名南将棋大会ブログ 名古屋

名南将棋大会告知や結果のほか、
将棋が強くなるための記事を書きます。
まずは将棋上達法則を見てください。

大山将棋研究(232); 四間飛車に4枚美濃

2016-07-31 | 大山将棋研究
昭和50年7月、桐山清澄先生と第23回王座戦です。


大山先生の四間飛車で

桐山先生は天守閣美濃。いまでは藤井システムに駆逐されてしまったので見ませんね。

引き角に22飛と利かされるのでは作戦負けになる、というのがそのあとでは常識だったのですが、まだ知られていないころです。

65の位も取られず、4枚美濃に囲えれば桐山先生が十分です。

73角を見せられているためにそのための動きですが、37桂と使うほうが良いです。

角を右に引いて73角に備えます。これは互角の展開。

桐山先生から動くことができず、ここからしばらくは手待ちをしています。

26飛~27飛という待ち方。

大山先生から動きました。後手番なので動かなくてもいいのですが、昔は後手からでも打開するのが普通でした。

大山先生はいろいろ動いたのですが、結局は桐山先生が3歩手持ちにしただけなので効果は上がっていません。

大山先生はここから角をさばくのですが

ここに歩を垂らしたのが問題です。と金を作るからやってきなさい、という手ですが、36から打つか、37角成か。

飛車をぶつけられて玉の堅さに差があります。

23飛と打つのは仕方なさそうで

桐山先生が44から飛車を打って23飛をさばかせないのが好手。

これでは大山先生の飛角がまるで働いていません。

桐山先生は桂馬を取って打ち込み

金と交換して打ち込み

角を攻めますが、相手は大山先生です。

桐山先生は攻め駒が少ないので、大山先生はうまく受けます。

囲いが再構築されていきます。

桐山先生は79の角をさばき、これでも銀得です。ここで大山先生の47と はもったいないのですが

角で香を取ろうということですね。

駒損でも飛車がさばければよかったのですが、うまくしのがれます。

桐山先生は飛車を封じ込み17桂を守り切りました。銀得で長期戦なので困りませんね。

大山先生は玉頭から攻めるくらいですが、4枚美濃は厚いです。

横からの攻めは駒損でもしのげますが

じり貧です。

あとは8筋の攻めが頼みで

95銀は手厚いのですが、香打ちが攻防になるので困りました。

投了図。


天守閣美濃は(対美濃囲いでは)絶滅していますし、普通の振り飛車自体が減っているので並べなくてもよいかもしれません。大山先生はつぶれそうなところをうまく受けるものだ、というところだけ学べばいいでしょう。

#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.23 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:桐山清澄8段
後手:大山棋聖
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 3四歩(33)
3 2六歩(27)
4 4四歩(43)
5 4八銀(39)
6 3二銀(31)
7 5八金(49)
8 4二飛(82)
9 6八玉(59)
10 6二玉(51)
11 7八玉(68)
12 7二玉(62)
13 5六歩(57)
14 8二玉(72)
15 5七銀(48)
16 5二金(41)
17 9六歩(97)
18 9四歩(93)
19 8六歩(87)
20 7二銀(71)
21 8七玉(78)
22 6四歩(63)
23 7八銀(79)
24 7四歩(73)
25 6六銀(57)
26 4三銀(32)
27 2五歩(26)
28 3三角(22)
29 7九角(88)
30 2二飛(42)
31 7七銀(66)
32 6三金(52)
33 6六歩(67)
34 8四歩(83)
35 6七金(58)
36 1四歩(13)
37 1六歩(17)
38 5一角(33)
39 3六歩(37)
40 5四歩(53)
41 8八玉(87)
42 8三銀(72)
43 8七銀(78)
44 7二金(61)
45 7八金(69)
46 4五歩(44)
47 4六歩(47)
48 同 歩(45)
49 同 角(79)
50 4五歩打
51 3七角(46)
52 7三角(51)
53 2七飛(28)
54 4四銀(43)
55 2八角(37)
56 3五歩(34)
57 2六飛(27)
58 3三桂(21)
59 2七飛(26)
60 4六歩(45)
61 同 角(28)
62 4五銀(44)
63 3五角(46)
64 3六銀(45)
65 2六飛(27)
66 2五銀(36)
67 4六飛(26)
68 4五歩打
69 4九飛(46)
70 4二飛(22)
71 1七桂(29)
72 3四銀(25)
73 6八角(35)
74 6五歩(64)
75 3五歩打
76 4三銀(34)
77 2九飛(49)
78 2二飛(42)
79 6五歩(66)
80 3七歩打
81 2四歩打
82 同 歩(23)
83 3四歩(35)
84 同 銀(43)
85 2四飛(29)
86 同 飛(22)
87 同 角(68)
88 2三飛打
89 2五歩打
90 同 銀(34)
91 7九角(24)
92 4六歩(45)
93 4四飛打
94 3六銀(25)
95 2四歩打
96 1三飛(23)
97 4二飛成(44)
98 4七銀成(36)
99 3二龍(42)
100 1二飛(13)
101 3三龍(32)
102 3八歩成(37)
103 6四桂打
104 4八と(38)
105 7二桂成(64)
106 同 銀(83)
107 6四金打
108 同 金(63)
109 同 歩(65)
110 同 角(73)
111 6五金打
112 6二飛(12)
113 6四金(65)
114 同 飛(62)
115 3五角打
116 5五歩(54)
117 5三角成(35)
118 6一飛(64)
119 6三歩打
120 5一金打
121 6四馬(53)
122 7三金打
123 5五馬(64)
124 5四歩打
125 4五馬(55)
126 6三飛(61)
127 3一龍(33)
128 6一金(51)
129 4六角(79)
130 同 成銀(47)
131 同 馬(45)
132 4七と(48)
133 同 馬(46)
134 2八角打
135 1一龍(31)
136 1九角成(28)
137 6五歩打
138 3三飛(63)
139 2五馬(47)
140 7一金(61)
141 3五歩打
142 6一歩打
143 4一龍(11)
144 2八馬(19)
145 2六馬(25)
146 6三飛(33)
147 6六香打
148 8三桂打
149 3四歩(35)
150 7五歩(74)
151 6四銀打
152 6二香打
153 6三銀成(64)
154 同 金(73)
155 3三歩成(34)
156 7六歩(75)
157 同 銀(87)
158 9五歩(94)
159 4三と(33)
160 9六歩(95)
161 9八歩打
162 7五歩打
163 8七銀(76)
164 9五桂(83)
165 9六銀(87)
166 7三馬(28)
167 9七歩(98)
168 7四馬(73)
169 5二と(43)
170 7六歩(75)
171 同 銀(77)
172 7五歩打
173 8七銀(76)
174 同 桂成(95)
175 同 銀(96)
176 8五歩(84)
177 6二と(52)
178 同 金(63)
179 4三龍(41)
180 9五銀打
181 9六香打
182 8六歩(85)
183 9五香(96)
184 8七歩成(86)
185 同 金(78)
186 9四歩打
187 8六桂打
188 8五馬(74)
189 7四銀打
190 9五馬(85)
191 6二馬(26)
192 投了
まで191手で先手の勝ち


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20160731今日の一手<その364>; 受けが利かないときは攻める

2016-07-31 | 今日の一手

20160731今日の一手

6月の東海団体リーグから、私とHさんの対局です。形勢判断とこの後の構想を考えてください。



一昨日の一手の回答

☆ 形勢判断をします。
金と角の交換で先手が駒得です。
玉の堅さは後手のほうがかなり堅いです。
先手の攻め駒は89飛に持ち駒飛角桂で4枚です。
後手の攻め駒は持ち駒金桂香で3枚ですが、56歩と取れば角も働くので4枚に近いです。

総合すれば互角です。

互いに攻め駒が4枚近くなれば、何手で詰めろになるか数えるほうが正確です。後手玉は31飛~85歩~84歩で詰めろなので現状は4手すきです。
先手玉は54桂~66桂で詰めろなので現状は3手すきです。
先手番でも攻め合いは負けですから後手が有利です。

大局観として

寄せ合いは負けそうで、しっかりした受けか攻防の手が必要です。互いにまだ詰めろがかかるのは少し先ですから変化は多いです。
受けを先に考えるか攻めを先に考えるかは棋風が出るかもしれませんが、受けるなら後手の攻め駒を4枚にしないように考えます。持ち駒を無駄に使わせるか、33角を封じるかです。
攻めるのなら攻防の手を入れないと勝てません。


× 受けるなら68玉と移動したいのですが

56歩55歩54桂

とされて銀をはがされるので望み薄です。56歩に67玉と頑張っても57金です。



× 55歩と取って33角が働かなければいいのですが

54桂57銀78金87飛55角

でも困りますし、78金を入れずに55角として

68玉56歩同銀46角57歩66金

というのもだめでしょう。33の角が働けば4枚の攻めで切れないのです。


× 後は47金とする手です。

56歩に同金と取れるのですが、66角と切られて

66同金57銀には68飛しか受けがありません。

47歩39角68銀成同玉38飛

48歩成を防ぐには57玉ですが39飛成同飛48角で王手飛車。
やはり角が働くと受けはないのです。


× 45桂は角を消そうという手で攻防にも見えるのですが

44角55銀に57金

銀を取れば詰めろになります。49玉に55角同歩47銀

飛角しかないので受けにくいです。

49玉ではなく48金でも55角

55同歩68銀49玉47香

で寄りです。




× 実戦では受けてもだめなので45角と打ちました。(36から打っても後で35歩を打てば同じようなもの)

でも後手の54桂が攻防なのであまり良い手でもなく、55銀に57金

で困っています。49玉のほうが最善ですが負けそうなので、気合を入れて48金、これは55角に57金と取ろうということです。

しかし77角成68桂66香でだめです。本当は。

ですから正しくは49玉として

55角同歩44香36角35歩

のほうがいいのですが、やはり苦しいので、68金は勝負手なのです。

実戦では48金に56金とされました。

これも悪い手ではありません。54銀77角成68桂54銀同角

ここで47歩と打てば明らかに後手の勝ちです。でも優勢と思うと受けたくなって53銀64桂同銀同歩53香

前の56金とこの53銀と、2回疑問手(というよりは次善手に近いですが)があれば逆転します。銀を手放したので先手玉に詰めろがかからなくなりました。(実戦では私は詰めろだと思っていたのですが)
63歩成同金左(右のほうが大変)同角成同金42飛62歩61銀

これを同玉と取ったので52銀で詰みがあり私の勝ちになりました。
でも83玉にも85歩

93玉84歩88歩72銀不成71桂95歩

と詰めろが連続でかかるので私の勝ち筋です。


○ 一番よさそうなのは31飛です。

角取りで打たないと寄せ合い負けになります。でも42角で先手を取られるのでやめたのですが、36飛成と守れました。

42の角は75に利いてはいますが、56歩や54桂があまり怖くなくなったので受けが利きます。
56歩58歩54桂55銀66香48玉

と右にかわした時に竜が生きてきます。これなら何とかなるでしょう。

31飛に32歩なら

1手稼いだわけで、85歩54桂84歩

先に詰めろがかかります。51香55銀57金48金56金に83角から

71玉53歩同金直45桂

という調子です。後手は54桂ではなく56歩もありますが、継歩攻めが速いので先手が勝てそうです。

ということは後手は32金と先手を取るべきです。

21飛成56歩55桂

金を使わせたので後手を引いても主張はあります。54桂64歩31歩

63歩成同金直84飛83歩64歩

と飛車を使えば難しい勝負です。


☆ まとめ
先手が不利な局面なので、勝ちを探すのは難しいです。

受けるなら55歩か68玉か、それくらいを考えて、受けて手が延びない(詰めろまでの時間が稼げない)と判断すれば(33角を封じられず4枚で攻められる)受ける手はあきらめます。

攻めるなら45角か31飛ですが、実戦の45角はなかなか詰めろにはならないので次善の策でした。それでも後手は自玉の受けを考えなければいけないので、アマチュアレベルでは間違いが多くなるのです。やや疑問手を2回誘ってどうにか勝ちになりました。

31飛は角取りになっているので一番有力、でも42角でだめだと読みを打ち切ってしまいました。36飛成でよいのか、と気が付きにくいですね。
31飛に32歩なら1手稼いだので寄せ合い勝ちになります。
32金と先手を取られるのが難解なのですが、金を使わせたので先手玉がやや安全になり、寄せ合いで難しい勝負です。

単純な受けがうまくいかないときは攻めてみるものです。相手に持ち駒を使わせれば攻撃力が減りますし、駒を渡す攻めをやりにくくして攻撃力が鈍るかもしれません。
もちろん余計に駒を渡して受けが無くなったとかという悲劇はしょっちゅう起きるのですが、相手の攻め駒が4枚あれば受けているだけでは勝てません。3枚以下ならしっかり受ける手を先に考えましょう。

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大山将棋研究(231); 三間飛車に棒銀

2016-07-30 | 大山将棋研究
昭和50年6月、二上達也先生と第26期棋聖戦第2局です。


大山先生の先手三間飛車、それでも二上先生は急戦です。

端を受けたら歩を突き捨てる急戦だったかもしれませんが、受けてもらえずに棒銀、これなら三間飛車に不満はありません。

75歩に同歩と取ってはいけない、と定跡書には書いてあるのですが、右側の形がよいので大山先生は取ってしまい、角交換でさばこうとします。

74歩はその場合の定跡ではあるのですが、76歩同銀66銀のほうをやるべきでした。それは難解です。

右桂を跳ねれば振り飛車は十分に指せます。ここは44銀とかわしておくしかなかったか。

86歩も無視して35歩と突けば大山先生が指せます。こういうところの感覚がよいのです。

飛車を切って

取り込めば十分です。

銀を打ちこみ

角を打てば金にもあたっています。

そのあとの66金は攻防ですが44銀の受けで案外難しいので、58金69飛成の交換とか、56歩64銀の交換とか、なにか決め手がありそうなんですが、わかりにくいですね。

金をとっても角が急所から外れ、67の銀が無くなってしまいました。

桂馬を捨てるのが二上先生の好手。形勢はわからなくなってきました。

と金ができて、入玉を目指して頑張れます。

単純に56玉では79桂なので攻め味を見せて工夫します。

王手で69竜か68竜とできれば入玉できます。

67のコースを止められましたが

28銀から48角成で47に逃げられるようになり

完全に逆転です。二上先生のほうが入玉阻止をすることになり

詰めろで玉が入ればほぼ終わりです。

投了図。


大山先生の楽勝かと思えば入玉阻止はかなり難しく、二上先生の好手連発で逆転してしまいました。入玉の将棋はつまらないのが多いのですが、この将棋は面白い手がたくさん出てきます。



#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.23 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:大山棋聖
後手:二上達也9段
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 8四歩(83)
3 7八飛(28)
4 8五歩(84)
5 7七角(88)
6 3四歩(33)
7 6六歩(67)
8 6二銀(71)
9 6八銀(79)
10 4二玉(51)
11 4八玉(59)
12 3二玉(42)
13 3八玉(48)
14 5四歩(53)
15 2八玉(38)
16 7四歩(73)
17 3八銀(39)
18 5二金(61)
19 5八金(69)
20 9四歩(93)
21 5六歩(57)
22 6四歩(63)
23 4六歩(47)
24 4二銀(31)
25 3六歩(37)
26 5三銀(42)
27 4七金(58)
28 4二金(41)
29 1六歩(17)
30 1四歩(13)
31 3七桂(29)
32 7三銀(62)
33 6七銀(68)
34 8四銀(73)
35 9六歩(97)
36 7五歩(74)
37 同 歩(76)
38 同 銀(84)
39 6五歩(66)
40 7七角成(22)
41 同 飛(78)
42 7四歩打
43 5五歩(56)
44 同 歩(54)
45 4五桂(37)
46 5四銀(53)
47 6四歩(65)
48 8六歩(85)
49 3五歩(36)
50 8七歩成(86)
51 7五飛(77)
52 同 歩(74)
53 5三歩打
54 5一金(52)
55 6三歩成(64)
56 同 銀(54)
57 3四歩(35)
58 6八飛打
59 3三銀打
60 同 桂(21)
61 同 歩成(34)
62 同 金(42)
63 同 桂成(45)
64 同 玉(32)
65 4五桂打
66 4四玉(33)
67 3三角打
68 5四玉(44)
69 6六金打
70 4四銀打
71 5一角成(33)
72 6五歩打
73 7五金(66)
74 6七飛成(68)
75 5二歩成(53)
76 5六歩(55)
77 6六歩打
78 同 龍(67)
79 5三桂成(45)
80 5五玉(54)
81 6三成桂(53)
82 3六桂打
83 同 金(47)
84 5七歩成(56)
85 4二馬(51)
86 4七銀打
87 6四馬(42)
88 5六玉(55)
89 6五金(75)
90 3八銀成(47)
91 同 金(49)
92 3九角打
93 3七玉(28)
94 8六飛(82)
95 7九桂打
96 2八銀打
97 2六玉(37)
98 4八角成(39)
99 同 金(38)
100 同 と(57)
101 4五銀打
102 4七玉(56)
103 4四銀(45)
104 同 歩(43)
105 6六金(65)
106 同 飛(86)
107 8三角打
108 5六歩打
109 5三飛打
110 2五金打
111 同 玉(26)
112 2四金打
113 2六玉(25)
114 3七銀打
115 同 金(36)
116 同 銀(28)
117 1七玉(26)
118 3八玉(47)
119 3六金打
120 2八銀(37)
121 2六玉(17)
122 3四歩打
123 5五飛成(53)
124 3五金打
125 同 金(36)
126 3七銀(28)
127 1七玉(26)
128 3五金(24)
129 2九銀打
130 同 玉(38)
131 1八銀打
132 3九玉(29)
133 2九金打
134 4九玉(39)
135 投了
まで134手で後手の勝ち
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大山将棋研究(230); 三間飛車に左美濃

2016-07-29 | 大山将棋研究
昭和50年6月、板谷進先生と第30期A級順位戦です。


大山先生の三間飛車に、板谷先生は持久戦です。

22玉型の左美濃になりました。

大山先生は4筋の位を取ります。

46銀はやや危険で、(誘っているのかもしれませんが)

板谷先生は8筋から動き

85歩は悔しいですが6筋を交換

46の銀に当たっているので47金は欠かせません。

あっさり角を切り

飛車を回って、また切ります。

79角が狙いでした。35歩が大切な手で

銀を打つのはつまらなさそうですが

桂を取れます。

大山先生が飛車を使えば板谷先生は飛車を取ります。

流れるような手順でしたが、まだ形勢不明です。馬を作って受けるのが大山先生の常套手段で

でも銀をさばけば板谷先生も十分指せそうです。

板谷先生は攻め続けますが、まだ攻め駒は3枚。

大山先生は自玉の周りに駒を打ち付けて再構築。

角と桂桂の交換では何とも言えません。大山先生は上から攻める方針で、まずは端から。

板谷先生は53桂から34歩で反撃です。

銀と桂の取り合いなら板谷先生がポイントをあげました。

これで銀が逃げにくいので大山先生がよくなったようでも

歩切れなので受け方に困ります。大山先生は端で歩を使いすぎました。ここでは駒損になっても47金打か47飛と打つべきか。

67金77桂成の交換が損なのですが、飛車を合わせて受けます。このあたりが問題で、金は逃げずに34歩で勝てないか、というのが検討するところです。

飛車を先手で打たれ、銀で玉を追われる、重い手ですが、先手玉が案外に狭いのでこれでよいのです。

金を逃げると55桂なので困りました。金銀の取り合いで後手を引いて

べったり金を打たれる。重い手というのは確実です。

この金は攻防になり、大山先生は上部を開拓するしかないのですが

駒を捨てていくしかないので

ここまで。

ちょっと格好いい投了図です。

大山先生の46銀がやや危険で、板谷先生の攻め筋は覚えておくとよい手順です。こういうのもあって、三間飛車としては(コーヤン流みたいに)37桂と跳ねないで位を取りたいわけなのですね。
板谷先生はうまく食いついたのですが、重い手はあまりまねをしないほうが良いので、中盤以降は大山先生にいい手はなかったかなあ、と検討しながら並べるほうがいいと思います。

#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.23 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:大山棋聖
後手:板谷進8段
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 8四歩(83)
3 7八飛(28)
4 8五歩(84)
5 7七角(88)
6 3四歩(33)
7 6六歩(67)
8 6二銀(71)
9 6八銀(79)
10 4二玉(51)
11 4八玉(59)
12 3二玉(42)
13 3八玉(48)
14 5四歩(53)
15 2八玉(38)
16 5二金(61)
17 3八銀(39)
18 1四歩(13)
19 1六歩(17)
20 7四歩(73)
21 5八金(69)
22 5三銀(62)
23 5六歩(57)
24 3三角(22)
25 5七銀(68)
26 2二玉(32)
27 3六歩(37)
28 3二銀(31)
29 4六歩(47)
30 4四銀(53)
31 3七桂(29)
32 4二角(33)
33 4五歩(46)
34 3三銀(44)
35 6五歩(66)
36 7三桂(81)
37 6八飛(78)
38 2四歩(23)
39 4六銀(57)
40 8六歩(85)
41 同 歩(87)
42 同 角(42)
43 8八飛(68)
44 8五歩打
45 6六角(77)
46 6四歩(63)
47 同 歩(65)
48 同 角(86)
49 4七金(58)
50 8六歩(85)
51 8四歩打
52 4六角(64)
53 同 金(47)
54 6二飛(82)
55 6七歩打
56 6六飛(62)
57 同 歩(67)
58 7九角打
59 4八飛(88)
60 3五歩(34)
61 同 歩(36)
62 5七銀打
63 7八飛(48)
64 4六銀(57)
65 7九飛(78)
66 3六歩打
67 7七飛(79)
68 8五桂(73)
69 6七飛(77)
70 5七金打
71 同 飛(67)
72 同 銀成(46)
73 8二角打
74 8八飛打
75 4六角成(82)
76 3七歩成(36)
77 同 玉(28)
78 5八成銀(57)
79 同 金(49)
80 同 飛成(88)
81 2六歩(27)
82 4八金打
83 4七銀打
84 3八金(48)
85 同 銀(47)
86 5七銀打
87 4七馬(46)
88 6七龍(58)
89 4九角打
90 6八龍(67)
91 6七金打
92 5九龍(68)
93 5七金(67)
94 8九龍(59)
95 1五歩(16)
96 5三桂打
97 3六銀打
98 1五歩(14)
99 1三歩打
100 同 香(11)
101 5五歩(56)
102 3四歩打
103 1四歩打
104 同 香(13)
105 5四歩(55)
106 3五歩(34)
107 5三歩成(54)
108 3六歩(35)
109 同 馬(47)
110 5三金(52)
111 3四歩打
112 同 銀(33)
113 3五歩打
114 8七龍(89)
115 6七金(57)
116 7七桂成(85)
117 5六金(67)
118 6八成桂(77)
119 4七飛打
120 同 龍(87)
121 同 銀(38)
122 2九飛打
123 3八銀(47)
124 3九飛成(29)
125 4八金打
126 2八銀打
127 4七玉(37)
128 5五歩打
129 同 金(56)
130 5四歩打
131 3四歩(35)
132 5五歩(54)
133 5七歩打
134 3七歩打
135 2七銀(38)
136 5九金打
137 1四馬(36)
138 4八龍(39)
139 3六玉(47)
140 2三金打
141 同 馬(14)
142 同 銀(32)
143 1四桂打
144 同 銀(23)
145 3三銀打
146 同 桂(21)
147 同 歩成(34)
148 同 玉(22)
149 3五香打
150 3四桂打
151 同 香(35)
152 同 玉(33)
153 3五飛打
154 2三玉(34)
155 3三金打
156 1三玉(23)
157 1五飛(35)
158 3五香打
159 投了
まで158手で後手の勝ち

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20160729今日の一手<その363>; ツノ銀中飛車からの急戦の弱点

2016-07-29 | 今日の一手

20160729今日の一手

6月の東海団体リーグから、私とIさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。



一昨日の一手の回答
少し前から

後手は急戦模様で、先手は機先を制して角交換を挑みます。

本当は59飛と備えてから64歩に65歩

と行きたいところなのですが、65同歩22角成同玉55歩同歩同飛64銀


あるいは65同歩22角成同玉55歩同歩同飛73桂59飛54歩

と、後手は22玉の形が不安定ですが、先手玉も薄いのでだんだんに後手がよくなっていきそうです。

そこで

59飛の前に65歩とするわけです。先手が欲張っていますね。77角成に同金は44歩

として後手も文句はないでしょう。急戦にはなりませんが、先手玉より堅くなり、先手の77金の形に働きがありません。

そこで77角成には同桂69角で問題図です。

玉の堅さは少し後手のほうが堅そうですが、この局面自体は互角のはずです。

大局観としては

飛角交換を許したらよいのか悪いのか
それが悪いとしたら飛車を逃げるけれど、
単純に角金交換で局面が落ち着けば先手よし
82の飛が暴れられるなら後手よし
というのが予想されます。先手玉が薄いのが原因です。仮に美濃囲いなら先手が十分指せるという可能性が高いです。


× まずは飛角交換を許したらどうなるか。16歩に58角成同金

89飛や69飛は88角と打てば飛車を捕獲できそうなので問題なし。でも14歩~15歩同歩同香同香18飛という筋があります。それを気にしつつの駒組みですから先手が少し悪いのでしょう。後手陣は角を2枚持ってもまだまだ攻略できる筋がありません。


× 59飛と逃げてみます。一番自然な手です。

78角成同銀68金

46角が両取りですが、59金82角成49金

49同玉79飛69金99飛成

これで66香がうるさいです。後手有利ですね。

68金には67角と我慢して59金同金でしょうか。

ここから駒組みです。やはり1筋の端攻めはあるし、最初にやった飛角交換よりはましだと思いますがやや先手が苦しいです。

蛇足ですが、67角を同金同銀86歩同歩同飛は78金と打って

中飛車が一番やりたかった形になります。(69角ではなく86歩同歩同飛59飛と同じ局面)


△ 飛車を逃げるなら68飛のほうがよさそうですが

78角成同銀86歩同歩同飛

87歩82飛69飛88金

この金が嫌なので、問題図の69角が成立しているのではないかと思うのです。
67角と受けるしかなさそうで、87金なら

55歩同歩34角33歩67角78金

78同角88飛成67角打56銀87金

ごちゃごちゃしていますが、竜を捕獲できるので先手が指せそうです。

55歩にすぐ78金と取っても

78同角88飛成34角77竜

78角打31桂87金

でやはり竜を取れます。

後手は44銀と備えておくのが最善で

55歩同歩34角33歩67角75歩

これで77桂か78銀が取れるので後手が有利です。(44銀は75歩に66角を防いでいます。)


○ 最後は46角です。

58角成82角成49馬同玉

これは69飛には59飛、28飛には38角で耐えているので、馬で桂香をとれれば先手がよくなります。

ということで46角に73桂59飛78角成同銀

これで68金を防いでいます。(前にやったように68金に46角は73角としてもらえず59金で悪い)
86歩同歩同飛87歩81飛89飛と88金も防げますが45金

68角と逃げると56金57銀55金67銀65桂同桂同金

金歩歩と角の交換で先手があまり良いとは言えませんが、後手は金を手放しているのでゆっくりした展開になりやすく、薄い玉を気にしなければ互角です。

45金には57銀として

角金交換してもらえば(すぐにとらなくてもよい)駒の損得はなく全くの互角です。この変化なら72角で飛車を取られるので82飛が必要、後手は81飛よりも82飛のほうが良かったかもしれません。先手陣には88歩同飛79角の筋や75歩同歩76歩の筋はありますが、取らなければ対応できます。
すぐに角を取らずに44銀~55歩は気になります。それはあまり先手を持ちたくない気がしますが、形勢は互角です。

また蛇足で86歩同歩同飛に89飛は

88金87歩78金86歩89金

ならばまあまあ指せるのですが

89飛には同飛成

89同銀87飛88飛77飛成

81飛成76竜91竜42金寄

となると後手は65桂と跳ねれば4枚目の攻め駒、先手も4枚攻め駒があるのですが玉の堅さで劣るので一応駒得ですがよいとも言えません。攻め合い負けに見えるのです。

また、86歩に89飛とすれば

87の地点で飛車交換ができますが、87歩成同飛同飛成同銀89飛81飛99飛成

で28香が残ります。39金には44香57角58金

ですね。これもよくないです。


ということで、69角は振り飛車にとってかなり難しい手で、46角が先手で入るならどうにか互角にできるのですが、やりたかった変化とは思えません。
また、後手番なら48銀と指せていないわけで、余計悪そうです。
私が中学生のころ類似局面を考えて、角を打たれて悪いのだと弱いながら(当然級位者です)一応の結論を持っていたのですが、今考えても結論自体はあまり変わりません。

受け間違えるとつぶれますし、角を打ってうまく粘れれば先手がよくなる変化はあります。ですから実力次第とは言えますが、振り飛車があえて選ぶ変化でもないでしょう。

48銀を59飛に変えて65歩と突いたら成立しているのですが、その場合後手としては77角成同桂44銀として5筋の交換を防いで指します。振り飛車のねらいは89飛からの逆襲ですが、それは後手から45角の筋もありあまりうまくいかないと思っています。
友人の場合は風車のように指すのだと思いますが、それなら阪田流から組んだ方がいいのかなと思って、このところ実験しているところです。


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大山将棋研究(229); 糸谷右玉(岐阜戦法)

2016-07-28 | 大山将棋研究
昭和50年6月、広津久雄先生と第16期王位戦です。


広津先生の将棋は記憶になく、青野先生の師匠だというくらいしか知りません。大山先生と同い年みたいですね。四間飛車に端を詰めて銀を上がる、力戦の気配です。

右玉になりました。

かなり糸谷流に近い右玉ですね。この頃は岐阜戦法というのでしたかね。

糸谷流右玉は私も一時期凝ったのですが、欠点が多くて今は指していません。(でも中飛車対策に時々指します。)棒金で攻めるというのがうまくいかなくて、左側から攻めることができればよいのですが。

ということで、4筋から攻める体制です。

歩を交換しただけで終わり、83金から組み替えですが、これが堅くならないのでつまらないのです。

大山先生がうまく6筋から攻める体制になりました。ここでやや有利です。

それでも64歩と謝って、73金と寄せていく方が難しいのですが、広津先生は64桂とひねります。

飛車の動きを制限して、1歩持っているので角頭を攻めます。

角を使い

歩を成り捨てるのもいい感じです。

さらに強気で金をぶつける。でもそのあとの桂交換がどうだったか。

55桂が反撃で、さすがに63の地点は受けるのだと思いましたが

この寄せ合いでは勝てません。

63金が入れば後は易しいです。

詰めろの連続で寄せきりました。


ここで糸谷右玉が見られるとは思いませんでした。穴熊相手のほうが指しやすいとは思うのですが、大山先生のようなしっかり受けるタイプには苦しい展開になりやすいです。あくまでカウンターの戦法で、自分から手を作るのは難しいのです。適度に攻防があって、上部にかわす味で負けない体制を作る、というのが理想です。本譜のように上から攻められるのは苦しくなりやすいです。


#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.23 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:大山棋聖
後手:広津久雄8段
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 8四歩(83)
3 7八銀(79)
4 3四歩(33)
5 6六歩(67)
6 6二銀(71)
7 6七銀(78)
8 5四歩(53)
9 6八飛(28)
10 1四歩(13)
11 4八玉(59)
12 1五歩(14)
13 3八玉(48)
14 4二銀(31)
15 5八金(69)
16 5三銀(42)
17 2八玉(38)
18 7四歩(73)
19 1八香(19)
20 3二金(41)
21 1九玉(28)
22 6四歩(63)
23 2八銀(39)
24 6三銀(62)
25 9六歩(97)
26 6二玉(51)
27 3九金(49)
28 2四歩(23)
29 4八金(58)
30 7二金(61)
31 9五歩(96)
32 8五歩(84)
33 7七角(88)
34 7三桂(81)
35 3八金(48)
36 8一飛(82)
37 6九飛(68)
38 2五歩(24)
39 4六歩(47)
40 3三桂(21)
41 3六歩(37)
42 4四歩(43)
43 5八銀(67)
44 1三角(22)
45 4七金(38)
46 2四角(13)
47 5九角(77)
48 4一飛(81)
49 7七角(59)
50 4五歩(44)
51 同 歩(46)
52 同 飛(41)
53 4九飛(69)
54 4一飛(45)
55 4六歩打
56 2一飛(41)
57 5九角(77)
58 4二金(32)
59 9六香(99)
60 8三金(72)
61 5六金(47)
62 4四歩打
63 3七角(59)
64 7二玉(62)
65 7七桂(89)
66 5二金(42)
67 8九飛(49)
68 4一飛(21)
69 8六歩(87)
70 同 歩(85)
71 同 飛(89)
72 8四歩打
73 8九飛(86)
74 4三金(52)
75 6九飛(89)
76 5一飛(41)
77 6五歩(66)
78 同 桂(73)
79 同 桂(77)
80 同 歩(64)
81 同 飛(69)
82 6四桂打
83 6六金(56)
84 3五歩(34)
85 同 歩(36)
86 1六歩(15)
87 同 歩(17)
88 3六歩打
89 4八角(37)
90 4五歩(44)
91 同 歩(46)
92 3五角(24)
93 4七銀(58)
94 3七歩成(36)
95 同 桂(29)
96 5五歩(54)
97 同 金(66)
98 5四金(43)
99 同 金(55)
100 同 銀(63)
101 6七飛(65)
102 4五桂(33)
103 同 桂(37)
104 同 銀(54)
105 5五桂打
106 4六歩打
107 5六銀(47)
108 3六桂打
109 4五銀(56)
110 4八桂成(36)
111 同 金(39)
112 4七歩成(46)
113 6三金打
114 8二玉(72)
115 6五桂打
116 6二銀(53)
117 7三銀打
118 9二玉(82)
119 9四歩(95)
120 同 歩(93)
121 8五桂打
122 6三銀(62)
123 9三歩打
124 投了
まで123手で先手の勝ち



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大山将棋研究(228); 四間飛車に引き角棒銀

2016-07-27 | 大山将棋研究
昭和50年6月、二上達也先生と第26期棋聖戦第1局です。


大山先生の四間飛車に二上先生は急戦で

37銀が早いのですが、棒銀に大山先生が32金とするのはいつものことですね。

それを見て二上先生は引き角に。中飛車相手のことが多いとは思いますが、ツノ銀には引き角にするのが二上先生の得意戦法です。

中飛車にされれば66銀とします。

ツノ銀相手でも角交換を狙うのです。

大山先生は角交換を拒否して高く受けます。

65歩に同銀ですが、77銀のほうが手堅いです。55歩同歩同飛には2歩あるので14歩から香が取れます。

これは25桂を防ぐ手筋。

銀で25の歩を守ります。

歩を手に入れられるまではまだあると思うのですが、二上先生が動きました。

角交換から銀を捨てて

74歩で桂馬が取れると。大山先生の64歩は渋いですね。

51角には53銀と打って、二上先生に手が作れるか。

55歩に74歩まで利かせればなにかありそうです。

ここで35歩が勝負手。35同銀に45桂と捨てます。53の銀が移動できないので45同桂24角成同飛41飛。そこまで進めば居飛車も指せそうです。

その筋が見えなかったか、気になるところがあったか、84角成から51馬だったので44角を打てて大山先生は一安心です。

そこから二上先生は32歩をひねり出すのですが、その前に41馬が必要で(21飛がある)、これだけ手をかけるのではだめですね。

と金を作り合いますが

銀を取られ飛車を成られ

76桂と置いて角を出る。攻め駒が多いので切れない攻めです。

73金にも玉を逃げれば王手は続かず

飛車を取って詰みがありました。

二上先生の好きそうな将棋ですが、一般向けではありませんね。詰将棋作家ですし、細いけれど鋭い攻めを好まれるのですが、玉が薄くても気にしないタイプです。角交換から銀を捨てて、と行く筋は二上先生でもないと発見は難しいです。そのあと35歩とやってもらいたかったです。玉が薄い将棋は勝つときはとても面白いのですが、間違えると粘りが利きません。

#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.23 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:二上達也9段
後手:大山棋聖
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 3四歩(33)
3 2六歩(27)
4 4四歩(43)
5 4八銀(39)
6 3二銀(31)
7 5六歩(57)
8 4二飛(82)
9 6八玉(59)
10 6二玉(51)
11 7八玉(68)
12 7二玉(62)
13 5八金(49)
14 8二玉(72)
15 3六歩(37)
16 4三銀(32)
17 6八銀(79)
18 7二銀(71)
19 2五歩(26)
20 3三角(22)
21 3七銀(48)
22 3二金(41)
23 9六歩(97)
24 9四歩(93)
25 7七銀(68)
26 5四歩(53)
27 7九角(88)
28 5二飛(42)
29 6六銀(77)
30 4二角(33)
31 2四歩(25)
32 同 歩(23)
33 同 角(79)
34 3三桂(21)
35 6八角(24)
36 5一飛(52)
37 1六歩(17)
38 6四歩(63)
39 1五歩(16)
40 2五歩打
41 4八銀(37)
42 6五歩(64)
43 同 銀(66)
44 6三銀(72)
45 6六歩(67)
46 7二金(61)
47 6七金(58)
48 4五歩(44)
49 3七桂(29)
50 2一飛(51)
51 2四歩打
52 3五歩(34)
53 同 角(68)
54 7四歩(73)
55 6八角(35)
56 3四銀(43)
57 2九飛(28)
58 7三桂(81)
59 5八金(69)
60 8四歩(83)
61 8六角(68)
62 2四飛(21)
63 4二角成(86)
64 同 金(32)
65 7五歩(76)
66 同 歩(74)
67 5四銀(65)
68 同 銀(63)
69 7四歩打
70 6四歩打
71 7三歩成(74)
72 同 金(72)
73 5一角打
74 5三銀打
75 5五歩(56)
76 6三銀(54)
77 7四歩打
78 7二金(73)
79 5四桂打
80 4三金(42)
81 8四角成(51)
82 8三歩打
83 5一馬(84)
84 4四角打
85 3五歩(36)
86 同 角(44)
87 4一馬(51)
88 3六歩打
89 3二歩打
90 4四角(35)
91 5六金(67)
92 3七歩成(36)
93 同 銀(48)
94 2六歩(25)
95 3一歩成(32)
96 2七歩成(26)
97 3二と(31)
98 2八歩打
99 5九飛(29)
100 3七と(27)
101 4二桂成(54)
102 同 金(43)
103 同 と(32)
104 4七と(37)
105 同 金(58)
106 2七飛成(24)
107 4八歩打
108 7六桂打
109 6五歩(66)
110 3五角(44)
111 6九飛(59)
112 5八銀打
113 7三金打
114 9二玉(82)
115 6三金(73)
116 6九銀(58)
117 7七玉(78)
118 4七龍(27)
119 同 歩(48)
120 6八角成(35)
121 6六玉(77)
122 6七飛打
123 7五玉(66)
124 8四金打
125 7六玉(75)
126 8五金(84)
127 投了
まで126手で後手の勝ち

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20160727今日の一手<その362>; 相居飛車の銀冠の堅さ

2016-07-27 | 今日の一手

20160727今日の一手

これは友人のブログからの変化図です。69角は成立している(先手が避けるべき)と思いますか?



一昨日の一手の回答

72銀は後手の疑問手なんですが、後手のBさんは若いので知識不足ということかもしれませんが、全国制覇もしたHさんにも指されたことがあって(その時私も見送ってから気が付いた)ので、よくある間違いなのでしょう。丁寧な定跡書には書かれていると思いますが、さらっと読み流すので記憶には残りにくいと思います。


○ もちろん正解は25歩です。

77角成同銀22銀24歩同歩同飛35角

この筋があるので72銀を上がっていなければ2筋の交換ができない、というのは序盤の知識ですが、この場合は34飛が両取りです。
ということで(33金とするとかでなければ)飛車先交換が防げません。だから72銀が疑問手なのです。

実戦では35角が成立しないので23銀でした。

ここで23同飛成同金32角が成立するかもと思ったのですが

理想は22金43角成(詰めろ)62玉34馬

という順で、飛車と銀歩歩の交換、馬もできているので駒得です。

ですが24飛があります。

43角成62玉28歩33金

65馬に74角で困りますね。

また、32角に65角23角成47角成

というのも詰めろで27飛が残るのでよいとは思えません。

ということで飛車きりは見送るのが正解です。28飛24歩

として銀冠になりました。戦いが始まったのはこういう図で

後手は棒銀で端攻めですが、先手の飛銀桂の攻めのほうが破壊力があります。怪しいところはありましたが私の勝ちになりました。



後手が相居飛車で銀冠に組むというのはこういう図で

後手がうそ矢倉に組もうとして、先手がそれを阻むという定跡で出てきます。ひところはタイトル戦でもよく出てきました。

先手は引き角にして24歩の交換を狙い、42角を待って決行します。

この後は68角42角と打ちあって先手がうまく攻められるかどうか、という戦いです。
(昔、森安秀光先生が相居飛車の銀冠を見て、「相振りの銀冠は堅い」と笑って解説したというエピソードを思い出します。)


この定跡は先手が56歩と突いているので後手から角打ちの狙いがあること、それを防ぐ意味もあってまた68角42角と打ちあうわけですが、後手の金銀が2~5筋に集まっているので受けやすいのです。

これに比べて

実戦では56歩は突いていないし、後手のほうが角打ちの隙ができやすいので金銀を2~5筋に集めるのもやりにくいのです。先手は36歩を突いていないので36銀から17桂というのが一つの形で、攻めの体制を作るのが速いのです。ですから作戦勝ちです。

後手としては23歩と打って低く構えるほうがまだましなのですが、飛車先を切られているのでやりたい形ではないでしょう。

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大山将棋研究(227); 四間飛車に玉頭位取り

2016-07-26 | 大山将棋研究
昭和50年6月、有吉道夫先生と第16期王位戦です。


大山先生の四間飛車で

有吉先生は玉頭位取りです。

一回48飛が欠かせないのが悔しいと思うのですが

銀を追い返せます。ここまではお約束。

後に54金で構える形が開発されて玉頭位取りはすたれるわけですが、本局は銀冠に。

手を出しにくい有吉先生は穴熊に組み替えます。

大山先生の71歩、駒組みで打つのは珍しいですね。ここから戦いが始まります。

56の銀が浮いているので大山先生は飛車をさばきに行きます。

でも有吉先生が3筋の歩を成り捨ててしまえば55歩が取れません。飛車切りがあります。ここからは穴熊の模範演技。

45で銀交換になり、銀を打って金をはがします。

ここにも打ち込めます。

飛車を切って

61角から馬を作る。25飛に当たっていますし、53歩成もある好位置です。

53歩成でもいいのですが、取って59飛があるので74銀が先です。

74同金しかないようで、桂馬が取れます。

と金を作って4枚目の攻め駒、勝勢です。

58飛は攻防ですが、59歩があっては効果がなく

飛角交換の後、52の馬を62に引くのは、63とでは52竜があるからです。もう駒の損得はどうでもよくなっています。

75桂を打ってから馬を切り

大山先生の45角は攻防ですが受けの金銀が減っていきます。

この角打ちも攻防ですが、次の一手わかりますか。




飛車を切るのが好手。必至がかかりました。

玉頭位取りのというよりは穴熊の快勝譜です。

#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.23 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:有吉道夫8段
後手:大山棋聖
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 3四歩(33)
3 2六歩(27)
4 4四歩(43)
5 4八銀(39)
6 3二銀(31)
7 6八玉(59)
8 4二飛(82)
9 7八玉(68)
10 6二玉(51)
11 5八金(49)
12 7二玉(62)
13 5六歩(57)
14 8二玉(72)
15 9六歩(97)
16 9四歩(93)
17 5七銀(48)
18 5二金(41)
19 6八銀(79)
20 7二銀(71)
21 7五歩(76)
22 4三銀(32)
23 6六歩(67)
24 6四歩(63)
25 6七銀(68)
26 6三金(52)
27 7六銀(67)
28 4五歩(44)
29 7七角(88)
30 4四銀(43)
31 8八玉(78)
32 5四歩(53)
33 2五歩(26)
34 3三角(22)
35 4八飛(28)
36 5五歩(54)
37 同 歩(56)
38 同 銀(44)
39 5六歩打
40 4四銀(55)
41 7八金(69)
42 8四歩(83)
43 6七金(58)
44 8三銀(72)
45 8六歩(87)
46 7二金(61)
47 2八飛(48)
48 7四歩(73)
49 同 歩(75)
50 同 銀(83)
51 7五歩打
52 8三銀(74)
53 1六歩(17)
54 1四歩(13)
55 3六歩(37)
56 7三桂(81)
57 9八香(99)
58 7一歩打
59 9九玉(88)
60 8一玉(82)
61 8八金(78)
62 5三銀(44)
63 6八金(67)
64 1三香(11)
65 7八金(68)
66 5四銀(53)
67 3八飛(28)
68 5五歩打
69 3五歩(36)
70 5六歩(55)
71 同 銀(57)
72 4六歩(45)
73 3四歩(35)
74 2二角(33)
75 3三歩成(34)
76 同 角(22)
77 5五歩打
78 4五銀(54)
79 同 銀(56)
80 同 飛(42)
81 5四銀打
82 2五飛(45)
83 6三銀成(54)
84 同 金(72)
85 7四金打
86 7二銀打
87 5四歩(55)
88 5二歩打
89 8三金(74)
90 同 銀(72)
91 3三飛成(38)
92 同 桂(21)
93 6一角打
94 7二金打
95 5二角成(61)
96 2九飛成(25)
97 7四銀打
98 同 金(63)
99 同 歩(75)
100 8二銀打
101 7三歩成(74)
102 同 金(72)
103 5三歩成(54)
104 5八飛打
105 5九歩打
106 同 龍(29)
107 同 角(77)
108 同 飛成(58)
109 6三馬(52)
110 7二銀打
111 7五桂打
112 7四銀(83)
113 同 馬(63)
114 同 金(73)
115 6三桂成(75)
116 4五角打
117 7二成桂(63)
118 同 歩(71)
119 6一飛打
120 7一桂打
121 6二銀打
122 3四角打
123 7一飛成(61)
124 同 銀(82)
125 8三銀打
126 投了
まで125手で先手の勝ち

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大山将棋研究(226); 四間飛車に玉頭位取り

2016-07-25 | 大山将棋研究
昭和50年6月、内藤国雄先生と第14期十段戦です。


大山先生の四間飛車、内藤先生は68玉の形で端を突きます。穴熊なら78銀から左美濃というつもりだったのでしょう。

さらに6筋の位を取ります。68玉のままで1手早いので可能だという作戦です。

振り飛車としては石田流にするくらい。

大山先生の84歩が損な形です。65歩との相性で、84の地点を狙われます。軽くさばく方がよかったでしょう。内藤先生は7筋の位も取り

76銀と66角の形を作ります。大山先生の64歩がまた問題で

1歩持ったので内藤先生の86歩が厳しくなりました。

84同銀とは取り切れませんでした。74歩83金65銀、と攻められます。

内藤先生は8筋を抑え86飛を見せます。大山先生としては動くしかないのですが

内藤先生は銀を逃げながらぶつけ

金を上がってもう一回。

大山先生は74歩を見せられて、なにか動くしかありません。

56銀から86歩で嫌な感じですが

金を繰り出して86の歩を取るのが内藤先生の好手順。玉を左上に逃げ出せます。

あとは駒をぶつけていけばよく

飛車をぶつけ

工作してから金を張り付き

54飛の受けにはあっさり角を取り

その角を打てば飛車を取れました。

飛車を打てば挟撃なので難しくはありません。

これで受け無し。

これは観戦記用の手ですね。飛車の横利きを止めますが

あっさり取られておしまいです。

玉頭位取りというよりは6筋の位取りの破壊力がわかります。振り飛車が銀冠に組むのは最悪の相性なのです。内藤先生の序盤の工夫がうまくいきました。十段リーグは先手後手が決まっている(両方指す)ので、作戦を練っていたのでしょう。
位取りの将棋を並べるのは楽しいです。

#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.23 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:内藤国雄9段
後手:大山棋聖
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 3四歩(33)
3 2六歩(27)
4 4四歩(43)
5 4八銀(39)
6 3二銀(31)
7 6八玉(59)
8 4二飛(82)
9 5八金(49)
10 6二玉(51)
11 9六歩(97)
12 9四歩(93)
13 5六歩(57)
14 7二玉(62)
15 5七銀(48)
16 8二玉(72)
17 6六歩(67)
18 4三銀(32)
19 6五歩(66)
20 7二銀(71)
21 7八玉(68)
22 3五歩(34)
23 2五歩(26)
24 3三角(22)
25 6八銀(79)
26 5二金(41)
27 6七銀(68)
28 1四歩(13)
29 1六歩(17)
30 5四歩(53)
31 2六飛(28)
32 3二飛(42)
33 7七角(88)
34 8四歩(83)
35 7五歩(76)
36 8三銀(72)
37 7六銀(67)
38 7二金(61)
39 6七金(58)
40 4二角(33)
41 6六角(77)
42 3四飛(32)
43 8六歩(87)
44 3三桂(21)
45 6八金(69)
46 6四歩(63)
47 同 歩(65)
48 同 角(42)
49 5五歩(56)
50 同 歩(54)
51 8五歩(86)
52 同 歩(84)
53 8四歩打
54 9二銀(83)
55 9五歩(96)
56 同 歩(94)
57 8五銀(76)
58 5四銀(43)
59 7七角(66)
60 4五桂(33)
61 6五歩打
62 同 銀(54)
63 6六銀(57)
64 5四銀(65)
65 7六金(67)
66 3六歩(35)
67 6五銀(66)
68 同 銀(54)
69 同 金(76)
70 4二角(64)
71 9五香(99)
72 9三歩打
73 5五角(77)
74 5六銀打
75 6四金(65)
76 8六歩打
77 7七金(68)
78 5七桂成(45)
79 8六金(77)
80 4五歩(44)
81 5三歩打
82 同 金(52)
83 8三銀打
84 7一玉(82)
85 6三歩打
86 6二歩打
87 5三金(64)
88 同 角(42)
89 3六飛(26)
90 3五歩打
91 5二金打
92 6七銀(56)
93 8七玉(78)
94 5四飛(34)
95 5三金(52)
96 同 飛(54)
97 4四角(55)
98 6三飛(53)
99 5四角打
100 6四金打
101 6三角成(54)
102 同 金(64)
103 3一飛打
104 5一歩打
105 同 飛成(31)
106 6一金打
107 7二銀成(83)
108 同 玉(71)
109 8三金打
110 7一玉(72)
111 1一龍(51)
112 5一歩打
113 5二歩打
114 3六歩(35)
115 5一歩成(52)
116 3二角打
117 9六玉(87)
118 2一銀打
119 同 龍(11)
120 投了
まで119手で先手の勝ち
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