ブクログより
本当にふっと手に取りました。
東京という文字に反応したのかな。
恥ずかしながら「東京會舘」今まで知りませんでした。
丸の内、皇居のすぐそばにある建物。
大正11年に建てられたそうです。
何かの基準を満たしていないということで、宿泊はできません。
では何をするところかというと、結婚式をあげたり、パーティーを行ったり、いわゆる社交場です。
私たち地方から上京するものにとって、宿泊施設を伴っていないとなかなか足を運ばないかもしれません(今まで知らなかった言い訳)
そんな東京會舘も戦争中は、大東亜会館、そして終戦になって、GHQの施設となりアメリカンクラブ・オブトーキョーと名前を変えながらも続いてきた歴史と、その施設に携わってきた人々の出来事が章ごとに語られるという構成になっています。
レストランの従業員、結婚式場の従業員、バーテンダー、菓子職人など、関わることになったいきさつは様々ですが、みんな東京會舘が大好きで、誇りをもって勤務している姿はすがすがしい。
その中に出てくるレストランやバー、また苦労の末に作られたテイクアウト用お菓子など実在するものばかりで、俄然味わってみたくなるものばかり。
まずは、クッキーのお取り寄せをしようかな。
同じく
上巻は旧館、下巻は新館ということで、下巻も読んでみました。
結婚50年の夫を亡くした女性が新館のレストランで一人で食事をする話。
越路吹雪のディナーショーの話。
ある作家の直木賞受賞にまつわる話。
會舘による料理教室に通った女性たちにまつわる話などに東京會舘のあらゆるスタッフが心を込めて関わっている様子を交えながら物語になっています。
そしてこれらの話はほぼ事実に基づいて書かれているのだろうと思われます。
実名で出てくる人もあり、芥川賞・直木賞の受賞記者会見が行われているというのも私は今回初めて知りましたが本当のようです。
ですので、益々ずんずん話の中に引き込まれてしまいます。
特に直木賞受賞の話は、主人公は男性ですが、その時の様子や思いなどは、作者自身辻村さんの事も大いに反映されているのではないでしょうか。
これに関しては、取材しなくても辻村さんも経験済みですので。
どの主人公も、旧館を懐かしみ、また新しくなった斬新な新館にまた虜になっていくのです。
絶対、確認しに訪れたいです。何を? いろいろです。
東京會舘とわたし 上・下 / 辻村深月