先手番升田先生の手を考えます。
第1問
歩を損したので動くしかありません。
A 24銀 B 97角 C 45歩
第2問
後手のねらいは?
A 24歩 B 74歩 C 77桂
第3問
これで先手有利です。
A 16桂 B 75桂 C 95角
第4問
寄せの手順は?
A 81飛 B 63馬 C 52と
先手番升田先生の手を考えます。
第1問
歩を損したので動くしかありません。
A 24銀 B 97角 C 45歩
第2問
後手のねらいは?
A 24歩 B 74歩 C 77桂
第3問
これで先手有利です。
A 16桂 B 75桂 C 95角
第4問
寄せの手順は?
A 81飛 B 63馬 C 52と
今日の棋譜20200331
昭和21年6月、升田幸三先生と第1期順位戦です。戦争が終わり、新しく順位戦が始まりました。名人戦としては第6期、この2人はB級リーグです。
升田先生の先手で中央の位を取りました。
8筋は金で守ります。もう少し後ですが、後手番で(つまり34歩の形で)中飛車にするのが流行したことがあります。
升田先生は振り飛車ではなくて、右銀で中央の位を守ります。まだ中央志向が強かった時代の名残ですね。
大山先生は矢倉で2筋を受けます。
このまま進行すると、中央の位を取っている先手のほうが作戦勝ちになるか(と思われていたはずです)。
大山先生は玉を囲う前に52飛、位の奪還を目指せば、升田先生は角筋を通して位を保とうとします。
大山先生は64歩を打たずに62飛
桂馬で銀を追って64銀から攻める形を作ろうとしたら、升田先生は銀を引かずに64歩。こうなれば(72銀74銀64飛75歩も無いことはないですが)銀の取り合いです。
歩切れの升田先生が無理をしているのですが、端角は54銀をねらっています。
大山先生はおとなしく64歩を打ったので少し落ち着きました。このままだと歩損の升田先生が悪いので
75歩から動く(75同歩同銀~64銀としたい)のは当然ですが、大山先生は75歩を取らずに14歩、13角を見ています。飛角の働きが悪いですから。
升田先生は24歩の突き捨て(13角を防いだ)から74歩。大山先生は77歩でカウンター攻撃です。
桂を交換して、76歩から85桂。
76歩を打ったからには77銀と打ち込むのだろう(それで有利)と思いましたが、歩を成り捨てました。大山先生は歩の損得を気にしないところがあります。
精算して桂銀交換の駒得ですが、72歩を打つと歩切れが気になります。このままだと75桂~73歩成が見えているわけで、形勢不明になっています。
83飛と使えば95角。7筋を受けることができなくなり
45歩は22角を使おうということですが、升田先生は25歩13銀を決めてから と金を作りました。これで先手が指しやすいです。
と金を寄って銀を打ち
金を剥がして と金をにじり寄ります。こうなれば先手の居玉がかえって安定していますね。
大山先生の33銀は受けの手ですが効果は薄かったです。何か攻める手のほうが良かったでしょう。升田先生は角を成り込みます。
75飛76歩46角、微妙な応酬ですが、これならば飛を取り合って
寄せ合いは先手の勝ちでしょう。先手番だし、攻め駒の数が違います。39飛にも49歩を打てますし。
升田先生の寄せを見ましょう。63馬は詰めろ。52歩の受けに
54馬22玉32金
32同金同馬を取れば詰みです。12玉に
31飛からの簡単な寄せでした。
戦後の将棋では中盤からのスピードが上がっています。それに一番適応したというか、その流れを作ったのが升田先生です。
大山先生は一番速い攻めを選ばずに、良い将棋も悪くしてしまうことがありますが、それ故に粘って逆転することが多いのです。
#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.41 棋譜ファイル ----
開始日時:1946/06/18
手合割:平手
先手:升田幸三7段
後手:大山6段
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 8四歩(83)
3 5六歩(57)
4 8五歩(84)
5 5五歩(56)
6 8六歩(85)
7 同 歩(87)
8 同 飛(82)
9 7八金(69)
10 5二金(61)
11 4八銀(39)
12 8二飛(86)
13 8七歩打
14 3四歩(33)
15 5七銀(48)
16 4四歩(43)
17 3六歩(37)
18 3二銀(31)
19 6八銀(79)
20 6二銀(71)
21 2六歩(27)
22 6四歩(63)
23 2五歩(26)
24 3三銀(32)
25 5六銀(57)
26 6三銀(62)
27 4六歩(47)
28 4二玉(51)
29 6六歩(67)
30 4三金(52)
31 5八金(49)
32 5二飛(82)
33 6五歩(66)
34 同 歩(64)
35 同 銀(56)
36 6二飛(52)
37 6七銀(68)
38 7四歩(73)
39 9六歩(97)
40 7三桂(81)
41 6四歩打
42 6五桂(73)
43 6三歩成(64)
44 同 飛(62)
45 9七角(88)
46 6四歩打
47 6六銀(67)
48 3二玉(42)
49 7五歩(76)
50 1四歩(13)
51 2四歩(25)
52 同 銀(33)
53 7四歩(75)
54 7七歩打
55 同 桂(89)
56 同 桂成(65)
57 同 銀(66)
58 7六歩打
59 6六銀(77)
60 8五桂打
61 8六角(97)
62 7七歩成(76)
63 同 銀(66)
64 同 桂成(85)
65 同 角(86)
66 8三飛(63)
67 9五角(77)
68 4五歩(44)
69 2五歩打
70 1三銀(24)
71 7三歩成(74)
72 8五飛(83)
73 6三と(73)
74 5五角(22)
75 5二銀打
76 4二金(43)
77 4一銀(52)
78 同 金(42)
79 5三と(63)
80 3三銀打
81 6二角成(95)
82 7五飛(85)
83 7六歩打
84 4六角(55)
85 7五歩(76)
86 2八角成(46)
87 6三馬(62)
88 5二歩打
89 5四馬(63)
90 2二玉(32)
91 3二金打
92 同 金(41)
93 同 馬(54)
94 1二玉(22)
95 3一飛打
96 2二飛打
97 4三と(53)
98 投了
まで97手で先手の勝ち
上手の大山先生の手を考えます。
第1問
形勢は悪いですが、下手を焦らせます。
A 93香 B 63飛 C 37歩
第2問
形勢は逆転しています。金取りの受け方は?
A 51桂 B 52桂 C 52金打
第3問
どれでも良さそうですが、これが一番速いです。
A 77桂 B 85桂 C 96角
今日の棋譜20200330
昭和19年4月、星田啓三先生との昇降段棋戦、これが大山先生出征前の最後の将棋です。
大山先生の香落ち上手で一間飛車です。
星田先生は引き角にしました。ねらいは1筋です。
右桂を使うのは当然として
42飛に66銀というのは55歩同歩同銀というのを気にしたのでしょうが、 要らない手だっと思います。(24歩同歩同角22飛33角成28飛成55馬というのもありますし。)
大山先生は左銀を引いて、「歩越し銀には歩で対抗」です。星田先生は端から動きました。
横歩を取ると飛が危ないのですが
追われたら切ってしまい
13香成で遊び駒がありません。下手は香落ちを生かしているわけですから形勢有利です。大山先生は33桂を守るために飛を浮いて辛抱します。
飛を打ち込んで、43飛の方はどうにでもしてくれと。43角成同金41飛でも下手十分ですが
まだ持ち駒は歩だけなのに端攻めは早すぎる感じです。まあ早すぎても悪いこともないのですが。
大山先生は端を放置、飛金を引いて、辛抱が続きます。
端は怖いですが桂を交換してしまいます。
もう1枚馬を作り、星田先生は駒得で有利を保っています。
大山先生は3筋に歩を垂らし
と金を作って攻めていきます。
85桂も無視して47と をねらいます。星田先生はその前に攻めたいのです。
香を走り、精算して
飛を取ったのですが、73桂成が先ですよね。
73銀に逃げられて、64馬の王手も73香、銀を手に入れていないので攻めにくいです。この図になる前に、どこか勘違いをしていたのだと思います。
48歩と受けに回るのでは駒損で
香を使わされるのでは逆転されています。
有利になった大山先生は52金打ち、受け潰しです。
64馬を追い、さらに馬の筋を避けて92歩を払うのもぴったりで、上手玉はずいぶん堅くなりました。
龍は馬取りにして
竜と馬を交換してしまいます。
84歩の催促で85桂と73香を交換させ、嫌味がなくなりました。
75歩を取り、金を上がって盤石です。
それから76歩と突き出せば、下手はこの歩を取ることができません。
仕上げは96角で王手飛車取りに準じています。41飛には紐がついているので厳しくはなさそうですが
74歩の手筋には86桂の王手、
79玉に75桂で投了です。86歩には87桂成でも69角でも受けなし。
星田先生は良さそうな将棋を勝てませんでした。大山先生は前局の反省からか、より守備的に手堅く勝ちきりました。
#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.41 棋譜ファイル ----
開始日時:1944/04/23
手合割:香落ち
下手:星田啓三4段
上手:大山6段
手数----指手--
1 3四歩(33)
2 7六歩(77)
3 4四歩(43)
4 2六歩(27)
5 5四歩(53)
6 2五歩(26)
7 3三角(22)
8 1六歩(17)
9 1二飛(82)
10 1五歩(16)
11 6二玉(51)
12 6八玉(59)
13 7二玉(62)
14 7八玉(68)
15 4二銀(31)
16 4八銀(39)
17 8二玉(72)
18 5八金(49)
19 7二銀(71)
20 9六歩(97)
21 9四歩(93)
22 5六歩(57)
23 5三銀(42)
24 6八銀(79)
25 5二金(41)
26 7七銀(68)
27 6四銀(53)
28 7九角(88)
29 4五歩(44)
30 3六歩(37)
31 7四歩(73)
32 3七桂(29)
33 4二飛(12)
34 6六銀(77)
35 7三銀(64)
36 1八飛(28)
37 6四歩(63)
38 1四歩(15)
39 同 歩(13)
40 同 飛(18)
41 6五歩(64)
42 7七銀(66)
43 1三歩打
44 3四飛(14)
45 4三金(52)
46 3五飛(34)
47 4四金(43)
48 3三飛成(35)
49 同 桂(21)
50 1三香成(19)
51 4三飛(42)
52 3二角打
53 2八飛打
54 9五歩(96)
55 同 歩(94)
56 9三歩打
57 4二飛(43)
58 2三成香(13)
59 4三金(44)
60 2一角成(32)
61 2五桂(33)
62 同 桂(37)
63 同 飛成(28)
64 1三角成(79)
65 2八龍(25)
66 3二成香(23)
67 6二飛(42)
68 3五馬(13)
69 3七歩打
70 2九歩打
71 同 龍(28)
72 3一馬(21)
73 3八歩成(37)
74 5七銀(48)
75 3七と(38)
76 8五桂打
77 3八龍(29)
78 9五香(99)
79 9四歩打
80 同 香(95)
81 4七と(37)
82 9二歩成(93)
83 同 香(91)
84 同 香成(94)
85 同 玉(82)
86 9三歩打
87 8二玉(92)
88 6二馬(35)
89 同 銀(73)
90 6四馬(31)
91 7三香打
92 9二歩成(93)
93 同 玉(82)
94 9三歩打
95 8二玉(92)
96 9二歩成(93)
97 同 玉(82)
98 4八歩打
99 5八と(47)
100 同 金(69)
101 4九龍(38)
102 5九香打
103 8二玉(92)
104 9二歩打
105 9三歩打
106 2三飛打
107 5二金打
108 2一飛成(23)
109 5三金(43)
110 2八馬(64)
111 9二玉(82)
112 7五歩(76)
113 3七歩打
114 同 馬(28)
115 3九龍(49)
116 2八馬(37)
117 同 龍(39)
118 同 龍(21)
119 8四歩(83)
120 7三桂成(85)
121 同 銀(62)
122 2一龍(28)
123 7五歩(74)
124 6八銀(57)
125 6四金(53)
126 4一飛打
127 6二金(52)
128 4二成香(32)
129 7六歩(75)
130 8八銀(77)
131 9六角打
132 7四歩打
133 8六桂打
134 7九玉(78)
135 7五桂打
136 投了
まで135手で上手の勝ち
下手の松浦先生の手を考えます。
第1問
素直に進めて良いかどうかの判断です。
A 44同角 B 45桂 C 34歩
第2問
どう攻めますか?
A 45歩 B 55桂 C 13歩
第3問
詰めろをかけて寄せ合い勝ちです。
A 95歩 B 83金 C 63桂成
今日の棋譜20200329
昭和19年4月、松浦卓造先生と昇降段棋戦です。四番勝負の3局目、これが問題の対局です。
大山先生の香落ち上手で三間飛車です。
松浦先生は76歩を突いていないので鳥刺しを見ています。57銀左の形になっているのが当時としては斬新です。いや、57銀左からの急戦というのは鳥刺しを下敷きに開発されたのかもしれません。
香落ちなので1筋をねらう手が出てきます。
1歩交換できれば手が広くなります。19香が攻め駒になるというわけです。
大山先生も3筋の歩を交換して、と思ったら松浦先生は46銀でした。36歩35歩45歩同銀35飛36銀は大丈夫です。
大山先生は34銀と出て、26飛に
3筋の位を取りました。
松浦先生は引き角にしても大したことはないので76歩を突いて
銀を引いて46歩を突き
二枚銀で45歩の仕掛けです。34銀型の三間飛車は珍しいですが、四間飛車に二枚銀で35歩同歩45歩と仕掛けるとこの類型になります。この攻防を研究しておくとちょっとおもしろいです。
松浦先生は1筋の歩を交換して左銀を引いてから仕掛けているので、仕掛けの手が遅れているから有利にはなりにくそうですが。
振り飛車としては42飛44歩に同飛というのが受けの手筋です。ここで24歩同歩46銀左として、いろいろな変化があります。
本譜の46歩も桂を跳ねるという手筋ではあるのですが、二枚銀の厚みを生かしていません。飛を引かれて
角を交換して66角。大山先生の応対も難しいですが
55歩同角は良いとして、36歩は33角成同桂36飛に35歩しかなさそう、歩切れでまずいのですが。36歩ではなく65桂とか53飛22角成33角とか、工夫が必要でした。
36同飛だったので35銀16飛までは当然か。ここから36歩45桂34飛38歩44銀くらいでしょうか。それを44銀として
桂を取って飛を成った、というのは平手ならば悪くもないのですが
左香がないので14飛から飛を使われてしまいます。角を合わせるのは手筋ですが
もう一度打たれて、25桂11飛成が自信なし。すぐに52銀や71銀はちょっと足りないですが、37桂成同銀同竜として55桂を打たれたりしたら負けます。
57歩59金引37角はあわてて攻めたという感じです。
38歩に19竜というのはシャレた感じがしますが
素直に交換されて11飛
18飛に41飛成というのは52銀を見られて厳しいです。寄せ合いでは勝てません。
12飛成は粘りの手ですが、33桂を取られて銀歩3と香の交換です。かなり苦しくなりました。
松浦先生は急がずに4筋の歩を伸ばします。
歩の裏に香を打たれますが
と金を作れば駒得は保っています。大山先生は馬を引いて粘ろうというのですが
松浦先生は何もさせないと15歩、竜を取りに行くかもしれません。大山先生は馬を出ていきますが
55桂~63香を食らって、受けがなくなっていきます。
35桂~47桂不成で寄せ合いです。これで勝ちならばよいのですが
上手玉のほうが先に詰めろがかかるので、寄せ合い負けでしょう。61同銀に
82金が詰めろ。83銀の受けに
63桂成59馬、やっと下手玉も詰めろがかかりました。角を補充されてもだめですが
そのまま上手玉が詰んでいました。
川口先生いわく、「この敗戦について大山は何も語っていない。しかし人生観が変わったのではないか。負けてくれるだろう、などとという甘い考えは、将棋においては禁物なこと。そして、自分が棋界内部で好かれていないことなどを思い知った。五十歳までの勝負の場での大山の冷酷な感じは、この敗戦があったからだと思う。」
負けてくれない松浦先生が悪人なのではなく、大山先生の技量がまだ足りなかっただけです。でも勝負師人生では大事な教訓になりました。
#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.41 棋譜ファイル ----
開始日時:1944/04/22
手合割:香落ち
下手:松浦卓造4段
上手:大山康晴6段
手数----指手--
1 3四歩(33)
2 2六歩(27)
3 3二銀(31)
4 4八銀(39)
5 4四歩(43)
6 5六歩(57)
7 4三銀(32)
8 2五歩(26)
9 3三角(22)
10 6八銀(79)
11 3二飛(82)
12 3六歩(37)
13 6二玉(51)
14 5七銀(68)
15 7二玉(62)
16 6八玉(59)
17 8二玉(72)
18 7八玉(68)
19 7二銀(71)
20 1六歩(17)
21 6四歩(63)
22 1五歩(16)
23 5二金(41)
24 5八金(49)
25 7四歩(73)
26 1八飛(28)
27 5一角(33)
28 1四歩(15)
29 同 歩(13)
30 同 飛(18)
31 1三歩打
32 1六飛(14)
33 3五歩(34)
34 4六銀(57)
35 3四銀(43)
36 2六飛(16)
37 3六歩(35)
38 同 飛(26)
39 3五歩打
40 2六飛(36)
41 5四歩(53)
42 7六歩(77)
43 3三角(51)
44 5七銀(46)
45 6三金(52)
46 4六歩(47)
47 7三桂(81)
48 4七銀(48)
49 9四歩(93)
50 9六歩(97)
51 8四歩(83)
52 3七桂(29)
53 1四歩(13)
54 4五歩(46)
55 4二飛(32)
56 4四歩(45)
57 同 飛(42)
58 4六歩打
59 4三飛(44)
60 3三角成(88)
61 同 飛(43)
62 6六角打
63 5五歩(54)
64 同 角(66)
65 3六歩(35)
66 同 飛(26)
67 3五銀(34)
68 1六飛(36)
69 4四銀(35)
70 同 角(55)
71 3七飛成(33)
72 4八銀(57)
73 2八龍(37)
74 1四飛(16)
75 3三角打
76 同 角成(44)
77 同 桂(21)
78 4四角打
79 5七歩打
80 5九金(58)
81 3七角打
82 3八歩打
83 1九龍(28)
84 同 飛(14)
85 同 角成(37)
86 1一飛打
87 1八飛打
88 4一飛成(11)
89 1二飛成(18)
90 3三角成(44)
91 2八馬(19)
92 4五歩(46)
93 1七馬(28)
94 4四歩(45)
95 4五香打
96 4三歩成(44)
97 4七香成(45)
98 同 銀(48)
99 7一馬(17)
100 1五歩打
101 2六馬(71)
102 5五桂打
103 6二金(63)
104 6三香打
105 3五桂打
106 6二香成(63)
107 4七桂(35)
108 7一銀打
109 9三玉(82)
110 6一龍(41)
111 同 銀(72)
112 8二金打
113 8三銀打
114 6三桂成(55)
115 5九馬(26)
116 8三金(82)
117 同 玉(93)
118 7三成桂(63)
119 同 玉(83)
120 8二銀打
121 投了
まで120手で下手の勝ち
後手番大山先生の手を考えます。
第1問
桂を殺されて難局です。千日手も見えますが、駒を取りに行きました。
A 48馬 B 28銀 C 35銀
第2問
うるさい攻めなので思い切った受けが必要です。
A 32歩 B 44金 C 46馬
第3問
しぶとく粘られていますから、切れない攻めを選びます。
A 68銀 B 48金 C 88歩
今日の棋譜20200328
昭和19年4月、高島一岐代先生と昇降段棋戦です。
76歩から始まった相掛かりは、ここで横歩を取られないように26歩同歩同飛23歩26飛としなければいけないのですが
高島先生は87歩を打ってしまったので、大山先生は横歩を取りました。当時としてはかなり珍しいでしょう。24歩同歩同飛23歩84飛82歩38銀でひねり飛車のように指せばまだ互角ですが、もちろんそんな発想がある時代でもなく
大山先生は2手遅れていますが1歩得です。
駒組みの途中で高島先生から角を交換してしまったので1手損、主張するところがないです。
大山先生はそのまま駒組みをする(7筋の歩を伸ばしていく)のが最善だと思うのですが、49角と打ち込みました。67角成同金87飛成と58角成の両ねらい。でも68玉で受かりますね。59銀~58銀で死にますから指しすぎです。58角と打っておいても68玉49角成16角、どうもこの角打ちの筋はうまくないようです。
高島先生は86銀と受けたので、大山先生は端攻めです。
うまく攻めきれるかどうか。
桂を取って75桂を打ち
85角成は58銀を避け、85同銀同桂を期待したものですが、76歩96歩同香同馬99香とされた75桂と96馬が両方取られそうでした。と言って85角成ではなく85桂同銀同角成86香も嫌なところで(49馬84香59馬で寄せきれるか)、49角からの攻め方が怪しいです。こんなことならば、59銀と引かれる前に86飛同歩27銀の攻めのほうが良かったのか。
高島先生は後手から96歩を打たれるのを気にして96歩の受けだったので大山先生は49馬。これならば先は長いです。
48馬28飛39馬・・・で千日手の可能性もありましたが、大山先生は85桂で打開しますが
桂を殺されて駒損になりそうです。
仕方なく35銀を打って桂の取り合いです。先手の飛が歩越しなので悪くはないです。
高島先生は飛を使いにくいですが、攻め駒は豊富です。桂を打って34桂をねらい
攻めていきたいのですが、64桂で飛を取られるので一度65歩、これでは苦しいです。
19香を取られて駒損、攻めていくしかありません。25桂から
35歩、飛を使えていないので攻めに手数がかかります。大山先生は攻め合いに出ました。
高島先生は攻めの棋風ですから受けは考えません。銀をとって34歩を取り込み
成り捨てて35香、堅いところを攻めているので大変そうですが、手はつながります。
大山先生は46桂を取って受けます。
飛取りで3筋をカバーするのですが
高島先生は飛を逃げる人ではありません。22銀は31角52玉33銀成という攻めを見ています。(でも46桂31角52玉33銀成39飛69銀33飛成という受けはあった。)大山先生は危ない受けは考えずに32金打ちです。
高島先生は金を剥がして38香(なぜか39香ではないのですが、46桂を誘ったものか)、これは46桂同歩のときに34桂から後手玉を詰まそうというねらいです。
一旦は35歩の受けに同香ではなく78角を打ったというのが不可解で、頓死筋を見破られたと思ったか。35香46桂同歩34歩などと受けられたら投了くらいのほうが形だとは思うのですが。
46桂同歩のときに後手玉に詰みはありません。大山先生は飛を打ち
合駒を使わせて76香。確実に寄せればよいだけです。
66角の受けに52金というのは念入りです。
金を剥がして76桂
玉をかわせば頓死筋などもなく、後手玉は3手すきです。
87金には88歩
59桂には66銀
桂銀を消されましたが
77金は詰めろ、68銀に67桂?これは89歩成で詰みでしたが
気が付かなかったようで、67同角同金で投了でした。67同銀右には86飛か、最後がすっきりしませんが大山先生の勝ちです。
大山先生の攻めがうまくない、というのは攻めが発達した現代の目で見ているせいかもしれません。でも大山先生がうまく読み切れていないと感じます。良くなったときに勝ちを急がない指し方で勝ち進んでいたのでしょう。この時代の棋譜だけ見ていると、強いけれど平凡な才能の若者だったのか?という気さえします。
#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.41 棋譜ファイル ----
開始日時:1944/04/21
手合割:平手
先手:高島一岐代6段
後手:大山6段
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 8四歩(83)
3 2六歩(27)
4 8五歩(84)
5 2五歩(26)
6 3二金(41)
7 7八金(69)
8 8六歩(85)
9 同 歩(87)
10 同 飛(82)
11 8七歩打
12 7六飛(86)
13 2四歩(25)
14 同 歩(23)
15 同 飛(28)
16 2三歩打
17 2八飛(24)
18 7四飛(76)
19 6九玉(59)
20 8四飛(74)
21 6八銀(79)
22 6二銀(71)
23 4八銀(39)
24 3四歩(33)
25 2二角成(88)
26 同 銀(31)
27 7九玉(69)
28 9四歩(93)
29 5八金(49)
30 9五歩(94)
31 7七銀(68)
32 7四歩(73)
33 6六歩(67)
34 7三桂(81)
35 6七金(58)
36 4九角打
37 8六銀(77)
38 9六歩(95)
39 同 歩(97)
40 9八歩打
41 同 香(99)
42 9七歩打
43 同 桂(89)
44 9六香(91)
45 5九銀(48)
46 9七香成(96)
47 同 香(98)
48 7五桂打
49 7七金(67)
50 8五角成(49)
51 9六歩打
52 4九馬(85)
53 5八銀(59)
54 3九馬(49)
55 2六飛(28)
56 4八馬(39)
57 2八飛(26)
58 3九馬(48)
59 2六飛(28)
60 8五桂(73)
61 同 銀(86)
62 同 飛(84)
63 8六歩(87)
64 8一飛(85)
65 7六歩打
66 3五銀打
67 5六飛(26)
68 4二玉(51)
69 7五歩(76)
70 2九馬(39)
71 3六歩(37)
72 4四銀(35)
73 4六桂打
74 3三銀(22)
75 6五歩(66)
76 1九馬(29)
77 2二歩打
78 同 金(32)
79 2五桂打
80 7五歩(74)
81 3五歩(36)
82 7六香打
83 3三桂成(25)
84 同 銀(44)
85 3四歩(35)
86 4四銀(33)
87 3三歩成(34)
88 同 銀(44)
89 3五香打
90 7七香成(76)
91 同 金(78)
92 3四歩打
93 同 香(35)
94 4六馬(19)
95 3三香成(34)
96 同 金(22)
97 4六飛(56)
98 3四桂打
99 2二銀打
100 3二金打
101 3三銀成(22)
102 同 桂(21)
103 3八香打
104 3五歩打
105 7八角打
106 4六桂(34)
107 同 歩(47)
108 2九飛打
109 6九銀打
110 7六香打
111 6六角打
112 5二金(61)
113 3四歩打
114 7七香成(76)
115 同 角(66)
116 7六桂打
117 3三歩成(34)
118 5一玉(42)
119 8七金打
120 8八歩打
121 5九桂打
122 6六銀打
123 7六金(87)
124 同 歩(75)
125 6六角(77)
126 7七金打
127 6八銀打
128 6七桂打
129 同 角(78)
130 同 金(77)
131 投了
まで130手で後手の勝ち
下手の大山先生の手を考えます。
第1問
香落ちなのでこういう攻め筋があります。
A 36歩 B 18飛 C 14歩
第2問
注意が必要です。
A 14歩 B 14飛 C 24歩
第3問
ここもうっかりしそうです。
A 12同と B 14飛 C 24歩
第4問
手筋です。
A 59玉 B 57歩 C 46歩
今日の棋譜20200327
昭和19年4月大野源一先生と昇降段棋戦です。これは川口先生の本にもWikipediaにも書いてありますが、大山6段が召集令状をもらい、帰ってこれないかもしれないから(太平洋戦争も後半です)将棋連盟は7段昇段で送り出すところを、大山先生が4連勝すれば規定で7段になるからと申し出た四番勝負です。
大野先生の香落ち上手で中飛車です。
早々と王手は珍しく
平手ならば62玉~51飛としておくところですが、香落ちでは端を守らねばならない時があるので飛は2段目に。これだと1手かけて飛先の歩を交換しただけです。
早囲いにしましたが、大山先生は両方の端の位を取ります。大野先生は中央で得をしないといけないわけですが
左銀を出て中央の位を取るだけではすぐの効果はないです。大山先生は端から仕掛けました。
13歩の受けは同香成と取ります。
14歩から桂を取るのではなく18飛。大野先生は飛で受けます。14歩ならば15香がありますね。
だから大山先生は14飛、角の筋の内側に入りました。
引き角にして端をねらえば、11香の受けしか無いでしょう。
あわてず桂を跳ねて、上手25桂の決戦を避けておきます。
飛を引いてから14歩とすれば、大野先生は歩切れなので端を受ける手がないです。下手有利。
大山先生は桂を取ってから12歩を打ち
12同香で上手15歩の受けができたので、24歩の突き捨てを入れておきます。
大野先生は24同歩と応じなかったので2枚目の と金を作られ
飛を成られて、左翼の受けはなくなりました。
7筋を押し込みましたが、打ち込む駒もないので43金取りを受けるために手が戻ります。
受けの53飛に、大山先生は端攻め。94同歩92歩同香93歩同香34と同金53竜同角92飛~93飛成と攻めるのか、75香から桂を取って85桂の筋か。どちらでも良いでしょう。
大野先生は香を見切って桂を跳ねて攻めます。
でも77歩を取ってもらえなくて
54金で飛をぶつけました。大山先生は75香を利かせてから
91香を取っておきます。
35角の王手には46歩。46同角59玉とすると、19飛の王手に49歩の受けが利きます。
17桂を取られても、92飛から寄せに入ります。
81同玉に73香成92玉84桂93玉72桂成では攻めが細いので、94香同桂同飛成の方でしょうか。
大野先生は歩を成り捨てて74歩で受けましたが
大山先生は桂を取って86桂、~74桂と跳ねる寄せです。
81玉に94飛成、急がなくても大丈夫です。
桂香を取り合って、93香成から
寄せて終わりです。
兄弟子の大野先生が本気を出せる状況ではなく、大山先生の快勝です。
そういえば22日に並べた将棋は、一足先に応召された原田先生との対局でしたが、大山先生が勝っていました。原田先生の性格を考えるに、あなたもいつ召集されるかもわからないから本気を出してほしいと願ったのでしょう。今日からの4局は大山先生が勝ちたい将棋で、手加減してくれと言うわけではないですが、相手は本気で負かすわけにはいかないはずです。それが・・・
#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.41 棋譜ファイル ----
開始日時:1944/04/20
手合割:香落ち
下手:大山6段
上手:大野源一8段
手数----指手--
1 3四歩(33)
2 2六歩(27)
3 5四歩(53)
4 2五歩(26)
5 3三角(22)
6 5六歩(57)
7 5二飛(82)
8 4八銀(39)
9 5五歩(54)
10 同 歩(56)
11 同 飛(52)
12 6八玉(59)
13 5二飛(55)
14 7八玉(68)
15 6二玉(51)
16 7六歩(77)
17 4四歩(43)
18 6八銀(79)
19 7二玉(62)
20 1六歩(17)
21 3二銀(31)
22 1五歩(16)
23 4三銀(32)
24 9六歩(97)
25 6二銀(71)
26 9五歩(96)
27 5四銀(43)
28 5八金(49)
29 5五歩打
30 1四歩(15)
31 同 歩(13)
32 同 香(19)
33 1三歩打
34 同 香成(14)
35 同 桂(21)
36 1八飛(28)
37 1二飛(52)
38 1四飛(18)
39 3二金(41)
40 7七銀(68)
41 4三金(32)
42 7九角(88)
43 1一香打
44 1七桂(29)
45 4五歩(44)
46 1六飛(14)
47 5二飛(12)
48 1四歩打
49 5六歩(55)
50 1三歩成(14)
51 6五銀(54)
52 1二歩打
53 同 香(11)
54 2四歩(25)
55 7四歩(73)
56 2三歩成(24)
57 4四角(33)
58 1二と(13)
59 7三桂(81)
60 1三飛成(16)
61 7五歩(74)
62 2四と(23)
63 7六歩(75)
64 8八銀(77)
65 5三飛(52)
66 9四歩(95)
67 同 歩(93)
68 9二歩打
69 7七歩成(76)
70 同 銀(88)
71 8五桂(73)
72 8八銀(77)
73 7七歩打
74 6八玉(78)
75 5四金(43)
76 7五香打
77 7三銀(62)
78 9一歩成(92)
79 1三飛(53)
80 同 と(12)
81 3五角(44)
82 4六歩(47)
83 1七角成(35)
84 9二飛打
85 8二桂打
86 8一と(91)
87 7八歩成(77)
88 同 玉(68)
89 7四歩打
90 8二と(81)
91 同 銀(73)
92 8六桂打
93 8一玉(72)
94 9四飛成(92)
95 9三歩打
96 8五龍(94)
97 7五歩(74)
98 9三香成(99)
99 9一香打
100 8三成香(93)
101 投了
まで100手で下手の勝ち