名南将棋大会ブログ 名古屋

名南将棋大会告知や結果のほか、
将棋が強くなるための記事を書きます。
まずは将棋上達法則を見てください。

大山将棋研究(171); 四間飛車穴熊に65歩位取り

2016-05-31 | 大山将棋研究
昭和49年7月、内藤先生と第24期棋聖戦第2局です。


どちらが飛車を振るのかという出だしから、どうやら内藤先生が振り飛車で大山先生が居飛車のようです。

内藤先生は四間飛車穴熊です。

大山先生は6筋の位取り。私はこれが好きです。

今回は66に右銀です。この方が形がよいです。

これが大山先生の好み。8筋の位は取らないで、角が自由に動きます。

互いに歩を交換

角を引かれて、73角と35飛があるので、収めにくいように見えますが

飛車先を突き捨て銀を引けば解決。これを見てうまいなあと思うのです。

39の地点は角でカバーしています。銀取りは55歩で止まりますが、取り込めないのではつまらないです。34飛は35歩ですね。

内藤先生は角で受けて、互いに桂香を拾いに行きます。

でも大山先生だけ香も取れるのでやや有利です。

こういうのも大山先生らしいです。飛車を成って横から攻めようとは(あまり)考えないのです。

それで馬を作るのが好みなんです。

細かいやり取りの後、大山先生の端攻め

駒得してから懐を広げます。こういう指し方がうますぎます。

あとは飛車をぶつける手を見せての催促。でも少し危険です。駒得なのですから、と金を引いてくるとか、銀を投入するとか、じっとしている方が手堅いです。

内藤先生は角を合わせて馬を消しますが

また馬ができました。55角と合わせれば千日手になる(もちろん回避する)のですが、内藤先生から避けなくてもよいでしょう。内藤先生は多分こういう展開が嫌いなのです。穴熊なんてつまらない指し方をしたなあ、と少しじれているのでしょう。

で、やや強引なのですが攻めに出ました。攻め駒は4枚あるので、攻めたくなりますね。

これで1枚はがせます。

攻め駒は3枚に減ったけれど、なかなか厳しいです。

さらに急所に角を打たれて、つぶれていてもそんなにおかしくはないのですが

大山先生の綱渡りの受けが続きます。

これもなかなか厳しいのですが、歩切れになりました。

22の馬を引いて、実はこれで受かっているのです。危険な手なのですけれど

馬は捨てて入玉を目指します。

これもぎりぎりの手順、とはいえ内藤先生の攻め駒は竜と角だけです。

再び馬を消されてしまいますが

銀を打ち付けて入玉は阻止されません。はっきりしました。

投了図。

大山先生の振り飛車穴熊破りの名局です。怪しいのは26飛と浮いた手くらい。落ち着いた好手でリードを広げて、食いつかれてもこれしかないという受けを続けて受けきりました。
こういう将棋を並べると、振り飛車穴熊なんてやるものではないなあ、位取りは楽しいなあと思います。


#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.23 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:大山十段
後手:内藤国雄棋聖
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 3四歩(33)
3 6六歩(67)
4 4二銀(31)
5 6八銀(79)
6 4四歩(43)
7 6七銀(68)
8 4三銀(42)
9 5六歩(57)
10 4五歩(44)
11 4八銀(39)
12 4二飛(82)
13 6八玉(59)
14 6二玉(51)
15 7八玉(68)
16 7二玉(62)
17 9六歩(97)
18 8二玉(72)
19 2六歩(27)
20 9二香(91)
21 2五歩(26)
22 3三角(22)
23 5八金(49)
24 9一玉(82)
25 5七銀(48)
26 8二銀(71)
27 6五歩(66)
28 4四銀(43)
29 7七角(88)
30 7一金(61)
31 8八玉(78)
32 5二金(41)
33 7八金(69)
34 6二金(52)
35 9五歩(96)
36 7二金(62)
37 3六歩(37)
38 5四歩(53)
39 6六銀(57)
40 7四歩(73)
41 8六角(77)
42 3二飛(42)
43 7五歩(76)
44 3五歩(34)
45 同 歩(36)
46 7五歩(74)
47 同 角(86)
48 5一角(33)
49 2四歩(25)
50 同 歩(23)
51 7七銀(66)
52 3五飛(32)
53 6六角(75)
54 3三角(51)
55 2二歩打
56 3八歩打
57 2一歩成(22)
58 3九歩成(38)
59 1一と(21)
60 2九と(39)
61 同 飛(28)
62 5三銀(44)
63 3三角成(66)
64 同 飛(35)
65 3九歩打
66 4六歩(45)
67 同 歩(47)
68 6二銀(53)
69 2二角打
70 3七飛成(33)
71 6六角成(22)
72 3五龍(37)
73 9八香打
74 7三銀(62)
75 5五歩(56)
76 4四龍(35)
77 4五歩(46)
78 3四龍(44)
79 9四歩(95)
80 同 歩(93)
81 9三歩打
82 同 銀(82)
83 8五桂打
84 8四銀(73)
85 9三桂成(85)
86 同 銀(84)
87 8六歩(87)
88 8二金(71)
89 5四歩(55)
90 同 龍(34)
91 2六飛(29)
92 7六歩打
93 同 銀(77)
94 5五角打
95 同 馬(66)
96 同 龍(54)
97 6六角打
98 5四龍(55)
99 2二角成(66)
100 7五歩打
101 同 銀(76)
102 7四歩打
103 6六銀(75)
104 7六桂打
105 8七玉(88)
106 5七歩打
107 同 銀(66)
108 7五桂打
109 7六玉(87)
110 6七桂成(75)
111 同 玉(76)
112 6九銀打
113 6八金(58)
114 3五角打
115 7六飛(26)
116 5七角成(35)
117 同 金(68)
118 5八銀打
119 6八玉(67)
120 7八銀(69)
121 同 飛(76)
122 5九銀(58)
123 6七玉(68)
124 5六歩打
125 5八金(57)
126 5七金打
127 6六玉(67)
128 5八金(57)
129 5五馬(22)
130 6七金打
131 5六玉(66)
132 5七金(58)
133 4六玉(56)
134 4七金(57)
135 3五玉(46)
136 5五龍(54)
137 7四飛(78)
138 5三龍(55)
139 2二角打
140 2三龍(53)
141 5五角成(22)
142 4六角打
143 同 馬(55)
144 同 金(47)
145 3四銀打
146 3二龍(23)
147 4三銀打
148 3一龍(32)
149 2三桂打
150 5一龍(31)
151 2四玉(35)
152 4七角打
153 5二歩打
154 4一龍(51)
155 5四飛(74)
156 6五角成(47)
157 5三飛成(54)
158 2二歩打
159 1三玉(24)
160 2三歩(22)
161 1二玉(13)
162 投了
まで161手で先手の勝ち


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大山将棋研究(170); 四間飛車に棒銀

2016-05-30 | 大山将棋研究
昭和49年7月、中原先生と第1回名将戦決勝第2局です。


大山先生の四間飛車に中原先生は棒銀です。2日前に内藤先生の将棋を並べましたが、棒銀が流行していたんでしょうか。

大山先生は今度は先手番ですが、対応策は同じようです。

袖飛車になりました。

ここから少し違ってきます。中原先生は後手番ですから74飛の形で37角を受けるのは間に合わない、角を応援に持ってきます。

角がぶつかって、どちらから交換するかはわかりませんが、角交換にはなります。それを見こして離れ駒をなくします。

大山先生は83角から馬を作るチャンスはあったのですが、最初のチャンスは見送る、というやつでしょうか、銀を引きます。

中原先生から角を換えて

この歩は突かないでさらに駒組みが普通なのですが、大山先生は手詰まりを嫌がっているのでしょう、ちょっかいを出します。玉が安定していないので早い気がするのですけど。とりあえずこの歩は取れません。

中原先生の自陣角。44歩と突くつもりか、24銀から35歩のつもりか、でもたいしたことはないようにも見えます。

大山先生は軽く歩を突き捨てて飛車を回ります。振り飛車らしい手です。

でも角を出た手がなかなかの手ですね。角を切って飛車を出れば指せそうです。でも76の地点を受ける気にもならないですね。

78飛とまわりましたが角を切って飛車をさばかれました。

大山先生は82角から香を拾うのですが、これでは間に合っていないように見えます。

中原先生は89飛成とせずに と金つくりを目指しました。

そのために先手玉の形が少し堅くなりました。

これで と金を払えば逆転した感じです。

中原先生の22金と打たされた形もひどく、桂馬を取るくらいでは割に合わないと思うのですが、ここで次の手は難しいです。ということは形勢互角でしょう。

大山先生の銀を呼びこむ26歩は危険です。代わりには何がよいかは難しいのですが。まずは55歩で中原先生の駒損は回復。

端を攻められて危険です。

桂馬を放り込まれて27同馬とする気にはなれません。

香車のほうを取るのですね。19同玉は15歩で端が破られそうです。

大山先生の17香の受けにも少し驚きますが、端を工作されて

金がないので馬を引きます。

この角が攻防で、どうやら中原先生の有利がはっきりしてきました。

大山先生も必死で守ります。

銀は死んだのですが、桂馬を捨てれば助かります。

中原先生は銀のほうを取り

角も切って手を戻します。中原先生の攻め駒(持ち駒)は余るほどあります。

この桂跳ねが攻防。やっと私にもわかってきました。

継桂で詰みがあります。

投了図。


大山先生の袖飛車、難しくてまねをしにくいのですが、角交換になるあたりでは作戦成功です。先手番ですし、1手早いのは大きいです。やはり棒銀を繰り出すのが早すぎるのでしょう。
大山先生は玉を固めないうちにちょっかいを出したのが変で、中原先生の95角(その前の73角がいい手だとも思わないのですが)を誘発しました。
中原先生がと金を作りに行ったのに、それを取られることになり混戦です。大山先生が強気で銀を取りに行ったのがやりすぎで、端を攻められて不利になったようです。あとは中原先生の長くなってもかまわないという攻めが、大山先生の受けを上回りました。
大山先生の袖飛車はまねをしにくいので、中原先生の終盤を勉強するために後手のほうから見て並べるべきでしょう。


#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.23 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:大山十段
後手:中原名人
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 8四歩(83)
3 7八銀(79)
4 3四歩(33)
5 6六歩(67)
6 6二銀(71)
7 6八飛(28)
8 4二玉(51)
9 4八玉(59)
10 3二玉(42)
11 3八玉(48)
12 5四歩(53)
13 2八玉(38)
14 1四歩(13)
15 1六歩(17)
16 4二銀(31)
17 3八銀(39)
18 7四歩(73)
19 4六歩(47)
20 8五歩(84)
21 7七角(88)
22 7三銀(62)
23 6七銀(78)
24 5二金(61)
25 3六歩(37)
26 8四銀(73)
27 7八金(69)
28 5三銀(42)
29 4七銀(38)
30 7五歩(74)
31 3八飛(68)
32 7六歩(75)
33 同 銀(67)
34 4四銀(53)
35 4五歩(46)
36 3三銀(44)
37 5九角(77)
38 3一角(22)
39 3七角(59)
40 6四角(31)
41 7七金(78)
42 7二飛(82)
43 6七銀(76)
44 7五銀(84)
45 7六歩打
46 3七角成(64)
47 同 桂(29)
48 6四銀(75)
49 6五歩(66)
50 5三銀(64)
51 5六銀(67)
52 7三角打
53 6四歩(65)
54 同 銀(53)
55 6八飛(38)
56 9五角(73)
57 7八飛(68)
58 7七角成(95)
59 同 桂(89)
60 8六歩(85)
61 同 歩(87)
62 7六飛(72)
63 8二角打
64 8六飛(76)
65 9一角成(82)
66 7六歩打
67 6五桂(77)
68 8七飛成(86)
69 3八飛(78)
70 8九龍(87)
71 3九金(49)
72 7七歩成(76)
73 2五桂(37)
74 2四銀(33)
75 6六角打
76 2二金打
77 7七角(66)
78 2五銀(24)
79 2六歩(27)
80 5五歩(54)
81 同 角(77)
82 同 銀(64)
83 同 馬(91)
84 5四歩打
85 3七馬(55)
86 1六銀(25)
87 1七歩打
88 2七桂打
89 1六歩(17)
90 1九桂成(27)
91 1七香打
92 1五歩(14)
93 同 歩(16)
94 1六歩打
95 同 香(17)
96 1七歩打
97 同 玉(28)
98 2九成桂(19)
99 同 金(39)
100 同 龍(89)
101 2八馬(37)
102 同 龍(29)
103 同 玉(17)
104 6四角打
105 4六桂打
106 4九角打
107 2七銀打
108 5五歩(54)
109 5三桂成(65)
110 3八角成(49)
111 同 銀(47)
112 5六歩(55)
113 5二成桂(53)
114 4六角(64)
115 3七銀打
116 同 角成(46)
117 同 銀(38)
118 5二金(41)
119 8二飛打
120 5一香打
121 5三金打
122 6八飛打
123 3八角打
124 3三桂(21)
125 5二金(53)
126 1七銀打
127 同 玉(28)
128 2五桂打
129 同 歩(26)
130 同 桂(33)
131 2八玉(17)
132 3七桂成(25)
133 同 玉(28)
134 2五桂打
135 4七玉(37)
136 5八銀打
137 投了
まで136手で後手の勝ち

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20160530今日の一手<その333>; 悪手を指さない

2016-05-30 | 今日の一手

20160530今日の一手

4月30日の名南将棋大会から、私とSさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。




一昨日の一手の回答

☆ 形勢判断をします。
飛と角銀の交換で先手の駒得です。
玉の堅さは先手のほうが堅いです。
先手の攻め駒は55銀と持ち駒角角銀桂で5枚。
後手の攻め駒は49飛と持ち駒桂で2枚。

総合すれば先手が優勢です。

大局観として
攻め駒は十分ですから寄せを考えればよいです。矢倉も堅く、後手の攻め筋は86桂ですが、現状はそんなに怖くありません。ただし駒得は消えてしまいそうなので、ここが考えどころです。
55の銀は助からないのですが、捨てるか、取らせている間に攻めるか。形勢がよいのでどれもありそうです。形勢が良ければ自然な手がよいのですが、銀が取られるでしょうから駒損は自然な手ではなくなるので悩みます。ですが、悪い手を指さなければよいでしょう。


○ 実戦で私は75歩と指しました。

55歩74歩同銀に38角が両取り。これで簡単かと思ったら79銀が飛んできました。

あ、しまった、と79同金48飛成68金引38竜

王手をどう防ぐかばかり考えていたのですが、この局面は飛銀交換の駒損ですから長期戦は不向き、持ち駒を使ってはいけません。そういう意味で最善だったとは思いますが、形勢は怪しくなっています。この後は良くなることはなく負けました。
悪手はどこかといえば、79銀を取ったことです。97玉で頑張れました。

98玉ではだめなので取るしかないと思ったのですが、97はあります。48飛成74角78竜52角成

後手玉は詰めろ。先手玉は詰みません。検討して見つかってがっかりですが、最初の75歩が疑問手かもしれないけれど(そうでもなかった)、もう一つは79同銀だと気が付いて納得です。疑問手は2つ重ねなければ何とかなるものです。


△ 54同銀も同じような意味ですが

54同銀75歩に86桂があります。

先に銀を捨てると後手の攻め駒が増えるのです。75歩の瞬間がややぬるいです。86同歩同歩同銀同飛87歩に79銀

これは取ると危険で(先が長いので読み飛ばしてもいいです)79同金同飛成同玉87飛成

金がないので78金と打てず、68飛でも88歩があって、部分的に受け無しですが、84桂と捨てて同竜41銀

そっぽのようですが、金を手に入れると受けが利きます。55桂52銀不成67桂不成78玉62金

これは先手が足りません。

戻って、79銀に98玉で

これは悪くはありませんが難しい形勢です。


○ 64銀なら

64同銀に56桂があります。

後手は63歩と打ちたくても歩切れ。53銀64銀62銀75歩

ここでも63歩と打てないので手ごたえありです。84飛なら74歩同飛83角同玉61角

これは寄りそうです。

後手は56桂に63銀打なら

64桂同銀38角

48飛成74角(この時に桂しかない)62金83銀(26角は44竜でわからない)同飛同角成同玉81飛

ちょっと強引ですが、駒損は回復するので勝ちやすいでしょう。


△ 後はかなり強引なのですが、93桂というのもあります。

右玉は案外端に隙があります。93同香92角84飛83銀

83同飛同角成同玉64銀同銀61角

これで寄りです。途中の手順が必然でもないので、変化もありそうです。


○ 95歩はもう少し自然な手で

95同歩93歩同香92角

となれば、前の変化よりも桂馬を損しないので得ですね。

95歩に55歩94歩

これでも歩得で、93歩成は防ぎにくいです。86桂が飛んでくるので簡単ではないですが、反撃も利くでしょう。


どの手を選択するかはぜいたくな悩みのほうですが、難しいですね。読んでみないとわからないのですが、

実戦の74歩は38角が成立するかどうかにかかっています。これを読み負けました。

54同銀は75歩の瞬間が甘いのでやや危険です。

64銀のあと56桂があるのなら一番よく見えますね。

93桂は強引ですが、こういう筋もあるのだと覚えておいてください。

端を突くのも良い手に見えます。

形勢がよいのですから、悪い手を指さなければ何とかなります。

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大山将棋研究(169); 四間飛車穴熊に左美濃

2016-05-29 | 大山将棋研究
昭和49年7月、二上先生と第4回早指し選手権決勝です。


大山先生は四間飛車穴熊です。早指しなのでじっくり指そうということでしょう。

二上先生は左美濃。

この銀は出なくてもよいでしょう。大山先生はそれを見て

飛車交換を迫ります。

飛車交換の後26歩が入るので居飛車がよく見えます。86角が負担なので、大山先生がさばききれるかどうか。とりあえず64角がありますね。73桂とするか、27歩から89飛成か、黙って87飛成か。時間があったら長考するところです。二上先生は結局無難な75歩を選択し

桂馬を跳ね合いますが、89の桂馬は取れたような気がします(激しい変化になりそうですが)からもったいないです。93桂ではなく73桂のほうが得なのですけど、そこも妥協です。

二上先生は左辺(後手から見れば右辺)で損をしても角を使えば悪くないということだったのでしょう。

派手な手が出ました。これで飛角交換です。

これが王手になるのが大きく、大山先生がよくなったような、少し悪かったのが互角になったような感じです。

二上先生としては角筋を避けなければいけません。

これで角筋を避けて、今度は大山先生が駒損を避けなければいけない番です。

47角で桂馬を守るのですね。

中央で均衡を保ち、端玉には端歩です。

銀を取って歩を成る。66竜のひまはないです。でも金で取ったらどうしたのでしょう。

手堅く竜で取ったので角を切り

端を取り込みました。ここで17歩から穴熊を乱したのが当然のようで敗着です。黙って受けておいた方がかなり難しいのです。

角打ちがよく見えるのですが

17の桂馬は銀と交換になりました。これで入玉できれば二上先生の勝ちですが

銀を使われては入れません。ということは、前の図から25角に44玉と逃げだす手が成立したかどうか。34角が竜2枚の両取りなので難しそうではあるのですが。

これで4筋から逃げ出すルートがなくなりました。

仕方なく反撃なのですが

金を1枚投入しても桂馬を取れれば問題なしです。

2枚換えでも構いません、という受け。

手堅く銀を打って、二上先生の34竜はポカではありますが仕方ないのでしょう。

両取りで銀を取られ

ゆっくり抑えられては望みなし。

これで詰めろ。

形を作って投了です。


大山先生が穴熊だからと無理な戦い方をして、飛車交換では二上先生が有利です。時間がないということもあり、妥協してしまったので、飛角交換のところでは互角。そこから駒損しないでゆっくり指したのが大山先生の強いところですが、見ていて物足りません。長手数で熱戦ではありますが、二上先生は勝負するところを間違えている感じがします。
この将棋は後手から見て改善するところを探す、間違い探しを楽しむべきかと思います。
穴熊党なら振り飛車を持ってもよいのですが、中盤以降の時間をかけていたぶるような指し方を学ぶべきかというと、どうなんでしょう。
こういうのを見ると、穴熊なんてやりたくないなあ、と思ってしまいます。

#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.23 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:大山十段
後手:二上達也9段
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 8四歩(83)
3 7八銀(79)
4 3四歩(33)
5 6六歩(67)
6 6二銀(71)
7 6八飛(28)
8 4二玉(51)
9 4八玉(59)
10 3二玉(42)
11 3八玉(48)
12 5四歩(53)
13 2八玉(38)
14 1四歩(13)
15 1八香(19)
16 5二金(61)
17 1九玉(28)
18 3三角(22)
19 6七銀(78)
20 2二玉(32)
21 2八銀(39)
22 3二銀(31)
23 5八金(69)
24 5三銀(62)
25 3九金(49)
26 7四歩(73)
27 9六歩(97)
28 8五歩(84)
29 7七角(88)
30 4四歩(43)
31 4六歩(47)
32 4三金(52)
33 9七香(99)
34 9四歩(93)
35 7八飛(68)
36 2四歩(23)
37 5九角(77)
38 7二飛(82)
39 4八金(58)
40 2五歩(24)
41 5六銀(67)
42 6四銀(53)
43 8六歩(87)
44 8二飛(72)
45 8八飛(78)
46 8六歩(85)
47 同 飛(88)
48 同 飛(82)
49 同 角(59)
50 2六歩(25)
51 同 歩(27)
52 8七飛打
53 8二飛打
54 7五歩(74)
55 7七桂(89)
56 9三桂(81)
57 6五桂(77)
58 8九飛成(87)
59 3八金(48)
60 4五歩(44)
61 同 歩(46)
62 6六角(33)
63 7五角(86)
64 8二龍(89)
65 6六角(75)
66 3三金(43)
67 3六歩(37)
68 6九飛打
69 6七歩打
70 5五歩(54)
71 3五歩(36)
72 1二玉(22)
73 4七角打
74 6八飛成(69)
75 5五銀(56)
76 6七龍(68)
77 4四歩(45)
78 4二歩打
79 1六歩(17)
80 5二龍(82)
81 6四銀(55)
82 同 歩(63)
83 4三歩成(44)
84 同 龍(52)
85 3三角成(66)
86 同 銀(32)
87 1五歩(16)
88 2二玉(12)
89 1四歩(15)
90 1七歩打
91 同 桂(29)
92 2七歩打
93 同 銀(28)
94 4六角打
95 2八銀打
96 1二歩打
97 2五桂(17)
98 5七角成(46)
99 3三桂成(25)
100 同 玉(22)
101 2五角(47)
102 3五馬(57)
103 3六銀(27)
104 2四馬(35)
105 3五歩打
106 6五龍(67)
107 4五歩打
108 2二玉(33)
109 3四角(25)
110 同 馬(24)
111 同 歩(35)
112 4六桂打
113 3七金(38)
114 3八歩打
115 2九金(39)
116 4八角打
117 4七金打
118 6六角成(48)
119 4六金(47)
120 3二金(41)
121 3八金(37)
122 5四桂打
123 4七金(46)
124 3五歩打
125 同 銀(36)
126 4五龍(43)
127 2七桂打
128 4九銀打
129 3七金(38)
130 3五龍(45)
131 同 桂(27)
132 同 龍(65)
133 3六銀打
134 3四龍(35)
135 1六角打
136 4四龍(34)
137 4九角(16)
138 3五歩打
139 4五歩打
140 3三龍(44)
141 3四歩打
142 8三龍(33)
143 3五銀(36)
144 5五桂打
145 5一飛打
146 8九龍(83)
147 1六角(49)
148 4七桂成(55)
149 同 金(37)
150 3八歩打
151 同 角(16)
152 5五馬(66)
153 2四桂打
154 3九銀打
155 3二桂成(24)
156 同 玉(22)
157 3一金打
158 投了
まで157手で先手の勝ち

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大山将棋研究(168); 四間飛車に棒銀

2016-05-28 | 大山将棋研究
昭和49年7月、内藤先生と第24期棋聖戦第1局です。


大山先生の四間飛車に内藤先生は棒銀です。内藤先生が定跡どおりの急戦をやるのか?と思ったら

大山先生のほうが外しました。これは得意の袖飛車です。63銀ではなく45歩といくほうがアマチュアにはわかりやすいです。

袖飛車に66銀と受けるのも定番で、ここから先は振り飛車の指し方が難しすぎて、大山先生くらいしか指しません。

角を転回して歩で受ける。これで右辺が安定すれば内藤先生のほうがよくなっていきます。

ですから大山先生は強くいきます。

銀交換で46歩と取り込めれば振り飛車もまあまあです。

44銀から34歩と控えて打って飛車をいじめます。本当は34歩36飛35銀と打ちたい(1手得)ですが、65歩を取られて面白くないということでしょう。ということは少し内藤先生のほうが指しやすいわかれかも知れません。

飛車はどうにか殺されずに済みました。

角筋が通って右桂が使え、内藤先生が好調です。

歩切れも解消して駒得、玉の堅さも劣らず、あとは飛角を使うことを考えればよくなりました。

84桂には85銀と打つ方が手堅いのですが、53角なるとできるならそのほうが良いです。ここでは大山先生は43金と我慢すべきでした。

19角成も大きいのですが、53角成も急所です。61銀がまわれば寄せになります。

金を活用しましたが、71銀が手筋。73玉は62銀打、92玉で耐えるというのはぱっとわかりませんが無理なんですかね。

とはいえ馬を引き付ければまだまだに見えます。

飛車は死んでも左桂を使えれば。

金銀を引き付けていくのは大山流ですが、飛車に当てられて忙しくなりました。

飛車交換で馬を切り金を張り付く。うるさそうですが、後手陣に馬が無くなると薄さが目立ちます。

この角が好打。内藤先生が有利になりました。

さらにしっかり固めて先手玉に寄りがみえません。

あとは反動を利用して寄せるだけです。

大山先生の形つくり。

74の銀を抜いたのが攻防で、内藤先生の勝ちです。

棒銀に袖飛車で対抗するのは大山先生だけです。振り飛車穴熊ならよく見かけますが、美濃囲いよりさらに薄いし金銀が連結しませんから、誰も指しこなせません。
やや悪いところを53角成を許してしまったので、そこからは逆転の要素は小さく、内藤先生がしっかりまとめて勝ちました。途中、57金左から68銀というのが4筋も厚く守ったよい形です。袖飛車から守るために角筋を止めたとしても、どこかで角を使わなくてはいけないものだ、とよくわかりました。

#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.23 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:内藤国雄棋聖
後手:大山十段
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 3四歩(33)
3 2六歩(27)
4 4四歩(43)
5 4八銀(39)
6 3二銀(31)
7 6八玉(59)
8 4二飛(82)
9 7八玉(68)
10 6二玉(51)
11 5六歩(57)
12 7二玉(62)
13 5八金(49)
14 8二玉(72)
15 6八銀(79)
16 7二銀(71)
17 3六歩(37)
18 4三銀(32)
19 9六歩(97)
20 9四歩(93)
21 2五歩(26)
22 3三角(22)
23 3七銀(48)
24 3二金(41)
25 5七銀(68)
26 6四歩(63)
27 6八金(69)
28 7四歩(73)
29 2六銀(37)
30 6三銀(72)
31 3五歩(36)
32 7二飛(42)
33 3四歩(35)
34 同 銀(43)
35 3八飛(28)
36 4三銀(34)
37 6六銀(57)
38 6五歩(64)
39 7七銀(66)
40 5一角(33)
41 3五銀(26)
42 7三角(51)
43 4六歩(47)
44 4五歩(44)
45 3六飛(38)
46 3四歩打
47 同 銀(35)
48 同 銀(43)
49 同 飛(36)
50 4六歩(45)
51 3七桂(29)
52 3三金(32)
53 3五飛(34)
54 4四銀打
55 3六飛(35)
56 3四歩打
57 1六飛(36)
58 4二飛(72)
59 5七金(68)
60 1四歩(13)
61 3六歩打
62 3五歩(34)
63 6八銀(77)
64 7二金(61)
65 4五歩打
66 同 銀(44)
67 同 桂(37)
68 同 飛(42)
69 3五歩(36)
70 8四桂打
71 9七角(88)
72 4七歩成(46)
73 同 金(58)
74 1九角成(73)
75 5三角成(97)
76 4三金(33)
77 7一銀打
78 同 金(72)
79 6三馬(53)
80 5四銀打
81 5二馬(63)
82 7三馬(19)
83 4六金(47)
84 3三桂(21)
85 8五銀打
86 6三銀(54)
87 4一馬(52)
88 4二金(43)
89 2三馬(41)
90 4六飛(45)
91 同 飛(16)
92 同 馬(73)
93 同 金(57)
94 5八金打
95 7九銀(68)
96 4九飛打
97 3六角打
98 7二金(71)
99 6一飛打
100 6九飛成(49)
101 8八玉(78)
102 5四歩打
103 4三歩打
104 7五歩(74)
105 7八銀打
106 4九龍(69)
107 4二歩成(43)
108 7六桂(84)
109 同 銀(85)
110 同 歩(75)
111 7五桂打
112 7四銀(63)
113 5四角(36)
114 7七香打
115 7二角成(54)
116 同 玉(82)
117 6三金打
118 8二玉(72)
119 7一飛成(61)
120 9三玉(82)
121 7四龍(71)
122 7九龍(49)
123 9七玉(88)
124 投了
まで123手で先手の勝ち

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20160528今日の一手<その332>; 勝負になる形

2016-05-28 | 今日の一手

20160528今日の一手

4月30日の名南将棋大会から、私とAさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。



一昨日の一手の回答

☆ 形勢判断をします。
駒の損得はありません。
玉の堅さは同程度。
先手の攻め駒は持ち駒角1枚。
後手の攻め駒は65桂73角で2枚。62飛も桂が消えれば先手陣に直通するので3枚に近いです。

総合すればやや後手もちです。

大局観として

実際は先後は逆です。私が先手でも1手損して角換わりにしたので、通常とは形が違うところがあります。25歩と33銀を入れてあれば少しは見たことがある局面に近いかもしれません。先手が(実際は後手で)1手余計に指しているのが98香であると理解していただければよいでしょう。

穴熊を目指されたので、65歩同歩同桂66銀を強要して、73角で46の歩を狙い、48飛と受けて、45歩とそこをこじ開けに行った局面です。

25歩33銀の形なら45歩とやりやすいのですが、44桂や44角などの傷があり、この歩をついてい良いのかは微妙です。でもこれくらいしかないのです。先手の98香もマイナスだからこれくらいでいい勝負です。
先手としては18飛として46歩を取らせるのもよく見ますね。

後手のねらいは46角です。その時には香取りになるのでどうするか。飛車を切るつもりか(これは早そう)18飛か、あるいは?
はたまた46角を許さない指し方がよいのか、という選択です。おとなしく指すか、反撃含みで指すか、すぐに動くか、その3通りから方針を選ぶのですが、できれば48飛を生かすほうが良いでしょう。将棋はよくできたゲームなので、前に指した手を生かせなければ(少しかもしれませんが)悪くなるものなのです。


× 実戦は64歩でした。46角の前に動こうという手です。

これもよく出てくる手筋です。ただし先手玉が88の時はうまくいかないことが多いです。
64同飛は角筋が止まるので83角62金65銀右同銀同銀同飛74角成とかになるのでしょう。ほとんどの場合角で取ります。64同角65銀右同銀同銀

これで瞬間は桂得なのですが、55角が王手銀取り。77桂打65飛56銀

これで両取りなので悪くないと判断したのでしょう。確かに両方は受からないのですが、この瞬間は銀桂交換で駒損ですし、後手の攻め駒は4枚。59銀という痛打がありますね。48飛がたたりました。
65銀に48銀不成で

これで後手有利です。18飛と逃げるほうが難しかったのですが、68飛成から強攻して後手のペースです。
実戦は56銀46角66角33銀17桂

ここで桂馬を跳ねるくらいしかないのでは寄せ合い負けです。65歩同桂64歩25桂65歩33桂成同桂84角66桂

これくらいまで進めばはっきりしますね。48の銀も働くので簡単です。


× 83角もよく見る手筋です。

46角18飛63金

65銀右同銀同銀73金

馬は作れず、角は消えてしまいます。うまくいきません。


× 41角というのもたまに見ます。

4手角(84角)の時に金を取って83金みたいな筋をみかけます。この場合は65銀右から清算したときに52金が取れるという寸法です。
43銀45歩42金左

これで少し無理なようです。


△ 46角の前に動くのはうまくいかなかったので、おとなしい手を考えます。67金直。

59銀や75歩の筋を避けているので受けとしては働いた手です。46角18飛43銀上

形勢はやや後手がいいとは思いますが、まだまだこれからです。48飛の1手が意味がなかったことになるのでしゃくな感じはしますが、落ち着いてみれば後手も難しいですね。


○ 反撃含みで指すなら37桂です。

46歩なら83角

今度は73角が邪魔なので、先手が指しやすいと思います。

ということで37桂には46角47飛43銀上99玉

最後の99玉では67金直かもしれませんが、98香を生かしてみました。前に指した48飛も意味がある手になっていますね。形勢は互角ですが、18飛とまわるよりも反撃が強くなっているのがわかるでしょう。怖いのは35歩同歩36歩の筋。でも45桂が角当たりなのでどうにかなりそうです。後手は44銀か33桂から35歩を狙い、戦いが右辺から始まるのでしょう。先手も十分指せるはずです。


48飛を生かす、というのがわかってもらえたでしょうか。37桂46角47飛は頑張った指し方ですが、後手も42銀の形なのでいい勝負です。ついでに99玉とできるなら前に指した手が生かせますね。

46角18飛はできれば避けたい(そう指すつもりなら48飛の必要がない)ですが、じっとしていても角が手持ちなので悪くはないです。

実戦の手順、64歩は手筋として知っていたほうが良いですが、59銀は痛かったですね。逆に桂馬をもって44桂で攻めたいので、そう指したくなるのはよくわかりますが。


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大山将棋研究(167);中飛車に金立ち戦法

2016-05-27 | 大山将棋研究
昭和49年7月、中原先生と第1回名将戦、決勝3番勝負第1局です。

大山全集は昭和49年ですから1974年です。(かつ大山十段。)
でも日本将棋連盟の記録では
http://www.shogi.or.jp/kisen/shoumetsu/sonota.html
1973年になっています。問い合わせたら1973年から予選が始まっているので1973年度だということでした。

また、Wikipediaでも
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%90%8D%E5%B0%86%E6%88%A6

1973年で、かつ大山永世王将という肩書です。
永世王将の称号を得ていたということで間違いではないということですが、これは十段と直すべきです。


大山先生の中飛車に中原先生は急戦のようです。

金立ち戦法になるのですが、大山先生の74歩は見たことがない形です。得意の袖飛車を試してみようということでしょう。46金はともかく、66金と7筋を受けるのは形が悪いだろうと。

もちろん55角と出るわけですが、端玉ですね。駒組みで寄るのは米長玉ではない、と米長先生が書いていました。居飛車側がやるのはたまに見ますが、振り飛車でやるのは珍しいです。中原先生は気合で端を詰めます。
72飛には66金なのでしょうか。角は右に引くつもりなら悪い形でもないようなあるような。

大山先生は中央から動こうとしますが、それでも66金です。大山先生としては歩越しの金ですから(それが珍しい)64歩と突いて駒組みをしたほうが良いのですが、何かで支えないと取られてしまうので手間がかかります。

中原先生の68金は銀が普通です。これを見て大山先生は55歩とつっかけるわけですが、このあたりが敗因です。中原先生の囲いはあまり堅くならないので、2枚の金を寄せて、どうにか64歩と突く形を作るべきかと思うのです。端の位を取られて持久戦はつまらないのですが、66金も悪い形です。

55歩に57銀、この2手を見て、先手の金銀が連結して働いていることがわかります。対する大山先生は2枚の金が動かず。これでは有利にはなりにくいです。

角筋を止めたので64歩は突けたのですが、56銀と立たせるわけにはいかず、駒をさばくしかありません。でも玉が薄いです。

銀は66に移動して飛車取り。成れません。

64の歩を取られ、桂取りで焦らされます。

早逃げの好手、ただし65金があります。でも37角がピッタリですね。
ということで46歩同角48歩57角39竜でどうでしょう。少しはましな気がします。

香も取られて歩を垂らされ、我慢しては見たけれど差が詰まりません。

やっとそれらしい攻めの手が指せましたが、ここからの中原先生の寄せ手順が感心します。

96桂から74香。これで決まっています。

大山先生は形つくり。

渡した金で詰まされました。

中原先生の強さが目立ちますが、大山先生の指し方が変ですね。中原先生相手だとおかしなことをやって失敗して、そのままずるすると負けます。逆に中原先生が自然な手を積み重ねて勝ってしまうともいえるのですが。勝負師ですから口には出さないけれど相性が悪いのです。


#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.23 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:中原名人
後手:大山十段
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 3四歩(33)
3 2六歩(27)
4 4四歩(43)
5 4八銀(39)
6 4二銀(31)
7 6八玉(59)
8 5二飛(82)
9 7八玉(68)
10 6二玉(51)
11 5八金(49)
12 7二玉(62)
13 5六歩(57)
14 8二玉(72)
15 3六歩(37)
16 4三銀(42)
17 2五歩(26)
18 3三角(22)
19 5七金(58)
20 7四歩(73)
21 5五角(88)
22 9二玉(82)
23 9六歩(97)
24 8二銀(71)
25 9五歩(96)
26 5四歩(53)
27 3七角(55)
28 4五歩(44)
29 6六金(57)
30 4四銀(43)
31 6八金(69)
32 5五歩(54)
33 5七銀(48)
34 6四歩(63)
35 2四歩(25)
36 同 歩(23)
37 5五歩(56)
38 同 銀(44)
39 同 金(66)
40 同 飛(52)
41 6六銀(57)
42 5六飛(55)
43 6四角(37)
44 7二金(61)
45 2二歩打
46 5九飛成(56)
47 2一歩成(22)
48 5七歩打
49 8八玉(78)
50 5一金(41)
51 1一と(21)
52 8四歩(83)
53 5四歩打
54 6五歩打
55 7七銀(66)
56 7五歩(74)
57 同 歩(76)
58 7六金打
59 9六桂打
60 7三銀(82)
61 7四香打
62 6二金(51)
63 5三歩成(54)
64 8七金(76)
65 同 玉(88)
66 7九龍(59)
67 8四桂(96)
68 同 銀(73)
69 8二金打
70 投了
まで69手で先手の勝ち
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大山将棋研究(166); 四間飛車に玉頭位取り

2016-05-26 | 大山将棋研究
昭和49年7月、北村昌男先生と第1回棋王戦です。


大山先生の四間飛車に北村先生は玉頭位取りです。

四間飛車の44銀の形は有力な対抗策です。

北村先生は35銀を嫌って36歩ですが、普通は57銀~66歩~67金を急ぎます。

角筋を通したままで対応しようということですね。

55歩の交換に68金右は妥当なところ。そこで大山先生の65歩が味わい深いです。取られても64銀でさばけます。

北村先生は右桂を使いますが、大山先生は軽く銀を引きます。57歩と収めようとしても74歩で振り飛車がよいです。

74歩を緩和するため、また89桂にひもを付けるために玉を引くのは妥当ですが、大山先生は軽く歩を突きだします。取れば47歩ですね。57歩は56歩と合わせて同歩同飛が76の銀取りです。うまくさばけそうです。

飛車を成りましたが、空成りなのでまだこれから。筋は58飛ですが、49竜の時にどうするか。48歩に37角で悪そうです。19竜なら37角で戦えそうなのですが。
58飛がだめなら58銀ですが、46角が好位置。37角49竜58銀45竜もだめ、ということは素直に24飛ですか。普通の手でまだ戦えそうです。

84歩に手抜いて95歩が好手です。95同歩は98歩同香99角の筋。19竜が先手で入るのでうるさいです。普通は84歩は入りそうなものですけど、驚きました。

そこで北村先生が悩んだのでしょう、79金から69金右は苦心の手ですが、よい時の指し方ではありません。

銀を取らせて飛車をさばきますが

空間に銀を置くのが大山先生の好手。上から攻められれば寄りが早いです。

北村先生は位取りをいかしての反撃。

香で歩を払うのがどうだったか。私なら94桂としそうです。71玉なら83歩成があるので、94同香同銀97歩成89玉77銀成、83香92玉はどうにか耐えているのでしょうか、何かありそうに見えますが。

96銀と敵玉から離れていくのでわかりやすくなり、香打ちで詰めろのようです。

ここから詰将棋です。私はさっぱり自信がありませんが読み切れますか?

投了図。ここからでも少し悩みました。99玉89歩成同玉97桂99玉88角ですね。

ぱっと並べると大山先生の快勝のように見えるのですが、よく見ると難しいですね。大山先生の65歩から64銀というのはさすがの手順です。でも玉頭位取りはなかなか優秀で、上手く指せば勝負になるのです。
私も図面を見て考えているだけなので、盤駒を動かして変化を考えれば違う手が見つかるかもしれません。居飛車をもって検討してもよいですし、振り飛車のさばき方を学ぶこともできます。



#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.23 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:北村昌男8段
後手:大山十段
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 3四歩(33)
3 2六歩(27)
4 4四歩(43)
5 4八銀(39)
6 3二銀(31)
7 5八金(49)
8 4二飛(82)
9 6八玉(59)
10 6二玉(51)
11 7八玉(68)
12 7二玉(62)
13 5六歩(57)
14 8二玉(72)
15 9六歩(97)
16 9四歩(93)
17 6八銀(79)
18 7二銀(71)
19 7七銀(68)
20 4三銀(32)
21 7五歩(76)
22 4五歩(44)
23 2五歩(26)
24 3三角(22)
25 7六銀(77)
26 4四銀(43)
27 7七角(88)
28 5四歩(53)
29 3六歩(37)
30 5二金(41)
31 8六歩(87)
32 6四歩(63)
33 8五歩(86)
34 6三金(52)
35 8七玉(78)
36 5二飛(42)
37 7八金(69)
38 5五歩(54)
39 同 歩(56)
40 同 銀(44)
41 6八金(58)
42 6五歩(64)
43 2四歩(25)
44 同 歩(23)
45 3七桂(29)
46 6四銀(55)
47 8八玉(87)
48 4六歩(45)
49 4五桂(37)
50 7七角成(33)
51 同 桂(89)
52 4七歩成(46)
53 同 銀(48)
54 5九飛成(52)
55 8四歩(85)
56 9五歩(94)
57 7九金(78)
58 9六歩(95)
59 6九金(68)
60 4九龍(59)
61 2四飛(28)
62 4七龍(49)
63 2一飛成(24)
64 8六銀打
65 9二歩打
66 同 香(91)
67 8三歩成(84)
68 同 玉(82)
69 8四歩打
70 同 玉(83)
71 8五銀(76)
72 8三玉(84)
73 8四歩打
74 8二玉(83)
75 9六香(99)
76 同 香(92)
77 同 銀(85)
78 7六香打
79 8三歩成(84)
80 同 銀(72)
81 6一龍(21)
82 7七香成(76)
83 8九玉(88)
84 8八歩打
85 9九玉(89)
86 9八歩打
87 同 玉(99)
88 8七銀成(86)
89 投了
まで88手で後手の勝ち
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20160526今日の一手<その331>; 穴熊への寄せ手筋

2016-05-26 | 今日の一手

20160526今日の一手

4月30日の名南将棋大会から、Kさん私の対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。



一昨日の一手の回答

☆ 形勢判断をします。
角歩歩と銀桂香の交換です。先手が歩切れなので歩もカウントします。先手が少し駒得です。
玉の堅さは難しい比較です。同程度としておきます。
先手の攻め駒は91竜と持ち駒銀桂香で4枚。
後手の攻め駒は57馬と持ち駒飛角で3枚。

総合すれば先手やや有利です。

大局観として

先手がよいのですが、簡単ではありません。銀取りになっているので忙しいですし、歩切れなのが問題です。持ち歩があれば、今すぐではなくとも53歩から攻める手があるのです。
方針は2通りで、玉を固めつつ持久戦か、攻め合いか、です。


△ 普通の手は47銀引です。

後手からの48歩は39金で耐えているようです。打てば46香が嫌味になるので、43金77銀67馬78桂86歩82竜

べたべた打って、88飛や88歩の筋に対応して、なんとか耐えれば長期的にはよくなります。玉から遠い77銀89桂あたりが働き出すまでは長いので、かなりの長期戦を目指します。87歩成同竜としてもらえば楽ですが、先手から86竜は33角から88歩があるので注意です。


△ どうせ駒を打つのなら59香と投入しましょうか。

66馬77銀84馬82竜

こうなれば先手ややよしですが

59香に35馬77銀43金

これで互角です。後手から88角があるので、銀を打っておかないといけないのが悔しいのですが、持久戦を目指します。なお88飛は78銀で大丈夫。


× 攻める方を考えます。実戦では45香でした。

逃げてもらえるわけではないので、45同金同銀48歩39金46香

これは危険です。後手の攻め駒が4枚になっています。実戦では58銀66馬57金55馬35桂

これで形勢は互角に見えるのですが、穴熊の玉が深くてうまく寄せられませんでした。先手の攻め駒が3枚ですからうまくいかないです。

途中57金のところで同馬として(あるいは58銀のときに切ってもよさそう)

57同銀49歩成同銀同香成同金47飛

というのもだめですし、最初の45香が悪手なのです。


△ 攻めるなら33香という筋がありますね。

穴熊の寄せ方手筋です。ただし変化はいろいろあります。41飛という受けもないことはないですが、まあ33同桂ですね。32銀と打ちます。

21飛と受ける手もないことはないですが、41歩が普通です。31銀成同銀41竜

ここでも21飛と受ける手もありますが、飛車を使うのではつまらないので22玉でどうにか大丈夫です。44竜に66角が詰めろ。

48金打56馬54竜55馬52竜32銀打

ここでは2枚換えで悪くはないように見えるのですが、後手玉を寄せる手がみえません。後手は桂香を拾うこともできますし、これは難局です。残念。


○ 33桂と攻めると話が変わります。

これも手筋。33同桂32銀41歩31銀成同銀41竜22玉

と同じように進めば、21金同玉32香

これは寄りです。31香成から32銀を受けられません。43桂とは打てませんから、持ち駒が桂か香で違うのですね。

ということは33桂に32角と受けるのでしょう。

これで攻めは継続できません。21桂成同金59香(あるいは47銀引か)35馬48金

今度は88角がないので、57桂を防いで金を上がっておきます。88飛には78銀ですね。
後手に自陣角を打たせて持久戦ですからこれが最善のようです。

☆ まとめ


結論はかなり難しいのですが、受けるなら駒を投入して長期戦を目指します。

実戦の45香は悪手。逃げてくれれば41香成ですが、取られてしまうと後手は中途半端な44金が攻め駒に変わったという結果に。そういう意図ではなかったと思うのですが、もっと駒得を目指すというのは失敗しやすいのです。

攻めるなら33香か33桂が有力です。こういう攻め筋は覚えておきましょう。
後で32香と使えるので桂から打ったほうが取ってもらえるなら有効です。でも桂馬だと取ってもらえないかもしれない、という難しい比較です。

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大山将棋研究(165); 石田流穴熊に位取り

2016-05-25 | 大山将棋研究
昭和49年7月、中原先生と第24期棋聖戦、多分挑戦者決定戦です。


珍しく中原先生の石田流です。

相振り飛車にはならないので、大山先生は4筋の位取りに。

位取りの圧力を避けるために中原先生は穴熊に。でもこの戦型、位取りのほうが玉が堅いと思うのです。名南将棋大会の級位者のほうでもよく振り飛車穴熊を見ますが、居飛車をもって対策がわからなければ、是非ご参考に。

74歩の交換を恐れないのが大山流です。交換して来れば6,7筋に金銀を盛り上げるのです。ここまで組めればまずまず。

中原先生は左銀を繰り出しますが、この歩が取れませんでした。取れば63銀とぶつけて67銀のねらいがあります。つまり48金左との組み合わせが悪かったわけですね。

結局銀は引き上げることになりました。

銀冠に組み替え。後は25歩を突いて玉頭の戦いに持ち込めれば。ちなみに後手が73桂と跳ねるのは危険です。1歩持っているだけでも大きいのです。

中原先生の4筋の歩交換に、金を上がるのが好手です。3,4筋での戦いは大山先生の勢力圏です。

中原先生が4筋に歩を合わせるのはやりたい手ではないのです。我慢しても先行きが見えないので仕方ないのでしょう。

大山先生は金交換で金を置いておきます。

57に行くのはそっぽですが、78銀と引くしかないならいいでしょう。

ここがハイライト。58同金は56飛から角を取ってさばこうということですね。

その前に36歩を突き捨てます。取れば47歩成56歩38歩49金28角成で寄ってしまいます。

で、36歩は取れず、57角に角を取らず3筋から穴熊をみだします。

取れば45桂がお代わりで利きます。

46歩を払ったので王手飛車

飛車がただ取りできるわけではないのですが、35銀(あるいは34桂)で取るのは手筋ですね。

急所に桂馬が打てて寄り筋に入りました。

歩打ちがピッタリです。玉を下段に落として歩で攻めれば効率が良いですね。

66角は攻防ですが、銀を捨てて歩を成り

もう一回歩を打ちます。清算するよりも厳しいです。

投了図。

うまく穴熊を退治しました。ぜひ後手のほうから見て、大山先生の指し回しを学んでください。
中原先生は反対のほうをもってうまく穴熊を攻略していたのですが、なぜか逆をもって指してみたくなったんですね、不思議です。

#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.23 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:中原名人
後手:大山十段
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 3四歩(33)
3 9六歩(97)
4 4四歩(43)
5 7五歩(76)
6 5四歩(53)
7 7八飛(28)
8 6二銀(71)
9 4八玉(59)
10 4二玉(51)
11 3八玉(48)
12 3二玉(42)
13 6八銀(79)
14 4二銀(31)
15 2八玉(38)
16 4三銀(42)
17 6六歩(67)
18 4五歩(44)
19 6七銀(68)
20 5二金(61)
21 5八金(69)
22 1四歩(13)
23 1八香(19)
24 3五歩(34)
25 1九玉(28)
26 4四角(22)
27 2八銀(39)
28 3三桂(21)
29 3九金(49)
30 2二玉(32)
31 7六飛(78)
32 3二金(41)
33 7七桂(89)
34 8四歩(83)
35 9七角(88)
36 9四歩(93)
37 4八金(58)
38 1五歩(14)
39 5六銀(67)
40 8五歩(84)
41 6五銀(56)
42 6四歩(63)
43 5六銀(65)
44 8四飛(82)
45 3八金(48)
46 6三銀(62)
47 9八香(99)
48 2四歩(23)
49 6七銀(56)
50 7四歩(73)
51 同 歩(75)
52 同 銀(63)
53 7五歩打
54 6三銀(74)
55 5六歩(57)
56 3四銀(43)
57 7九角(97)
58 4三金(52)
59 5七角(79)
60 2三銀(34)
61 4六歩(47)
62 同 歩(45)
63 同 角(57)
64 3四金(43)
65 6五歩(66)
66 4五金(34)
67 5七角(46)
68 4六歩打
69 4七歩打
70 同 歩成(46)
71 同 金(38)
72 4六歩打
73 同 金(47)
74 同 金(45)
75 同 角(57)
76 4七金打
77 7九角(46)
78 4五桂(33)
79 4八歩打
80 5七金(47)
81 7八銀(67)
82 4六歩打
83 5五歩(56)
84 同 角(44)
85 5八歩打
86 3六歩(35)
87 5七角(79)
88 3七歩成(36)
89 同 桂(29)
90 3八歩打
91 2九金(39)
92 3七桂成(45)
93 4六角(57)
94 2八成桂(37)
95 同 玉(19)
96 4六角(55)
97 同 飛(76)
98 5五角打
99 5六金打
100 3五銀打
101 5五金(56)
102 4六銀(35)
103 4五金(55)
104 3六桂打
105 3八玉(28)
106 3七飛打
107 4九玉(38)
108 4七歩打
109 6六角打
110 5五銀(46)
111 同 金(45)
112 4八歩成(47)
113 同 角(66)
114 2七飛成(37)
115 3八金(29)
116 4七歩打
117 6六角(48)
118 5五歩(54)
119 同 角(66)
120 3三歩打
121 投了
まで120手で後手の勝ち





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