名南将棋大会ブログ 名古屋

名南将棋大会告知や結果のほか、
将棋が強くなるための記事を書きます。
まずは将棋上達法則を見てください。

大局観

2015-11-30 | 将棋本 断捨離
大局観 自分と闘って負けない心 (角川oneテーマ21)
2011年出版、羽生先生の本です。

とはいえこの出版社ですし、決断力と同じライターによるものでしょう。あまりうまい書き手ではありません。羽生先生の言葉をまとめたのでしょうから、読んで損はしません。

メモ

感覚が研ぎ澄まされると簡単に答えが出るので、地道なロジックの組み立てが前と同じテンションでできなくなってしまう。だから難しい問題にあえて取り組んでみる。

指す手は一つだけの決断だが、水面下には膨大な思考がある。それらを立体的にして厚みを増すことが長期的には結果にもつながるのではないかと考えた。

見通しの立たない状況の中でもがくことは、とても大切だと思った。もがき続けて習得したものは忘れにくい。

いつも自分に有利な局面ばかりということはないし、いつも悪い局面ということもない。必要以上に楽観することも悲観することもないし、一喜一憂することもない。

リスクを取らないことが最大のリスク。長期的な展望で新しい戦法に挑戦していく。

判断ミスの背景には、状況認識を間違っていた場合と感情に左右されていた場合がある。

可視化が難しいテーマで集中力をトレーニングする。

将棋を始めたばかりのころは何よりも練習量が必要。停滞期では練習の質を見直すアプローチがある。調子を崩しているときには基本の繰り返し練習をする。

負けることには必然性があり、改善点につながる。進歩のプロセスであり、成長につながる。

情報は活用することによって意義が生じる。消費ばかりではなく供給サイドにも軸足を置く。新たな創造をする。

きちんと理論立てをして説明できるのが直感、わからないけれどこれがよいと思ううのがひらめき。ひらめきはハイリスクハイリターン。

予想外のことが起きた時に真価が問われる。




コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

20151130今日の一手<その220>;角桂は頭が丸い

2015-11-30 | 今日の一手
20151130今日の一手

先月10日の名南将棋大会からSさんとSさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。







昨日の一手の回答

☆ 形勢判断をします。
角と銀歩との交換、先手が少し損です。
玉の堅さは先手のほうが大分堅いです。
先手の攻め駒は66飛と持ち駒銀で2枚。
後手の攻め駒は74角1枚。
総合すれば互角です。

大局観として
形勢互角とはいえ、後手が74角と打った局面で、桂頭を守るために仕方ない着手です。少し先手が指しやすいのだと思います。それは、桂頭がさらに角頭になって、7筋が不安なのです。53角の利きでカバーしているようですが、これも「頭の丸い」角ですから、安心というわけにはいかないでしょう。ここで7筋になにか攻め筋がある、と気が付きたい局面なのです。うまく攻めれば角か桂を手に入れることになり、駒損が解消します。


× 実戦は54銀でした。

打ちたくなるのもわかりますが、もったいないです。
44角に65桂

これが予定なのでしょう。でも後手は負担だった桂馬がさばけるので悪くは思わないです。
62金73桂成同銀86桂

85角74歩64銀同飛同歩73銀

先手は勢い余って飛車を切り銀を打ち込みます。でもこの局面をよく見れば、攻め駒が3枚しかありません。大駒が無くなって3枚では不安ですね。
73同金同歩成同玉74歩84玉63銀成67角成

こう進んでは上が抜けてしまいつかまりません。入玉されて先手の負けです。


× 7筋を攻める手を考えましょう。76歩です。

76同歩に同飛ではありません。75歩と打って同角に76飛。

角を切るしかありませんね。48角成同銀75歩同飛64金

76飛75歩86飛44歩

こういう感じでしょうか。駒損は解消したものの、45歩から55飛あるいは55金を見られています。これでは面白くありません。後手が64金と打った形がしっかりしています。


○ 54歩と突きだすのは自然な手です。

54歩に44角なら55銀打71角76歩

84歩(角を逃げる準備)75歩83角76飛

85桂同桂同歩74歩62金(65桂に61桂を用意)86歩

角頭を攻めて先手有利です。

戻って54歩に75を守って31角と引いてみます。

55銀84歩に76歩

76同歩75歩同角76飛48角成同銀

今度は64金と打てないのです。55銀と使えたのが大きいですね。
角を守る手がないし、83角74歩というのも桂馬を取られます。ひねって45金(銀取り)に74飛55金53角。

ここで83銀打がしっかりした手に見えますが62銀が痛打。

21飛73銀成同銀同飛成同玉65桂打

これで後手玉が寄ってしまいます。


○ 7筋を攻めるのに86銀と投入するのは手堅い手です。

31角(間合いをはかる)76歩に64歩

75歩41角74歩

これに74同角は1歩得ですが1手損します。76飛41角74歩

65桂に85桂の跳ね違いの手筋

これで駒損を回復できますし、攻めがだんだん厳しくなります。先手有利。

途中の74歩には取らずに65桂が正しい受けです。

65同桂では31角の利きが通るので76飛77桂成同飛のほうがわかりやすいでしょう。

62金くらいに95歩同歩93歩

86に打った銀は端攻めにも使えるのです。これで先手が有利です。93同香には85桂81桂93桂成で端が破れそうです。先手陣に嫌味がなく楽に勝てるでしょう。

戻って、86銀には64角が勝負手。

76歩に55角です。

55同銀同飛75歩

56角57歩45角74歩

角は逃がしましたが桂馬を取って先手有利です。


× 1手待つとどうなるか。58銀としてみます。

これには64歩で飛車を追うのがよさそうです。追われる前に76歩ですが

65歩56飛76歩75歩

75同角76飛48角成同金75歩同飛64金

何度かやった手順で、結局64金と打たれるのでこれではつまらないです。

☆ まとめ
問題図で7筋を攻めたい、と思わなくてはいけません。後手は桂馬を守るために仕方なく74角と打ったのに、そこをさらに攻められて困ったら嫌になるでしょう。

まずはすぐに76歩を決行したらどうなるかを考えます。76同歩に75歩同角76飛。これで角を取れるなんて飛びついたら、角を切られてがっかりです。そのあと64金がしっかりしているのです。

54歩から55銀とすれば64金がないなあ、と思いついたら(思いつくのでしょうか?)自然な54歩に意味が出てきます。

角を切られて難しいなら86銀と打っておいて76歩と合わせるというほうに思い当るのではないでしょうか。

54歩から55銀、あるいは86銀というのは手堅い手です。○○取りにならないのに、次のねらいのためにじっと銀を動かすあるいは打つ味を覚えておきたいです。
(実戦の54銀は手堅いとは言いません。歩越し銀ですし、打つのがもったいなく見えます。)



コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

第155回名南将棋大会(壱) 結果速報

2015-11-29 | 名南将棋大会
昨日に続いて第155回名南将棋大会(壱)を開催しました。

参加された皆さまありがとうございました。


A級優勝
村山周平さん


B級優勝
佐藤充孝さん


本郷聰弘さん


伊藤孝治さん


優勝おめでとうございます。
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

20151129今日の一手<その219>; 寄せのセオリー(4)

2015-11-29 | 今日の一手
20151129今日の一手

先月10日の名南将棋大会からHさんとMさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。










昨日の一手の回答

☆ 形勢判断をします。
桂香香と飛の交換、さらに成香と金を作られています。先手の駒損です。でも終盤なのでこれくらいなら考慮しなくてもいいです。
玉の堅さは見ただけではよくわかりません。どちらも堅くないのです。同程度ということにしておきます。
先手の攻め駒は84馬と持ち駒飛桂で3枚。45の銀も働きそうです。
後手の攻め駒は29馬と持ち駒銀桂桂香香で6枚。86と も加えてよさそうです。
総合すれば互角です。

何手で詰めろかを見ておいた方がよさそうです。後手玉は81飛~64桂~52桂成同金41金33玉31金~21金で詰めろなので4手すき。先手玉は35桂~47桂成~58桂成同金46桂~58桂成同玉46香で4手すき。応手もいろいろなのでこの通りとは思えませんが、どちらも同じくらいの堅さなんでしょう。なので形勢は互角です。手番の先手がうまく攻めれば先手が寄せ合い勝ちになりそうです。

大局観として
終盤なので大局観の出番は少ないのですが、寄せのセオリーに従って寄せることです。先手の攻め駒が3枚なので、45銀や58飛も使いたいです。4枚の攻めなら切れません。大駒が多いので攻め足も速いでしょう。
寄せのセオリーは
①厳しい手から考える
②小さな駒から使う


また、攻め合いがうまくいかないと判断すれば、今は左右挟撃なのですが、後手の86と や98成香を取り切って左に逃げるあるいは入玉することもできるかもしれません。


× 実戦は54歩でした。

これは歩で攻めるのですから効率はいいです。攻め駒が増えます。ただし54同歩同銀では厳しくないのが問題です。
実戦では54同歩75馬32玉に54飛が疑問手。53香が強い手でした。

53同馬同金同飛成に42銀打が手堅い。

62竜51香54歩35角

35角を手順に打って、55桂からの後手の寄せが厳しくなりました。

54飛では54銀のほうがいいのですが、44香

47の地点をしつこく狙われますから先手が不利です。


△ 75馬は形勢不利だと思ったときの手。

33玉に86馬

と金を払って左に逃げる準備です。この時、54歩同歩が入っていると55桂から攻められます。だから黙って馬を引いたのです。
44香56銀38馬

これは49銀を狙っています。57金上89成香69玉

玉を左に逃げます。逃げているような捕まっているような。捕まえるほうが大変に見えます。


○ 寄せのセオリーで64桂

王手は無意味ですし、先ほどの75馬も32玉で、後手玉を狙うのはまだ無理。
ですから41金か52金を狙います。
小さな駒から考えて、54歩同歩53歩同金・・・は歩切れになるから55香が痛い。だから桂馬で金取りです。
後手は放置はできず、金を逃げますね。51金引には54歩同歩同銀

この銀の進出が厳しくなっています。43銀成から51馬同金同飛成が狙い。51金に馬が利いているのが大きいです。
52歩では53歩と合わせればいいので無効。


32銀の受けも43銀成同銀51馬

51同金53金32玉43金

後は51飛成で詰めろです。

戻って、64桂に51金はだめなので63金

61飛に62歩は54歩

普通に金銀交換を目指して大駒の働きで寄せられます。

後手の最善は61飛に64金と桂馬を取り切ります。

64同飛成51香に34銀

これで35桂の攻め合いには54歩同歩51馬

51同金に54竜からの寄せが決まります。

34銀には32玉ですが

54歩同歩52歩

どちらで取っても53歩です。これで先手有利。後手も最善ならなかなか難しい手順でした。


△ 寄せのセオリーで81飛は次善の策です。

41金に目を付けているのですが、やや足が遅いです。だから後手の応手が多いのです。
35桂の攻め合いは54歩同歩53歩

53同金54銀同金同飛

52香に53歩同香51馬

豪快な寄せが決まります。

51香と受けても64桂

今度は金を逃げられません。

ならば先手が十分のようですが、76と が緊急手段。

76同金64桂65金56香

56同銀同桂同飛44桂

持ち駒を生かしてしつこく攻められます。58飛56香というのもやりにくいので、26飛24香16飛56銀

後手から67歩がきついです。
この図になるまでに先手が変化するところもありそうです。手順を探せば難しいでしょう。
ですが、81飛が(その時点では)あまり厳しくないということはわかってもらえたでしょうか。


問題図では形勢互角でした。

私はつい75馬から86馬というのを最初に考えてしまうのですが、これは攻め駒が足りなくて寄せ合い負けに見えるからです。

実際は45銀や58飛を使えば攻め駒は4枚になり、寄せのセオリーで考えての第一候補の64桂が有力でした。63金からの後手の最善の受けは難しいのですが、先手に分のある攻め合いです。

81飛はやはり次善手で、76と からの勝負手を与えてしまいます。

実戦の54歩は自然な手に見えるのですが、放置すれば55桂や55香が残るので、継続手が問題です。54同銀としたときが甘いのでうまくいきません。実戦の(75馬の後の)54飛に53香で2枚換えで竜を作られるとはいえ玉を固めて十分、という後手の判断が素晴らしかったです。


コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

第155回名南将棋大会(弐) 結果速報

2015-11-28 | 名南将棋大会
今日は第155回名南将棋大会を開催しました。

参加していただいた方々、ありがとうございました。


D級優勝
山田信一さん

石原達夫さん


E級優勝
原田一さん

沢田常夫さん


F級優勝
松井祐三さん


G級優勝
栗本聡さん


皆さまおめでとうございます。
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

20151128今日の一手<その218>; 飛角交換で耐える

2015-11-28 | 今日の一手
20151128今日の一手

先月10日の名南将棋大会からNさんとYさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。








24日の一手の回答

☆ 形勢判断をします。
駒の損得はありません。
玉の堅さはやや先手のほうが堅いですが、大きな差ではありません。上から攻められるのですから。
先手の攻め駒は持ち駒角1枚。
後手の攻め駒は22飛と持ち駒角で2枚。
総合すれば互角です。

大局観として

問題図の前、

86歩と突いておけば先手の作戦勝ちでした。77角(あるいは66角)から88飛~85歩で指しやすくなります。飛銀がうまく協力できる配置です。
実戦は86歩ではなく、45歩から角交換を挑んだのですが、これが方向違い。35歩から桂頭を攻められて、69角の筋を狙われています。この筋をどうやって受けるのかが問題です。


× 実戦は45歩でした。

つい打ってしまいそうなのですが。33銀35歩に36歩

取れば69角で58飛も同角成から78飛で両取りです。

仕方なく34歩37歩成同銀34銀

この後35桂を食らって敗勢です。

先手の最善は33銀に58金

ですが、36歩同金15歩同歩16歩

これは一方的に攻められるので不満です。


× 35歩も素直な手ですが36歩で

あまり違いはありませんね。


× 46歩は桂馬を逃げる手。

36歩45桂

しかし、いかにも危険です。69角48飛26歩同歩27歩同玉に45銀は44角

これでどうにか互角なのですが

45銀ではなく35銀で

これは後手が一本取っています。


× 48飛は36歩のけん制で振り飛車らしいのですが

54角がありました。

45歩に26歩同歩36歩同金35歩

玉頭に工作してから、46金に76角で銀の取り合い。44歩に57銀

工作の意味が見えてきました。47飛26飛27歩46銀成

26歩47成銀同銀

46歩38銀36歩

76の角が32飛を消しています。これは後手優勢。先手玉が危険です。


○ 36歩の筋は簡単に受かりません。角を使うしかないでしょう。58角のような受けだけの角ではつまらないですから、77角が本線。

24飛は45歩33銀68角

これで35角を狙えば互角です。1歩得になりますから主張があります。

77角に43歩は45歩33銀35歩

24飛66歩(好手)に36歩同金69角は

58飛同角成同金79飛67角

68角から飛車を捕獲できます。

戻って、残りは77角には42飛ということになります。

45歩33銀35歩に36歩

25桂22銀34歩69角

ここで48飛なら46歩同金37歩成

25桂を抜かれてしまいます。

48飛ではなく58飛同角成同金

今度は78飛は68角打で問題なく、69飛には66角打という狙いがあります。33歩成ももちろんですが。


× 77角ではなく66角なら(88角もこれと似ています)

42飛に先ほどと同じ変化では

78飛が両取りでまずいです。
48金左76飛成33歩成45飛

銀は取り返せますが、これでは後手が有利ですね。

戻って、22銀の後34歩としていたのですが、ではどうするか。

48飛には43角が両取り。

34歩76角33歩成67角成42と66馬

銀損は と金でカバーできるかもしれませんが、66馬の存在が大きいです。後手有利。

他に44歩は52金

これは継続手がありません。
やはり66角(や88角)ではだめで、77角に限定されるようです。

☆ まとめ
問題図では形勢互角に見えるのですが、桂頭のカバーは難しいです。角を交換すると後手から69角や54角といった筋違いの角が両取りになりやすいですね。角交換が悪手だったということがよくわかります。36歩の拠点があれば、69角から47角成というのがかなりの負担で、先手玉は思っているよりもろいのです。後手の攻め駒が少ないので、形勢不利まではいきませんが、先手が指しにくい局面でした。
玉の堅さは見た目(金銀の枚数や連繋、玉の位置)だけではわからないこともあります。
攻められる方向にも左右されますし、この問題では37桂とはねていることが負担になって先手玉は弱体化していました。後手玉は金銀の連結がないのですが、62金直あるいは62金引とすれば横からの攻めにも耐えられます。最初に書いた86歩から85歩というのは攻め筋を増やす大きな手であるというのが、ここで理解できるでしょう。歩を使った攻めがあるかないかというのは大きな要素です。銀冠は相振り飛車では(あるいは相居飛車でも)堅い囲いなのですが、7筋(あるいは3筋)の位を取られて76銀(34銀)の形なら、話は異なります。銀の頭を攻められてもろくなります。

問題図で普通の手は45歩や35歩なのですが、36歩同金69角の筋で耐えきれません。このとき58飛で飛角交換に甘んじて頑張るというのも振り飛車の手筋なのですが、78飛が両取りになってしまいます。
それを回避するのが77角で、また反撃も見ているのですね。

54角が両取りになるので成立しませんでしたが、48飛というのが相手の手に乗って反撃する、いかにも振り飛車という手筋です。これは考慮すべきです。

つまり、考える順としては、最初は自然な45歩や35歩。これがまずいので48飛を考えて、でも54角で危険に見えた。では69角に58飛の筋を成立させる77角か。という順番ではないでしょうか。





コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

決断力

2015-11-24 | 将棋本 断捨離
決断力 (角川oneテーマ21)
2005年出版、羽生先生の本です。

多分ライターがいままでの対談とか講演とかをまとめたものです。あまり良い書き手ではありませんが、内容は素晴らしいので、買ってもよいでしょう。実際よく売れたようです。多分谷川先生の「集中力」(前に取り上げました)と同じライターで、内容がかぶってしまったという話題もありました。
羽生先生は将棋の言葉しか言わないので、こうは書かないだろうというところがあるのが残念です。

メモ

人間には不利な状況を喜べる人間と喜べない人間に分けられる。冷静に自分のペースを守ることから手が見えてくる。

駒がぶつかれば争点がはっきりするので考えやすい。逆転は難しい。勝負どころはもっと前にある。

昔の将棋は長引いても負けないように指していたから逆転も多かった。

若い時には勢いがあり、危険を顧みずに平気で渡っていける。経験をマイナスにしないように理性や自制が必要。


いろいろあるのですが、ほかの記事のメモに出てきました。



*体調を崩してしまい、ストックが切れました。次の更新は週末にします。楽しみにされている方、ごめんなさい。
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

20151124今日の一手<その217>; 守るときの条件

2015-11-24 | 今日の一手
20151124今日の一手

先月10日の名南将棋大会からOさんとHさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。







昨日の一手の回答

☆ 形勢判断をします。
先手の1歩損です。持ち歩があるのでカウントせず、また、馬を作り合っているのでこれも同等、損得なしです。
玉の堅さはやや後手が堅いか。
先手の攻め駒は36飛53馬持ち駒銀で3枚。
後手の攻め駒は76銀1枚。65銀や83馬はすぐに使えそうです。
総合すれば互角です。

大局観として
先手玉が不安定なのが気になります。馬の利きでカバーしているとはいえ8筋が薄いですし、66銀から77で清算するとか67に打ちこむとかの寄せが見えます。後手玉は飛車の横利きが強く、41銀もまだ続きません。
考え方は2通り。守りを固めるか、後手玉を攻略に行くか。


× 実戦は55歩でした。

飛車の横利きを受けに使おうという手です。
56銀(これは67で清算して47馬を見ている)65歩同銀左75馬

ここで55金と使われるのがしゃくです。65桂同金57馬56歩

こうなれば後手が勝ちやすいです。上から押さえつけて攻めるだけです。
55歩は44金を使われるのでだめなようです。


× 65桂は同馬

これはお手伝いですね。後手は攻めに困らなくなります。


× 86馬は

85歩75馬74馬

馬を交換すると先手陣のほうが打ち込まれやすいです。
57馬に55歩

馬を追われて後手だけ指している感じです。


△ うまく受ける手がないので、攻める手を考えます。15歩は

15同歩の後、すぐに端攻めはうまくいきません。別の攻め筋を探すのですが、善悪不明、保留にしておきます。


△ 24歩と攻める手

三歩持ったら継歩に垂れ歩です。24同歩25歩同歩24歩

後手は手抜きもありますが、先手が歩切れになるので素直に取っておきます。
ここで66銀の時に、先手が駒を渡すわけにいかないので86馬か。

77左銀成同金同銀成同馬35金打

35同飛同金41銀56馬

この馬が好位置で垂れ歩の効果が半減します。後手が有利でしょう。


× 62銀成はこう指したいところですが

62同飛同馬66銀

これで後手の攻めが厳しくなります。先手の馬が急所を外れたので後手の攻め合い勝ち。


○ 消去法ですが、62歩が唯一の正解か。

66銀には41銀

後手玉の守りが金一枚なのでこれが厳しいです。77で清算して42金打ではつまらないので、72飛に32銀成同玉31金22玉42馬

71飛には32馬13玉21金で寄ります。銀をもらえば詰みますし、これは先手の勝ち。

戻って、62歩には馬を追いかけます。54金

86馬に64歩です。

このやり取りは先手が得しましたから、34歩同歩65桂

65同金には34飛33歩54飛

飛車成から寄せを狙います。実現すれば先手の勝ち。

65桂には同馬ですが

77歩と受け、銀を逃がすためには44桂26飛56馬

56同飛同桂76歩68桂成同馬

金歩4と銀銀の交換、歩切れなので難しいのですが馬の存在も大きく、やや先手もちか。


☆ まとめ
問題図では形勢はほぼ互角、守るか攻めるかの判断が必要です。
守りにまわるなら、駒得であるか、あるいは後で確実に攻める手があるか、を考えます。そして自玉あるいは自陣が堅くならなければいけません。
(形勢が悪ければ仕方なく受けるということもあるのですが、互角あるいはやや有利という場合です。駒損になっていたり攻撃の糸口がないという場合は形勢が悪いともいえるのですが。)
問題図では駒の損得はなく、まだ後手陣に手を付けていない状態ですから、駒得しながら受けられるのでなければ、最低限の守りにして、あとは攻める手を考えるべきです。相手に、攻めて駒を渡したら反撃がきついですよ、と警告すれば攻撃力が下がりますね。

まだ3枚の攻めですから、4枚目の攻め駒を考えるのが常道です。62銀成と指したいのですが、質駒になるのでこの場合は危険です。といって、15歩同歩25桂も桂馬を渡しそうです。ですから直観では24歩なのです。垂れ歩を置いて、駒を渡すと怖いですよ、と脅すものなのですが、この場合はうまくいきませんでした。
62歩はちょっと気が付きにくいです。(これがあるなら後手は71銀に82飛を92飛と逃げたのですが、72飛とすべきでした。)次に41銀が厳しいのですが、後手の持ち駒に歩しかがないのが幸いしました。





コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

簡単に、単純に考える

2015-11-23 | 将棋本 断捨離
簡単に、単純に考える
2001年出版、2004年には文庫、去年はKindleでも出ているみたいです。
羽生先生と平尾誠二さん(神戸製鋼ラグビー部GM)二宮清純さん(スポーツジャーナリスト)金出武雄さん(カーネギーメロン大学教授、ロボット工学)3人との対談集です。

平尾さんとの対談が一番面白いのですが、スポーツ好きなら二宮さん、コンピュータ将棋に関心があれば金出さんの対談に興味を持つかもしれません。

メモもたくさん。見つけたら読んでみてください。


今のこの局面が楽しいかどうかという要素は大きい。集中力に関係する。

気力は集中力が表面化したもの。日本人は外からの刺激で出てくる。

気力を支えるには体力が必要。

好きだから飽きずに長くやっていられる。

前に指した手が悪かったと対局中に考えるのは良くない。

勝負所を感じ、判断し、指した手がいいかわるいか、全部実力。大局観で差がついていることが多い。

自分の中のもう一人の自分が今より強くて大きい存在。客観的で冷静。

将棋の理想は初手から終わりまで一本の線。自然の流れと理論的な必然性があり、それを見つけたい。

常に高いところを見ていかないと自分の技術も進歩していかない。

新しいものを発想するより対策を考えるほうが楽。でもその中で違いを出していくには未知の分野にも進出する。

問題を発見するのは分析力ではなく洞察力。データ分析ばかりではなく洞察して創造する。

局面をとらえるセンスは十代前半にどれだけ将棋を指したか将棋と向き合ったかによって培われる。

別のジャンルの経験で感性が磨かれる

想像力は省略から生まれる

一流の選手は天才型と秀才型がある。経験から学習して日々強くなるか、常にパイオニアであるか。

決断とは自己責任。自己責任を伴わない決断には意味がない。

将棋は攻めるより守るほうが楽。戦略を組み立てる段階では主導権を握り、終盤の切り合いでは相手に手を渡す。

この局面は最後にこうなるべきだろうという見方がある。形やパターンの記憶がある。

古い価値観に縛られない、美学は逃げ言葉、未知のものに驚く、好奇心が膨らむ、失敗も必要

精神が最も高まった状態は静的。

対局中は論理的に考えていない。バラバラに考えていて、最後にまとめる。

強い形は美しい形。美しさを感じられる棋士が強い。指し手に無駄がなくていいかわるいか、いい形は大体いい手。

優劣がはっきりしている場面は時間をかければ必ず最善手は見つかる。

若い時は考える方向性の数が少ないので読んで指し手を判断していた。経験を積むとそれ以外が増える。プラスだけとは限らないが。思考の過程をできるだけ省略し、経験を生かす。大局観で局面を漠然と眺め、この一手だとすぐにわかる。そればかりだと雑になるが。

思考の過程を省略する方法は本質を見抜く目。

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

20151123今日の一手<その216>; 守りに注意して飛車をさばく

2015-11-23 | 今日の一手
20151123今日の一手

先月10日の名南将棋大会からTさんとIさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。







昨日の一手の回答

☆ 形勢判断をします。
先手の1歩損ですが持ち歩があるのでカウントせず、成桂と と金を作り合っているので損得はなしです。
玉の堅さは後手のほうが堅いです。飛と金の違いですが、飛車は取られた時に攻撃に使われますから。
先手の攻め駒は54成桂と持ち駒角金銀で4枚。
後手の攻め駒は57竜と持ち駒角銀で3枚。
総合すれば互角です。

大局観として
互角の局面ですが、成桂と と金が互いに取り合える状態です。成桂を助けるべきか。と金を取るか。
成桂を取られると後手の攻め駒が4枚になります。だから成桂を助けるのが普通なのですが、味よく助けられるかどうか。うまくいかなければ代償を求めます。81桂や91香を取ることですね。
それから、先手の攻め駒は4枚なのですが、後手玉によりつけるかどうか。有力な攻め筋があればいいのですが、後手玉がしっかりしているので難しいです。であれば48飛をさばきたいのです。飛車を使って、持ち駒を守りに使う感じです。
二つ合わせれば、54の成桂を取らせる間に48飛を88飛~81飛成としてつかう、あるいは飛車交換61飛~81飛成と使うのが理想です。その時に先手玉がもつかどうか。寄せられないように気を使わねばなりません。
こう考えていくと、先手が少し苦しいのかもしれません。4枚の攻めでうまい寄り付きがあればいいのですが、ないのなら後手玉の堅さが大きいということです。手番があるので挽回しましょう。

× 実戦は55歩でした。

悔しい手ですね。一手の価値は少ないです。後手だけ5筋に歩を使って攻めることができるのですから。
66角に58金打が仕方なく、

87竜67歩48角成同金上89飛49銀打

徹底防戦ですが、78竜63成桂56歩54歩57銀

これで後手の一手勝ちです。


× 55歩ではなく63成桂のほうがよさそうですが

66角58金打54竜

63竜と56歩が見合いです。56歩は厳しすぎるので57歩63竜でしょうが、先手の戦力不足。駒損で受けに回っても仕方ありません。


△ 88飛が自然です。

もちろん54竜81飛成なんてことにはならなくて、87歩ですが、58飛の一手。

ここで56歩とするかすぐに飛車を取るかですが、56歩なら46角で、67竜には68飛

これは先手の調子がいいです。67竜で66竜でも67歩から68飛です。

後手は56歩46角に58竜

58同金57銀同金同歩成同角

56飛58歩54飛61飛に65桂

ここで手が見える方なら13銀同香同角成

という強襲に気が付くかもしれません。
13同玉21竜に39角

残念ながら先手玉が詰んでしまいます。

戻って、であれば46角と逃げたいのですが、58飛成49金に48金

しつこく食らいつかれるのが嫌です。48同金同竜49金58金という要領です。

ですから39角と我慢して

58飛成49金69竜59歩

これで互角か。後手は65桂ではなく45桂と打って、ここで73桂~65桂~57桂成とできるようにすれば指せるのかもしれません。互角のようですが少し後手のペース。

かなり戻って、最初の58飛とぶつけた時に同竜と取る変化は

58同金57歩59金89飛69歩

58歩成同金69飛成49金(59金打としても57歩が残る)76角

後手の攻めが続くので少し先手が悪いです。先手も頑張れないわけではないのですが。


× 88飛とせずに58飛は

58同竜同金57歩59金89飛69歩の時に78と

これで明らかに損です。まあ88の と金は取りますよね。


○ 46角は攻防に見えます。

48竜同金59飛には

49金(打たないほうがいい)54飛成61飛

55銀なら前にやった13銀がさく裂します。

桂馬で取ると詰むのです。13同香同角成同玉21飛成

先手が駒損ですが後手玉が不安定なので勝てるでしょう。

後手は13銀に気が付けば51歩とかですが

91角成は58銀がうるさいので


81飛成55銀57角

これで先手が指しやすいです。勝負はこれからですが。

最初に戻って、46角に54竜は

88飛51竜52歩

31竜91角成66角83飛成

こういう感じです。互角ですが、先手も飛車がさばけて悪くはありません。


△ 少しひねると39金打という手があります。

金より銀がいいかもしれず、よくわからないのですが。守りを固めておいて、54竜なら88飛

36桂同歩55角で王手飛車ですが46桂で大丈夫。


88飛に55角(36桂を狙う)86飛51竜46角

46同角同歩で、桂馬は損しましたが飛車は成れます。そのうち桂は取り返せるでしょう。互角に近いけれどやや悪いくらいの形勢です。


飛車をさばきたい、というのは振り飛車党ならすぐに考えるでしょう。その時に守りが薄くなるので注意が必要です。
88飛から58飛が自然な手ですが、飛車交換から攻められるとあまり自信はありません。
46角は攻防で、57の地点をカバーしています。飛車交換でも54竜88飛でも少し安心して指せます。
39金打は54竜の一手か?よくわからないのですが、王手飛車には対応できるので互角に近いです。
自玉を固めつつさばくという順を探しましょう。



コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする