昭和47年8月、二上先生との第11期十段戦です。
大山先生は四間飛車穴熊。
二上先生は持久戦で、位が取れませんでした。これはやや作戦負けです。33角から22玉の前に35歩でしょう。あるいは74歩から攻める指し方もあります。
二上先生は持久戦のつもりが、位を取れなくて右桂を使います。
大山先生は48飛で歩を交換するよ、とみせたので二上先生から開戦です。攻めの棋風ですから当然ですが、この形で仕掛けるのは予定ではないはず。
歩を突き捨てて桂馬を使います。54銀左とぶつける含みもあります。55歩に67銀65銀左というのもあったのでしょうが。
飛車で65桂を防がれたので銀交換から飛車を追う銀打。ちょっとやりにくい手ですが、これくらいしかないです。
飛車も角も銀からかわすのが好手順。次は74歩同飛75銀があるので、飛角交換になりそうです。
歩の手筋。86角の利きに駒を戻させようということです。42同金では利かされなので、42同角のほうが手堅く見えます。
74同飛は65銀があるので、飛角交換になります。
ここでは大山先生が有利。
と金を使って勝つのかと思ったら渋い受けの歩です。こういうところは大山先生らしいですね。
さらに47香。とことん二上先生の攻めの相手をします。
攻防のさなかに飛車浮き。
歩の打ち捨てが手筋で、55同金は53歩でしょう。55同角に66銀と使えて大山先生が好調。
二上先生の猛追です。
端を工作して先手玉が弱体化。
角取りで催促して先手玉をうまく寄せられるかという勝負です。
37香38歩の交換を入れて金をはがしに行きます。香は捨てますが肉薄です。大山先生が受けそこなったのではないかという気がします。
ここでは逆転模様だと思うのですが、28角成ではないでしょうか。28同玉に49銀でどうか。後手玉も駒を渡すと危険なので難しいところです。
49角から迫りましたが、64角を外して大山先生はほっとしたでしょう。取られる前に切りたかったです。
詰みがあるのですね。きれいな投了図です。
まだ振り飛車穴熊の対策もよくわからなかった時代です。でも位取りを拒否されては二上先生がしくじった序盤だと思います。今なら後手番ですし、千日手を考えるところですが、二上先生の棋風ですから攻めます。大山先生もそれを解っているから穴熊にしやすいのでしょう。
中盤での86角から飛車に交換できるとわかるのが大山先生の感覚の良さです。42歩の工作に同金なら得をした感じです。
終盤は二上先生が力を発揮しました。どこかで逆転していてもおかしくはないと思います。
大山先生の終盤に少し衰えが来たのではないでしょうか。
#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.23 棋譜ファイル ----
手合割:平手
先手:大山王将
後手:二上8段
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 8四歩(83)
3 7八銀(79)
4 3四歩(33)
5 6六歩(67)
6 6二銀(71)
7 6八飛(28)
8 4二玉(51)
9 4八玉(59)
10 3二玉(42)
11 3八玉(48)
12 1四歩(13)
13 2八玉(38)
14 5四歩(53)
15 1八香(19)
16 4二銀(31)
17 1九玉(28)
18 4四歩(43)
19 6七銀(78)
20 4三銀(42)
21 5六銀(67)
22 5三銀(62)
23 5八金(69)
24 3三角(22)
25 2八銀(39)
26 2二玉(32)
27 3六歩(37)
28 3二金(41)
29 3九金(49)
30 1五歩(14)
31 4六歩(47)
32 5二金(61)
33 9六歩(97)
34 9四歩(93)
35 7八飛(68)
36 8五歩(84)
37 7七角(88)
38 6四歩(63)
39 9七香(99)
40 7四歩(73)
41 4八金(58)
42 6三金(52)
43 6八飛(78)
44 7三桂(81)
45 6九飛(68)
46 5二飛(82)
47 6八飛(69)
48 8二飛(52)
49 3八金(48)
50 8四飛(82)
51 4八飛(68)
52 8六歩(85)
53 同 歩(87)
54 7五歩(74)
55 同 歩(76)
56 5五歩(54)
57 同 銀(56)
58 6五歩(64)
59 5六歩(57)
60 5四銀(53)
61 6八飛(48)
62 5五銀(54)
63 同 歩(56)
64 5七銀打
65 8八飛(68)
66 6六歩(65)
67 8五歩(86)
68 6四飛(84)
69 8六角(77)
70 6五桂(73)
71 8七飛(88)
72 4六銀成(57)
73 4二歩打
74 同 金(32)
75 7六銀打
76 4五歩(44)
77 7四歩(75)
78 5七桂成(65)
79 6四角(86)
80 同 金(63)
81 6二飛打
82 5五金(64)
83 7三歩成(74)
84 6七歩成(66)
85 同 銀(76)
86 3二金(42)
87 4八歩打
88 4四角(33)
89 8二飛成(62)
90 5四金(55)
91 9一龍(82)
92 6六歩打
93 7六銀(67)
94 5八歩打
95 4七香打
96 6七歩成(66)
97 同 銀(76)
98 5九歩成(58)
99 4一龍(91)
100 3六成銀(46)
101 8六飛(87)
102 4六歩(45)
103 同 香(47)
104 4五歩打
105 5五歩打
106 同 角(44)
107 6六銀(67)
108 6四角(55)
109 7六飛(86)
110 4九と(59)
111 5七銀(66)
112 3九と(49)
113 同 金(38)
114 1六歩(15)
115 同 歩(17)
116 1七歩打
117 同 桂(29)
118 4六歩(45)
119 6三と(73)
120 3七香打
121 3八歩打
122 4七歩成(46)
123 3六飛(76)
124 3八と(47)
125 同 金(39)
126 同 香成(37)
127 同 飛(36)
128 4九角打
129 3九飛(38)
130 3八金打
131 6四と(63)
132 3七金打
133 同 銀(28)
134 3九金(38)
135 3三角打
136 投了
まで135手で先手の勝ち
大山先生は四間飛車穴熊。
二上先生は持久戦で、位が取れませんでした。これはやや作戦負けです。33角から22玉の前に35歩でしょう。あるいは74歩から攻める指し方もあります。
二上先生は持久戦のつもりが、位を取れなくて右桂を使います。
大山先生は48飛で歩を交換するよ、とみせたので二上先生から開戦です。攻めの棋風ですから当然ですが、この形で仕掛けるのは予定ではないはず。
歩を突き捨てて桂馬を使います。54銀左とぶつける含みもあります。55歩に67銀65銀左というのもあったのでしょうが。
飛車で65桂を防がれたので銀交換から飛車を追う銀打。ちょっとやりにくい手ですが、これくらいしかないです。
飛車も角も銀からかわすのが好手順。次は74歩同飛75銀があるので、飛角交換になりそうです。
歩の手筋。86角の利きに駒を戻させようということです。42同金では利かされなので、42同角のほうが手堅く見えます。
74同飛は65銀があるので、飛角交換になります。
ここでは大山先生が有利。
と金を使って勝つのかと思ったら渋い受けの歩です。こういうところは大山先生らしいですね。
さらに47香。とことん二上先生の攻めの相手をします。
攻防のさなかに飛車浮き。
歩の打ち捨てが手筋で、55同金は53歩でしょう。55同角に66銀と使えて大山先生が好調。
二上先生の猛追です。
端を工作して先手玉が弱体化。
角取りで催促して先手玉をうまく寄せられるかという勝負です。
37香38歩の交換を入れて金をはがしに行きます。香は捨てますが肉薄です。大山先生が受けそこなったのではないかという気がします。
ここでは逆転模様だと思うのですが、28角成ではないでしょうか。28同玉に49銀でどうか。後手玉も駒を渡すと危険なので難しいところです。
49角から迫りましたが、64角を外して大山先生はほっとしたでしょう。取られる前に切りたかったです。
詰みがあるのですね。きれいな投了図です。
まだ振り飛車穴熊の対策もよくわからなかった時代です。でも位取りを拒否されては二上先生がしくじった序盤だと思います。今なら後手番ですし、千日手を考えるところですが、二上先生の棋風ですから攻めます。大山先生もそれを解っているから穴熊にしやすいのでしょう。
中盤での86角から飛車に交換できるとわかるのが大山先生の感覚の良さです。42歩の工作に同金なら得をした感じです。
終盤は二上先生が力を発揮しました。どこかで逆転していてもおかしくはないと思います。
大山先生の終盤に少し衰えが来たのではないでしょうか。
#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.23 棋譜ファイル ----
手合割:平手
先手:大山王将
後手:二上8段
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 8四歩(83)
3 7八銀(79)
4 3四歩(33)
5 6六歩(67)
6 6二銀(71)
7 6八飛(28)
8 4二玉(51)
9 4八玉(59)
10 3二玉(42)
11 3八玉(48)
12 1四歩(13)
13 2八玉(38)
14 5四歩(53)
15 1八香(19)
16 4二銀(31)
17 1九玉(28)
18 4四歩(43)
19 6七銀(78)
20 4三銀(42)
21 5六銀(67)
22 5三銀(62)
23 5八金(69)
24 3三角(22)
25 2八銀(39)
26 2二玉(32)
27 3六歩(37)
28 3二金(41)
29 3九金(49)
30 1五歩(14)
31 4六歩(47)
32 5二金(61)
33 9六歩(97)
34 9四歩(93)
35 7八飛(68)
36 8五歩(84)
37 7七角(88)
38 6四歩(63)
39 9七香(99)
40 7四歩(73)
41 4八金(58)
42 6三金(52)
43 6八飛(78)
44 7三桂(81)
45 6九飛(68)
46 5二飛(82)
47 6八飛(69)
48 8二飛(52)
49 3八金(48)
50 8四飛(82)
51 4八飛(68)
52 8六歩(85)
53 同 歩(87)
54 7五歩(74)
55 同 歩(76)
56 5五歩(54)
57 同 銀(56)
58 6五歩(64)
59 5六歩(57)
60 5四銀(53)
61 6八飛(48)
62 5五銀(54)
63 同 歩(56)
64 5七銀打
65 8八飛(68)
66 6六歩(65)
67 8五歩(86)
68 6四飛(84)
69 8六角(77)
70 6五桂(73)
71 8七飛(88)
72 4六銀成(57)
73 4二歩打
74 同 金(32)
75 7六銀打
76 4五歩(44)
77 7四歩(75)
78 5七桂成(65)
79 6四角(86)
80 同 金(63)
81 6二飛打
82 5五金(64)
83 7三歩成(74)
84 6七歩成(66)
85 同 銀(76)
86 3二金(42)
87 4八歩打
88 4四角(33)
89 8二飛成(62)
90 5四金(55)
91 9一龍(82)
92 6六歩打
93 7六銀(67)
94 5八歩打
95 4七香打
96 6七歩成(66)
97 同 銀(76)
98 5九歩成(58)
99 4一龍(91)
100 3六成銀(46)
101 8六飛(87)
102 4六歩(45)
103 同 香(47)
104 4五歩打
105 5五歩打
106 同 角(44)
107 6六銀(67)
108 6四角(55)
109 7六飛(86)
110 4九と(59)
111 5七銀(66)
112 3九と(49)
113 同 金(38)
114 1六歩(15)
115 同 歩(17)
116 1七歩打
117 同 桂(29)
118 4六歩(45)
119 6三と(73)
120 3七香打
121 3八歩打
122 4七歩成(46)
123 3六飛(76)
124 3八と(47)
125 同 金(39)
126 同 香成(37)
127 同 飛(36)
128 4九角打
129 3九飛(38)
130 3八金打
131 6四と(63)
132 3七金打
133 同 銀(28)
134 3九金(38)
135 3三角打
136 投了
まで135手で先手の勝ち