先手番升田先生の手を考えます。
第1問
序盤のミスで悪くして126手、ようやく後手に悪手が出ました。
A 77同玉 B 77同金右 C 77同桂
第2問
ねらいは入玉です。
A 53銀左不成 B 92竜 C 76歩
第3問
後手玉が詰みます。21手、実戦では23手の追い方が17手になりました。
先手番升田先生の手を考えます。
第1問
序盤のミスで悪くして126手、ようやく後手に悪手が出ました。
A 77同玉 B 77同金右 C 77同桂
第2問
ねらいは入玉です。
A 53銀左不成 B 92竜 C 76歩
第3問
後手玉が詰みます。21手、実戦では23手の追い方が17手になりました。
今日の棋譜20201031
昭和28年5月、升田幸三先生と第12期名人戦第3局です。
升田先生の先手で相掛りです。
新旧対抗で
後手は中央の位を取る、までは定番です。
升田先生が66歩を突かなかったので、大山先生は65銀
升田先生は77銀を強いられたわけですが、44歩に35歩の突き捨てで
飛を浮いて歩を交換しようというわけです。
ところが33銀に26飛では変調です。35飛は24銀36飛13角があり、自信がなかったのでしょう。でも1歩損プラス2手損では作戦負けです。
銀を追い返して
互に凸矢倉(銀立ち矢倉)ですが、右銀の働きが違います。升田先生は右桂を使えているものの、持ち歩が少ないというのもマイナスです。
56歩は1歩交換ではなくて
56同歩に55歩同銀65歩、強く戦うのですが、作戦負けのほうから動いたらすぐに不利になりそうです。
52飛に45歩ですが、45同歩には(25桂を跳ねるかどうかはありますが)56銀同銀同飛と進めば激しいものの、すぐに後手有利になりそうです。
大山先生は自然な手を選ばないことがあり、74歩で返しました。桂を跳ねられて
25同銀同飛75歩
75同銀57歩成同金76歩。68角に45歩の味が良さそうです。
升田先生は角を切って56銀
中央を抑えて頑張ります。角桂と銀銀の交換は少し損ですが、少し形勢は挽回してきたかもしれません。
48角67金寄66歩、ここに歩を打たれるのは痛いので、やはり後手有利です。
68金引に93桂、のんびりしていると85桂~77桂打などと攻められます。
45銀44歩34歩、42角には54銀とするのでしょうが、まだ足りないはず。
銀角の取り合いにしてもらって差が縮まりました。
57銀37角成(同角成同金77桂なども自信なし)35飛、先手玉が少し堅くなったし、駒損も回復したので形勢は互角に戻ったでしょう。19馬は34歩から攻められるので
26馬39飛36歩。馬で守られてはまだ先手が悪いか。
29飛35馬に26銀ではパッとしませんが
角を打てば
馬が作れます。
馬飛の交換はうれしいようなうれしくないような。
81飛43馬35銀、これで升田先生もまだまだのようですが、大山先生は47角~65角成としておけば十分だったはず。37歩成でもちょっと良さそうです。
大事を取ったつもりで34銀を打って同銀同金というのは、先手の銀をさばかせただけです。
54銀44馬が入って、38角~65角成の筋が消えてしまいました。24歩から
24同歩23歩同金、形を乱されて91竜は嫌な感じです。
56歩同銀は良いとして、77歩成同玉は明らかな損です。先手の入玉も気にしなければならなくなりました。これで逆転させたことになります。
38角59飛37歩成66玉、先手のほうが入玉しやすく、後手不利になっています。
74歩93竜72けいというのは、入玉を阻止しようというのですが
92竜62馬73歩、抑えの駒を取りに来られて、速い攻めがないのですから劣勢でしょう。
桂を取られて
と金を消されることになり
角は切るくらいしかなかったのでしょう。
先手の飛を追いかけて
香を成り捨てます。取ってもらえば46馬58玉66歩で逆転でしょうが、
手抜きで82竜でした。銀を打ってずいぶん迫ったようですが
玉を逃げられてみると少し足りません。
68銀成同金75銀、これも取ってもらえれば怪しくなりますが
53銀左不成とされて駒が足りません。25歩は玉を逃げだして頑張ろうというのですが
上をふさがれて王手
金合いを強制されます。詰み筋もありそうですね。まだ駒が足りないようですが
74と で催促されたら66歩から攻めるしかありません。
馬を切って銀を出れば詰めろ。78玉ならば67歩成88玉77金同桂同と89玉が詰まず、金を渡すことになるので、どう詰めろをかけるかわかりませんが、どうやらこの図で後手玉が詰んでいるようです。
清算して32金から(角を渡したので同玉には41角がある)
詰みました。
作戦勝ちから有利になった大山先生が、手堅く進めたようでも穴がありました。どこで見切って攻めても勝ちそうだったのですけどね。
#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.44 棋譜ファイル ----
開始日時:1953/05/11
手合割:平手
先手:升田幸三8段
後手:大山名人
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 8四歩(83)
3 2六歩(27)
4 8五歩(84)
5 2五歩(26)
6 3二金(41)
7 2四歩(25)
8 同 歩(23)
9 同 飛(28)
10 2三歩打
11 2六飛(24)
12 8六歩(85)
13 同 歩(87)
14 同 飛(82)
15 7八金(69)
16 3四歩(33)
17 8七歩打
18 8二飛(86)
19 1六歩(17)
20 1四歩(13)
21 4八銀(39)
22 6二銀(71)
23 4六歩(47)
24 5四歩(53)
25 4七銀(48)
26 5三銀(62)
27 5八金(49)
28 5五歩(54)
29 6九玉(59)
30 5四銀(53)
31 6八銀(79)
32 4二銀(31)
33 9六歩(97)
34 4一玉(51)
35 3六歩(37)
36 5二金(61)
37 3七桂(29)
38 6五銀(54)
39 7七銀(68)
40 4四歩(43)
41 3五歩(36)
42 同 歩(34)
43 2五飛(26)
44 3三銀(42)
45 2六飛(25)
46 3四銀(33)
47 7五歩(76)
48 3三角(22)
49 6六歩(67)
50 5四銀(65)
51 7六銀(77)
52 3一玉(41)
53 7七角(88)
54 9四歩(93)
55 7九玉(69)
56 4三金(52)
57 8八玉(79)
58 2二玉(31)
59 6七金(58)
60 6四歩(63)
61 5六歩(57)
62 同 歩(55)
63 5五歩打
64 同 銀(54)
65 6五歩(66)
66 5二飛(82)
67 4五歩(46)
68 7四歩(73)
69 2五桂(37)
70 同 銀(34)
71 同 飛(26)
72 7五歩(74)
73 同 銀(76)
74 5七歩成(56)
75 同 金(67)
76 7六歩打
77 5五角(77)
78 同 飛(52)
79 5六銀(47)
80 5一飛(55)
81 5五歩打
82 4五歩(44)
83 6四銀(75)
84 4八角打
85 6七金(57)
86 6六歩打
87 6八金(67)
88 9三桂(81)
89 4五銀(56)
90 4四歩打
91 3四歩打
92 4五歩(44)
93 3三歩成(34)
94 同 金(43)
95 5七銀打
96 3七角成(48)
97 3五飛(25)
98 2六馬(37)
99 3九飛(35)
100 3六歩打
101 2九飛(39)
102 3五馬(26)
103 2六銀打
104 4四馬(35)
105 3五角打
106 4三馬(44)
107 6二角成(35)
108 6一飛(51)
109 同 馬(62)
110 同 馬(43)
111 8一飛打
112 4三馬(61)
113 3五銀(26)
114 3四銀打
115 同 銀(35)
116 同 金(33)
117 5四銀打
118 4四馬(43)
119 2四歩打
120 同 歩(23)
121 2三歩打
122 同 金(32)
123 9一飛成(81)
124 5六歩打
125 同 銀(57)
126 7七歩成(76)
127 同 玉(88)
128 3八角打
129 5九飛(29)
130 3七歩成(36)
131 6六玉(77)
132 7四歩打
133 9三龍(91)
134 7二桂打
135 9二龍(93)
136 6二馬(44)
137 7三歩打
138 4八と(37)
139 7九飛(59)
140 8二歩打
141 7二歩成(73)
142 3五馬(62)
143 3九香打
144 同 と(48)
145 同 飛(79)
146 5六角成(38)
147 同 玉(66)
148 3八歩打
149 4九飛(39)
150 4六香打
151 2九飛(49)
152 4七香成(46)
153 8二龍(92)
154 5七銀打
155 7三と(72)
156 6二歩打
157 6七玉(56)
158 6八銀成(57)
159 同 金(78)
160 7五銀打
161 5三銀(64)
162 2五歩(24)
163 2七桂打
164 4六馬(35)
165 2四歩打
166 同 金(34)
167 6二龍(82)
168 1三玉(22)
169 3一角打
170 2二金打
171 7四と(73)
172 6六歩打
173 7七玉(67)
174 6八馬(46)
175 同 玉(77)
176 7六銀(75)
177 2二角成(31)
178 同 金(23)
179 同 龍(62)
180 同 玉(13)
181 3二金打
182 2三玉(22)
183 3五桂打
184 同 金(24)
185 同 桂(27)
186 投了
まで185手で先手の勝ち
先手番大山先生の手を考えます。
第1問
手が広いですが、指されてみれば本筋という気がします。
A 44歩 B 37桂 C 66歩
第2問
反撃されて大変なようですが、これで有利でしょう。
A 86銀打 B 72銀 C 46角
第3問
これで逆転したようです。
A 73と B 65金 C 66金
今日の棋譜20201030
昭和28年4月、升田幸三先生と第12期名人戦第2局です。
大山先生の先手で矢倉です。
46歩に64歩、互に銀矢倉を目指す古い形になりそうです。
升田先生の72飛は変化ですが、54銀の形ですから7筋の歩を切って74銀を目指すことができません。
すぐに交換しなかったので角で守られてしまいました。
大山先生も袖飛車です。
85歩を守るために82飛ですから、後手が2手損したことになります。
その2手は中央位取りに使います。
右金を67にもっていくのではなくて47へ。このほうが攻撃力はありそうですが、後手も攻めにくいので構わないということかもしれません。
3筋の位を取って銀を追い返し
45歩(同歩は同銀44歩34銀か)に65歩で戦いが始まります。
37桂45歩28飛、大山先生が攻めて、升田先生は堅い玉で守るという構図です。
銀が出て
交換ならば先手よしです。
22銀36銀55角、互角の応酬ですが、後手は右桂が使えていない分だけ分が悪いか。
大山先生は2筋の歩を切り
銀をぶつけます。
升田先生は受けきりにはならなさそうなので反撃に転じます。8筋を歩で攻めて
桂を使えば86銀打。しっかり守られて攻めにくそうです。
1歩しかないので33銀と手を戻したところで、大山先生は端を攻めました。でも歩を渡すから結果的に疑問の手順になりました。
34銀57角22玉、後手玉は少し危なくなりましたが、25桂は無理なので、今すぐつぶれるわけでもありません。
大山先生は右から攻められないので左へ、飛を中央に使って75歩です。
升田先生は持ち歩が増えたので84歩同歩85歩。
と金を作られて少し忙しいのですが
銀を打ち込みます。
大山先生は中段玉で粘りますが
銀2枚をはがされてしまいます。後手有利でしょう。
この升田先生の55銀では45銀打、28銀、37角成同金45銀など選択肢がありました。どれが正しいかはわかりにくいです。
16飛に65歩で調子が良さそう(なのですが)
銀をすり込んで
48角の時にどうするかがちょっと見えませんでした。飛を追ってからこの45歩の突き出しは、46歩同金同角同飛75金というねらいです。
大山先生は56金46歩65金。取れるはずの桂に逃げられるのですが
角で銀を取って王手。
55金84角47歩成、後手の攻めも切れなさそうなのですが、入玉の楽しみができました。ここでは逆転しているかもしれません。
升田先生は72銀の飛取りを無視して54金と引きます。飛を逃げて相入玉になると点数が足りないということなのでしょう。
37桂を取り、先手の飛を追います。
飛を捕まえたようですが
84角でひもがついています。その分だけ足りないのでしょう。
大山先生の85玉64金62飛というのは、反撃に移るわけではなくて、入玉するための手順です。
飛も逃げることができて
入玉できそうですからここまで。
先手作戦勝ち~有利~後手が逆転~再逆転と形勢が揺れ動いています。右翼から攻め切れない場合は入玉が絡むというのは相居飛車の宿命です。こういう将棋もうまくなりたいものです。
#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.44 棋譜ファイル ----
開始日時:1953/04/27
手合割:平手
先手:大山名人
後手:升田幸三8段
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 8四歩(83)
3 7八銀(79)
4 3四歩(33)
5 7七銀(78)
6 6二銀(71)
7 2六歩(27)
8 4二銀(31)
9 4八銀(39)
10 5二金(61)
11 7八金(69)
12 3二金(41)
13 6九玉(59)
14 4一玉(51)
15 5八金(49)
16 7四歩(73)
17 4六歩(47)
18 6四歩(63)
19 4七銀(48)
20 6三銀(62)
21 3六歩(37)
22 9四歩(93)
23 9六歩(97)
24 5四銀(63)
25 2五歩(26)
26 3三銀(42)
27 7九角(88)
28 7二飛(82)
29 5六歩(57)
30 8五歩(84)
31 5七角(79)
32 4四歩(43)
33 7九玉(69)
34 3一角(22)
35 3八飛(28)
36 4三銀(54)
37 3五歩(36)
38 同 歩(34)
39 同 飛(38)
40 8二飛(72)
41 3八飛(35)
42 4二角(31)
43 5五歩(56)
44 5一角(42)
45 5六銀(47)
46 3四銀(43)
47 8八玉(79)
48 3一玉(41)
49 1六歩(17)
50 7三角(51)
51 4七金(58)
52 6二飛(82)
53 3五歩打
54 4三銀(34)
55 4五歩(46)
56 6五歩(64)
57 3七桂(29)
58 4五歩(44)
59 2八飛(38)
60 4二金(52)
61 1五歩(16)
62 6一飛(62)
63 4五銀(56)
64 4四歩打
65 3四歩(35)
66 2二銀(33)
67 3六銀(45)
68 5五角(73)
69 2四歩(25)
70 同 歩(23)
71 同 飛(28)
72 2三歩打
73 2六飛(24)
74 3四銀(43)
75 3五銀(36)
76 同 銀(34)
77 同 角(57)
78 8六歩(85)
79 同 歩(87)
80 8七歩打
81 同 玉(88)
82 8五歩打
83 同 歩(86)
84 7三桂(81)
85 8六銀打
86 3三銀(22)
87 1四歩(15)
88 同 歩(13)
89 1二歩打
90 同 香(11)
91 1三歩打
92 同 香(12)
93 1二歩打
94 3四銀(33)
95 5七角(35)
96 2二玉(31)
97 5六飛(26)
98 6四角(55)
99 7五歩(76)
100 6六歩(65)
101 同 歩(67)
102 8四歩打
103 同 歩(85)
104 8五歩打
105 9七銀(86)
106 7五歩(74)
107 8三歩成(84)
108 7六歩(75)
109 同 銀(77)
110 8六銀打
111 同 銀(97)
112 同 歩(85)
113 7七玉(87)
114 7五歩打
115 6七銀(76)
116 7六銀打
117 同 銀(67)
118 同 歩(75)
119 6七玉(77)
120 5五銀打
121 1六飛(56)
122 6五歩打
123 7六玉(67)
124 6六銀(55)
125 4八角(57)
126 1五歩(14)
127 3六飛(16)
128 3五歩打
129 2六飛(36)
130 4五歩(44)
131 5六金(47)
132 4六歩(45)
133 6五金(56)
134 同 桂(73)
135 6六角(48)
136 5五金打
137 8四角(66)
138 4七歩成(46)
139 7二銀打
140 5四金(55)
141 6一銀(72)
142 3七角成(64)
143 6六飛(26)
144 7四桂打
145 6九飛(66)
146 8七歩成(86)
147 同 金(78)
148 5八と(47)
149 3九飛(69)
150 2八馬(37)
151 8五玉(76)
152 6四金(54)
153 6二飛打
154 5七桂成(65)
155 7九飛(39)
156 3三玉(22)
157 7三角成(84)
158 投了
まで157手で先手の勝ち
後手番大山先生の手を考えます。
第1問
この相掛り腰掛銀では定番の手筋です。これまでも何度か出てきました。
A 73桂 B 66歩 C 36銀
第2問
次の一手に出てくる攻めがあります。
A 77桂 B 86歩 C 66歩
第3問
この66飛を疑問手にさせる好手があります。
A 73桂 B 43桂 C 54歩
第4問
ここが急所です。
A 56歩 B 65銀 C 39角
第5問
後手玉が詰まないという確認を。
今日の棋譜20201029
昭和28年4月、升田幸三先生と第12期名人戦第1局です。
升田先生は角換わりを選ばず
相掛りです。
互いに端を伸ばしたというのは少し珍しいです。現代では先手が37桂から端攻めがあるので十分とされていて、後手はこういう形を避けます。
腰掛銀に進むのですが、金の位置が少し違います。攻めるには48金(桂を跳ねて攻めやすい)受けるには52金(玉が堅い)という違いです。
先後同型は先手が有利になるのですが、ここでガッチャン銀の35歩同歩45銀同銀同桂44歩33歩同桂同桂成同玉は後手有利です。
47金63金48金62金で後手の金の位置が変わってから45銀
45同銀同歩75歩35歩、同じような形ですが後手は73桂を跳ねていなくて手番があります。
35同歩75歩36銀までは妥当でしょうが、先手としては38歩は打ちたくはないです。でも代わりの手も難しいです。
後手の24歩(25歩同桂24歩や23銀を見せた)に、升田先生は22角成同銀74歩、74同飛は83角から馬を作れます。このままでは24飛もあるので
33角に77角
同角成同金33角88銀76歩という手順で
76歩の拠点ができて、銀冠にできたというのは大山先生のポイントです。
升田先生は75銀85飛86銀84飛を入れてから46角、良さそうな手です。
93香に91角成でしたが、35角としたら37銀成同歩で駒得でした。
63金に75銀85飛86銀84飛75銀85飛と千日手の手順が入ってから64銀、難しい攻防です。
74金に75歩46金同馬、歩切れではありますが銀金交換で馬があるので升田先生の駒得です。
銀冠に入城されたものの、1歩を得て25歩が厳しくなっています。先手有利でしょう。
大山先生は銀桂交換で受けるのですが、トータルでは金桂交換の駒損です。玉は堅いけれど右桂を使えていないのも不満でしょう。
83飛54馬86歩、これで同歩同飛となれば、87歩77歩成~36飛で後手が優勢になります。
升田先生はもちろん86歩を手抜いて44歩同角55金、後手の角筋をそらせば87歩成同銀99角成の筋が消えます。
44歩同歩65馬というのも味が良く、はっきり先手有利です。
84飛に66飛というのがうまい(32馬同銀62飛成ねらい)ようでしたが、この54歩を打たれて容易ではないことに気が付きます。簡単に勝とうと思ったのが失敗でした。
54同馬は同飛同金、これでもまだ良さそうに思えなくはないですが
56歩同飛45銀は強烈です。55金56銀同金は粘れるけれど29飛49歩19飛成~47香などと攻められます。
76歩を払う76飛ですが、桂を打たれます。77玉が利けばよいですが、59角66玉54銀がぴったり。
56同飛同銀52飛で勝負。後手玉は2手すきです。
57銀成同金59角同玉57角成。角銀をもらって後手玉が詰むかどうかですが、詰まないのです。54金を王手で捨てて馬を抜くような手順もありません。
31銀同玉53角41玉(52飛の位置が62だったら詰むのですが)32飛成で王手は続くものの
詰みませんでした。
体力が無いと有利になって少し気が抜けたときに、早い勝ちを選んでしまいます。升田先生はポカで負けることも多かったのですが、高度なので我々にはわからないレベルかも。107手目66飛も良さそうに見えますから。
#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.44 棋譜ファイル ----
開始日時:1953/04/13
手合割:平手
先手:升田幸三8段
後手:大山名人
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 8四歩(83)
3 2六歩(27)
4 8五歩(84)
5 2五歩(26)
6 3二金(41)
7 7八金(69)
8 8六歩(85)
9 同 歩(87)
10 同 飛(82)
11 2四歩(25)
12 同 歩(23)
13 同 飛(28)
14 2三歩打
15 2六飛(24)
16 8四飛(86)
17 8七歩打
18 3四歩(33)
19 1六歩(17)
20 9四歩(93)
21 1五歩(16)
22 9五歩(94)
23 4八銀(39)
24 6二銀(71)
25 4六歩(47)
26 6四歩(63)
27 4七銀(48)
28 6三銀(62)
29 5六銀(47)
30 5四銀(63)
31 4八金(49)
32 5二金(61)
33 3六歩(37)
34 4二玉(51)
35 3七桂(29)
36 6五歩(64)
37 6八玉(59)
38 7四歩(73)
39 4七金(48)
40 6三金(52)
41 4八金(47)
42 6二金(63)
43 4五銀(56)
44 同 銀(54)
45 同 歩(46)
46 7五歩(74)
47 3五歩(36)
48 同 歩(34)
49 7五歩(76)
50 3六銀打
51 3八歩打
52 2四歩(23)
53 2二角成(88)
54 同 銀(31)
55 7四歩(75)
56 3三角打
57 7七角打
58 同 角成(33)
59 同 金(78)
60 3三角打
61 8八銀(79)
62 7六歩打
63 7八金(77)
64 2三銀(22)
65 7五銀打
66 8五飛(84)
67 8六銀(75)
68 8四飛(85)
69 4六角打
70 9三香(91)
71 9一角成(46)
72 6三金(62)
73 7五銀(86)
74 8五飛(84)
75 8六銀(75)
76 8四飛(85)
77 7五銀(86)
78 8五飛(84)
79 6四銀(75)
80 7四金(63)
81 7五歩打
82 6四金(74)
83 同 馬(91)
84 3一玉(42)
85 5三馬(64)
86 2二玉(31)
87 2五歩打
88 同 歩(24)
89 同 桂(37)
90 同 銀(36)
91 同 飛(26)
92 2四歩打
93 3五飛(25)
94 3四歩打
95 3六飛(35)
96 8三飛(85)
97 5四馬(53)
98 8六歩打
99 4四歩(45)
100 同 角(33)
101 5五金打
102 3五角(44)
103 4四歩打
104 同 歩(43)
105 6五馬(54)
106 8四飛(83)
107 6六飛(36)
108 5四歩打
109 同 馬(65)
110 同 飛(84)
111 同 金(55)
112 5六歩打
113 同 飛(66)
114 4五銀打
115 7六飛(56)
116 5六桂打
117 同 飛(76)
118 同 銀(45)
119 5二飛打
120 5七銀成(56)
121 同 金(48)
122 5九角打
123 同 玉(68)
124 5七角成(35)
125 3一銀打
126 同 玉(22)
127 5三角打
128 4一玉(31)
129 3二飛成(52)
130 同 玉(41)
131 4三銀打
132 2二玉(32)
133 4四角成(53)
134 3三桂(21)
135 1四桂打
136 同 歩(13)
137 投了
まで136手で後手の勝ち
後手番大山先生の手を考えます。
第1問
銀取りへの対応です。このまま取られたくはないので。
A 35銀 B 65銀 C 45銀
第2問
受け間違えると負けです。
A 34同金 B 51銀 C 62歩
第3問
さわやかに寄せましょう。
A 38角 B 46銀 C 47角成
今日の棋譜20201028
昭和28年3月、丸田祐三先生と第2期王将戦第7局です。
角換わりのスタートでしたが、大山先生の54歩は変化球、中央位取りにするのでしょうか。
丸田先生は角を交換するのですが2手損です。後手の54歩がマイナスだと見ました。自然な62銀だと24歩同歩同飛35角34飛が両取りになります。それでも後手が銀冠にする(24歩同歩同飛23銀)のはあるかもしれませんが。42玉ならば32金にひもを付けて53角の打ち込みを防いでいますが、棒銀で攻めることができそうです。
大山先生は33銀53角に84角、変わった手ですね。先手の馬を消そうというのですが
44同角成とされても得になっているかどうか。本譜は75角成で
角を交換して銀を戻れば、互いに手の損得はありません。75歩と54歩とどちらのマイナスが大きいでしょうか。
丸田先生が75歩を生かすならば76銀と立たねばならないのですが、駒が片寄ります。
これは後手の作戦勝ちか。
でも35歩同歩34歩と返す(34同銀は56角)というのは丸田先生らしいです。
飛先の歩を切って25飛はちょっと欲張ったようですが
35歩を取り返して、28角には46角同角成同歩28角37角同角成同銀38角25飛47角成28飛か、馬は作られてもそれだけならば。
大山先生は角を打ち込まなかったので、丸田先生は飛を戻しますが、歩得でもなく、手損が残ります。
どうやら大山先生の作戦勝ちか。先手玉の中住まいを目標に中央に勢力を作ります。
丸田先生は65歩同歩76銀、左から手を作りに行きます。
銀ばさみのようですが、64歩を打てるので
まだ死にません。
角を打ち込んでみると両取りです。
これで飛を取れて、先手有利でしょう。
王手で飛を打ち込むほうが良いのかなあ?76桂や65歩や81飛のどれがいいかはわかりません。
53玉83飛成73歩に46桂は良かったかどうか。銀取りですが
65銀同金76角、この角は金を取り返すと竜取りになります。
渡した金で守られるのはマイナスでしょう。
大山先生は得意の中段玉が生きる展開になりました。銀を打って、飛を逃げてもらえば要塞化しそうです。
丸田先生は33歩成同金34桂でしたが、62歩を打たれると止まります。ならば黙って飛を引いておくものだったか。あるいは16飛にして、46桂を捨てることになったら91竜~96飛~93飛成をねらうとか。
28飛34金23飛成33金、21竜とはできませんね。桂を捨てて竜を作るだけでは不満です。これで大山先生が有利になったでしょう。
もらった桂馬で48銀を攻めて
角を切ると69角が両取りです。
金を取り返したところで、後手玉は安全、先手玉は守りようがありません。
27歩37銀28歩成、銀をはがして
27歩まで。一手一手の寄りです。
作戦負けのようでしたが飛を取ったところは丸田先生有利のはず。でも大山先生の中段玉はなかなか寄らないのです。こういう勝ち方ができるといいなあと思います。
#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.44 棋譜ファイル ----
開始日時:1953/03/25
手合割:平手
先手:丸田祐三8段
後手:大山名人
手数----指手--
1 2六歩(27)
2 8四歩(83)
3 2五歩(26)
4 8五歩(84)
5 7六歩(77)
6 3二金(41)
7 7七角(88)
8 3四歩(33)
9 7八銀(79)
10 5四歩(53)
11 2二角成(77)
12 同 銀(31)
13 7七銀(78)
14 3三銀(22)
15 5三角打
16 8四角打
17 5八金(49)
18 4四銀(33)
19 7五角成(53)
20 同 角(84)
21 同 歩(76)
22 3三銀(44)
23 7八金(69)
24 6二銀(71)
25 6六歩(67)
26 6四歩(63)
27 6七金(58)
28 6三銀(62)
29 4八銀(39)
30 6二金(61)
31 3六歩(37)
32 7四歩(73)
33 同 歩(75)
34 同 銀(63)
35 3五歩(36)
36 同 歩(34)
37 3四歩打
38 4二銀(33)
39 2四歩(25)
40 同 歩(23)
41 同 飛(28)
42 2三歩打
43 2五飛(24)
44 5三金(62)
45 3五飛(25)
46 5二玉(51)
47 2五飛(35)
48 4四歩(43)
49 2六飛(25)
50 6三銀(74)
51 5八玉(59)
52 5五歩(54)
53 6五歩(66)
54 同 歩(64)
55 7六銀(77)
56 7五歩打
57 同 銀(76)
58 7四歩打
59 6四歩打
60 5四銀(63)
61 7四銀(75)
62 6四金(53)
63 7三角打
64 同 桂(81)
65 同 銀(74)
66 6六歩(65)
67 同 金(67)
68 6二飛(82)
69 同 銀成(73)
70 同 玉(52)
71 8二飛打
72 5三玉(62)
73 8三飛成(82)
74 7三歩打
75 4六桂打
76 6五銀(54)
77 同 金(66)
78 7六角打
79 6七歩打
80 6五角(76)
81 7三龍(83)
82 6三金打
83 8二龍(73)
84 3五銀打
85 3三歩成(34)
86 同 金(32)
87 3四桂(46)
88 6二歩打
89 2八飛(26)
90 3四金(33)
91 2三飛成(28)
92 3三金(34)
93 2二龍(23)
94 3六桂打
95 5九銀(48)
96 4七角成(65)
97 同 玉(58)
98 6九角打
99 3八玉(47)
100 7八角成(69)
101 9一龍(82)
102 2七歩打
103 3七銀打
104 2八歩成(27)
105 同 銀(37)
106 同 桂成(36)
107 同 玉(38)
108 2七歩打
109 投了
まで108手で後手の勝ち
先手番大山先生の手を考えます。
第1問
形勢は良くないです。逆転のために後手玉に嫌味を作っておきます。
A 54歩 B 23歩 C 54銀
第2問
難しい寄せ合いになってきました。ちょっと気が利かない手ですが、これで勝負です。
A 61金 B 75角 C 95角
第3問
ここは即詰みがあります。変化を読み切ってください。
今日の棋譜20201027
昭和28年3月、丸田祐三先生と第2期王将戦第6局です。
横歩取りになりそうですが
大山先生は回避して相掛りです。(28飛に丸田先生が76飛としていたら手将棋ですが。)
新旧対抗になり
大山先生の中央位取りというのも(先手番では珍しいですが)良くある進行です。
丸田先生が端の位を取ったというのが珍しく、駒組が遅れるのですが大丈夫でしょうか?
大山先生が4筋の歩を交換すれば
33銀で受かっています。
48飛に44歩
4、5筋を手厚くするために43金左~32玉とするのがプロの感覚なのでしょう。金矢倉で22玉は88角のラインですし。
大山先生の飛は2筋に戻ります。
丸田先生が仕掛けるのですが、75歩の突き捨ては少し早い感じです。
75同歩31角に27飛と待たれ、65歩同歩75角66銀ではうまくいかないので
一度84飛と浮いたら大山先生らしい76金ですが、74歩同歩同銀75歩85銀や65歩同歩64歩同歩同銀~75銀などと攻められたときに当たりがきつくなっています。
丸田先生の54歩同歩同金55歩45金という攻めは意表です。守りの金ですからちょっとおかしいでしょう。
金銀を交換して77角とされた図です。85銀や85桂が目につきますが、95角があるので94歩を突いておくくらいでしょうか。何もしないで95角84飛84金だって気になることろですし。
丸田先生は94歩ではなくて、88歩同角38銀
成銀を作り、少し指しやすいでしょうか。大山先生は金を打って受け
74歩を取らずに成銀を消します。
すると56金が浮いてしまうので、やはり苦しいでしょう。丸田先生は65歩
22歩同銀65歩に
75歩66金左46歩、この突き捨ては後で44歩とか43歩とか打って守れるので疑問手にはならないです。46同金は57銀でしょうから、46同歩にどうするのかが見えなかったのですが
58玉だったので68歩、歩の手筋で攻めるのが丸田先生の得意とするところです。この歩は取れないので
割打ちが入り
さらに金を打って
先手玉がずいぶん薄くなりました。大山先生は23歩、23同銀には54歩ですが、77歩成同角76金11角成87飛成はどちらも怖いけれど後手有利になる気がします。
33銀に22銀、後手玉も薄くなります。
銀をはがして67銀と埋める、複雑な戦い方です。丸田先生は75銀を打てば手厚い攻め方ですが
86歩同歩87歩は軽いです。87同玉は75銀なので66角で飛取り。
86飛に23歩、激しい寄せ合いです。
33角22銀88歩成
68玉に丸田先生は47金のしばりですが、ここは87飛成も有力でした。
33銀成同桂22歩成、この応手が問題です。22同玉41角32銀23歩同玉24飛同玉32角成というのが寄せの手筋ですが、先手は飛を渡せないでしょう。取るほうが良かったか。
41玉61金、これは23角42玉32角成53玉54歩というのが怖いですが、まだ詰めろではありません。ソフトに聞くと、77歩成同角56飛あるいは77歩成同桂66飛で寄せてしまえと。
丸田先生の58歩は詰めろです。75角43玉86角としても59銀86角68歩から詰みます。丸田先生はこれで勝ちになったと思ったのでしょう。
58飛で詰めろが消え、77歩成同角79銀
69玉(59玉のほうか)68歩59玉に、56金を取る56飛が必殺か、というところですが。56同銀は69歩成同玉58金同玉78飛でしょうか、まだよくわかりません。しかし後手玉は
32角成53玉54歩、飛銀どちらで取っても
詰みでした。
丸田先生がうまく指していて、有利のまま終盤に入ったと思うのですが、指し手は難しいです。有力な手も多かったのですが、勝ちきれませんでした。この将棋に勝っていれば、歴史がずいぶん変わっていたかもしれません。大山先生は最終局に持ち込めました。
#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.44 棋譜ファイル ----
開始日時:1953/03/19
手合割:平手
先手:大山名人
後手:丸田祐三8段
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 3四歩(33)
3 2六歩(27)
4 8四歩(83)
5 2五歩(26)
6 8五歩(84)
7 7八金(69)
8 3二金(41)
9 2四歩(25)
10 同 歩(23)
11 同 飛(28)
12 8六歩(85)
13 同 歩(87)
14 同 飛(82)
15 2八飛(24)
16 2三歩打
17 8七歩打
18 8二飛(86)
19 4八銀(39)
20 6二銀(71)
21 5六歩(57)
22 6四歩(63)
23 5七銀(48)
24 6三銀(62)
25 5五歩(56)
26 5二金(61)
27 5六銀(57)
28 4二銀(31)
29 6八銀(79)
30 4一玉(51)
31 6九玉(59)
32 1四歩(13)
33 4六歩(47)
34 1五歩(14)
35 5八金(49)
36 4四歩(43)
37 4五歩(46)
38 同 歩(44)
39 同 銀(56)
40 3三銀(42)
41 4八飛(28)
42 4四歩打
43 5六銀(45)
44 4三金(32)
45 3六歩(37)
46 3二玉(41)
47 6六歩(67)
48 5四歩(53)
49 同 歩(55)
50 同 銀(63)
51 5五歩打
52 6三銀(54)
53 6七金(58)
54 7四歩(73)
55 2八飛(48)
56 7三桂(81)
57 5七銀(68)
58 7五歩(74)
59 同 歩(76)
60 3一角(22)
61 2七飛(28)
62 8四飛(82)
63 7六金(67)
64 5四歩打
65 同 歩(55)
66 同 金(43)
67 5五歩打
68 4五金(54)
69 同 銀(56)
70 同 歩(44)
71 2四歩打
72 同 歩(23)
73 7七角(88)
74 8八歩打
75 同 角(77)
76 3八銀打
77 2八飛(27)
78 4七銀成(38)
79 6七金打
80 7四歩打
81 5六銀(57)
82 4六成銀(47)
83 4七歩打
84 5六成銀(46)
85 同 金(67)
86 6五歩(64)
87 2二歩打
88 同 銀(33)
89 6五歩(66)
90 7五歩(74)
91 6六金(76)
92 4六歩(45)
93 5八玉(69)
94 6八歩打
95 4六歩(47)
96 6九銀打
97 6八玉(58)
98 7八銀成(69)
99 同 玉(68)
100 7六金打
101 同 金(66)
102 同 歩(75)
103 2三歩打
104 3三銀(22)
105 2二銀打
106 同 銀(33)
107 同 歩成(23)
108 同 角(31)
109 6七銀打
110 8六歩打
111 同 歩(87)
112 8七歩打
113 6六角(88)
114 8六飛(84)
115 2三歩打
116 3三角(22)
117 2二銀打
118 8八歩成(87)
119 6八玉(78)
120 4七金打
121 3三銀成(22)
122 同 桂(21)
123 2二歩成(23)
124 4一玉(32)
125 6一金打
126 5八歩打
127 2三角打
128 4二玉(41)
129 5八飛(28)
130 7七歩成(76)
131 同 角(66)
132 7九銀打
133 6九玉(68)
134 6八歩打
135 5九玉(69)
136 5六飛(86)
137 3二角成(23)
138 5三玉(42)
139 5四歩(55)
140 同 銀(63)
141 同 馬(32)
142 同 玉(53)
143 5六飛(58)
144 投了
まで143手で先手の勝ち