*記事の執筆が間に合わないので、当面は今日の一手を不定期掲載にします。
20200121今日の一手
11月30日の名南将棋大会から、MさんとSさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。(問題図1)
あまり複雑ではないようなのでもう一題。
11月30日の名南将棋大会から、TさんとTさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。(問題図2)
一昨日の一手の回答
☆ 形勢判断をします。
桂と香歩4の交換で馬成桂を作り合っています。少し先手の駒得ですが、終盤なので無視してもよいくらいの差です。
玉の堅さは同程度。
先手の攻め駒は56香と持ち駒飛銀で3枚。
後手の攻め駒は94角45桂と持ち駒飛銀で4枚。
総合すれば後手もちです。
何手で詰めろがかかるかを数えてみると、後手玉は53飛で詰めろの現状は2手すき。先手玉は29飛が詰めろの2手すき。
先手番ですから先手有利です。
☆ 大局観として
単純な寄せ合いは先手の勝ちです。でも先手の攻め駒が3枚だけ、持ち歩も使いにくいですから、攻めは細い、いいかえれば薄い詰めろをかけるだけです。
後手の攻め駒が4枚なので攻めやすいわけですが、91馬の利きで37銀を守っていることもあって、先手は受けに回ることもできます。
攻防どちらにするか迷いやすい局面だと言えるでしょう。攻防の手やしっかり守る手があれば指しやすくなりそうです。
☆ 簡単なまとめ
以下の変化はこのあとを読んでください。
53銀が正解ですが、読めますか?
△ まずは飛打ちから見てみます。52飛の王手
33玉の一手に53飛成43銀55馬
後手は単に22玉と引くか(23歩が痛いが)、49角成同玉29飛38玉37桂成同玉22玉
飛を先手で打ってから玉をかわしておくか。難しい形勢です。
△か× 53飛だと詰めろですが43銀と受けられて
53竜33玉の形よりも攻めにくいです。銀を打たせたので何か守りの手を指すつもりならば、というところですが。
△ 51飛も詰めろで
33玉53飛成43銀55馬
最初に52飛と打ったのと同じ図です。
× 飛打ちの派生で85歩や76歩として
85同角(あるいは76歩同角)ならば52飛33玉72飛成
駒得で金も使って受けるつもりならば成功です。
しかし85歩を無視して78成桂
94角の利きを止めていても、後手の攻め駒は4枚のままですから失敗でしょう。
○ 銀の王手は指しにくいですが53銀
33玉に44銀成と捨ててしまいます。
この図まで来ればわかるでしょう。44同玉55馬で45桂を抜こうというわけです。43玉に44飛を打たないのもありますが、44飛52玉45馬
王手で抜いてしまって、62玉74飛(35馬ねらい)71玉
94飛同歩としてから(あるいはさらに74桂など利かしてから)79金か、単に79金か、45桂がいなくなれば受けやすくなっています。先手が少し駒得ということもあり、優勢に近いです。
後手が44銀成を22玉とかわしたら
これでも成銀で桂を取れますし、攻防に28飛23銀を利かせてから桂を取っておいても優勢です。
後手の歩切れが痛く、次に24歩が残っています。
△ 実戦は34銀でした。
後手玉は詰めろ。歩切れなので受けにくそうなのですが、49角成同玉29飛の王手。
詰めろを残して39角合いでしたが、飛合いのほうが優ったか。57桂不成
王手がかからないように58玉と逃げたのですが、48玉が正解でした。
53歩と守られて(歩を入手された)後手玉への詰めろが続かず、角取りと金取りが残っていて後手有利です。後手玉がずいぶん堅く見えますね。
また、最初に34銀に43銀
受けられてみると詰めろを続けるのは難しいです。
△か○ 35歩と突くのは
33玉と逃げられたときに押さえの駒になりますが、この手自体は詰めろではありません。何かもらえば詰ますという感じです。78成桂ならば52飛33玉34銀24玉72飛成
金を取って詰めろ。68飛の王手には金合しないと危ないですが、58金打69飛成25歩14玉(35玉は46馬から詰み)32竜
難しい順ですが、またも金を取って詰めろで先手の勝ちでしょう。
△か× 受けというか、攻め駒を補充するためというか、79金として成桂を取ると
57桂成同玉77飛46玉
49角成の詰めろは53銀~44銀成が攻防です。(これは考えやすい。)よって45銀35玉34歩26玉56銀
先手の攻め駒は4枚になったけれど手掛かりなし。良い手があればというところですが、よくわかりません。
○ 68金とかわすのが受けの手で
57の地点を守っています。29飛の詰めろには単に58金寄か
あるいは53銀33玉44銀成同玉55馬43玉44飛52玉45馬62玉を利かしてから58金寄か
結構しっかりと受けることができます。
△ 46馬も守りの手です。
29飛に38銀が手堅いようでも、37桂成同馬39銀
39同金は59銀、59玉は78成桂、といううっちゃりを食らいます。
ということで、38銀ではなく39金が正しいのですが、
37桂成同馬59銀38玉39飛成同玉48銀打
ずいぶん王手がかかります。ここの選択も難しいですが、48同馬同銀成同玉59角38玉49角成29玉
どうにか詰みを逃れて、78成桂ならば52飛33玉34銀同玉32飛成同銀35飛24玉25銀23玉32飛成同玉24桂
持ち駒が豊富なので後手玉を詰ます、というかなり難しい勝ちです。実戦的には運次第でしょうね。
△か× 46銀だと
馬の守りも薄れて、先手玉がずいぶん薄くなったように見えます。28飛の王手が怖くて、38銀78成桂
持ち駒を使って受けると勝ち目が薄くなります。45銀としても49角成以下の詰み。
怖くても38金しかありませんが、59銀から
39玉38飛成同玉49角成29玉78成桂で必至
と思ったら、飛をもらって46銀の配置は、52飛33玉34銀同玉35銀23玉24飛
12玉は32飛成から、33玉は53飛成43銀同竜同金34銀打からの詰みがあります。
しかし後手に29飛成とされると負けです。
飛を捨てて詰めろをかけてこられたときだけ勝ちがあるという一発ねらいの手でした。
☆ まとめ
飛を打ち込んで王手や詰めろは決め手になりませんでした。
実戦の34銀は薄い詰めろですし、35歩は良さそうですが見えにくい。
53銀33玉45銀成
支えの歩を取って、成銀か馬を引いて45桂を取ってしまえば攻防になります。銀を捨てるのでこれも読みにくい(感覚で選びにくい)ですが。
堅実なのは68金です。
特に終盤で時間が無ければ、とりあえず次善の策として確保しておきたい手です。