今日の棋譜20180413
昭和61年4月、谷川浩司先生と第48期棋聖戦です。

大山先生の中飛車に谷川先生は急戦です。大山先生の62銀はツノ銀を目指したということのほかに、前局のように銀も使って受けようということもあるのでしょう。

45歩急戦になりました。後手の54歩62銀が82玉72銀であればこの仕掛けはないです。あるいは43銀の前に32金とか。さて後手の受け方は32金か55歩です。

大山先生は55歩の方でした。谷川先生は24歩同歩に55歩。55角の方が多いです。

45歩には37桂から45桂、思い切った仕掛けです。ゆっくりしていると55飛や55角があるので仕方ないという面はあるのですが、単騎で跳ねても死ぬことが多いですから。「桂馬の高飛び歩の餌食」の前に手が作れるか。

端を攻めて(44歩94歩92歩は24飛で歩切れ、44銀94歩92歩はあるかも)

72玉の位置なのでここに歩を垂らせるのですね。

工作しておいて54歩で決戦です。

大山先生は角を換えて54飛。54銀だと41角も気になるところでしょう。42飛32角成同飛24飛は相手が谷川先生では指したくないです。

91歩成から65角、これが谷川先生の狙いでした。ここまで考えて先の55歩を歩で取って桂を跳ねる順で手が作れると読んだのです。84飛には24飛23歩43角成、これは楽勝です。82玉は54角同銀41飛43角21飛成45銀24飛~44歩か。ひねると51飛83角成56角とか。

大山先生の44飛は妥協した手ですがこれくらいでしょう。馬を作られて受けだけの自陣角では形勢不利です。

一応後手玉が安定して、持ち歩が多いというのが主張です。

38角成をみせたところで

谷川先生は桂を跳ねて馬を出ておきます。次の大山先生の手が疑問手。72金が無難でしたが

63銀引も大山先生が好みそうな銀の繰り替えです。だけど92歩同玉としておいて、桂馬を成り捨てる手がありました。

飛車で歩を入手してから73桂成。

飛車を捨てても、銀を取る前に93歩が利くというのがつけ目で、93同玉85桂92玉93歩、歩の枚数が足ります。

単に81玉でしたが、銀2枚を取る手があってはここまで。
谷川先生らしいちょっと無理に見える仕掛けなのですが、大山先生の62銀型をとがめることになりました。その攻め方がわかっていれば避ける手もあるのですが、ちょっと受け間違えたら寄せきってしまうというのが谷川先生の強さです。
#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.40 棋譜ファイル ----
手合割:平手
先手:谷川浩司棋王
後手:大山十五世名人
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 3四歩(33)
3 2六歩(27)
4 4四歩(43)
5 4八銀(39)
6 4二銀(31)
7 5六歩(57)
8 5二飛(82)
9 6八玉(59)
10 6二玉(51)
11 7八玉(68)
12 7二玉(62)
13 9六歩(97)
14 9四歩(93)
15 5八金(49)
16 5四歩(53)
17 3六歩(37)
18 6二銀(71)
19 4六歩(47)
20 4三銀(42)
21 2五歩(26)
22 3三角(22)
23 4五歩(46)
24 5五歩(54)
25 2四歩(25)
26 同 歩(23)
27 5五歩(56)
28 4五歩(44)
29 3七桂(29)
30 3二金(41)
31 4五桂(37)
32 2二角(33)
33 9五歩(96)
34 同 歩(94)
35 9三歩打
36 同 香(91)
37 9二歩打
38 8二玉(72)
39 5四歩(55)
40 8八角成(22)
41 同 銀(79)
42 5四飛(52)
43 9一歩成(92)
44 同 玉(82)
45 6五角打
46 4四飛(54)
47 8三角成(65)
48 7二角打
49 5六馬(83)
50 5四銀(43)
51 4六歩打
52 8二玉(91)
53 2四飛(28)
54 2三歩打
55 2五飛(24)
56 6四歩(63)
57 7七桂(89)
58 5五歩打
59 6六馬(56)
60 8三角(72)
61 8五桂(77)
62 9四香(93)
63 8四馬(66)
64 6三銀(54)
65 9二歩打
66 同 玉(82)
67 5三桂成(45)
68 同 銀(62)
69 5五飛(25)
70 5四歩打
71 7三桂成(85)
72 同 桂(81)
73 同 馬(84)
74 5五歩(54)
75 9三歩打
76 8一玉(92)
77 6三馬(73)
78 投了
まで77手で先手の勝ち