第1問
一目良さそうな手があります。
A 37桂 B 37角 C 86歩
第2問
両取りに角取りで返されました。
A 83角成 B 52角成 C 47金引
第3問
受け方は?
A 39金 B 18金 C 27歩
第4問
どう寄せますか?
A 24歩 B 66角 C 44金
20181230今日の一手
9月16日の名南将棋大会から、AさんとSさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。
一昨日の一手の回答
☆ 形勢判断をします。
飛と角桂香歩の交換で(歩は数えませんが)先手の駒得です。
玉の堅さは後手のほうが少し堅いです。先手の穴熊は深いけれど金銀2枚では堅くはありません。
(相手玉に向かっているものだけ数えて)先手の攻め駒は46桂と持ち駒角で2枚。
後手の攻め駒は53飛は数えにくくて、持ち駒飛1枚。
総合すれば先手有利です。
☆ 大局観として
先手玉が薄いというところだけが不安です。深く囲っているので寄せ合いは考えやすいのですが。多分先手のMさんは穴熊だからと過信していて、油断につながりました。
先手の主張は駒得です。飛角交換を別にすれば桂香を先に取っているというのが有利につながっています。しかし実態は85香99香89桂は攻防ともに働いていなくて、46桂が攻めに働いているだけ。その差は小さいのです。
先手有利に思えるけれど、少し間違うと逆転しやすいという局面です。逆転しにくい指し方はどれでしょうか。
× 実戦は71角で
飛車は取れます。ですが持ち駒の角を働いているかどうかよくわからない飛車と交換するのは得だとは言えません。
88飛78歩89飛成
桂を取られて駒得は消えたようなものです。53飛成は指さないほうが良いかもしれず、53同銀81飛35桂38金49角
持ち駒が歩だけでは受けられません。41飛成の非常手段も、41同玉39金打59飛
攻め駒を足されて受けがなくなりました。
88飛と打たれたところで、先手としては89桂を取られないように53角成同銀78銀
受けに回るならば53角成も指したくはないのですが、56飛と走られるので飛車を取ってから銀を引いておきます。不安な形ですが79角、87角、57角にも受けが利きます。これなら有利を保てました。
後手としては59飛のほうが受けにくそうな手で
53角成同銀78銀には66角
で互角に近いです。
先手としては飛車を取らずに78金56飛行69金
でどうにか有利を保っているようですが、後手から何かあってもおかしくないところです。71角が疑問手だったということはわかるでしょう。
○ 筋っぽく64歩と突いてみると
56歩を83角で守っています。これなら59飛78銀の時に安心できるというわけです。
64同歩74角成88飛78銀
こちらも大丈夫。
○ 74角成とか
馬を作っておくのも損ではないです。成り返るならば74が一番良さそう。88飛には78角
温存していた角を打ちやすいです。(78銀56飛ではちょっと不安なところでした。)
88歩と打たれると
先手の攻撃も遅いので嫌な感じではあるのですが、55歩同飛64歩同歩56銀
後手の飛車を追いつつ銀を使うのがうまい手です。
ひねって考えると88歩に77桂76歩同銀56飛
というのが後手のねらいなのですが、64歩76飛65馬
あえてねらいにはまってみると、まだ駒損ではありませんし、後手の飛車を追いかけつつ攻めに転じることができます。
△か× 78金とすると
88飛や88歩を受けていますが、金が離れて行きます。69飛79歩88歩
と攻められるのが嫌な感じです。77桂76歩58銀
飛車は捕獲できます。39飛成同銀77歩成同金89歩成67金
先手玉が薄くなったけれど、悪いわけではありません。
△ 77角76歩66角、あるいは単に66角でも同じようなものですが、59飛
自陣角を打てば88歩や88飛を受けているのですが、59飛と打たれます。89桂を守りにくいのですが、74角成89飛成58金
まだ駒得なので悪くはないです。
△ 58金を先にして
少しでも先手玉を固めておいて69飛74角成89飛成66角
でも前の変化と同じことです。
66角を打たないで攻め合うよりも
前の図のほうが66角は攻防の位置でしたから少しだけ得でした。
△か○ 攻めるならば74歩の と金つくりでも
59飛73歩成89飛成72角成35桂36角
35桂の攻め筋は、36角を打てば攻防になっています。
☆ まとめ
問題図では攻め駒であった持ち駒角をどう使うかという視点でもみることができます。
角を打つ攻め筋としては、実戦の71角は外れです。77角か66角の自陣角は攻防に利くので価値があります。
有効な攻め筋が見当たらなければ、角を温存しておいて受けに使うこともできます。これは先手が駒得だからできることですね。受けに回りやすいのです。
88飛に78角、79飛にも78角、59飛は89飛成と56飛があるので自陣角では受けられませんが、最悪の89飛成~35桂の時に36角を打てます。
そういうことを考慮しつつ、盤上に打ってしまった83角の働きが悪いので、持ち駒角よりも優先して使う方を考えるのが本筋です。
20181228今日の一手
9月16日の名南将棋大会から、MさんとKさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。
一昨日の一手の回答
☆ 形勢判断をします。
先手の1歩得ですが後手に持ち歩があるので損得なしとします。
玉の堅さは同程度。
先手の攻め駒は66角と持ち駒銀で2枚。
後手の攻め駒は36銀のほかに34飛33角を入れるかどうか。今は利きが止まっているので厳密には1枚です。
総合すれば互角です。
☆ 大局観として
後手が持ち駒の銀を手放して3筋を攻めたという図です。後手のほうが2,3筋の勢力が多いのですが、互角にさばき合えば先手が良くなるはずです。つまり後手の左銀が残ったままでの大駒交換でさばき合いという展開は歓迎なのです。
また36銀を捕獲する順が見えますね。もちろんうまく取れたら先手有利になります。
△ おとなしく37歩を打ってみると
それでも取ってくるかもしれません。37同銀不成同桂同飛成56飛65桂86銀57歩
先手の駒得でも と金つくりをみせられると面白くはありません。形勢は互角です。
37銀不成は取らないで56飛
とするほうが後手の銀を使いにくくて、中央から攻めることができます。38銀不成54歩66角同歩47銀不成57飛38飛成53歩成56歩
47飛同竜52と同金58歩
飛と金銀の二枚換えですが後手のほうが二枚飛車で桂香を拾いやすいので難しい形勢です。
あるいは47飛ではなく52と
57歩成61と同銀57金49飛
後手玉がより薄くなっていますが、飛と金金の二枚換えで同じようなものです。
また37歩に45銀
とされたとしても形勢互角です。
○ 実戦は35歩同飛として
多分先手Hさんは46銀34飛35歩で36銀を取れると読んでいたのだと思います。でも46銀には25飛同飛同銀
これだと互いに銀を打ちあって飛車交換をしたというだけで、形勢互角のはず。けれど37桂36銀45桂24角54歩46角53歩成
桂を跳ね銀を捨てて踏み込んでみれば、寄せ合い勝ちになりそうなのです。
銀を打たずに57角と引く方がスマートで
34飛35歩で銀を取れるというのは同じことです。25飛同飛同銀23飛
後手の25銀が攻撃目標になり、飛車を先着して攻められるのでわかりやすく先手有利になります。
実戦では54歩と突きだして、
47銀不成33角成同桂37歩
55飛53歩成同飛57歩56歩同歩同銀成
と進んだのですが、これは後手の攻め駒が3枚、左桂も使えそうです。先手は26飛が攻め駒ではなく、持ち駒角銀の2枚だけでは後手が指しやすいです。ここから長い攻防になりましたが後手Kさんの勝ちに終わりました。
○ 駒得をねらうなら24銀と打てば
44角35歩
として銀を取れます。
後手としては25銀
と捨てて25同飛24飛をねらうのがさばき方ですが、33銀成同桂28飛
とすれば銀角交換です。これで指しやすくなっていて、27歩58飛45桂54歩
のような展開でしょうか。大きな駒得ではないけれど後手の25銀が取り残されているので悪くはならないはず。
△ 24歩と突きだすと
36銀が残っていて24同飛同飛同角というのは歓迎です。25歩28飛24角37歩
36銀をどかして25飛とできるので後手の負担が大きいはずです。
△ 実戦のように35歩同飛を入れずに54歩
角の交換を迫るのもまあまあ。45銀53歩成同金37歩
先手から33角成同桂とするよりは後手から角を取ってもらった方が少し得です。形勢としては互角です。
○ 他の筋は95歩
端を攻めると66角が攻め駒として働きます。95同歩84歩同香85銀
すぐに94香を取れるわけではないのですが、後手は34飛の力だけで36銀と94香を守るのは負担が大きいです。
もちろん端を詰めれば(45銀94歩92歩37歩)
玉の広さに差がつきます。
☆まとめ
飛車が向かい合ったときに間に大きな自分の駒があると悪い形になるということがありますね。(簡単な名前があると良いのですが。)後手の36銀も同じような立場で、互いの飛車の利きにさらされています。問題図では持ち駒の銀を打って移動したのですが、自分から危ないところに踏み込んでしまったのです。
36銀を取るには
①24銀が角取りなのでぴったり。持ち駒銀と角の交換ではあまり得でもないのですが、後手の36銀を使いにくいので割に合っています。
②35歩同飛57角ならば盤上の駒だけでいじめることができます。飛車交換になっても36銀が攻め駒として働きにくい(25に移動する)ので先手十分です。
後手に打たせた(というか打ってもらった)銀よりも、先手の持ち駒銀のほうに価値があるのです。玉の堅さが同等、大駒の働きも同等ならば残りの(攻めに使うべき)銀桂の働きの差が優劣を分けます。
ここでは36銀を取りに行かなくても、大駒を五分に使い合えば少し指しやすいです。