群(424名)にランダムに割り付け(平均年齢35.4±4.3歳)
    出生転帰のデータを取得できた809名(98.2%)で分析

主評価:生児出生率(数)

初回鍼治療:卵巣刺激ホルモン投与後6~8日目
 (治療部位)帰来、関元、気海、三陰交、血海が基本で、+中医診断に基づき選択した経穴;最大5経穴
 (治療方法)刺鍼後、得気を起こし25分間の置鍼 途中に再度、得気を得る刺激を加える

二回目鍼治療:①胚移植の1時間前 ②胚移植後
  ①帰来、地機、血海、太衝、関元、神門、内関、耳介部(子宮)
  ②百会、太渓、足三里、三陰交、内関、耳介部(神門)

対照群(偽鍼):Park鍼を用いて、経穴(ツボ)ではない部位に置く

結果:生児出生率=鍼治療群18.3%(74/405名)、偽鍼群17.8%(72/404名)
    両群間で有意差なし。

体外受精による不妊治療を行なう前後に鍼治療を受けても、生児出生率を高める効果は期待できない・・・?!

問題点:対照群に偶然にも胚盤胞移植が多かった。
     胚盤胞移植は新鮮胚移植に比較し妊娠率が高い(20~25%と30~60%との報告あり)

     偽鍼が非侵襲刺激で経穴に刺激を加えている
     もし期待できないというなら無治療群で比較するべきではないか
     日本では皮下に刺さない接触鍼や散鍼という技法もある

 

 胚移植の時期に行なわれる鍼治療~システマティックレビューとメタアナリシス~

※システマティックレビュー:臨床現場での疑問(クリニカル・クエッション)に対しての研究を網羅的に調査し、同質の研究をまとめ、偏りを評価しながら分析、統合を行なうことです。

RCTで行なわれた20件(2002~2018)を検討

アメリカ(4)、イタリア(3)、ドイツ(3)、オーストラリア(2)、ブラジル(2)、デンマーク(2),中国(2)、イラン(1)、イギリス(1)

サンプルサイズ:46~848名

評価:臨床妊娠率(20)、継続妊娠率(13)、出生率(14)

対照群のコントロール:無治療との2群(2)、偽鍼と無治療の3群(1)、偽鍼との2群(9)

治療方法:Paulus方式(7)、Paulus方式改良型(13)

治療のタイミング:胚移植前後(12)、胚移植前後+卵巣刺激(5)、胚移植前後+卵巣刺激+(または)黄体期(3)

偽鍼の種類:鍼を生殖点に関連しない場所に刺入(3)、非侵襲プラセボ鍼(6)

鍼治療と無治療;妊娠率(数)、出生率(数)は有意に高い、流産率(数)有意に減少

鍼治療と偽鍼治療:有意差はなし

これらの結果は異質性があった

有害事象が報告(5)吐き気、めまい、疲労感、眠気、胸痛、鍼の痛み、かゆみ

 

 不妊に対する鍼灸治療の現状と課題

【現状】

無治療と比較するとARTの補助治療として妊娠率や出生率に影響を与える可能性あり

偽鍼との比較では有意差なし

世界的にはエビデンスは未だ確率されていない

【今後の課題】

胚移植前後等の単回治療ではなく、日本で日常臨床で行なわれている一定治療を受けた場合の効果の研究が必要
 (加算効果・自然妊娠を望む患者さんへの効果など)

不妊治療にともなう心身のストレス緩和、採卵時の鎮痛効果、排卵誘発剤の副作用に対する対処、子宮や卵巣の機能改善による妊孕性の向上、他愁訴の健康管理などの効果を検討する(海外では検討している論文もある)

不妊に対する鍼灸治療の確立には多くの課題がある

 

 不妊症に対する鍼灸について聴講した研修会について3回にわたり書かせていただきました。

 現段階で様々な医学的観点から統計をとると効果的かどうかというエビデンスレベルについては鍼灸は低いという結果です。

 これはこれでしっかり受け止めるべき必要がありますが、まったく効果が無いということではなく、いくつかの医療機関では健康管理や妊娠率や出産率をあげ、流産率を少しでも低くするため鍼灸を取り入れていただいたり、鍼灸院と連携していただいているクリニックや病院もあります。

 人口や出産、結婚、仕事との関わり方、働き方は変化があるとしても、劇的に変わることはないと思いますが(コロナ渦では劇的に変化しましたが)、不妊治療に関する心身を取り巻く現状は、良くも悪くも変化するだろうと思います。
 そんな中、不妊症に関する社会状況も、その時々の社会情勢や政策により変化はあるにしても、この悩みを持つご夫婦がすぐに少なくなることは考えられません。

 最新の医療情報や社会情勢を踏まえながら、個人の開業鍼灸師としては、ご夫婦の天使ちゃんに出会いたいという願いの確率を少しでも高めるため、今後も不妊症にはチカラを入れて施術していきたいなと感じました。

 最後が一番長くなってしまいました。

 もし、妊活を行なっているご夫婦で鍼灸に興味のある方、カラダ作りに鍼灸を取り入れたいと考えられている方は、是非、ご連絡ください。ご相談承ります

 最後までお読みいただき、ありがとうございます

 

二葉鍼灸療院(金沢)

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不妊症に対する鍼灸最前線 聴講 ~不妊症の病態と東洋医学(鍼灸・漢方)が果たす役割

2020年12月15日 | 不妊症

 少し前になりますが、第51回現代医療鍼灸臨床研究会(令和2年10月25日)にて、「不妊症に対する鍼灸最前線」というテーマで講座がありましたので、オンラインライブで参加させていただきました。 の続き

 午前中の基礎講座は聴講できなかったのですが、聴講した分を3回に分けて学んだ点や私の意見等も書いていきたいと思います。

 

 第1話 専門鍼灸師が実践する有効な治療方法とは?」【シンポジウム】

 第2話 (本日)不妊症の病態と東洋医学(漢方・鍼灸)が果たす役割【教育講演】

 第3話 不妊症に対する鍼灸治療ー諸外国における臨床研究の現状と課題を中心としてー【基礎講座】
     ※聴講できませんでしたが資料より

 

第2話【特別講演】

不妊症の病態と東洋医学(漢方・鍼灸)が果たす役割

 北里大学東洋医学総合研究所 漢方診療部

 松本レディース リプロダクションオフィス  森 裕紀子 先生

 

 鍼灸はカラダの外から経穴(ツボ)に刺激を与えることで気や血または津液を整える施術です。漢方薬はカラダの中から気や血を整えて、カラダを調整する治療です。ともにうまく患者さんのカラダに合致すると相乗効果を引き起こし、治癒力を高め合います。
 日本で漢方薬を処方できるのは医師であり、薬局でも販売することができます。私達、鍼灸師は基本的に漢方薬の処方や販売はできませんので、当院にご来院し漢方薬が必要あるいは希望する場合は、患者さんの状態に応じて漢方を処方していただける漢方専門医や、不妊症に詳しい漢方薬局を紹介させていただいております。

 病院で保険適応されるのは、袋に入った漢方エキス製剤であり、煮出して使用する生薬煎じ薬については出してくれる医院もありますが少ないのが現状です。そして、煎じ薬は保険適応外となります。

 

【森先生】

ー漢方薬ー

漢方薬は生薬を組み合わせたものであり、併用には注意が必要。

漢方薬にも副作用がある。

先生は、漢方エキス製剤でもお湯で溶いて服用するようにアドバイスしている。

先生のところでは、カラダの愁訴や腹診などの情報から「証」をたてる随証治療で漢方薬を選択している。

ー不妊症の漢方薬~よく使う漢方薬(例)ー

①当帰芍薬散、②桂枝茯苓丸、③加味逍遙散、④温経湯、⑤柴胡加竜骨牡蠣湯、⑥四逆散、⑦桂枝加竜骨牡蠣湯、⑧胃風湯、⑩補中益気湯、⑪八味地黄丸、⑫六味地黄丸、⑬芎帰調血飲

ー不妊症の原因別漢方治療(例)ー

②・③  多嚢胞性卵胞(PCOS)に効果的なことが多い。   
       駆瘀血剤になるので妊娠が確認されたら中止。

⑦・⑥  腹部の動悸やストレスの多い時。

⑪・八味丸  小腹不仁   ⑩  胸脇苦満

高プロラクチン血症は西洋薬が効果的。

曲直瀬 道三(戦国~安土桃山時代の医師)の「察証弁治啓迪集(さっしょうべんちけいてきしゅう)」の中に、「香附子を加えて血を増やす」と書かれており、産後の様々な症状によく使用する。

①夫婦生活が持てない、②卵管閉塞(ART適応)、③卵胞が育たない、④精子因子、⑤受精卵が育たない、⑥着床できない、について何例か症例を提示していただいた。

漢方治療により下痢が治った頃から薬の反応が良くなった例など、心身の調子を整えるだけで自然妊娠する例も多いのではないかと考える。

気を改善する漢方薬をよく利用する。

ー症例報告ー

ART、漢方、鍼灸を併用して妊娠に至った45歳女性を紹介。鍼灸では中条流の灸を中心に行なった。

ー漢方治療をいつまで継続するかー

北里大学東洋医学総合研究所に挙児希望を主訴に受診した109名の経過を検討。漢方治療を2年以上継続して妊娠に至った症例はなかった。

漢方治療においては約2年間が一つの区切りとなる可能性が考えられる。

(私の意見)
 クリニックでの不妊治療でも、鍼灸や漢方治療でも、”いつまで継続するか”ということはご夫婦にとって大きな問題だと思います。当院では、患者さんとお話しながら、”ご夫婦が納得がいくところまでお付き合いします”ということをお話します。
 年齢やご夫婦の環境や状況によって施術計画は異なってきますが、なかなか妊娠、出産まで至らない方とは、施術に関して相談しながら進めていきます。当院でも妊娠しやすいカラダ作りの鍼灸に関しては、今のところ2年以上継続されている方はおりません。

 そんな意味では、なるほどなと感じました。

ー不妊治療における漢方治療(先生の私見)ー

患者の心身のバランスを診て、足りないものを補い、余分であれば瀉す。

まず患者の訴えから判断。虚があれば、まずその虚から治療。

訴えがなければ所見から判断。 瘀血や血虚が多い。

何もない場合は腎虚と考え補腎する。

ー気をつけていることー

漢方治療のみで妊娠する人は多いが、効果を高めるためには養生は必要。

来院患者は晩婚化も手伝い、40歳を頂点とする山形のグラフになっている。

患者さんは自然妊娠にこだわって来院する方も多いが、35歳以上は妊孕性が急激に低下するため、漢方治療しながらもARTのタイミングを逃さないように必要情報を提供する。

不妊治療を行なうご夫婦は基本的に病気でない人が多い。治療の副作用や治療が長引くことによる気鬱など健康を損なわないようにすることが大切。

 

 森先生には漢方薬や治療方針を分かりやすく説明していただきました。特に不妊症の患者さんに対する考え方はたいへん勉強になりました。やはり漢方と鍼灸は患者の健康を回復するための車の両輪だよなーと思いました。

 鍼灸も漢方も不妊治療同様、継続するとなると経費もかかってきます。ここがネックではあるところなのですが、ご夫婦がはやく天使ちゃんと出会えるように、より効果的な方法を提案できればと思います。

 冒頭でお話しましたように、漢方薬も病院・医院で処方される製剤に関しましては保険適応となります。保険適応外のものは少し高価となりますが、生活習慣を整える生活(養生;食事、運動、睡眠、心のあり方の改善)を行なうことによりカバーできるところもあると感じますので、アドバイスさせていただきたいと思います。

 以上、長くなりましたが第2話を終了します。

 もし、妊活を行なっているご夫婦で鍼灸に興味のある方、カラダ作りに鍼灸を取り入れたいと考えられている方は、是非、ご連絡ください。ご相談承ります

 最後までお読みいただき、ありがとうございます

 

二葉鍼灸療院(金沢)

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不妊症に対する鍼灸最前線 聴講 ~専門鍼灸師が実践する有効な治療方法とは?~

2020年12月12日 | 不妊症

 少し前になりますが、第51回現代医療鍼灸臨床研究会(令和2年10月25日)にて、「不妊症に対する鍼灸最前線」というテーマで講座がありましたので、オンラインライブで参加させていただきました。

 午前中の基礎講座は聴講できなかったのですが、聴講した分を3回に分けて学んだ点や私の意見等も書いていきたいと思います。

 

 第1話(今回)専門鍼灸師が実践する有効な治療方法とは?」【シンポジウム】

 第2話 不妊症の病態と東洋医学(漢方・鍼灸)が果たす役割【教育講演】

 第3話 不妊症に対する鍼灸治療ー諸外国における臨床研究の現状と課題を中心としてー【基礎講座】
     ※聴講できませんでしたが資料より

 

第1話【シンポジウム】

1.女性不妊に対する臓腑経絡病証のアプローチ

 明治国際医療大学 はり・きゅう学講座  田口 玲奈 先生

2.不妊治療における中髎穴刺鍼の応用

 明生鍼灸院  木津 正義 先生

3.腹部・頸部圧痛改善による不妊症へのアプローチ

 アキュラ鍼灸院  徐  大兼 先生

4.腰仙部と下肢へのアプローチによる不妊症に対する鍼灸治療

 東京有明医療大学非常勤講師

 せりえ鍼灸室  小井土 善彦 先生

 

 上記の講師の皆様は、不妊治療をされている専門クリニックと連携あるいはクリニック内で鍼灸を実践されている先生方であり、そのあたりは私の理想とするところです。クリニックで連携するには、鍼灸が何に効果が期待でき、どのような効果を実際出せるのかを明示する必要があります。

 不妊症に限らず、病院やクリニックで鍼灸を実践されている所はカンファレンス等で、医療ベースの話の中で一人の患者をチームとして捉えていくことが必要であり、その環境の中で東洋医学の長所を活かしているのだろうと考えます。また、それが求められているのだと思いますが、それを実践されている先生方の話は貴重だと感じ参加しました。

 鍼灸院で妊娠しやすい身体づくりの施術を行ない、クリニックの不妊治療を実施する中で鍼灸治療期間中に体調が改善され妊娠、出産できた。これは当院でもよくあるケースです。クリニックでも、患者さん個人個人で詳細な診察を行ない、採卵や移植がうまくいかなかった場合は、様々な治療の工夫を行なっております。
 ここで考えなければいけないのは、鍼灸について何を目的に施術計画を行なうのか、そして、鍼灸は妊娠や出産という一大イベントを迎えるにあたり、どこに効果的に働いているのかを考えることです。

 患者さんの体調が良くなった!という満足度とともに、医学的にはどう妊娠に繋がったのか。
 また、20%~50%のご夫婦は不妊(妊娠を希望し、1年以上、夫婦関係があるにも関わらず妊娠に至らない状態)の原因が不明という報告がある中、この原因不明な部分の背後にあるものを改善できれば妊娠率や出産率が増加するのではないか・・・など考えるときりがありません。体調が改善しても結果が出ない場合も多くあります。

 だから様々な情報を取り入れ、自身の鍼灸臨床と照らし合わせ、少しでも参考になる情報があれば深掘りし、取り入れることができるものは取り入れていきたいと思っております。それが患者さんの利益にも繋がります。一組でも多くのご夫婦の笑顔を増やすための歩みです。

 

 さて、時間も経っておりますのでメモや記憶を辿りながら先生方の講義の中で得たものを覚え書きしておきたいと思います。自身の臨床の再考となることもございましたので収穫がありました。

 

【田口先生】

症例や研究結果を示していただきながら解説。

週1~2回の施術を3ヶ月間実施した症例では気血水スコア(寺澤先生作成)が有意に改善。とくに気虚・気うつ・気逆などが改善。

症例数は少なかったが37歳以上、37歳未満に分けて妊娠率を調査したところ有意とまでは行かなかったが、37歳以下では妊娠率向上の影響が示唆され。37歳以上では妊娠率には影響があったと思われるが妊娠維持が不能(流産)の例が多かった。

鍼治療の研究で血清の抗酸化力を調べた研究では、鍼治療を行なうと抗酸化力が増加し、生体の酸化ストレスを緩和させた。これは患者さんの不安を和らげ、気分の改善に繋がっていることが示唆。

また、これまでの研究から子宮内膜の肥厚やプロゲステロン濃度や卵巣血流の増加もみられらた。

症例を重ねて、鍼灸ではここまでできるよ、この状態は無理だよという適応と限界を明確にし最良の方法を追求する。

 

【木津先生】

鍼灸治療を1年以上継続しても妊娠に至らない18例、また胚移植を2回以上行なっても妊娠に至らない患者8例に仙骨の部分にある中髎穴刺鍼を行なったところ、前者で7例が、後者で4例が妊娠。後者では子宮動脈の血管抵抗も測定され有意に減少した。

中髎穴刺鍼は、子宮周囲の環境不良が疑われる症例の選択肢の一つであり、骨盤内臓器の循環改善が期待できる。

伊佐治の研究では、中髎穴刺鍼で男性の精子運動率が増加と報告。精漿中のPSAの値が増加しており、交感神経を介して前立腺の血流に良好な変化が起きたことを考察。また精巣血流の測定では、血管抵抗値の減少、血流速度が増加しており、副交感神経を介しての血管拡張作用だと考察。

患者の年齢、基礎疾患、体型などの個人的背景は様々であり、運動、食事、睡眠などの生活習慣改善をあわせて指導し、妊娠しやすい体づくりを目指すことが重要。

不妊治療を行なう年齢が上がっている。40代の妊娠、出産希望者が増えているからこそ、そこに鍼灸の価値もあるのではないかと考える。

 

【徐先生】

自律神経、免疫作用、血液循環、これらは生殖に関することだけに作用しているわけではなく生命を維持するため全身的に作用している。その観点から、生活習慣や患者さん自身の人生を見直してみることも大切。

不妊治療では甲状腺機能低下や慢性子宮内膜炎など不妊に影響を及ぼす状態を見つけ治療を行なう。これ自体は大切なことだが、なぜそのような症状が出現するに至ったのかを見つめることも必要。

先生の考えとして、妊娠そのものはカラダという大きな観点からはオプション機能と考える。まず優先すべきは自分の命。命を守るだけの備えが自分のカラダにあるかどうか。妊娠は自己の防御機能により抑制され、妊娠できないということも一理あるのではないか(これに関しては私も同意見でございます)。

妊娠、出産希望のご夫婦は、専門クリニックや婦人科での検査は必須。卵管閉塞や無精子症でいくら鍼灸を行なっても効果はない。私達にできること、できないことを知って患者さんにアドバイス。

心のケアは鍼灸師が行なうだけでは不十分かもしれないので、必要な場合は専門家を紹介してあげることも方法の一つ。

提携している京野アートクリニックで反復不成功の患者に鍼灸を実施すると妊娠率向上、流産率低下がみられたが、まだ症例数が少ないため、今後も症例集積を行なう。

頸部の筋肉・筋膜の圧痛や緊張を取ることは、脳神経の活動が良好になり迷走神経の作用向上の効果も期待され、交感神経過緊張改善の観点からも重要と考える。

腹部、特にみぞおち付近の筋緊張をとることは太陽神経叢の作用からも重要と考える。

 

【小井土先生】

妊娠力の低下は出産力の低下。

統合医療の一部として鍼灸を積極的に取り入れている森本 義晴 医師(HORACグランフロント大阪クリニック 院長、院では受胎鍼を実施)は、森をみる専門家として鍼灸師に期待を寄せている。

41歳の方で、腸管子宮内膜症のある患者の症例を紹介。東洋医学的、現代医学的両面から患者を捉えていくことが必要。

妊娠を希望して四年の間に21回の採卵、11回の移植、途中、何度かの流産を繰り返し44歳で出産。戻した時の胚は鍼灸治療三ヶ月経過後に行なった採卵による胚であった。

施術中、鍼灸をしながら刻々と身体は変化する。これをしっかり確認する。

妊活期間が長くなるほど女性は精神的に参ってくる。そのメンタルヘルスを支えていくという点においても鍼灸は非常に素晴らしい施術である。

 

 まとめ 

不妊症に対する鍼灸に関してのエビデンスという点においては、まだ現在の評価システムでは信頼性には欠ける。

しかし、患者の背景は皆違い、原因不明の不妊が多い。その部分の可能性を広げ妊娠あるいは出産の確率を高めるため、鍼灸を取り入れている医療機関も存在する(今回も医療機関と連携する講師)。

カラダの表面に現れる筋緊張や反応を改善するために鍼灸を実施することで、局所的には子宮や卵巣の循環改善、全身的には酸化ストレスを軽減し、自律神経機能を良好にすることで、カラダ自体の生命の力を上げることができる。そこからの妊娠、出産。

鍼灸を行なっているからそれでいい!ではなく、できる限り生活習慣改善のアドバイスや養生をススメることが重要。

妊娠、出産を臨み一年以上妊娠できないご夫婦は必ず専門クリニックや婦人科での検査は受けて欲しい。

鍼灸でできること、できないことを施術者が自覚する。

鍼灸は男性の精子機能の改善にも可能性のある施術。

 

 以上、長くなりましたが第1話を終了します。

 もし、妊活を行なっているご夫婦で鍼灸に興味のある方、カラダ作りに鍼灸を取り入れたいと考えられている方は、是非、ご連絡ください。ご相談承ります

 最後までお読みいただき、ありがとうございます

 

二葉鍼灸療院(金沢)

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AMH(卵巣予備能)と年齢で考える妊活スタートのベストタイミング~ZOOMセミナー聴講~

2020年10月27日 | 不妊症

 朝晩の冷え込みが厳しくなってきました。皆様お元気にお過ごしでしょうか

 今年は、一瞬・刹那の思いが大切になる一年です。すご~~く時間の経過が速くめまぐるしく社会が変化していきます。

 生き残る種族は、自然の変化に適応して順応していきます。私もコロちゃんをチャンスだと感じて地道に歩んでいっております

 なんでこんな話をさせていただいたかというと、最近、ZOOMオンライン会議や研修会の多いこと多いこと。でも普段では繋がれない人たちや聴講することができない講師陣の話を聴くことができ、有り難いと思っております。

 目はショボショボですけど

 

 さて、24日の土曜日、患者さんの鍼灸施術前に、妊活に向かい始める皆様に対してのセミナーであると思いますが、浅田レディースクリニック院長の浅田 義正 先生のお話を聴講させていただきました。

 妊活を行うご夫婦には気にある「AMH」を説明しながら妊活についての時期や考え方を説明されてました。今回のこのブログはその覚え書きとして書かせていただきます。

 

 冒頭、早速に先生は、「ベストタイミングはいつか・・・それは、できるだけ早くです」という所から話が始まりました。これが真実なのだと思います。この後、いろんな話がありましたが、この冒頭が今回の最大の答えだと思います。

 

治療を始めるタイミング

 35歳以下=普通に開始、36歳~38歳=急いで開始、38歳以上=超急いで開始。

 最も妊娠しやすい年齢は22~23歳。その後、35歳で妊孕性(妊娠する力)は半分ほどになる。

 夫婦生活があるのに妊娠できない場合のクリニック受診の目安は、35歳以下=1年間、36歳~39歳=6ヶ月、40歳代=3ヶ月、基礎疾患を持っている場合=即相談。

 

AMH(アンチミューラリアンホルモンまたは抗ミューラー管ホルモンの略)

 原始卵胞から卵胞が成熟し、卵子として排卵されるまで約6ヶ月間かかる。

 AMHは原始卵胞から前(小)胞状卵胞に育った段階で放出されるホルモン。

 その数値をみることで、今あなたの卵巣に卵胞がどれだけあるのか推測できる。

 卵巣予備能であって妊娠の可能性を示すものではない。

 数値が低くても自然妊娠し出産する女性もたくさんいる。

 数値は月経周期で左右されずに検出できる。

 生理のあるなしに関わらず、一定数の卵胞は育っていく。

 数値は月経周期によって多少の波はある。

 若い頃に数値が高い人は年齢を経るにつれ早く数値が下がっていく傾向。

 若い頃に数値が低い人は年齢を経るにつれゆっくり数値が下がっていく傾向。

 AMH値と年齢を考慮して治療方針を立てる。

 数値の差は、年齢差ではなく個人差が大きい。

 AMH≧ 2=普通に治療開始、AMH< 2=急いで治療開始、AMH< 1=超急いで治療開始。

 

体外受精で妊娠率を高めるためには

 赤ちゃんまで育つ可能性のある受精卵をできる限り多く用意する。

 染色体異常の胚の確率を低くする

 見た目の良い受精卵を多くの中から選択する。

 全胚凍結など着床の条件を良くする

 

その他のお話

 卵子はお母さんのお腹の中にいる胎生期(6ヶ月)に約700万個作られ、初潮の段階で約30万個になっている。

 女性は生まれる前から大きなミッションを与えられ生まれてくる。お母さん、胎児、胎児の中の卵子と3世代が育む力。

 35歳では出生時の1~2%しか卵子が残っていない。

 卵子は胎生期に全てつくられ、年齢とともに減少していく、いわば体内に保存されている状態。

 精子は精細胞から毎日常につくられる。約3ヶ月間かけてつくられ射精を待つ。

 女性は閉経はあるが、男性は年齢に関係なく精子がつくられる。

 卵子は老化するが、精子の老化は卵子に比較すればわずか。

 浅田先生のところでは不妊治療で46歳で妊娠、47歳で出産が最高齢。

 卵巣の表面1mmの厚さの部分に卵胞が存在するので、卵巣の扱いには注意する。

 卵胞の成長は、良い卵子だから育つのではなく、良い卵子から育つということでもない。

 排卵に向けて多くの卵胞が育っていくが、体は単胎にするため減数していく。

 妊娠・出産・子育ては最も身体に負担のかかる時期。故に一定の年齢で出産ができない状態にする。

 体外受精は1回目でうまくいく夫婦が多いが、20歳代でも10回以上必要な場合がある。

 ご夫婦の相性によって妊娠率が変わってきて、全て年齢のせいだけでもない。

 現在は、採卵、培養、検査、多くの技術が進歩してきた。不妊の原因の男性と女性の割合が半分ずつとされているが、先生は女性因子(卵子)の影響が大きいと考えている。

 受精卵ができにくい状態をつくるようにしていくのが不妊治療。

 受精卵が育ちにくい状況をコントロールすることはできない。

 調整卵巣刺激法の妊娠率は年齢とともに低下する(流産率は増加する)。

 ほとんどの移植した胚は着床していると考えている(着床障害という考え方はあるが)。

 タイミングは排卵の2日前がベスト(3日前)。

 精子は3~5日子宮内で生きているとの報告もある。

 週に2~3日セックスがあれば精子が常に存在するので、あまり日にこだわる必要はない。

 体外受精の実施件数は日本は世界一。しかし出産率は世界最低レベル。

 生活習慣について様々な情報が流れているが、妊娠にそれほど大きな影響は与えない。それを証明するデータがない。

 

 このような感じでしょうか。

 最後の生活習慣の部分は「妊娠」という限定条件に限った場合は、確かにエビデンスとなるデータはあまりないのだと思います。しかし私達の身体に、生活習慣が全く関係ないことも言えませんので、ここの部分を示して行くときは、やはりデータを集積していかないと説得力がないのでしょうね。

 鍼灸についても妊娠の何に影響を及ぼしているのか、効果があるとしたらどこの部分に効果が出ているのか、しっかりとした確かなデータというのはないのが現状です。

 その答えと言いますか、ヒントが翌日の現代医療鍼灸臨床研究会の「不妊症に対する鍼灸最前線」の、これまたZOOM研究会で聴講できましたので、そのことを次回を書いていきたいと思っています。

 

 最後までお読みいただき、ありがとうございます

 

二葉鍼灸療院(金沢)

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妊活と鍼灸~運動しましょう! 運動効果について~

2020年09月21日 | 不妊症

 皆様、こんにちわ。

 朝晩もめっきり肌寒さを感じるようになり秋の訪れを感じます。本日、これを書いているは敬老の日。金沢も清々しい天気となりレジャー日和です。
 金沢の観光地も県外の旅行客でいっぱいですが、感染症を注意しながら楽しんでいただきたいなと思います

 

 さて、当院では妊活のための身体作りの鍼灸に力を入れております。鍼灸に関しては妊娠しずらい体というものを改善するためのお手伝いをさせていただく施術方法であり、一番大切なのが、出来る範囲ですが極力、生活習慣の改善をしていくことです。

 心身に症状を発症する、あるいは病気になる場合は、そこに行き着くまで原因や理由など皆様の生活の歴史があります。それが病気や症状をつくっています。この状態を改善するのは悪しき生活習慣を変えていくこと、養生することが一番の早道です。

 その上の鍼灸施術です。ですから初診の時や施術しながら生活習慣などもお聞きし、それを改善していくアドバイスもさせていただきます。

 運動しましょうも、そのアドバイスの一環です。

 運動って継続できないとよく言われますが、何か目的を持って行うとできるものです。妊活のご夫婦で言えばやはり妊娠し、出産するためですよね。ですからモチベーションは高く保てるのではないでしょうか。

 そこに運動効果などが理解できれば、妊活のためだけではなく、天寿を全うするまで健康で長生きするための身体作りにも運動を継続できることになるのではないかなと考えています。

 あとは無理なく、自分の生活リズムと体力のペースを考えて計画し、継続していくことです。運動初心者の方はゆっくり、短い時間で始めて、慣れてくれば少しずつ時間や強度を上げていけばいいのです。

 

 さて、運動効果ということで今回はお話させていただきます。

 運動効果についての研究は多くされていますが、一つの事柄だけが真実や効果の全貌ではなく、身体の様々な機能が働き皆様自身を動かしており、健康で快適に生活するための全身の調整システムがそこに働いているのです。
 運動は身体全体の調整機能が働くことで部分的な機能も整ってくると理解すると良いかと思います。その逆もしかりであり、身体って不思議ちゃんですが精巧にできています

 運動を継続して行っている方は、何となくそれを実感されているのではないでしょうか

 今回は慢性疼痛に対する運動効果をみていきながら、妊活にもいいよね~と感じていただければと思っています。

 

 EIH(exercize-induced-hypoalgesia):運動の内因性疼痛調整

 腰痛や肩こりは、生涯に経験する疼痛等では常に1位、2位を占める症状であり(厚生労働省調査等)、慢性疼痛に陥りやすい症状です。その治療に関しては様々な方法があります。

 最新版 腰痛ガイドラインの中の治療方法の中でも、運動療法は推奨度が高い治療方法となっています。

 では、なぜ運動すると慢性腰痛や肩こりはじめ疼痛が改善されていくのか これだ という確定的なものが出ないのは、前の文章にも書きました通り運動効果は多くのシステムが関わっていると考えられるからなのです。
 そんな中、今回は運動の内因性疼痛調整システムの中の注目株をご紹介させていただきます。

 内因性疼痛調整システムとは、その名の通り、身体の中にある痛みを調整するシステムです。鍼灸の鎮痛効果もこのシステムが関与しています。このシステムには2通りあります。

オピオイドによるもの

・オピオイドとは麻薬用物質のことです。がん性疼痛などの治療薬としても開発されていますが、それが体内から放出されるわけです。
・その代表的な物質はβエンドルフィンと言われる物質です。
・皆さん、マラソンを経験されている人はランナーズハイを体験したことがあるのではないでしょうか。運動量が増し苦しい状況が継続しているときに、ある時期を越えると身体が軽くなり、逆に爽快感や気持ちよさを感じる時があります。この時働いているのがβエンドルフィンという物質です。

非オピオイドによるもの

(神経系)
・脳など中枢にある脳報酬系というシステムを活発にすることで疼痛などの不快状況を改善するための神経系が働きます。

・報酬系とはその名の通り、快の方向に脳内を調整する神経系です。

(筋肉系)
・筋肉自体が放出するマイオカインには抗炎症作用があり、運動することで筋肉が増加し活動が活発になれば炎症が治まってくるという働きです。

 

 βエンドルフィンが放出されるといいよね~と思うのですが、この物質が放出されるためにはランナーズハイではありませんが、長時間ランニングや負荷が大きいトレーニングを行う必要があります。ですから、定期的な軽い運動では放出されることは少ないわけです。

 でも、安心してください

 そんな強度の大きい、長時間の運動をしなくても、軽い運動で身体の調整を行うシステムも分かってきています。
 それがECS(内因性ガンナビノイド身体調整機能)です。

 

 ECS(endcannabinoids-system)内因性カンナビノイドによる身体調整機能

カンナビノイドとは

・脂肪酸からつくられる脂質メディエータという生理活性物質一つです。
・カンナビノイドは、神経細胞や免疫細胞の受容体に反応して様々な情報を伝えたり、調整したります。
・細胞と細胞あるいは細胞内外の情報を伝達して身体活動を調整します。
・調整の中でも大きな役割と考えられているのは、反応が過剰にならないように抑制性の働きを発揮します。
・強いストレスや老化などでカンナビノイドが減少すると調整システムが働かなくなり、様々な症状が出現します。
・これら脂質メディエーター情報を伝達したり、働いたあとはすぐに消失します。

ECSとは

 内因性カンナビノイドが行う、細胞同士のコミュニケーション能力、調整能力を発揮するシステムで、受容体、酵素、タンパク質からなるシグナル伝達系のことを言います。

カンナビノイドって身体の中だけにあるのか

・植物性と内因性(身体の中)があります。
・植物性カンナビノイドは、大麻を含む多数の生理活性物質の総称です。
・大麻はカンナビノイドを60種類以上含有しています。
・大麻は、時間・空間感覚の混濁、多幸感、記憶の障害、痛覚の麻痺、幻覚など多彩な精神神経反応を起こします。
・多発性硬化症やがん性疼痛、エイズの鎮痛作用に有効として一部の国では使用されています。

カンナビノイドの作用

 例えば神経細胞から次の神経細胞へ情報を伝える時に発生したカンナビノイドが、次の細胞の受容体(CB1,CB2等)に反応して、その細胞の働きを調整します。ECSは全身に存在し、現在はカンナビノイドと同様な働きをする物質や受容体が8種類ほど確認されており、今もなお研究されています。

 食欲、睡眠、痛みや炎症、免疫調整、感情制御、運動機能、体温調節、発達と老化、神経保護、認知と記憶などの機能を調整すするため働いていると現在のところ考えられています。 

カンナビノイドと生殖器

 卵巣の生殖腺、子宮筋層、精巣の生殖腺、ラディッヒ細胞、精細胞、前立腺の上皮細胞や平滑筋細胞にも確認されています。

 

 当院では妊活のために鍼灸に通院されているご夫婦で運動習慣のない方には運動をおススメします・・・運動を実施しているか何度も聞きます 
 その中で、運動を継続して行っていると身体の調子が良くなってきた、身体が軽くなってきたとの話をいただきます。鍼灸の効果とは相乗効果があるだろうと考えています。

 本日のまとめ 

慢性疼痛の運動効果としてEIHという身体の中のシステムが考えられている。

EIHの中では、内因性カンナビノイドが作用するECSという仕組みが現在注目されている。

通常の運動において効果を及ぼす可能性のある調整系としてECSがある。

ECSは全身に分布し、精巣や前立腺、卵巣や子宮にも存在しする。

運動を行うことで、この身体機能を調整するシステムが作動する。


 さて、皆さん、運動してみようと思いましたか

 妊活の身体作りを行っているご夫婦の皆さん、運動しないと と感じていただけましたか

 

 話は変わりますが、私はコロナの影響で、4月から筋トレエクササイズを始めました。
 その運動効果にビックリしています。
 な~んと78kgあった体重が74kgになっちゃいました

 皆で、健康で楽しく活発な人生を過ごすため、運動やっちゃいましょう

 最後までお読みいただき、ありがとうございます

 

二葉鍼灸療院(金沢)

 

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妊活(不妊)と食生活 すこしだけ鍼灸~身体を見なおしてみましょう~

2020年05月09日 | 不妊症

 新型コロナウイルス感染症の緊急事態宣言が5月6日以降も継続された石川県です。

 皆様、いかがお過ごしでしょうか。

 不要不急の外出以外を自粛する生活が続き、皆さん生活様式も変わらざるを得なくなっている状況です。

 それぞれがこの生活に適応していこうと、様々な工夫を行い情報発信されています。

 

 さて、このような STAY at HOMEな状況ですので、ブログを見ていただける方も多くなっており、高校野球とともに妊活不妊症の記事のヒット数がかなり多くなっております。

 当院では、妊娠しやすい身体づくりをサポートする鍼灸施術を行っております。どのツボで効果があったというよりも、鍼や灸で生体を制御し恒常性維持機能を活性化するような全体的な施術を行い、身体のバランスを調整させていただいております。

 妊娠しやすい身体づくりには、鍼灸だ施術していればよいのではなく、あくまでも援護射撃であり、身体をつくっていくのは皆さま自身であることは理解されているかと思います。

 当院では、施術の中で食事や運動のアドバイスをさせていただいております。

 今回は食事について取り上げていき、妊娠しやすい食生活について考えていきたいと思います。

 妊娠することもそうですが、病気や不調全般に、食事、運動、睡眠、心の在り方などの日常生活を振り返り、その原因の一端を探り、それを改善していくこと(養生)は大切なことだと思います。生活習慣等を見なおし、ご自身が積極的に身体づくりを実施することで、妊娠するためのベースとなる基盤が出来上がります。
 健康や身体の真理はここにあり、それにプラスαの効果を及ぼすのが、不妊専門クリニックで行われる医療であり、我々が行う鍼灸を含めた東洋医学なのだと理解しております。

 

 今回は、『妊娠しやすい食生活~ハーバード大学調査に基づく妊娠に近づく自然な方法~』(ジョージ・E・チャヴァロ、ウォルター・C・ヴィレット、パトリック・J・スケレット著 日経新聞出版社)からご紹介していきたいと思います。

 まず確認しておきたいのは、食生活に関しても「これが正解」「これしか方法がない」ということはないということです。食生活も、それぞれ環境や生活状況も違いますので、「このような方法があるので、参考にしてください」というスタンスであることを念頭に読んでいただければ良いかと思います。

 それぞれが正しい情報を知って、その中で自分で継続できそうなこと、「これだ!」と直感したことを日々の食生活の中で実践していただき、すこしでも「妊娠」「出産」に行きつくための方法として取り入れていただければ有難いなと思います。

 

 この本の「ハーバード大学調査」という部分なのですが、これはハーバード大学公衆衛生大学院の研究者が約12万人の看護師(33歳~55歳 既婚女性 1976年開始)を対象に行った「看護師健康調査」の第2回目の健康調査がベースとなっています。
 この2回目の健康調査では、第1回の調査では検証できなかった妊娠および、その他の健康問題を改めて調査しました(約11万6000人 1989年実施)。
 この本のデータは、その中でも、食生活が妊娠にどう影響するかを正確に調べるため、隔年ごとの調査によって「妊娠を希望している」と回答した看護師の皆様 18555人を対象としています(8年間のデータ)。

 【このデータで伝えることのできる事実】

  ・排卵障害が原因の不妊状態を改善する食生活であること

  ・排卵障害以外の原因に関しては十分なデータはないが、何らかの効果はある可能性

  ・看護師のパートナーは調査に含まれておらず男性不妊に関しては未調査

 

 調査対象の女性からは、妊娠するまでの期間、流産の有無を含めた健康状態、食生活、運動の記録、喫煙やその他のついて情報提供してもらいました。
 その莫大のデータを解析した結果、以下にあげる7つのポイント(生活習慣)が、排卵に関する不妊症を劇的に改善することを確認できたということです。

 これは一つのデータの検討でありますし、多くが白人が対象であると思います。先述しましたように、国も食習慣も食材も日本とは全く違うので、全てが当てはまるわけではありません。
 しかし、皆さまの食生活をみてもどうでしょうか。イタリアンやフレンチなど西洋料理だけでなく、現代はインドやタイなどのアジア料理、中華料理など各国の料理を食べることができ、伝統な和食だけで生活している方は少ないのではないでしょうか。

 そんな意味では、自身の食生活を一考し振返り、自身の身体を見つめなおすことに役立つ情報である思います。特に、妊娠、出産という新しい生命を宿し、育み、誕生させるというエネルギーを使う女性には重要なことだと感じます。

 ここで7つのポイントを紹介します。

1.全粒粉など、精製度の低い穀類を選ぶこと。食後の血糖値を急激にあげるような精製された炭水化物は減らすこと。

2.オリーブオイルのような不飽和脂肪酸を多く摂り、加工食品やファストフードなどに含まれるトランス脂肪酸は避けること。

3.牛乳、あるいはヨーグルトやアイスクリームは無調整のものにすること。スキムミルクやカッテージチーズ、フローズンヨーグルトなどの低脂肪(無脂肪)乳製品の摂取は回数を減らすこと。

4.植物性タンパク質を多く摂り、動物性タンパク質を減らすこと。

5.葉酸やビタミンB群を含むマルチビタミンのサプリメントを摂取すること。

6.水を十分に飲むこと。コーヒー、紅茶はひかえめに。砂糖入りの清涼飲料水は飲まないこと。

7.体重をコントロールすること。太り過ぎているようであれば、排卵障害の改善のため体重の5~10%を減量すること。1日30分~60分、身体を動かすこと。何もしていない人は運動を始めること。

 なお、喫煙については、多くの研究結果から妊娠を遅らせ、流産のリスクを高めることが分かっているので、ここで取り上げる必要もないでしょう・・・と。喫煙の習慣があるなら、今すぐやめましょうと書かれています。
 調査に協力いただいた看護師の喫煙率が非常に少なく、妊娠に対する影響を調べることが難しかったこともあるようです。

 

 この7つのポイントの中から、食生活を中心に次回から話を展開していきたいと思います。

 江戸時代(1712年 正徳2年)の儒学者 貝原益軒が83歳の時に書かれた『養生訓』の中にも、食に関する養生については多く出てくるが、その中に、 古代、中国に食医という官があった。食事療法によって百病を治すという。今でも食事の養生がなくてよいはずがない。特に老人は脾胃が弱いので食養生がもっとも良いことになる。薬の使用はやむをえないときだけに限るがよい  と書かれています。

 食物を食べることによって栄養素を取り込んで身体をつくっている限り、今も昔も、洋の東西などを問わず食生活を大切にすることは、身体づくり、健康づくり、そして、この記事の主題である、妊娠し、健康に胎児を育み、元気に出産するためには必要不可欠なことは真実でしょう。

 最後までお読みいただき、ありがとうございます

 

二葉鍼灸療院(金沢)

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妊活は夫婦の共同作業~環境改善で元気な精子を!の巻~

2017年12月24日 | 不妊症

 さて、このタイトルでは最後の記事を書きたいと思います

 元気な精子(運動率や数)をつくるには何に気をつけたらいいか ということです。

 以前の記事もご参考にしてみていただけると有難くおもいます

 第1弾 : 「妊活は夫婦の共同作業~鍼灸院臨床現場の巻」

 第2弾 : 「妊活は夫婦の共同作業~精子の生成から放出までの巻」

 第3弾 : 「妊活は夫婦の共同作業~精液とは、精子とは!?の巻」

 

 

 元気な精子をつくるために気をつけたいこと 

1.太りすぎを改善

 理解できない方はいないかと思います。上記、第3弾をご参考にしてください。

2.喫煙は良くないことは確かです

 なかなかやめられないのがタバコの難点でしょうか。仕事でのストレス等で吸ってしまうのは理解できないことはありませんが、奥様のため、授かる子どもためなら、まだ禁煙のモチベーションは違ったものになるかもしれませんね。

 以下は、リプロダクションクリニック大阪 松林秀彦先生の記事です。ご参考に

  https://ameblo.jp/matsubooon/entry-11363518427.html

3.睾丸の温めすぎにご注意

 これも上記、第3弾を参考にしてください。形態的に外に出ているという部分を考えてみてください。ただ、日常生活程度のお風呂へ入るなどの温めるは全く問題ありません。特別にサウナへ長時間入る習慣や岩盤欲を長時間行うことが習慣となっている方は注意が必要かもしれません。

4.飲み過ぎにご注意

 飲酒の過剰摂取は、精子の質、数に影響を及ぼします。全く飲むなということではありません。でも一杯がきっかけでたくさん飲んでしまう方は、妊活中に飲酒は控えた方がいいのかもしれませんね。

 以下は、ご参考記事です。

 http://www.mag2.com/p/news/13991

5.禁欲期間は短い方がいい

 禁欲期間は出来る限り短い方がよいようです。毎日精子はつくられますので、溜めておいてもいいことはありません。そのような研究結果も出ています。できれば3日以上は開けないようにした方がいいかと思います。

 以下、ご参考記事として両角レディースクリニックの両角和人先生のサイトです。

 http://morozumi.info/infertility/

6.睡眠不足・不眠を改善

 睡眠は一日の3分の1、ということは、人生の3分の1を締める大切な時間です。体を休息し、活動する朝から昼に向け、脳を含めた様々な身体機能をリセットするために重要な時間です。また、睡眠不足はストレスとも関連しています。

 以下、国立精神・神経医療センターの記事。ご参考に(ちょっと難しいですが)。

 http://www.ncnp.go.jp/press/press_release130214.html

7.過度なストレスを軽減

 これも何となく納得できるかと思います。それぞれのストレス解消法があると思いますが、鍼灸治療もストレス軽減、ストレスによる症状の改善に効果的です。

 以下、両角先生のブログからです。ご参考に。

 https://ameblo.jp/kazutom/entry-11007994370.html

 当院の修行した東洋医学研究所®HPの記事(不定愁訴に対する鍼治療)です。ご参考に

 http://www.touyouigaku.org/blog/2012/08/1-1-329391.html

8.ある種の育毛剤にご注意

 男性型脱毛症で悩む方に効果的な、フィナステリド(プロペシア・プロスカー)の作用は、男性ホルモン(アンドロゲン)の働きを抑制して効果を発揮します。その影響で精子や男性機能に影響することが報告されているそうです。

 以下、その記事です。ご参考ください。

 http://www.mamagohan.info/danseihunin/ikumouzai.html

9.偏った食事の改善

 食事は東洋医学では、後天の元気といって体の氣や血を養い、元気な身体をつくり、活動する上で重要な事項です。これは今も昔も、国籍も、人種もまったく関係なく当然のことだと思います。

 できるだけ自分の生活に見合ったもので良いかと思いますので、和食を中心としたバランスの良い食事を心がけることが大切だと思います。そこに少しタンパク質摂取を多くすることもポイントかなと思います。
 できることを一つでも多く行って、生活状況に応じて食事をとることが大事かなと考えます。

 以下、上記、松林先生のブログです。ご参考に。

 https://ameblo.jp/matsubooon/entry-12103488654.html

10.睾丸の締め付け、圧迫にご注意

 自転車を長時間乗る、締め付けの強いパンツを履く、長時間車の運転をする仕事に就いているなど、要は圧迫や締め付けにより血流が悪くなり、精巣での体温の発散が上手くできなくなることが問題です。また締め付けの強い下着により身体に睾丸が近づくと温度が上昇することになります。

 すこし頭に置いていただき改善していっていただきたいと思います。

 以下、こちらも松林先生のブログより。ご参考に

 https://ameblo.jp/matsubooon/entry-11366458733.html

 

 4回にわけて精子や精液についてみてきましたが、いかがだったでしょうか。

 私も勉強させていただきながら、いろんな発見がありました。

 ここで言えることは旦那様においても、「人事を尽くして天命を待つです。 というのは、元気な精子であっても、排卵された卵子との関係でうまく受精しない場合もあります。また、精索静脈瘤や精細管に精祖細胞が無いなど、器質的原因は別問題ですが、生活習慣を改善したとしても、毎回、元気な精子が出てくるわけではありません。受精するわけでもありません。そのための顕微受精でもあります。

 ただ、より確率を増すために、奥様だけではなく、旦那様も人事を尽くす努力が必要なのだということのご参考になればいいかなと考えております。

 結局は、周囲の誰のためではなく、愛するあなたの子どもが欲しいキミの子どもが欲しいなのだと思います。

 そして、お互いがその努力や思いやりを尊敬しあい、感じ合うことは、脳や身体の変化にも繋がっていくのだろうと思います。ここにはエビデンス(科学的根拠)などというものは関係なく、まさしくの流れの世界になってくるのかなとも感じます
 よく頑張ったよね と思い合える関係が、結果的にどちらの道に進むにしても、ご夫婦の明るい次のステップに進み、成長していけるのではないでしょうか。

 

 当院でも、お時間のある時は出来る限りお話をお聞きするようにさせていただいております。鍼灸施術で、可愛い天使ちゃんを望むご夫婦の少しでも支えになれば、少しでも病院での治療の確率を上げることができれば、そんな想いで施術させていただいております。

 なにかご相談等がございましたら、いつでもご連絡くださいませ~

 最後までお読みいただき、ありがとうございます

 

   二葉鍼灸療院 田中良和

 

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妊活は夫婦の共同作業~精液とは、精子とは?!の巻~

2017年12月22日 | 不妊症

 妊活は夫婦の共同作業の第3弾を書いていきたいと思います

 第1弾 : 「妊活は夫婦の共同作業~鍼灸院臨床現場の巻」

 第2弾 : 「妊活は夫婦の共同作業~精子の生成から放出までの巻」

 をまだ見られていない方は、こちらもご参考ください。

 

 さて、今回は精液と精子をもう少し詳しくみていきたいと思います。

 この図をもう一度ご覧ください。

 

 精巣でつくられた精子は上記のような経路を通り、体外へ放出されます。

 精液についての内容をみていきます。

 精 液  ※個人差があります

  1回放出量 : 3~3.5ml

  含まれる精子の量 : 1億5000万~3億個(現在は、5000万~1億個ほど)

  精液(精漿)の構成 : 精嚢液…約60% 前立腺液…約30%、
                  精巣上体・精管などの分泌液&精子…約10%

     精嚢液  フルクトースなど精子の栄養となる物質
             プロスタグランディンなど子宮を収縮させる物質が存在

   前立腺液などを含めた精液成分は精子の栄養や生存を保護する存在なのです

 精液所見(基準値;日本産婦人科学会)

    精液量:2.0ml以上   pH:7.2以上   精子濃度:2000万/ml

    総精子数:4000万以上   精子運動率:50%   精子正常形態率:15%

    精子生存率:75%以上   白血球数:100万/ml

    ※これ以下になると不妊の可能性が出てきて、総精子数は2000万をきると
     不妊の確率が非常に高くなります。

 精 子 

 こちら、オタマジャクシのような精子です。

  形体…頭部;染色体(DNA)が詰まっている場所
            先体部分には卵子に到達したときに膜を破る酵素が詰まっている。

       中片部;ミトコンドリアが豊富にあり、いわゆる精子を推進するエネルギーをつくる。
             いわゆるエンジン部分です

       尾部;鞭毛があり、これを上手く使いながら子宮や卵管のなかを進んでいく。
           いわゆる車でいうとタイヤ、飛行機でゆうとプロペラでしょうか。

       長さ;約50マイクロメートル

  寿命;射精後数日(2~3日) ※目安です。

       射精後5~6時間で受精する能力を獲得します。
       最近、精液の中の成分が受精能力獲得のために働くことが分かってきました。

  老化;35歳を境に受精能力低下  ※個体・個人差があります

       奇形率も上昇、DNA損傷(フラグメーション)も増加する。 

  貯蔵;精巣上体

       ※1日3・4回放出すると枯渇すると言われているが、
        3日で満タンに補充されるようです。

 精子と精液にまつわるお話 

 精鋭の戦士が卵子に挑む

 放出時、億単位(最近は少ないようですが)存在した精子の戦士たちは、受精が行われる卵管膨大部へたどり着く頃には、60~200になっています。その精鋭たちが受精に向け卵子に向け突撃を開始します。

 最後の戦士が遺伝子を残す役目を果たす

 頭部の先体から酵素(ミサイル)を出しながら卵子のガラス膜を破ろうと努力します。最初にその役目を果たした戦士が、卵子の中に入ります。そうすると卵子は、残りの精子を中に入れないように防御します。そして受精が完了します。その時、精子の頭部以外は消化されます。 

 DNA損傷

 精子DNA断片化率(DNA損傷を持った精子がどれだけあるか調べる検査)が増加するほど、流産との関連が出てくるという報告がある。

 精液所見で大切なのは・・・

 運動精子濃度=精子濃度×運動率 が重要。

 職業や健康状態と精液所見の関係(2015 米国の報告)

 シフト制勤務、夜勤、振動、騒音、高温環境での作業、長時間座位と精液所見の間に相関は見られず、あまり関係はありませんでした。

 ・重労働では、精子濃度、総精子数ともに減少。
 ・高血圧では、奇形精子が増加。
 ・処方薬剤数が多いと、精子数が減少、少ないと精子数は増加。

 という結果でした。

 35歳以下のドナー卵子を使ってのICSI(顕微授精)の大規模研究(2014 スペイン)

 男性、5089名、女性5047名が参加。

 精液所見は加齢により、精液量と精子運動率は減少し、精子濃度は上昇したが、35歳以下の卵子を使ったこの研究では、妊娠率、生産率(出産)、流産率はとくに精子の加齢と関連がありませんでした。

 陰のう(精巣)はラジエター(付録)

 精巣で精子をつくる時の最適温度は32度と言われています。体温より低めです。陰のう表面はシワシワになっています。寒い時は収縮し体に近づけ、暑い時は、伸長し、体から離し、表面積を大きくし熱を発散するようにします。うまく出来てます。

 体の機能面からも男性は温めすぎてはいけないということです

 

 男性不妊や精液、精子などについてもいろんなことが研究され、分かってきています。

 こう見てくると、いくら毎日精子がつくられるとしても、男性側も早めに妊活(結婚)したほうが、負担なく自然に妊娠~出産に至ることができると言えるのではないでしょうか。

 そんなことも含めながら、では、生活の中でどのようなことに気をつけていった方が、より良い精子ができてくるのかということを、次の第4弾でみていきたいと思います

 最後までお読みいただき、ありがとうございました~

 

   二葉鍼灸療院 田中良和

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妊活は夫婦の共同作業~精子の生育から放出までの巻~

2017年12月20日 | 不妊症

 毎日、HPを更新するのは難しいですが、ブログの神様が降臨している時にできるだけ更新しておきたいと思います

 前回は『妊活は夫婦の共同作業~鍼灸院臨床現場の巻~』ということでお話させていただきました。まだ見られてない方は、上記クリックされてご覧いただきたく思います。

 

 まずご存じの方が多いかと思いますが、精子は毎日作られます ここが女性とは違う部分です。ここは覚えておいていただきたいと思います。

 思春期、第二次性徴が起こりホルモンの働きが活発になる頃(異性のいろんなことに対して興味が湧いてきた覚えはありませんか)、精子も生成が始まります。思春期、私もビックリしましたが精通(はじめての射精)が起こる頃から、男性は生涯、精子をつくることになります。

 ホルモン(性)的に考えると「男は死ぬまで働け」ということなのかもしれません。笑

 まず大きな精子生成のプロセスについてみていきます。ホルモンの働きです。

 身体の中では血液の中の男性ホルモンの状況をつぶさに感知して、脳がその調整を行います。

 男性ホルモン(テストステロン)が必要な場合、脳の視床下部の性周期をコントロールする部分が働き、上図には書いてありませんが、GnRH(性腺刺激ホルモン放出ホルモン)や CRH(副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン)下垂体へ放出します。
 下垂体からは、前者が働くとFSH(卵胞刺激ホルモン)やLH(黄体形成ホルモン女性)・ICSH(間質細胞刺激ホルモン男性)が放出されます。
 FSHは卵胞と銘打ってありますが、精巣精細管に働きかけると精子の生育を始めます。ICSHは、精細管にあるライデュッヒ細胞(間質細胞)に働きかけテストステロンの生成を促し、精子の成熟に貢献します。

 一方、ストレス反応など内外のストレスに対応するシステムが主な仕事となりますが、そこでも男性ホルモンをつくるシステムがあります。
 同じく視床下部よりCRHが放出されます。CRHが下垂体に働きかけるとACTH(副腎皮質刺激ホルモン)を放出します。
 男性ホルモンという部分だけをみると、ACTHが副腎皮質へ働きかけると副腎性アンドロゲン(DHEAなどの男性ホルモン)が分泌されます。 

 95%の男性ホルモンは精細管で分泌され、残りの5%は副腎皮質から分泌されます。また精巣の働きが悪くなると、副腎皮質の男性ホルモンの働きが強まることが分かってしますので、少ないとは言えど、副腎皮質の働きも重要なのでしょう。
 先ほども申し上げたように副腎は内外のストレスにホルモンをもって対応する場所です。ステロイドホルモンなどもここで作られます。ですから、この働きだけみても、ストレスと精子の状態は関連があるのだと推測されます。

 身体全体の精子をつくるシステムをみてきたところで、次に精子が放出されるまでを見ていきたいと思います。

 精子が作られ始め、放出されるまでの日数は、74日ほどです。

  先ほども書きましたように、精子は精巣の中の精細管という場所でつくられます。

 精細管の中にある精祖細胞がホルモン等の刺激により精子をつくるために変化し始めます。そこから、精母細胞 → 精娘細胞 → 精子細胞 → 精子 へと成長していきます。

 成長したとは言え、この段階では未成熟な状態です。精細管でつくられた精子は、副睾丸とも言われている精巣上体へ入ります。
 精巣上体へ入ると(頭部)、精管近く(尾部)まで移動します。その期間は20日間です。この20日間の間に受精のための運動能力を身につけます精子として成熟するわけです。

 私の推測ではありますが、「精子の運動率が良くなる」ということは、精子自体もさることながら、この精巣上体の機能が改善するのではと思ってみたりしています。

 ここまで来れば精子はいつでも発進できる状態となります。

 ただ機会を逸した精子はどうなるのでしょうか
 人間の身体はうまいことできていて、この精巣上体で、使用されなかった精子は食細胞(免疫細胞による消化作用)により貪食され分解されていきます。
 免疫作用は体全体にあるので、免疫機能が低下した状態であると・・・予測はつくかと思います。

 ここで性的興奮がやってきました 体外へ旅立つ時がやってきました

 興奮すると、まず、交感神経の作用で精管の平滑筋収縮が起こり、精巣上体尾部から精管を伝って精管膨大部へ移動を始めます。この部分が男性の皆様は理解できるかもしれませんが、我慢できるかできないかという所で、交感神経のコントロールがポイントとなる部分ですね

 精巣上体や精管の分泌液とともに精子が精管膨大部に達すると、交感神経の作用で、内尿道括約筋が収縮して膀胱から尿が出ないように働きます。また、尿道球腺からアルカリ性の液カウパ-腺液=別名 がまん汁)が尿道に出て、精子が死なないように酸性の尿道内を中和します。

 ここで外尿道括約筋がまだ締まっているので内圧が高まってきています。

 これで発射準備オッケーです。

 そこに、さらに性的興奮が高まと、精嚢という部分から精嚢液が分泌されます。また、前立腺からも前立腺液が分泌され、さらに後部尿道の圧力が高まります。
 そして、性的興奮が頂点に達すると、脊髄内にある射精中枢が働き、脊髄反射が起こり、体性運動神経の働きで、外尿道括約筋が弛緩し、後部尿道に溜まっていた精子を含んだ精液が一気に放出されます

 射精には、尿道の球海綿体筋精嚢括約筋肛門括約筋なども働き、律動的に収縮を繰り返します。

 これが精子の生産開始から精液放出までの流れです。

 ポイントをまとめると・・・

  精子は毎日作られる

  精子をつくるためにホルモンや脳が働いている

  男性ホルモンは、精巣と副腎皮質でつくられる

  精子が放出可能になるまでは74日間かかる

  精子は精巣上体で20日間かけて成熟する

  射精の全段階には自律神経(交感神経)が関っている

  射精には、交感神経と脊髄反射からの体性運動神経とが連携プレーする

 このようなことでしょうか。

 少し長くなりましたので、次回は、この放出された「精液」について、また放出された後の物語を少しだけご紹介したいと思います。

 自分の身体の仕組みを知っておくと、自分の身体の視方が変わってきますし、その仕組みの絶妙さに自分の体が愛おしくなってきませんか そうすると自分の身体をいたわり、大切にするようになる=養生なのですね

 最後までお読みいただき、ありがとうございます

 

    二葉鍼灸療院 田中良和

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妊活は夫婦の共同作業~鍼灸院臨床現場の巻~

2017年12月18日 | 不妊症

 毎日、ブログ更新しますと誓いながら、できていない私でした 

 さて、当院には子どもが欲しい妊活に励むご夫婦が来院されます。最初に来院するのはだいたい奥様のほうです。

 やはり病院での不妊治療で心身に大きく負担がかかるのは奥様の方です。これは確かです。しかし、本来の自然妊娠しかり、不妊治療にしても、卵子だけで子どもはできないわけです。そこには元気な精子が必要となります

 妊娠までは旦那様の協力が不可欠なわけです。

 考えてみると、旦那様は奥様が妊娠された以降、子どもを直接育むことはできません。では、何ができるでしょうか

 奥様の不便な行動をカバーしたり、マイナートラブルなどの症状などを気遣うことはできるでしょう。出産などの準備に向けてさらに元気に働くこともそうかもしれませんが、やはり直接は何もできなくなるわけです。

 その分、元気な天使ちゃんがご夫婦の前に現れるまで、奥様とお腹の赤ちゃんに優しさと愛を傾け、気遣いを実践してあげることが大切なのだと思います。こんなことは言わなくても分かっておられることだと思います。

 もう一つ大切なことがあります・・・

 その答えの前に、当院での鍼灸臨床現場でのある場面のをお話したいと思います。

 

 30歳前後の男性(旦那様)の患者さんの話です。

 この方の主訴は、「妊活」ではなく、関連しているかもしれませんが、泌尿器症状でご来院されました。その泌尿器症状に対しては、当院へ8月の中頃に来院され、約週1回の鍼治療でかなり改善されました。当初訴えていた症状はほとんど消失しています。

 さて、その患者さんとの臨床現場の話の中で、実は妊活に励んでおり、11月に人工授精も考えているとのことでした。奥様は来院されていませんが、年齢は旦那様と同じくらいです。

 奥様は、若いころにとある臓器の病気を患っており、今は寛解状態ですが妊娠したら奥様の身体は大丈夫だろうか・・・というところが心配なのだと話されています。また旅行へ行かれた話などお聞きしていると、かなり奥様への気遣い、心遣い・・・愛情がある方だなと感じております。

 旦那様は泌尿器系の症状を持っていることと、妊活中ということで、精液検査等も併せて実施しております。その結果は、精子数、精子運動率ともに少し低下気味とのことでした。病院からは当院へ来院する1ヵ月前に漢方薬(補中溢気湯)を処方され毎日服用されていました。

 鍼治療開始後3ヶ月(治療回数が14回)ほど経過したある日の精液検査で、精子運動率が40%から60%に改善されていました。11月の人工授精は残念ながら良い結果は得られませんでしたが、精液検査を行ってからこれまでにない運動率向上の結果でした。

 これをどう考えるかが大切です。ここで安易に「鍼治療の効果です!」と書いてしまってはいけないということなのです。よく不妊症を頑張っている鍼灸院のHPにあるのは、現在も併用している治療方法や今までの鍼灸治療を始める前の情報を無しにして「鍼灸をやったから良くなった!」というものです。

 本当にそうなの とビックリしてしまうものが多いような気がします。

 不妊症で悩まれているご夫婦に関しては勘違いしてしまう皆様が多いのではと、同業者として少し怒りを感じることもあります

 今回の男性の場合は、当院に来院する前に泌尿器科から漢方薬(補中溢気湯)を処方され服用し4ヵ月ということで、漢方薬の効果というものがまず考えられることです。

 補中溢気湯に関しては、エビデンスレベルは分かりませんが、精子運動率などの精液所見などが改善されたという報告(論文)はみられ、一定の効果はあるようです。ただ漢方薬ですので、薬に効果的な症状が現れていたとしても、その患者さんの体質(証)に合わなければ効果が出ない場合もあるということです。

  ちなみに補中溢気湯は、胃腸などの消化機能(中焦)を補い、気を溢れさせ、消化機能の衰え、四肢倦怠感、虚弱体質者の諸症状に使用される漢方薬です。ニンジン、オウギ、ビャクジュツ、サイコ、ショウマ、チンピ、タイソウ、ショウキョウ、カンゾウ、トウキなどが入っています。

  付け足しとして、柴胡加竜骨牡蠣湯(サイコカリュウコツボレイトウ)も精液所見の改善に効果があるという報告もあります。病院にて多く処方されるのは補中溢気湯のようです。

 鍼灸治療についての精液所見に関するデータに関してはほとんど出ていないと言ってもいいかなと思います。まだ調査不足かもしれませんが、これについて研究されている鍼灸師もおられますので、今後、少しデータが出てくるかなというところでしょうか。現在のところ各治療院レベルで鍼灸臨床の実感として精液所見が良好になっているなという状況かなと思います。

 そのように患者さんの話を聞いたり、論文や学会発表などを調べたりし、それを辿って自分の治療を客観的に判断すると、可能性として漢方薬と鍼の効果がコラボしたことは推測はできることは言えるかと思います。

 若干、話は逸れましたが、やはり妊活はご夫婦の共同作業です。卵子の状態が良くても、精子の状態が良くないと受精はしませんし、そこから進むことができません。顕微授精という方法もありますが、やはり精液所見が良好な方が確率も妊娠する確率も高くなるわけです。

 

 さて、冒頭お話した、もう一つの大切なこと・・・それは、旦那様は、出来る限り良好な精子ができるように生活習慣等を改善して、努力することです

 少し長くなりましたので、次回は、では、どうやって精子が出来るのか 精子所見について大切なこと 良好な精子をつくる上での注意点 などを書いていきたいと思います

 でも人間の身体の仕組みや、夫婦関係などもそうかもしれませんが、人生って絶妙に出来ているんだなとつくづく思います。

 最後までお読みいただき、ありがとうございます 

 

   二葉鍼灸療院 田中良和

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妊活と仕事とストレスと・・・鍼灸と♡

2017年12月05日 | 不妊症

 外は雨や霰(あられ)や時々、雪、冬本番を迎えつつあります

 この「寒い」もストレスなんですよね。

 ストレスと聞くと、悪者のように思いますが、「ストレス」という言葉を初めて使用し、その生理学的反応を唱えたのは、ハンス・セリエ氏(ハンガリー系カナダ人 生理学者)です

 彼の学説からストレスを簡単に言うと、ストレスとは生体が外部から寒冷、外傷、疾病、あるいは怒りや不安などの精神的緊張を受けたときに、その刺激に適応しようとして生体に一定の反応が起こること」、いわゆる刺激に対しての身体の「反応」のことをストレスと言います。

 ですから、逆に考えるとストレスがないと、身体の反応は起こらないので、ストレスは人間にとって必要なことであるとも言えます。

 大げさに言うと、水の中に生活していた生物が陸に上がり、空気という環境の中で、また猛毒の酸素というストレス物質に適応していったものが、陸で生活できる生物として進化していったと考えると、「ストレス」がなければ人類は生まれて来なかったとも考えられませんか

 ストレスは人間にとって必要不可欠なものでありますが、刺激が強すぎたり、長期にわたり曝し続けると、身体がそれに対応するように反応してしまいます。これが各症状や病気に大きく関ってくるわけで、それをどう調整するか、バランスをとっていくかということが、実はストレスと上手く付き合っていくポイントになるのですね

 

 さて、当院では不妊症(妊活)でお悩みのご夫婦も鍼灸治療に通院しております。

 お時間があれば施術をしながら、いろんなことをお話します。その中で出てくる言葉、キーワードの一つが「ストレス」です。上記にもありますように、この「ストレス」は、身体にとって過剰な刺激が加わることによる、身体の反応=症状のことです。

 人生を歩んでいると百人百様、様々な出来事を経験します。いいことばかりではありません。嫌なことも、ショックな出来事も、いろんなことが起きます。それが人生の醍醐味なのかもしれませんが、目の前の出来事に、すべて仙人のような対応はできないというところが、私も含め多くの人の現状かなと感じております。

 その中でも、学校を卒業して成人となり、人生を歩んで行く、生活して行くために必要になってくるのが働くということです。そして稼いで行かないと生活していくことはできません(特殊な場合は除く 笑)。

 そう「仕事」。

 会社や組織の中に身をおくと、いろんな人々との出逢いがあります。そして、その人々とともに同じ目的のために会社で働かなくてはいけません。

 会社で働くと、その環境や立場、能力で、いろんな対応が迫られるのではないでしょうか。そして、年数を重ねると会社での責任や仕事量も増えてくるでしょう。

 そう、不妊症(妊活)において高い割合で治療へ通院する年代は、この仕事に脂が乗ってきて、会社から期待される30~40代ということになります。そこに、精神的ストレスや身体的ストレスがかかってくる要因の一つがあるでしょう。

 「ファイン~現在・過去・未来の不妊体験者を支援する会~」さんが5526名の男女に調査したアンケート結果によると、96%の人が「仕事と不妊治療の両立が困難」であるとの結果が出ました。
 当院でもお話をお聞きすると、直属の上司にだけ治療の話をしてあるとか、仕事を変わってもらって治療に行くのがストレスだとか、会社や仕事の中で様々な過度なストレスに曝されている現実があります。

 『不妊治療で「サプライズ退職」、辞めたくないのに、辞める気持ち』 https://otekomachi.yomiuri.co.jp/news/20171128-OKT8T50256/

 ファインHP http://www.j-fine.jp/infertility/about.html

 かと言って、体外受精や顕微授精の治療となると、段階や病院によって違うものの約50万円~80万円の治療代金がかかるため仕事は辞められないというジレンマもあります。仕事に対する責任もありますしね。

 会社だけではないのですが、多くの過剰なストレスが自律神経の乱れ、そこから免疫系やホルモンなどの内分泌系など、脳を始めからだの各器官に影響を及ぼし、生理周期や卵巣、子宮機能が低下します。現代学的な検査では捉えられないような機能的な形の負の連鎖を起こし、妊娠がなかなか実現しない身体と精神の状況になっているのではないかと思います。

 不妊(妊活)で鍼灸治療にご来院される皆さんは、本当に頑張っておられます

 なんとかサポートしてあげたいと心から思います

 過剰なストレスを緩和・・・これは鍼灸治療の得意分野であるところは、学会等の様々な場所で研究、発表されていますし、当院の師匠であります黒野保三先生(東洋医学研究所®)のところでも、名古屋市立大学との共同研究で結果を出し、その一部を証明しております。

 腹部の鍼刺激が心臓迷走神経を亢進http://www.touyouigaku.org/blog/2013/01/autonomic01-430624.html

 鍼灸院は、忙しい婦人科や専門クリニックとは違い、話をお聞きしながら比較的ゆったりと施術できるのも大きいかと思いますが、鍼灸治療は、この自律神経を調整することで、ストレスを緩和し、それをきっかけとして、ホルモン系や免疫系を調整、そして生殖機能にも影響を及ぼすであろうと考えることはできます。

過剰なストレスをやっつけるぞん

 

 当院へ通院している患者さん。30歳前半の奥様。

 当院へ通院されてもう少しで1年。最初はタイミングや人工授精を行っていたのですが、上手くいかずステップアップして3回の体外受精を行うも良い結果が得られませんでした。

 ここでお話したいのは、この方が働いている会社です。不妊治療のことを相談したところ治療期間中「休職」という形にして籍を残しておいてもらえることになり、不妊治療を頑張ってください、ということになったそうです。いつでも会社に戻れるということです。
 素晴らしい こんな会社の例をお聞きしたのは初めてでした   

 話は変わりますが、平成27年12月より、労働安全衛生法が一部改正され、50人以上の従業員が働く全ての企業に対して、「ストレスチェック制度」が義務づけられました。
 これは、従業員の心理的負担の程度を把握し、不調の未然防止を目的としたもので、増加している企業でのストレス性疾患を防止するための改正です。

 厚生労働省HP http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11201000-Roudoukijunkyoku-Soumuka/0000050910.pdf

 労働者のメンタルヘルスケア・・・この制度があってかどうか分かりませんが、会社の決断に拍手を送りたい   と思います。

 それによって

   もし治療の結果が上手くいかなくても帰る場所がある ストレス軽減

   すれ違っていた旦那さんとの休日をともに過ごすことができた ストレス軽減

   時間に余裕ができ運動できるようになった(旦那さんとも) ストレス軽減

   時間に余裕が出来て、あまり怒らなくなった(旦那さんに言われた) ストレス軽減

   顔がたいへん穏やかになった(私が見た感じ) ストレス軽減

   肩コリや痛みがほとんどなくなった ストレス軽減

   結婚してからこのかた、一番旦那さんといる時間が長くなった 愛情増強

 などなど、心や体に、そして、子宮や卵巣に、より良い環境が整いました。

 第3回目の移植は会社を休職する周辺でしたが、妊娠までは至りませんでしたが、着床反応は出ておりました。第4回目は、この前周期に採卵を行い、その凍結卵を今月に移植予定ということで、楽しみでもあり、なんだか私もプレッシャーが少しあるような、そんな状況です。

 

 妊活(不妊症)を頑張っているご夫婦で、自律神経のバランスを整えることで、妊娠しやすい身体をつくりたい方は、どんな些細で、小さなことでもよろしいですので、いつでもご相談ください。

 当院は、天使ちゃんを待つご夫婦の身体の心を、より妊娠しやすい状況に近づけるお手伝いをさせていただきます。治療したからと言って全てのご夫婦が良い結果になることはありませんが、身体づくりの一つの方法として実践してみる価値はあると思います

 最後までお読みいただき、ありがとうございます

 

   二葉鍼灸療院 田中良和

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ご出産の嬉しいご報告 ー妊娠~出産までサポートする鍼灸治療ー

2017年07月19日 | 不妊症

 やはり、この瞬間が妊娠~出産のための鍼灸臨床をやっていて一番うれしいですね

 平成26年(2014)の夏ごろに当院へ、妊娠・出産を望まれご来院。

 治療間隔は、途中、人工授精にて妊娠するも流産などがあり、期間が開いたりしましたが、タイミング、人工授精などの治療中は週1回の間隔で鍼灸治療。

 年齢は35歳、ご結婚当初はお互い仕事が忙しく、特に子どもは意識しなかったのすが、欲しいと思うようになり、タイミングから治療を始めるも良い結果が得られませんでした。

 当院で治療を始めて約1年ほど経過した初夏に一度妊娠するも心拍確認がされた後、残念ながらもう一度、妊活を頑張らなくてはいけない状況になりました。

 少し期間を置き、治療を再開。

 平成28年春に、体外受精へステップアップして妊娠されました

 ここで当院の鍼灸治療がどれだけ効果があったかは、評価が難しいところですが、肩こり等の他の愁訴が軽減したことに加え、次のステップに関して、子宮内膜の循環改善など機能的面、あるいは自律神経を調整することによる精神的安定や脳(視床下部等)を含めた中枢レベルでの生殖系やストレス反応系(HPA軸)などからの関与は、効果の考察として推測できるかと思います。

 また、体外受精へのステップアップがゆっくりだったのですが、旦那様が単身赴任で遠くへ赴任しており、1か月に一度会えるかどうかという状況で、さらに、金沢へ戻って来れるのもさらに頻度が少ないという環境でした。

 不妊症の患者さんをみていると、旦那様の働き方なども不妊をつくる要因の一つとして大きく関係してくるのだろうと感じます。例えば、残業が多く帰宅が21時や22時を過ぎるや、シフト制で深夜勤務がある、また、看護師さんなどは男女関係なく、特に子どもがいないと夜勤が月に何度かあったりします。そこに結婚などが30代になってからという加齢的な要因、年齢が高くなるにつれて、管理職になったりして部署において責任を負う立場になると、ストレスが多くなり精神的にも疲労することになると・・・

 どうでしょう、夜帰ってきても、風呂入って、ご飯食べて、眠くなるとセックスすら邪魔くさくなり、早く寝たい という状況に陥ります。これも不妊をつくる要因になると感じます。

 仕事や社会を変えることは難しいです。当院では、どうしても奥様の治療がほとんどになりますが、やはり旦那様の体調を調整することも必要なのだと思います。
 精子は、だいたい2ヵ月半ほどで作られ、放出を待ちます そして、およげたい焼き君ではないですが、精子は毎日毎日作られます。放出されなかった精子は身体の機能により新陳代謝されるわけですが、過労があったり、年齢が増してくると、造精機能も低下しますし、精子の質も低下し、機能を失った精子が新陳代謝されずに溜まっていったりします。

 そんな意味では、旦那様の体調を整えておくことは、妊娠しやすい環境をつくる大きな要因だと思います。そして、現在、男性不妊の研究も急速に進んで来ています。

 いろいろありますが、妊娠のご報告、めでたくご出産のご報告 は本当に心から嬉しく思いますし、自分のさらなる仕事のスキルアップへの原動力となります。

 

 先日、3月にご出産され、バタバタして挨拶来れませんでした~ と、〇〇さんが、元気な、目鼻立ちがハッキリしたいい男子とともに、挨拶に来院いただきました

 本当に、おめでとう~ございます

 帰りぎわ、「もう一人、二人欲しいので、またお治療を願いします」と話されていたような・・・

 がんばりまっす

 妊娠しやすい身体づくりの一助として鍼灸治療をお考えの方は、いつでもご相談ください。お電話だと不在の場合がございますので、下記のHPから当院へメールにて連絡いただければ、できるだけ迅速に対応させていただきます

 一人でも多くのご夫婦が天使ちゃんと出逢えますように

 

   二葉鍼灸療院 田中良和

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不育症と胎内記憶

2017年04月19日 | 不妊症

 やや涼しい4月と言う印象のある現在、皆様、元気に、明るく、楽しく生活していますでしょうか

 さて、本日は不育症と、臨床の中で流産の後にタイミング療法で妊娠し出産された健やかに成長している女の子とお母さんのコミュニケーションについて、「面白いな」と思ったので書きたいと思います。

 

 不育症=妊娠してもお腹の赤ちゃんが育たず流産、死産を繰り返してしまう状態です。

 初めて妊娠された女性の流産率は、10~15%と言われています。

 その半分以上が胎児の染色体異常であることは分かっていますので、流産されたからと言って決してご夫婦のせいではありません。
 でも、その確率を少しでも改善すべく生活習慣を変えたり、整えていくことは大切なのだと思います。

 妊娠を臨んでるご夫婦で、流産や科学流産を繰り返すのであれば、不育症の検査をまず行い、ご夫婦の身体の状態、免疫や精子、卵子の状態を把握しておくことが重要だと思います。

 

不育症となる危険因子

心理的ストレス:流産に強い不安感や罪悪感を持ってしまう。緊張状態の持続。

染色体異常:夫婦いずれかに染色体異常があれば、受精でも一定の確率で染色体異常が起こります。

子宮形態異常:双角子宮、単角子宮、中隔子宮や子宮筋腫など赤ちゃんに栄養がうまく送れない状態にあると妊娠維持ができなくなります。しかし、手術をしなくても、約60%は妊娠維持可能という報告もあります。

内分泌異常:黄体機能不全、高プロラクチン血症、甲状腺機能低下など。

凝固因子異常:身体を守るために必要な血を固める因子に異常が起こると、胎盤内に血栓ができやすくなり、胎児に栄養がいかなくなります。

拒絶免疫異常:受精卵や胎芽は、夫である男性側の遺伝子も含まれているため、本来なら女性の身体にとっては異物なので排除の方に働くのですが、それを「大丈夫よん」と受け入れる体制が整えられます。それを免疫寛容というのですが、その機能が上手く働かなくなっている状態です。

 今回、ブログを書くために参考にさせていただいた、名古屋で不育症・着床障害を専門として診療をされている、青木産婦人科クリニックの青木耕治先生(HP;http://www.dr-aoki.com/は、「100%の確率で流産を引き起こす因子はない」、「多くの因子が流産や死産に関っている」と言われ、「危険因子を除外していくことで妊娠を維持しやすい環境をつくっていく」とされています。

 

 また、妊娠初期に大切な時期というのは、10~16週であるそうです。

 妊娠10~16週の間に母体と赤ちゃんを繋ぐ胎盤内の血管内皮細胞が、母体の細胞から胎児の細胞に置き換わる時期だそうです。
 胎盤は妊娠7週からつくられ始め、16週ほで完成するようです。そこからも胎盤は成長するわけですが、それまでは胎児の栄養は子宮内膜が受け持つわけです。

 妊娠期に安定期はないという話もありますが、妊娠初期は、すこし控えめな、慎みのある生活を心がけた方がいいのかと思います。

 

 また、ある調査によると、流産の原因となる「心理社会的因子」として、

妊娠前・妊娠初期に抑うつ状態である場合

社会的支援への不満

不育症の危険因子に持続性があると考えられる場合

 などがあるそうです。全てをカバーしたり、改善できないまでも、抑うつ状態の改善、危険因子に対する不安感などは、医療機関を受診することで和らげられますし、鍼灸治療でも貢献できる部分があるかなと感じます。

  ちょっと話は変わりますが、総面積700万平方キロメートル、南米9カ国にまたがる世界最大の熱帯雨林、アマゾン川流域です。

 川の水は肥沃の大地により養われ、肥沃な大地はアマゾン川の豊富な水によって活力を得ます。ここにアンデス山脈や空などの天気も加わるのだと思いますが、絶妙な自然のバランスと繋がりにより、地上に生きる他の生物は恩恵を受けています。もちろん人間もです。

 4000以上の樹種、約6万種の植物、1000種以上の鳥類、約300種以上の哺乳類が生息しており、まさしく地球の宝箱や~とも言えます。

 これを子宮環境に私なりの解釈で置き換えて考えてみると・・・

 子宮には子宮動脈という大きな動脈が流れており、子宮内膜に120本以上のラセン動脈の支流が別れ子宮内膜を「妊娠」に向けて栄養しています。「妊娠」が成立しないと、ホルモンの作用により交感神経が緊張して血管が収縮し、血流が阻害されます。
 子宮内膜は血液がないので維持できなくなり、機能層が剥がれ落ちていきます。これが月経です。

 交感神経は過剰なストレスを感じたり、上記のような心理社会的因子の環境では緊張するように働き、それが持続することで末梢の血管が過度に収縮してしまいます。これは全身で起こるわけですが、子宮の中(内膜)でも例外はありません。

 子宮内膜をアマゾン川流域のように豊富な量の水と栄養分(血液)で満たしておくためには、交感神経過緊張状態(過剰なストレス環境・心)の持続は避けたいものです。

 鍼灸治療のバランスを調整する作用の一つに自律神経の調整があります。交感神経過緊張状態を和らげ、副交感神経が働きやすくするのが鍼灸治療のメリットでもあります。

 不育症を治すということは言えませんが、その因子を少しでも取り除くという点では、鍼灸治療は利用する価値のある治療ではないかと考えています。

 

 現在、世界各国の多くの医療機関や研究機関で、不妊や不育に関する研究が行われています。現在の社会システムの中で、妊娠を臨む夫婦の選択肢を増やすためであるのだと思います。
 受精から胚の成長までに関しては科学的に証明されつつある段階ですが、胚移植から妊娠確定までの期間は、その発育過程がほとんど分かっていないようです。

 前述した青木先生曰く「神の領域」だということです。

 

 そんな中、こちらはリプロダクションクリニック大阪 院長の松林秀彦先生(ブログ:https://ameblo.jp/matsubooon/のブログで勉強させていただきましたが、現在は、不育症の捉え方として「着床促進」という考え方が主流になっているということです。

 2012年、イギリスで論文として発表されたものなのですが、インビトロの研究であり、対象の数は少ないですが、反復流産の6名の女性と妊娠出産経験のある6名の女性の子宮内膜の間質細胞を取り出し培養して、良好胚(卵子)と異常胚(染色体異常のある卵子)を移植したところ、良好胚はどちらの内膜間質細胞も増殖していったのですが、異常胚においては、反復流産の女性のみ増殖していきました

 これは、妊娠出産経験のある女性の子宮内膜間質細胞は、正常な胚のみを受け入れる「選択的着床」を行い、胚を選別する能力があり、かたや、反復流産を繰り返す女性の子宮内膜間質細胞は、どのような胚でも受け入れてしまう「着床促進」の状態となり、胚を選別する能力がないのではないか、ということが分かってきています。

 

 医学や科学の発展により、多くの「神の領域」が解明され、不妊症や不育症に限らず多くの医学的選択ができるようになりました。
 おそらく宇宙の解明と同じくらい人間の全てを解明することは難しいとは思いますが、人が人であるために、人間らしくあるために「神の領域」はやはり尊重していく部分があってもいいのかなと思います。

 それは生命に対しても、自然や医学や科学に関しても、そうあって欲しいなと私は思っています。

 

 つい先日、治療院での施術中、以前は不妊症で来院されていて、現在は子宮内膜症や花粉症などの改善に来院されている患者様との話で「神の領域」「スピリチュアル」「魂」を感じ、ワクワクしましたので最後に書いておきたいと思います。

 この話は、私もよく著書を読ませていただきますが、産婦人科の医師である、池川クリニック 池川 明先生(HP:http://ikegawaclinic.net/の研究分野でもある「胎内記憶」という部分のお話です

 

 当院をご来院の患者さんでも、話してくれるお子さまと、あまり話してくれないお子さまがいるようですが、今回は、現在4歳の女の子で、2歳ごろから、胎内記憶の話をお母さんが聞くたび、繰り返し繰り返し話してくれる会話です その患者さんは流産を経験しての妊娠、出産でした。

 「〇〇ちゃん、お母さんのお腹の中でのこと覚えてる

 「〇〇ちゃんね、おしりのあなから おかあさんのなかにはいっていって、そこにフタをしたんだよ」

 「そうなんだ~。フタをしなかったらどうなるの

 「あかちゃんが おおきくなれないんだよ」

 と、話してくれるそうです。また患者さんは楽器もやっていて、

 「おかあさんが 〇〇(楽器)をひいているところ みていたよ」

 とも話してくれるとか。本当に不思議でワクワクして、何か温かいものを感じる会話でした。「このような世界はきっとあるんだな」とピュアな存在に気づきをもらえる瞬間です。

(このお話、ブログ掲載に関してはご本人に許可をいただきました)

 まさしくスピリチュアルの世界から、生まれてくる赤ちゃんの魂も「流産を防止」に励んでいるんだなと、私なりに感じたのでした。・・・蓋をしめる

 

 一組でも多くの妊娠を望むご夫婦のサポートが鍼灸治療でできるように、今後も技術と知識と人間性(感性)を磨き、精進していきたいと思います。

 

 最後までお読みいただき、ありがとうございます

 

 

   二葉鍼灸療院 田中良和

 

 

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