名南将棋大会ブログ 名古屋

名南将棋大会告知や結果のほか、
将棋が強くなるための記事を書きます。
まずは将棋上達法則を見てください。

大山将棋問題集 20180426

2018-04-26 | 大山将棋研究
後手番米長先生の手を考えます。

第1問


無理でもこう行くところでしょう。
A 53銀引 B 65桂 C 57歩

第2問


形勢は悪いので「不利な時には戦線拡大」にしてしまいます。
A 79銀 B 75歩 C 66銀

第3問


とうとう逆転してしまいました。気持ちよく寄せに入ります。
A 56桂 B 65桂 C 37歩

第4問


攻防の手になりました。
A 55銀 B 67歩 C 57銀打
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大山将棋研究(866);中飛車に53金戦法(米長邦雄)

2018-04-26 | 大山将棋研究

今日の棋譜20180426
昭和61年8月、米長邦雄先生と第7回日本シリーズです。

大山先生の中飛車に米長先生は53金戦法(金立ち戦法)です。珍しいのが来ましたね。

中飛車のまま78金で受けるのもあるはずですが、三間飛車にして受けるのしか見ませんね。角頭を受けたいと思うものなのでしょうか。居飛車は飛車で7筋を受けられたら5筋を攻めます。

金立ち戦法の利点は、65歩と応じられた時に銀ばさみにならないことと、5筋か7筋の歩を交換して1手で金を寄れることにあります。(銀だと2手かかります。)

そのあとは64歩から65歩を狙うのですが、すぐに仕掛けないで金銀を盛り上げていくというのもあります。厚みを生かすのがうまい米長先生らしい指し方だと言えるでしょう。

大山先生が銀を引いて固めたところで、米長先生が仕掛けました。角筋が止まっているのですからちょっと無理な感じはするのですが。

55銀に56歩。当然66歩のはずで、57金65桂55歩に77桂成54歩か単に55同金か、という進行が普通です。

日本シリーズは持ち時間が少ないですから思いとどまったか、銀を引きました。これだと手損しているだけでしょう。大山先生はチャンスと見て銀ばさみの筋。45同銀や同金はだめ、33銀55歩もだめでしょう。53銀22角成同玉55歩くらいかというところですが

米長先生は桂を跳ねて二枚換えを選びました。

大山先生の46桂は好点で

銀取りに桂を跳ねて46歩も見ています。49角には当然42桂成から68飛かというところなのですが

42桂成は決めませんね。受けるなら桂を渡さない方が良いのですが、それなら46桂を打たない方が良いわけで、このあたりは早指し特有の気持ちの揺れでしょう。さて米長先生は駒損なので何とかしなければいけないのですが、68飛に66歩

66同金57歩同銀まで決めて、角を切りました。先手玉を薄くすれば勝負になると。

35歩に対して、大山先生の46歩の感触が悪いです。後手から46歩を打てないのですから、歩を打つ必要もなく、金を呼びこむのでは危ないでしょう。大山先生の好きな角打ちがありそう、63角なんていかにも好手です。

金を呼んでおいて、角切りを避けて55歩というのがちぐはぐです。強い受けの後は強い受けを続けるべきで、やはり63角だったか。

米長先生は86飛と走って65歩。65同桂は47金~77銀でしょうか。65同金には67歩か76飛か。

金を引かせて47金から75歩、嫌なところをついていきます。

77桂を働かないところに成らせておいて、銀の王手。38玉か58玉か、悩ましいところでの王手です。

47金まで決めて手を戻します。

37歩は当然取って歩を突き出せばよく

桂2枚をとればまあまあでしょう。かなり駒損が解消しましたね。後手玉のほうが堅くなっているから形勢不明です。

36銀には金銀を換えて76飛。ここで大山先生は64飛か78歩か、悩ましいです。有利になりそうなのは64飛ですが、失敗すると負けます。

78歩が実戦心理でしょうか。でもこの角打ちは良い手に見えません。飛車にひもがついていますし、飛車を持っても厳しくはないですから。

36桂同歩から52歩38金、互いに自玉に手を入れたところではあるのですが、後手からは37歩があります。

これは食いつかれた形です。米長先生が逆転しました。

角が働き出して

大山先生はやむなく飛車を取るのですが

米長先生の46角は厳しく

清算して角を取り返しておきます。飛桂と銀銀の交換くらいで、後手玉のほうが堅いです。先手玉はまだ詰まない、詰めろもかからなそうだけど、修復は難しいです。

55角は詰めろのような手ですが、角で受けられて桂を跳ねさせるわけにもいかず

64角から81飛は詰めろだけど銀で守られ

42歩から41金。なるほどという食いつきです。

角を取られましたがとりあえず詰めろ。

だけど金を外されてここまで。詰めろは続きません。

もう少し持ち時間の長い将棋ならば大山先生の楽勝でしょう。大山先生におかしな手があって逆転してしまいました。63角などは大山好みだと思うのですが。
米長先生の方は気合で攻めていったのですが、ちょっと無理筋です。だけど金銀の枚数が手厚さにつながるのですよね。いつもこういう将棋を好むわけではないけれど、金銀の多い手厚い将棋だと力を発揮します。

#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.40 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:大山十五世名人
後手:米長邦雄十段
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 8四歩(83)
3 5六歩(57)
4 5四歩(53)
5 6八銀(79)
6 6二銀(71)
7 5八飛(28)
8 3四歩(33)
9 6六歩(67)
10 4二玉(51)
11 4八玉(59)
12 3二玉(42)
13 3八玉(48)
14 5二金(61)
15 6七銀(68)
16 1四歩(13)
17 1六歩(17)
18 7四歩(73)
19 4八銀(39)
20 4二銀(31)
21 2八玉(38)
22 8五歩(84)
23 7七角(88)
24 5三金(52)
25 3八金(49)
26 6四金(53)
27 7八飛(58)
28 5五歩(54)
29 5八金(69)
30 5六歩(55)
31 同 銀(67)
32 5四金(64)
33 4六歩(47)
34 6四歩(63)
35 6七金(58)
36 5三銀(62)
37 3六歩(37)
38 4四銀(53)
39 4七銀(56)
40 6五歩(64)
41 同 歩(66)
42 8六歩(85)
43 同 歩(87)
44 7三桂(81)
45 5八飛(78)
46 5五銀(44)
47 5六歩打
48 4四銀(55)
49 4五歩(46)
50 6五桂(73)
51 4四歩(45)
52 7七桂成(65)
53 同 桂(89)
54 4四角(22)
55 4六桂打
56 4五金(54)
57 3四桂(46)
58 4九角打
59 6八飛(58)
60 6六歩打
61 同 金(67)
62 5七歩打
63 同 銀(48)
64 3八角成(49)
65 同 玉(28)
66 3五歩打
67 4六歩打
68 3六金(45)
69 5五歩(56)
70 8六飛(82)
71 8八歩打
72 6五歩打
73 6七金(66)
74 4七金(36)
75 同 玉(38)
76 7五歩(74)
77 6五桂(77)
78 6四歩打
79 7三桂成(65)
80 3六銀打
81 3八玉(47)
82 4七金打
83 2八玉(38)
84 3三銀(42)
85 3七歩打
86 同 銀成(36)
87 同 桂(29)
88 3六歩(35)
89 3八歩打
90 3七歩成(36)
91 同 歩(38)
92 3四銀(33)
93 3六銀打
94 5七金(47)
95 同 金(67)
96 7六飛(86)
97 7八歩打
98 2四桂打
99 8五角打
100 3六桂(24)
101 同 歩(37)
102 5二歩打
103 3八金打
104 3七歩打
105 同 金(38)
106 5六銀打
107 5八金(57)
108 2五桂打
109 3八金(37)
110 5五角(44)
111 4七銀打
112 4九銀打
113 7六角(85)
114 3八銀成(49)
115 同 銀(47)
116 4六角(55)
117 3七銀打
118 同 桂成(25)
119 同 銀(38)
120 同 角成(46)
121 同 玉(28)
122 7六歩(75)
123 5五角打
124 3三角打
125 6四角(55)
126 6七歩打
127 8一飛打
128 5三銀打
129 4二歩打
130 3一金(41)
131 4一金打
132 6四銀(53)
133 3一金(41)
134 2二玉(32)
135 3二金打
136 1三玉(22)
137 3三金(32)
138 5五角打
139 4六桂打
140 3三桂(21)
141 投了
まで140手で後手の勝ち



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20180426今日の一手(その683);自然な順を選ぶ

2018-04-26 | 今日の一手

20180426今日の一手

2月18日の名南将棋大会から、MさんとOさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。


一昨日の一手の回答
仕掛けのところから見てみます。

四間飛車に65歩の急戦ですが、後手としては63銀型(二枚銀急戦)ではなく、62銀型の方が良いです。二枚銀の時には75歩同歩と突き捨ててから66歩(66同銀に76歩)76銀64銀左という攻め方をします。
また、86歩同歩を入れていないというのも失敗です。(86歩同角がややこしいということもあるのですが。)この場合は51銀と引くこともできないのですから、42金上の形のほうが中央が厚いです。9筋の突き合いは少し後手の得です。
さて65歩に同銀同桂22角成同玉65飛

先手としては57銀と引く変化もありましたが、65歩を取るほうが強く反撃できます。後手玉を乱したのは気分が良いですが、左桂がさばけていないわけで、どちらから角を交換するかというのは微妙なところです。
さてここで後手64銀左は疑問手、当たりが強くなってしまいます。68飛に44銀と打ったのが問題図です。

☆ 形勢判断をします。
銀と桂歩の交換です。後手が歩切れなので歩もカウントして、わずかに先手の駒得です。
玉の堅さは先手のほうが堅いです。
先手の攻め駒は68飛と持ち駒角桂で3枚。
後手の攻め駒は持ち駒角1枚。

総合すればはっきり先手有利です。

☆大局観として

先手は3つの要素で上回っていますから、一番差がない駒の損得を気にかけながら、攻め駒を増やしつつ攻めることを考えればよいでしょう。
後手からは86歩同歩同飛くらい。86歩を手抜くこともできます。
懸念は左桂がさばけていないことです。今から77桂~65桂では働きがないので、別の4枚目の攻め駒が欲しいです。候補はすぐにわかりますね。

形勢が有利なので、なるべく自然な攻め手を選びましょう。


○ 65歩は飛車先が止まるのですが

後手陣に傷を作った、あるいは拠点を作った手です。後手の64銀左が悪い手ですよ、という主張をします。
53銀右には45桂

これが4枚目の攻め駒になります。(ただし68飛が攻め駒ではないのですが、いつか64歩を突きだせばよいでしょう。)後手は銀を逃げて64歩では苦しいので放置して86歩くらい。53桂成同金(53同銀では45桂のお代わりがある)

重く64銀としないで、73銀83飛64歩52銀65桂

これくらいで先手優勢でしょう。金を取って63歩成があります。

後手は45桂を食らわないように73銀

として耐えるべきか。45歩33銀25桂

24銀77角12玉26歩

自然に駒が前に出ていって、角を据えて15歩を狙います。32金に15歩同歩同香同銀13歩同桂33桂成

香を捨てても14歩が残っていますし、64歩から飛切りもあります。寄せきれるでしょう。

後手としては33銀を逃げるわけにもいかないので79角

と打って24角成で粘るのでしょう。先手は飛車を逃げずに33桂成同桂46角68角成同角78飛46角72銀35歩

飛角交換でも33桂の頭を狙っていけば優勢です。


○ 45歩は銀取りで

右桂が攻め駒にならないかもしれませんが(25桂から77角の筋はある)、33銀に46角

というのが厳しい攻め筋を見ているのです。後手は歩切れが痛すぎます。65歩もあるので、うまい受け方がないです。55歩65歩73銀55角では角が威張っているから、81飛として二枚換えを受け入れるくらいか。64角同銀同飛86歩72銀

縦に飛車を逃げても捕獲できますし、51飛には63歩が厳しいです。

後手は6筋を強化するために45歩には53銀左

と逃げるのでしょう。65歩73銀77角33角同角成同桂46角83飛35歩

今度は77角が厳しくなり、33桂を強要してその頭を攻めればよいです。33桂を取って4枚目の攻め駒にするのです。


△ じっと77角も有力で

32玉45歩33銀25桂22銀46桂

後手は34桂を受けることができません。

75歩が嫌な手で

65歩53銀右75歩76角25桂

76角が不気味な位置ではありますが、先手有利には違いないです。


○ 97角は考えないかもしれませんが

これも後手の歩切れをついています。62飛で受かるけれども、65歩53銀右45桂42銀64歩72銀66桂

次の54桂を受けにくいです。

後手は65歩に73銀

と耐えるのかも。これだと45桂がないですが、45歩33銀25桂24銀88角12玉26歩

最初に出てきた変化と似ています。後手の飛車の位置が62なので86歩を心配しないで良いですね。端攻めをみて明らかに先手有利です。


△ 26桂も手筋です。

86歩には34桂32玉22角

というのが狙い筋です。33角と合わせられますが45歩

22角同桂成同玉44歩

ならば攻めが続くでしょう。

後手としては先に受けるほうが手堅いわけで、32玉とかわして

34桂33銀35歩31金

これが結構難しいです。


△ 先に25桂として

24歩に45歩同銀46歩

で桂銀の取り合いにするというのも考えられます。悪くはないけれど36銀同金25歩と乱されるのも嫌なので、はっきりしていないです。


△ 25桂打のほうが

おかしな感じですが25桂よりは良くて、86歩に45歩33銀86歩

33銀は取れるので悪くはないのですが、優勢には見えません。


× 実戦は15歩と端を攻めました。

15同歩13歩86歩15香87歩成12歩成

攻め合いになって

端を攻め続けたけれど反動があるので難しい戦いです。美濃囲いから端攻めはちょっと怖いのです。
この後は25桂から中段玉で粘って難しい戦いになりました。


☆ まとめ

形勢が良いのですから、自然な順で勝つのが一番良いです。
自然な手とは
駒を取る手、取らせないようにする手
駒の働きを良くする手、相手の駒の働きを悪くする手
の四種類です。この場合はどれが一番自然でしょうか。

65歩は自分の飛車の利きを止める不自然な手なのですが、後で突き出せばよいのでそんなにおかしくはないでしょう。後手の64銀が良い位置なので、それをどかそうというわけです。相手の駒の働きを悪くさせる手です。
64銀の引き場所によって、45桂や77角の筋で攻めていきます。

45歩は44銀のほうが働いているから、どかして働きを悪くさせるという意味です。次に46角と据えるのが好位置だということでもあります。もちろん53銀左なら77角の筋で攻めます。
この2つが最有力です。

角を打つ場所に注目してみれば、45歩~46角か、77角か、97角か。自陣角は中央に近い方が働きが多いけれど追われやすいものです。45歩~46角というのは追われにくい好位置です。
77角は22玉をにらんでいます。
どちらも有力ですね。97角は窮屈なところに一方しか利かない角を打つのですが、後手の86歩を受けていることと、銀取り(二枚換え)を受けにくいこと、88角と戻して使えるという高度な手でした。不自然な感じがしますから、そのあとの読みが必要です。

実戦の15歩は、桂歩歩と持っていて22玉を攻めるのですから、指したくなるのはわかります。でも美濃囲いから端攻めをすると反動が大きいです。歩切れの相手に歩を渡す、というのも避けるべきことで、そのあとの成算無しにできることではありません。

不自然な手は読みの裏付けが必要だということもできますね。

なお後手としては形勢が悪いので、自然な受け方をしていると簡単に負けてしまいます。銀を追われたら自玉に近い方に引く方が自然なのですが、それで簡単につぶれるようならば、あえて逆に引いてみたりする、不自然な手も考えてみなければなりません。

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