フリージア工房 国道723号店

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三浦半島小さな旅 その9 ~小坪~

2007-11-24 22:32:05 | 町と旅
 今月上旬の天気の良いとある日。デジカメ一台を持って、逗子に行きました。逗子にはよく出かけているけれど、今回は久しぶりに小坪に行こうと決めた。小坪は、逗子と鎌倉の市境にある漁港とマリーナの町です。


 午前中に京急の新逗子駅に着いてはみたものの、潮風が冷たく歩く気がしない私は、一時間ほど図書館などで時間をつぶしてから逗子海岸に出た。海岸で波と戯れるサーファーや子供を見ながら、買ってきたパンを食べる。正午を過ぎで、ようやく暖かい日差しで散歩をしやすくなる。
 海岸から静かな住宅街を抜けて、なぎさ通りという道路を歩き小坪を目指す。小山と小山に挟まれた所に「披露山入口」というバス停がある。披露山公園は逗子の海を見下ろす高台にある公園で、今まで行った事がなかったので、坂道を上がり公園を目指す事にした。
 15分くらい坂道を上がったところで、公園が現れた。公園と言っても、高台の展望公園だからさほど広くはないけど、檻に囲まれた小さな猿山もあったり、休憩所もあるなど、家族連れが遊べる場所だった。実際、何組か母子がいる。
 展望台に行くと、逗子海岸や小坪の町は勿論、鎌倉の方まで見渡せた。車を持っている人なら、夜景を見に来るのも良さそうな場所だ。私はデジカメの設定を性能目一杯の600万画素にして逗子海岸や小坪を撮った。広角レンズを付けた一眼レフを持ってくれば良かったと思う眺めだ。

 しばらく展望台からの眺めを満喫したあと、小坪への散歩を再開。ルートは、先ほどの道には戻らずに披露山公園を海方向に下り、進んでいった場所にある大崎公園という場所を経由する事にした。大崎公園は、小坪の港の脇にある岬にあるようなので、ここも良い眺めが期待出来そうだ。

 案内板に従い坂道を下っていくと、やがて綺麗に整った道に出た。歩道脇の芝生も整備されたその道沿いには、企業か何かの宿泊施設のような大きく綺麗な建物が並んでいたが、よく観察するとそれらの建物は家あるいは別荘であった。どれ一つとして同じ形がない個性的なデザインの建物が並ぶその景色は、まさに高級住宅街を絵に描いた眺めであるから、商店や自動販売機などは視界にない、生活臭のしない空間であった。
 人も車もほとんど通らない高級住宅街の道を横に逸れ坂を登ると、大崎公園が現れた。
 広い芝生広場があり、面積は披露山公園より広そうな公園だが、やはり人が少ない。観光で来る場所ではなく、高級住宅街の人が散歩で訪れるための公園なのだと認識する。
 岬の先端にほど近い展望台まで来ると、披露山公園以上に広々とした景色がそこには広がっていた。左には遥か逗子海岸と港。右手には、小坪港と逗子マリーナがまるでミニチュアモデルのように思えるほど眼下に迫って広がっている。その眺めのスケールはまさに、高級住宅街の近くの公園に相応しいような気がした。

 写真を何枚か撮ったあと、細い坂道を下り眼下に迫っていた小坪港を目指す。民家の脇をすり抜け階段を下りていくと、やがて小坪の漁港が現れた。
 漁港は静かに時が流れでいる。網を縫っている漁師の姿、漁村に新聞を配達しているバイクのお兄さん。一仕事終えた午後の漁港はとても静かだ。
 そんな静寂に包まれた漁港の向こうに見える巨大なマンションみたいな建物が多数。逗子マリーナだ。この建物群も先ほどの高級住宅街同様に、どこか浮世離れした眺めに思える。整備された道沿いに並ぶ熱帯系樹木の姿、ヨットハーバー、リゾートマンション。高台の高級住宅街と合わせたその景色は、あまりにも無国籍で、私には漁港の眺めこそが小坪なのだと思えた。

 広い逗子マリーナの建物群を抜けると、鎌倉の海と江ノ島を一望出来る飯島公園という公園がある。稲村ヶ崎や由比ヶ浜や材木座海岸を眺め、鎌倉へと想いを馳せた私は、日が傾いてきた小坪から鎌倉市内に向かって歩き始める。小坪からお隣の鎌倉市内へ出るには、トンネルをくぐるのだが、何本かあるうちの一本の古いトンネルが有名な度胸試しスポットなので、トンネルを歩くような怖い事はとても出来ず、海岸沿いに立つ民家の脇道を歩く。サーフボードを抱えた女の子とすれ違っ足りしているうちに、視界に鎌倉の材木座海岸が現れた。夕陽を浴びて波と戯れるウィンドサーファーを写真に撮影。良い景色に恵まれた今日の旅はここまで。

 逗子駅方面のバスが来るまでの間、古いトンネルの入口まで行ってみる。近くの路地には学校帰りの中学生が楽しそうに歩いている。その光景にようやく、無国籍な気分が消えてきた私だったが、新逗子駅に着いてバスを降りると、高級住宅街の眺めをもう一度思い出していた。

 今回のBGM 夢うつつジェラシー / 工藤静香
コメント
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