木偶房 日日録

江上之清風 山間之明月

飛鳥寺 見る

2013年03月22日 | 日日録
酒船石遺跡から飛鳥寺へ向かいました。
田畑と集落に溶け込んで普通のお寺のように佇んでいます。



蘇我馬子の全盛時代に創建された当時は、壮大な伽藍を誇っていたようですが、
今では見る影もありません。
本尊の飛鳥大仏(釈迦如来)が日本最古の仏像ということです。
仏教を輸入した直後のものなので、天平時代の様な優美さはありませんが
かえってそれが新思想への素朴な熱情を感じさせます。
当時は、仏教推進派の蘇我氏と仏教反対派の物部氏とが対立していたようで
新思想の輸入を巡る対立という構図は1400年前からあったようです。



現在の飛鳥寺の建物は江戸時代末期のもので、見るべきものは何もない安普請の建物です。

西門を出たところに、大化の改新で暗殺された蘇我入鹿の首塚といわれる五輪塔が立っています。

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酒船石遺跡 見る

2013年03月22日 | 日日録
万葉文化館の脇の路を少し下ると「酒船石遺跡」があります。
観覧料が300円とは高すぎると思いましたが、
文化財保存協力金ということなのでいたしかたないかと思います。

小判形石造物と亀形石造物は、湧水を導く導水施設であると説明されていますが、
なんでこの形なのかは全く想像がつきません。



この遺跡の脇の坂道を登って行くと、竹林の中に忽然と酒船石が出現します。



これまた何のための物なのか全く想像がついませんし、遺跡だと思ってみなければ気にもかけず通り過ぎてしまいそうな物です。

この石は、子供の頃読んだ手塚治虫の漫画「三つ目がとおる」に出てきたので一度実物を見てみたいと思っていました。
漫画では、確か薬の精製器具として使われていました。
こんな石からあの様な物語りを生み出す手塚治虫の想像力に感服です。

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万葉文化館 見る

2013年03月20日 | 日日録
石舞台古墳から万葉文化館に向かいました。



この文化館には、飛鳥池工房遺跡が復元されています。
この遺跡から、日本最古の流通貨幣「富本銭」が多数発見されているそうです。
学校では「和銅開珎」が日本最古と教わってきたので、最近は研究が進み古代史がだいぶ書き直されているようです。
こんな片田舎の政権がどうして日本を支配できるようになったのか不可解でしたが、
国力の根本として、中国や韓国から直輸入した最新の技術と工業力があったのですね。謎が解けた気がしました。

筆跡の展示がおもしろかった。昔の人にも字の上手・下手があったのですね。
聖武天皇と橘諸兄の字は、凛とした品格のあるいい字です。いたく感心しました。
それに比べ藤原仲麻呂の字の下手なこと・・・

他のコーナーでは当時の生活がいろいろ再現されています。この文化館は案外面白いです。

文化館の入り口に、きちんと服を着た「せんとくん」が立っています。



彼は普段は角の生えた半裸の童子でちょっと奇怪な印象もありますが、きちんと服を切ればまともな青年です。
当初は「気持ちが悪い」とか「仏様を侮辱している」とか言われ不評だったそうですが、
最近は「ゆるキャラ」ブームも手伝って人々に受け入れられ人気を回復しているようです。
噂では「蓮花ちゃん」という恋人候補もいるらしいです。
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石舞台古墳 見る

2013年03月20日 | 日日録
高松塚古墳から石舞台古墳に向かいました。



初めは普通の土を盛った古墳だったものが、何らかの理由で土がなくなり
石室が露出したためこのようなかたちになったそうです。
石室の中にも入れます。



この墓は、蘇我氏の全盛時代を築いた蘇我馬子の墓と言われています。
中大兄皇子と中臣鎌足に暗殺された蘇我入鹿は、馬子の孫にあたります。
この政変は、今では「乙巳の変(いっしのへん)」と言うそうですが、
私は「大化の改新」と習いました。

日本を揺るがす大事件というイメージでしたが、
実際は、こんな片田舎で起きたちっぽけな事件だったのですね。
「百聞は一見に如かず」です。
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高松塚古墳 見る

2013年03月18日 | 日日録
二日目となりました。今日は、飛鳥に行きます。
当初は電車で飛鳥まで行って自転車で見て回るつもりでしたが、
遺跡同士が離れている上、起伏が激しい土地で、自転車作戦は無謀だということが判明し、
「レンタカー作戦」に切り替えました。
奈良駅前のトヨタレンタカーで車を借りて、大和八木駅で乗り捨てます。
「るるぶ」に飛鳥・万葉の里サイクリングと題して、若い女性二人組が楽しそうに
サイクリングしている姿が掲載されていますがこれはウソです。実際は坂道ばかりで苦行の連続です。
奈良から一時間くらいで高松塚古墳に着きました。
古墳の周辺は起伏のある自然公園になっていて、どれが古墳の山なのかよくわかりません。
この小山が高松塚古墳でした。



古墳に隣接して高松塚壁画館がありました。



壁画の模写が展示してあります。
ボランティアの方でしょうか、壁の四神図と群像、天井の星宿図について、
ひとつひとつ説明していただきました。ありがとうございます。
中国から直輸入した陰陽五行という最新思想が表現されていました。
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旬彩ひより 食す

2013年03月17日 | 日日録
今日一日の旅程は終了しました。良く歩き回った一日でした。
平城宮跡から戻るのに流しのタクシーを捕まえようとしましたが
一台も通らないので、バス停を探しバスで戻ってきました。
後で聞き知ったのですが、奈良には流しのタクシーはいないそうです。

さて夕飯は、奈良町の「旬彩ひより」に行きました。
「るるぶ」の奈良のおいしいお店というベージから娘が見つけました。
満席で入れないとやだなと思い、電話で予約して行きましたが、
行ってみると、私たち家族ともう一組だけでした。案外空いてる!

さて料理は、おまかせ大和野菜会席 案山子 ¥3675 にしました。
メインは、岩魚、能登地鶏、海老の中から一品選べます。
私は、岩魚を選びました。

野菜の蒸し鍋です。


古代米の五穀ご飯です。


野菜だけでお腹が満ちるのかな?と不安でしたが、美味しく満ちて満足です。

流しのタクシーは拾えないので、タクシーを呼んでもらって帰りました。
奈良町の狭い路地を、切り返しを繰り返しながら進むタクシーの運転術もたいしたものです。

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続・東院庭園 見る

2013年03月16日 | 日日録
東院庭園の建物にばかり目がいっていました。



寝殿造り庭園の原型となった「州浜」の庭園です。
湖面に建物は映っていますが、「州浜」だけではちょっと寂しい気がします。
植栽も復元されたと言いますがほとんどありません。
本当にこんなに木の少ない庭園だったのでしょうか?

庭園の必須アイテム「遣水(曲水)」もありました。



「州浜」の所々に遠慮がちに石も立っています。



作庭記でも、「石を立てん事、・・・こころふべき也。」と書かれていますが、
日本の庭園の最大のポイントは「石を立てる」事のようで、時代を経るにつれて大きく発展しました。
確かに石は立たせるとただの石ではなくなります。異化作用が働いてオブジェ化します。
ただの石を立てて異化するというのは、日本人の発見かもしれません。
中国の庭園にも石は立っていますが、立っているのは「太湖石(たいこせき)」で異化しなくても奇怪な石です。

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東院庭園 見る

2013年03月15日 | 日日録
平城宮跡には、もうひとつの見所「東院庭園」があります。
ここも歩いて行くにはかなり遠くですが、歩いて行くしか方法がありません。
発掘結果をもとに復元されており、日本庭園のルーツと言われています。
当時は、迎賓館として使われていたようです。



中央の建物から露台が池の上に張り出しています。
この露台で涼みながら宴でも催していたのでしょうか?



建物を何となく眺めていると、この立面どこかで見たことがあるぞ!
この立面は、まさにファンズワース邸ではありませんか。
平面もです。



1200年の時を経て、ミースと天平人(てんぴょうびと)が同じような空間構成に辿り着いたなんて
なんだか不思議ですね。


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平城宮跡 見る

2013年03月14日 | 日日録
十輪院から「ならまち」をそぞろ歩き、
近鉄奈良駅からタクシーで平城宮跡に向いました。

何もありません。遠くに大極殿が見えます。



歩いて、歩いてやっと大極殿近くにたどり着きましたが、何もありません。



振り返ると、朱雀門が見えますが、何もありません。



手前を、近鉄電車が横切って行きますが、何もありません。

ぽつん、ぽつんと施設を造って何の意味があるのでしょうか?
こんな造り方では誰も来ません。それが証拠に誰もいません。

これは明らかに大失敗です。

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十輪院本堂 見る

2013年03月13日 | 日日録
春日大社から奈良公園を抜けて十輪院に向かいました。
このお寺は、「ならまち」のはずれにあり「るるぶ」などの観光案内本には
地蔵菩薩を刻んだ石仏龕が紹介されています。
観光名所ではないので、私が訪れた時に観光客は誰もいませんでした。



にもかかわらずはるばるやって来たのは、
桂離宮を絶賛し日光東照宮を酷評したあのブルーノ・タウトが、
その著「忘れられた日本」の中で、絶賛していたためです。



寺院には珍しく、軒を低く押さえた端正な立面です。



蔀戸と連子窓の割り付けに幾何学的な調和感があります。
静かに見つめているとかすかに美しさが伝わってきます。
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