名南将棋大会ブログ 名古屋

名南将棋大会告知や結果のほか、
将棋が強くなるための記事を書きます。
まずは将棋上達法則を見てください。

対局する言葉

2015-10-31 | 将棋本 断捨離
対局する言葉―羽生+ジョイス (河出文庫)
単行本は1995年出版、文庫は1996年出版で、羽生先生と柳瀬尚紀さんの対談です。

柳瀬尚紀さんは翻訳家。文学とか翻訳とか、言葉の世界のプロです。さすがに羽生先生でもそこまで知識がないので、対談は難しいのですがそれでも成立させてしまうのが一芸は万芸に通ず、というところでしょうか。
文学や翻訳の世界の話も興味深いのですが、羽生先生の言葉を記録しておきます。(そのままではないです。)

天野宗歩は序盤の感覚が手合い違いだった。升田先生も同じ。時代の最先端だった。

大山先生の将棋は大局観、相手との兼ね合いで手を進めて間違いをとがめて勝つ。

米長先生は、将棋は奥が深いからどうやってもいいと勢いを重視していたが、年を取って若者の将棋を取り入れた。

中原先生は逆に独自路線、従来の感覚を捨てた。

(高柳先生によると)谷川先生は論理、羽生先生は思考の飛躍がある。

将棋は難しくてわからないけれど、ここ10年で部分的にはわかるとわかってきた。

全力を出し切ったことはない(狂気の世界に入るからブレーキをかけた、ということではなく、まだできていないと後に書かれた。)というのはおまけ。

この時は羽生先生6冠で、7冠達成の少し前。神がかっていたころ。興味深い話が多いです。
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20151031今日の一手<その193>;勝負手

2015-10-31 | 今日の一手
20151031今日の一手

24日の東海リーグからもう1局。形勢判断と次の一手を考えてください。








昨日の一手の回答

対局相手のKさんのブログはこちら。
http://blog.goo.ne.jp/kengosky6/e/c26dc9b7c8ed20598df94550517b06d2
両方の立場で見ると面白いです。

☆ 形勢判断をします。
飛歩と桂香の交換で先手やや駒損です。
玉の堅さは同程度。
先手の攻め駒は21馬と持ち駒銀桂香で4枚。15香は加えるべきか悩みます。
後手の攻め駒は19角26銀持ち駒飛で3枚。
総合すれば互角です。

大局観として

この局面は互角だと思うのですが、後手玉に迫るのが難しく、考え込んでしまいました。といっても読めないのでいつものように早指しなのですが。迫る手が難しいというのは、先手(実際は後手ですが)が歩切れだということ、馬はあるのですが、飛がないので後手玉が6,7筋方面に逃げ出すと攻め足が遅いということに起因しています。

先手玉は28飛と打たれると38銀には27銀成と使われるので69玉29飛成38銀ということになります。持ち駒銀を使うので攻撃力が減ってしまいます。
では28飛を防ぐべきかどうか。例えば39金で防いだとしたら、(その局面が互角だとして)互角の局面で相手の手番になるのでやや苦しいのです。1手かけたら相手の攻めが2手遅れるような受けがあるか。それを考えます。


× 実戦では39金としました。

28飛が厳しいという判断です。これに37銀成とか17歩成同歩18飛69玉28角成とかの攻め筋もあったと思います。でも15銀と取られました。そこでまた悩んで46香。

悩んだのは、25香31銀33玉に14桂

が見つからなかったからで、見つかったのでやや自信があって46香と指したのですが。

本譜の31同金

は43香成41玉33桂31馬まではすぐに見えて、あいいだろうと思って、33玉のほうばかり考えていたのです。でも銀を取られて逃げられたら手がありませんでした。

こうなると攻め足が遅いんですね。後手からの攻めが29香成なのですが、これが案外早いのも誤算です。29香成の後、39成香は詰めろ。29同金37馬が王手です。つまり、39金で1手稼いだくらいのつもりが、稼いでいなかった、後手は駒得しながらの攻めなので切れないという状況になって、敗勢です。

感想戦で、46香(これはKさん想定外)の代わりに66香ではないか、ということになったのですが

挨拶してくれれば攻めが速くなるのですが、25香64香29香成

48金64歩のときに、45桂は31香でだめ。

39飛には49銀と使わなければいけないのでまず勝てません。

46桂が一番難しそうですが

25香34桂51玉84香52飛

後手は少し妥協してこれくらいでも悪くないです。32馬から42金で飛車を取っても攻め合い負けになるようです。


× 39金の他に、38金は形が悪いのでろくに考えなかったのですが

実戦のような25香の筋が緩和されています。でも27銀成がありました。

27同金は39飛から29飛成でぼろぼろになるので、38金28成銀49金29成銀

これは問題図より後手が得していますね。

他に、28飛を受けるのに38銀と投入するわけにもいかない(攻め方が無くなる)ので、受けない手を探します。


○ 少し遅いように見えますが、13香成(12でも同じ)が自然な手。香取りから逃げたという意味もあります。

28飛に69玉

29飛成38銀18竜ここまでは見えて、つまらないからと止めたのですが、32馬がありました。


32同玉29金で竜を殺します。同竜同銀で

12飛から飛車の素抜きが残りますね。41玉21飛52玉22飛成42桂23成香

37馬38銀55馬

33成香51金66銀

あとは馬を追いかけつつ後手玉に迫ればよいです。先手玉が堅くなったこともあわせて、先手有利。

後手としては、竜が取られることに気が付いたら18飛成が正着。

でも気が付かないと思うのですが。あるいは28角成から19飛としておくべきか。
まあ、ここから22成香同金同馬28角成

39金打29馬同金同竜

今度は金がないので竜が死にません。やや後手有利。


△ 先に69玉は含みを持たせた手。

28飛13香成なら前の変化に合流です。
15銀66香28飛39金

香車を取られても、この金寄りがあるのです。
18飛成64香同歩55桂

38香31銀33玉42銀打

42同飛同銀不成同玉43桂成

43同玉41飛33玉61飛成39香成

なんとも激しい順ですが、ここまでくれば後手が有利か。後手が受け待ちがいそうなので実戦ならわかりません。


× 最後は66香。

28飛69玉29飛成38銀

18竜32馬同玉29金同竜同銀

この時に66香より13香成のほうが働いているので、やや損です。

あるいは、66香に15銀として

64香同歩55桂

25飛31銀33玉42銀打

42同飛同銀不成同玉43桂成

43同玉41飛33玉61飛成29飛成

この図も後手がよいです。


問題図では39金がピッタリした受けだと思ったのが敗因です。ぬるく見えるのですが15銀と香車を取るのが攻防なんですね。25香から29香成が思っていたより速いので負けです。受けた1手が1手の価値しかなかったので少し苦しいです。
38銀と打つところまで見えていたのに、そのあと飛車を殺すことに気が付けばよかったのですが。この日は手は見える読める、と調子は良かったのですが、読みを打ち切った先に自分や相手の好手があったのが不運でした。
少し悪いという形勢判断があれば(悪くないと思っていました)29金を考えたかもしれません。
形勢が悪い時は変化球を考える、飛車を打たせて召し上げるというのが攻防にもなるので勝負手です。見破られて18飛成とか28角成から19飛とかなら少し悪いのですが、そのときは仕方ありません。


後手一手損角換わりは、悪い手を指していなくてもやや苦しく、気が付かない手が最善で、それならやや指せたかも、という展開が多いです。なので別の戦法を考えていたのですが、ついやってしまいました。











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戦いはこれからだ

2015-10-30 | 将棋本 断捨離
戦いはこれからだ―人間的魅力の研究 (ノン・ポシェット)
1999年出版、米長先生と藤沢秀行(しゅうこう)先生の対談です。
この本が、というよりは秀行先生の生涯が面白すぎます。ぜひ読んでください。米長先生も遊び暮らした部分はありますが、秀行先生のほうが桁違いに破天荒です。

将棋は終盤になるほど複雑になるので(といっても収束してしまうのが不思議ですが)、読みの力がものをいいます。囲碁はだんだん手の可能性が少なくなっていく、序中盤の手の可能性が大きいので、感覚のほうがものを言います。というのは子供のころ囲碁のルールを覚えただけの私が言うので的がずれているかもしれません。でもそういうものでしょう。男女のレベルの差が少ないのと詰碁の世界が詰め将棋より狭いこと、年配になっても活躍できるのはそういうことかと。昔の棋士のほうがレベルが高かったという話も聞きます。
まあそれはともかく66歳で囲碁のタイトルを取った秀行先生に50歳名人の米長先生が話を聞き、まだまだ修行だというのですから、楽しいのです。

筋とは関係ないのですが、米長先生の名人を取ったころ、NTT株を安値と思って買って破産しそうだったみたいです。それくらいのことがないと悲願はかなわないのでしょうか?

本を読んで記録しておくべきことは2つ。

勝つための勉強ではなく強くなる勉強をする。自分で苦心して悩んで考え抜くこと。
味や含みがあるのが本来の将棋や囲碁

最初に読んだときは素直に感心していたのですが、その後の米長先生がふるいませんでした。囲碁はともかく将棋は解明されつつある気がします。論理思考の積み重ねによって。年を取ると盤面のイメージを頭の中で考えるのが難しくなってくるので、それをカバーする力をつけるべき、それが直感やそれに関係するものではないかと考えています。
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20151030今日の一手<その192>;攻めさせてカウンター

2015-10-30 | 今日の一手
20151030今日の一手

24日東海リーグの2局目です。形勢判断と次の一手を考えてください。








昨日の一手の回答

☆ 形勢判断をします。
銀歩と香の交換です。先手に持ち歩があり成香で後手玉の近くにあるのですから、駒の損得はほぼありません。
玉の堅さは先手のほうがやや堅いです。
先手の攻め駒は28飛12成香持ち駒角香で4枚。十分です。
後手の攻め駒は持ち駒角銀で2枚。82飛と75銀が先手陣に届くのはもう少し先です。
総合すれば先手が有利。

大局観として

実際は私が後手で、手損なしの角換わりなのですが、後手(実際は先手)の玉の移動が早すぎて、棒銀で端を破ったのが厳しくなりました。
問題図の少し前、

ここで右から攻めるのもありそうだけれど、68玉64銀79玉75歩、と後手に動いてもらって、カウンターで攻め合い勝ちにしようと思いました。居玉は避けよという格言がありますが、少し意味合いが違います。7筋から攻めさせるので居玉のほうが堅いのかもしれません。
それで問題図になるのですが、24歩は同歩の一手だと思っていました。そこで21成香同金45桂の筋にしようか、25歩の筋にしようかと考えていたのです。今見ると前者は指しすぎか。25歩は厳しそうですね。

で、問題図ですが、後手に動いてもらったので55角の筋を伏線に攻めることができます。その前に76歩と打つか、打たせて攻め合いで勝てるか、という判断が必要です。


△ 実戦では76歩と打ちました。

86歩同歩同銀同銀同飛に22銀

取れば王手飛車ですから87銀に31銀成同玉88香

78銀成同玉87歩同香に

同飛成はびっくりしました。同玉82香86歩同香同玉85歩

これで77玉と逃げて勝ちになりました。

途中の変化として、88香に同銀成もあります。

88同金に87香

77金89香成69玉

88飛成は交換して71飛が残って困ります。これでどうにか受かっています。

びっくりした87同飛成では69銀が普通です。

69同玉87飛成78銀82竜(61銀の筋を受ける)

これはまだ難しいと思っていました。Sさん、残り時間が少ないので長引いては勝てないから勝負しに行った、ということでした。


○ もう一つ有力に見えるのが22歩です。これは1歩もらったのでできる筋ですね。

76歩に31歩成

21同金(一回取るほうが得)同成香77歩成

77同桂76歩55角

64銀22角成42玉23馬

詰めろで銀が取れるので先手勝勢。あとで74桂があるのも心強いです。


△ 26香は俗手ですが

76歩24香同歩22銀

実戦にも出ましたが、また俗手です。
77歩成31銀成同玉77桂

24飛を防いで25香に21成香42玉(41玉でも)46角

飛車取りを防げば24角から25飛という筋。飛車交換なら難しくない寄せです。

後手の変化は24香に77歩成

23香成41玉(42玉は15角)77桂

86歩同歩76歩に22成香左

77歩成31成香51玉77金

65桂21飛成77桂成33角

ここまで進めてやっとはっきりしましたが、先手に余裕がある攻め合いです。


× 46角は変化球。

64歩なら76歩と打って

86歩同歩同銀なら64角

という意味なのですが、

最初に64角と合わされると

王手飛車の筋が減るので損です。


○ 全く気が付きませんでしたが、14角があります。

24飛を受けるのに33玉は21成香同金45桂

22玉24飛同歩33銀

31玉には22歩、12玉には24銀成、13玉には15香でピッタリ寄っています。

14角には33銀打か。

26香と足せば受けがなく、76歩には24香

24同銀同飛77歩成

23飛成42玉77桂76歩21成香

これは先手勝勢。



問題図の前、ずっと14角の筋で後手は受けが難しかったのです。気が付きませんでした。まあ32玉の形の角換わりは少ないですし、まして棒銀で攻めて優勢なんてまずお目にかからないくらいの成功の図ですから、見えなくても仕方ないと思うのですが。気が付きました?狭いところに角を打つのは盲点になりやすいです。

それを除外すれば、68玉から79玉という構想、攻めさせてカウンターを狙うというのが勝因だと思っています。右から攻めて玉に逃げられて怪しくなる、というのは(私の力では)よくあることですから。
その時は79玉の位置が一番いいです。89桂にひもが付いています。それでも攻めてこなければ、59金から68金右と固めるだけです。

問題図ではやはり22歩が自然でした。76歩で銀も交換させて攻め駒を増やすというのは少し危険です。76歩で1手、77歩成同桂76歩で2手、77歩成同金65桂で3手分攻めさせても飛車の横利きがあれば詰めろではありません。その間に22歩から攻めればよかったのです。
26香から攻めるのも同じ理屈です。26香よりは22歩のほうが効率がいいです。










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人生、惚れてこそ 勉強の仕方

2015-10-29 | 将棋本 断捨離
人生、惚れてこそ―知的競争力の秘密

勉強の仕方―頭がよくなる秘密 (ノン・ポシェット)
1996年出版、米長先生と羽生先生の対談本です。

最初の単行本、積読になっていました。読んだ形跡がない。それで文庫を買って、こっちは読んでいました。
この二人の対談だから面白いのですが、どうしても米長先生が中心になるのでつっこみがなくて一番聞きたいことがぼけてしまっています。

再読してメモしておくことは

最初は物まねから始まる。まずは人まねを素直にその通りにやってみること。そのあとで自分なりの方法を考える。

短期的な勉強と長期的な勉強は違う。(具体例をやってほしかったのですが。)目先の勝利を追わないこと。

この二つです。
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20151029今日の一手<その191>;有力な筋がたくさんあるのは有利だから

2015-10-29 | 今日の一手
20151029今日の一手

25日は東海リーグ団体戦でした。たまには私の将棋です。(名南将棋大会、なぜか偶数の参加が続いていて私が入れないのです。)形勢判断と次の一手を考えてください。








昨日の一手の回答

☆ 形勢判断をします。
角と金歩の交換、後手に持ち歩があるので歩は考慮に入れず、先手がやや駒損です。
玉の堅さは先手のほうが堅いです。
先手の攻め駒は28飛と持ち駒金銀で3枚。34歩が重要な拠点なので4枚に近いです。
後手の攻め駒は35角と持ち駒角銀で3枚。(今は82飛の働きが悪いので数えません。)
総合すれば先手がやや有利。

大局観として
先手が指せるのですが、この瞬間でよい手を指さないといけません。ゆっくりしていて後手玉が堅くなっては駒損が響いてきます。
28飛の利きが通っているのが最大の主張で、まずは飛車を成る手を考えます。また、27歩とか26歩とか飛車先を止められても38飛で35角に当たり、32の玉をにらんでいるので、飛車を成る手以外もありそうです。

後手のほうから言えば、先手の矢倉に米長流急戦矢倉を目指したのですが、先手は66歩と突かないで、升田先生のころのような急戦矢倉で対抗して、これがうまくいきました。63銀73桂の形を作る間に棒銀で攻められました。後手は継歩の反撃ですか効果は薄かったです。多分序盤の63銀が緩手です。

なお、問題図だけ見ると46銀と打つ手を考えるかもしれませんが、実戦で35の銀を79の角で取って35同角としたばかりなので考えないでしょう。実際、27歩から26銀で飛車先が止まります。


△ 実戦は41銀でした。

41同玉21飛成31歩33歩成

銀は捨てましたが桂馬を取って、と金を作れば攻め駒は4枚。
51玉31竜62玉43と

43同金35竜34銀38竜52銀打。

先手は駒損を回復して桂得になりました。先手有利。ただ、後手玉が安定しているので先は長いです。順当に寄せきりましたが。


△ 33銀と打ちこむ手。

33同桂同歩成同玉に21飛成が空成りなのがちょっと感触が悪いのですが。

飛車の空成り(駒を取らずに成ること)は3割引きで考える、と佐藤康光先生が書いていたと思います。
とはいえ、この図で後手の手は難しく、91竜から39香も見えますね。
後手の受ける適当な手がなければ57銀の攻め合いを調べておけばいいでしょう。45桂44玉に36金としばります。

58銀成同玉57銀69玉34金

後手は金を手に入れて受けます。37桂58角79玉47角成に32竜

先手玉も危ないのですが、どうやら先手が勝勢か。以下は55歩に23銀です。


○ 33歩成は軽い手。

33同桂に34歩が狙いで、後手は26歩と止めるくらい。(27歩でもほぼ同じです。)

38飛には44銀くらいしか受けがありません。

33歩成同玉45桂42玉に35飛で寄せに行きます。

35同銀33角41玉23銀

受ける駒が悪いですね。42角くらいしかありません。32金51玉42金と取って

42同金同角成同飛53桂成

これは寄りです。
途中で39飛の王手には59金でよさそう。これは先手勝勢になるようです。飛車きりを決断すればそんなに難しくないので読み切れるかどうかです。

最初の33歩成同桂に34金とすれば全く違う展開になります。

23飛成があるので27歩に38飛で71角しかなさそう。

33金41玉32銀43金

重い手を指すと重い手が続くという例がまた出てきました。なぜでしょうね。理由はよくわかりません。ともかく、49銀と打たれてもすぐに飛車が成れるようにしておけばいいのです。
35歩にも44桂と重い手。

62金35飛61玉41銀不成72玉32飛成

重い攻めですが、飛車の後押しがあるので問題ありません。重い攻めは攻め足が遅いですが切れません。
81玉52桂成72金53成桂

この後はすぐに銀を取るのではなく、52銀不成です。86歩には83歩とたたかないで84歩が正しい。飛車交換は避けます。
重い攻めはしっかり読まなければ指しにくいのですが、うまく手が続きました。


△ 22歩も考えられます。

26歩の受けに21歩成では27銀で混戦ですが


26歩には38飛

13角打21歩成に49銀でどうか。

35飛58銀成同玉35角

46銀28飛48銀

46角同歩29飛成39金19飛成33角

42桂24角成41玉33歩成

金銀を投入して守った後で攻めれば先手有利。


△ いきなり21飛成もあります。

21同玉33歩成で

部分的には受けがありません。素抜きの筋で受けるしかないです。
59飛59桂79角成

79同玉33飛成35歩

あとは竜を攻めながら後手玉に迫ります。手が多いので先手が指せそうだけど互角としておきます。


問題図では有力な手が多くて迷います。それぞれ先を読まないと決断しにくいのですが、

実戦の41銀は後手玉を安全な方に追うので、角の素抜きまで読まないと指せません。これは後回しの候補。

33銀と打ち込むのは、飛車の空成りの感触が悪いので躊躇します。後手の持ち駒が増えるのも怖いです。読んでみれば有力ですが。

33歩成が一番考えやすいです。33同桂に34歩が本線か。桂馬は取れそうなので攻め駒は十分。飛車切りからの寄せが見えるかどうか。
また、33歩成から34金がみえたら(私はなかなか気づきませんでした)、重い攻めになるので確認が必要です。直線的な筋だけでいいので読みやすいかも。

22歩から21歩成を目指すのも桂馬が取れそうなので一理ある手。でも飛車先を止められて38飛からの順を読むのはやりにくいです。

21飛成は見えたら本線で考えます。一番速いので。でも素抜きの筋があるとわかったらやめるでしょう。


このように、有力な攻め手が多いのは先手が有利だからです。どれも指せそうな気がするときは、どれが自然な手であるかを考えます。自然な手、というのもあいまいな言い方なのですが、駒得しながら攻める手があれば一番自然な手です。他に、相手玉を危険にする手、遊び駒を使う手、駒の働きをよくする手、攻防に働く手、相手の働いている駒を無効にする手、味よく自玉を固める手、というのもあります。こういう手が好手に結びつきやすい手です。
私には33歩成から34歩が一番自然に見えるのですが、どうでしょうか。






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羽生善治 頭の鍛え方

2015-10-28 | 将棋本 断捨離
羽生善治 頭の鍛え方―いかにして「考える力」「集中力」をつけるか (知的生きかた文庫)
1996年出版、大矢順正さんの本です。大矢さんは観戦記者ですね。

インタビューやエピソードをつなげてまとめた本、7冠達成のあとくらいでしょうか。

読み直して羽生先生の強さについて考えること。

森下先生曰く、頭の良さと意志の強さ。
頭の良さについて
羽生先生は得意戦法がないということになっていて、大概の戦法は指しています。オールラウンドプレイヤーといわれます。(価値がないと思って)やらない戦法はあるのですが。
大山先生は後半は振り飛車しか指さなくなって、でも同じ変化にはしなかったことと同じ意味だと思ってよいでしょう。時々は不利な変化でも指しました。
羽生先生は定跡を無視するわけではなく、自分の感覚や読みで見直すのでしょう。いろいろな戦型をやることで実戦の中でこの経験が増えます。だから「初見で正解がわかる」といわれますね。

また、メンタルの強さについて。
対局が開くと調子を崩したことがあり、勝っても負けても将棋が好きなのだなあとおもいます。勝敗より内容というか、ただゲームとして楽しんでいるのでしょう。楽しいから読みに手を抜かないのです。読みを打ち切るところが違うのだろうという気がします。楽をして勝とうとか、負けて楽になろうとか思わないのです。

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20151028今日の一手<その190>;俗手の好手

2015-10-28 | 今日の一手
20151028今日の一手

先月27日の名南将棋大会からAさんとMさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。








昨日の一手の回答

☆ 形勢判断をします。
飛角交換です。ほとんど差はありません。
玉の堅さは先手のほうがかなり堅いです。
先手の攻め駒は28飛と持ち駒飛銀で3枚。
後手の攻め駒は持ち駒角銀銀で3枚。
総合すれば先手が有利です。

大局観として
先手が有利ですが、37歩成を受けて優勢、というわけにはいきません。桂馬を取られても と金を作られても後手の攻め駒が4枚になります。幸い後手玉が薄いので断固攻め合いです。と金を作られたとして、28飛を捨ててもいいですし、58飛とまわれば金取りになるのも好都合です。
ここは強く攻める手を探して、だいたい後手玉が寄り、というところまでめどをつけておきたいです。


× 実戦は45桂でした。

45同桂同歩で後手を引きます。46角58飛57歩

57同金11角成66金51香21飛62銀

こういう進行です。後手玉のほうが堅くなってしまいました。まだ互角ですが、これではつまりません。


× 34歩も場合によってある手。

37歩成33歩成28と32と

取り合いで後手を引いています。と金が使えるのでやや先手リードかも知れませんが選びにくい変化です。

途中、37歩成に58飛53歩33歩成47と は考えられますが

この飛車の始末がよくわかりません。取らせたくはないし、逃げたくもないし、難局です。

なお、最初に58飛とすると53歩と受けられて、この変化に合流しそうです。


○ 53歩と打診します。
62金は51飛で61金41飛成

52歩成と32竜から23飛成を見て先手優勢。

途中51飛に61銀打は58飛

42金34歩37歩成33歩成47と

42と58と同金左

これで52歩成からの寄せを見て先手有利。

戻って、53歩に51金は21飛

62銀58飛42金52銀

これは受けにくいでしょう。先手優勢。

戻って、53歩には42金右が最善で、62銀とおいておきます。

狙いは51飛で、まあ61銀打でしょう。同銀成同銀51飛72銀打58飛

47角にも52歩成

58角成61と

これは先手勝勢。後手は角を渡せないので49馬に71銀92玉62と で受けが無くなってきます。

残りは53歩に同金ですが、51飛で

(71角の受けも結局は同じような局面になります)62銀41飛成37歩成58飛

54歩32竜71角34歩

後手は持ち駒を投入して受けたのでゆっくり攻めます。47と にも59飛と逃げます。先手有利。


○ 41銀は俗手ですが

この場合は32金がいなくなれば23飛成で先手よしですから、受けることはできなくて37歩成しかありません。
37歩成52銀成28と62金

62金も俗手ですね。俗手を指すとなぜか俗手が継続手になることが多いです。これが72金から62飛という筋と71飛から72金を見た好手。受けることができません。
62金ではつい62成銀71銀52金とやって、千日手含みで難しくしてしまいそうです。あるいは52飛にして32金を取るのもいいのですが、長引きます。


△ 25桂はなくはないです。

これに37歩成58飛53歩33桂成同金31飛

というのは先手がいいでしょう。

25桂には同桂同飛で、37歩成には41銀

前の41銀の変化に似てきます。
47角52銀成56桂と脅されたら

58金左25角成62金

これも先手が勝ち。

戻って、25同飛には23の地点を受ける14角です。

このときには53歩の変化を応用して、51金62銀54桂

58飛の応援はないのですが、桂馬を使って攻めることができます。

なので、53歩には同金が結局最善になって、

27飛に62銀

これは先手有利ですが先は長いです。


問題図で攻め合い、と思えば53歩が手筋。自然な手です。これは寄せのセオリーにもあっています。
王手はまだ早い、72銀もまだ遠い、52金を攻める。
攻めるなら小さい駒からで53歩。
と順番に考えるのです。
ただし変化は多いです。どこに逃げるのか受け手も迷いますし、先手が読み切るのも大変です。まあ歩を渡しても罪は軽いので打ってから考えてしまいがちですが。

その次に考えるのはセオリーなら銀です。41銀。素直に42金左は23飛が残る。あれ?有力か、と読みを入れます。42金左は32銀成同金52飛が厳しい。手抜いての取り合いで62金が読めれば解決です。
金は取れても銀を渡すし、手抜かれても銀を使ったことになるし、とマイナス面も多いのですから、しっかり読まなくてはなりません。

次に考えるのは58飛ですが、53歩と打たれると次の有力な手がないので却下。

あとは45桂とか34歩とか25桂はおまけです。その前の手がうまくいかないときの選択肢です。


41銀は俗手ですが、俗手のほうが相手の応手が少なくて読みやすい時があります。手抜かれて形勢を悪くするときも多いので、しっかり読まなくてはなりません。なぜか俗手(筋の悪い手)を指すと、次も筋の悪い手が最善なときが多いです。

別の言い方をすれば、41銀は重い攻め。重い攻めは攻め足は遅くても確実です。軽くて速い攻め(53歩)とどちらがいいかは局面次第です。



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羽生善治 進化し続ける頭脳

2015-10-27 | 将棋本 断捨離
羽生善治 進化し続ける頭脳 (小学館文庫)
2002年出版、田中寅彦先生の本です。

田中先生は文才がないです。ごめんなさい。(本の中では)羽生と呼び捨てているのに先輩棋士は敬語を使います。それだけで印象が悪い。当時は対戦成績がよくて羽生キラーと書かれていたころ、強いと持ち上げておいて自慢しているようで。将棋の世界にいるのなら、自分より強い人努力している人に敬意を払うべきだと思います。自分のほうがつよい、と思うのはトーナメントプロなら当然ですが、言わなくても結果を出せばいいだけのことです。若いころは谷川先生に食いついていましたね。

まあそれはいいとして、羽生先生が強いのは
勝負を度外視して純粋に将棋を楽しめること、冷静さ
情報処理能力、吸収する力
としています。(私の読み方ですが)
もう少しつっこんで分析してほしかったです。


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20151027今日の一手<その189>;隠れた好手

2015-10-27 | 今日の一手
20151027今日の一手

先月27日の名南将棋大会からAさんとHさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。






昨日の一手の回答

☆ 形勢判断をします。
駒の損得はありません。
玉の堅さは後手のほうが堅いです。
先手の攻め駒は71飛と持ち駒角銀で3枚。
後手の攻め駒は69飛と55角で2枚。
総合すればやや後手有利です。

大局観として
先手玉の危険度が問題です。桂馬を渡すと36桂で危険です。のんびりしていると35歩から36歩というのもあり得ます。ですから堅さにかなり差があります。互いに飛車を打ち合ったところ、桂香を取り合って、さあそこからどう寄せるか、なんていう場合ではありません。
まずは桂馬を渡さない方法を考えます。幸い無理にとられても詰む詰まないまでではないのでしのぎようはありそうです。


△ 実戦は81飛成でした。

89飛成に67角

69竜58角99竜に26桂

この後43金に15歩では重複している感じ。26桂を打たないで15歩のほうが勝負かという気がします。
(問題図で58角89飛成81飛成99竜ならこれに合流します。)
自陣角で36桂を防いだので玉が安定しました。でも端攻めでは反動がありますから難局でしょう。


× 78角は見えるのですが。

79飛成34角に36歩が痛いです。

適当な受けがないので、52角成同金42金同金31銀と攻めるのですが

13玉42銀成45桂

これは後手が優勢。
後手は36歩とする前に42金右と用心しておいてもいいでしょう。先手が36歩を避けるのは難しいです。


△ 88金と桂馬を守る手。

87歩に78角が狙いで

34角42金右87金

これなら歩切れで36歩がありません。81飛成から88金、78金と使えればよくなります。

34角には88歩成でどうか。

52角成同金42金同金31銀

13玉42銀成45桂32成銀

後手は89竜くらいで、36銀とか35金とかおいておけば先手が指せそうです。前の変化と比べて、金を取らせているうちに歩切れにして手を稼いだ、ということです。

では先手有利かといえば、88金87歩78角に49飛成

49同銀88歩成34角

これがよくわかりません。43金打に同角成同金82飛から88飛成とかなら長い勝負。42金右43銀31金打は千日手。47歩成同歩89と46銀とか。
全部合わせて互角なんでしょう。


○ 最後は98角

45桂なら58銀68飛成69歩88金

という感じ。37桂成は怖くありません。88金を右に寄せていきます。

98角に35歩が厳しい手になります。

81飛成43金58銀

79飛成に76金で(36歩が来る前に)55の角を追います。飛車がどこに成っても同じです。

76同銀同角36歩に56歩

64角65歩37歩成同銀53角34歩

あとは角を追い払って、37歩成を決めてくれば桂頭を攻めます。
これは先手有利。
98角には後手の手段もいろいろ考えられますが、58銀と投入して粘ればだんだん良くなるようです。


後手の飛車のうち場所が悪かった(79飛なら逆転しない)ので、78角とか58銀の手段が生じました。
桂馬の取り合いは後手を引くので守る手を考えます。
78角は3筋の歩を取ると36歩と逆用されるのでますい感じです。
88金は87歩があるので考えるのを切りすてそうですが、後手が1歩しかないのが幸いして78角が成立していい勝負でした。
念のためと検討したら一見無筋の98角が有力でした。76の銀を間接的ににらんでいるので遊ばないです。後手を引いて角を手放して受けるだけですから思い浮かばないです。
形勢不利の時には自然な手だけでは勝てません。自然に見えない手ののどこかに好手が隠れていることもあります。

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