後手番金子先生の手を考えます。
第1問
端を破られて忙しいです。代償は?
A 36銀 B 95歩 C 53角
第2問
飛をぶつけられて(詰めろ)、どうしますか?
A 86同飛 B 85銀 C 85歩
第3問
これで寄り筋です。
A 65桂 B 89飛 C 39飛
後手番金子先生の手を考えます。
第1問
端を破られて忙しいです。代償は?
A 36銀 B 95歩 C 53角
第2問
飛をぶつけられて(詰めろ)、どうしますか?
A 86同飛 B 85銀 C 85歩
第3問
これで寄り筋です。
A 65桂 B 89飛 C 39飛
今日の棋譜20200430
昭和22年12月、金子金五郎先生と第2期順位戦です。
相掛かりで浮き飛車と引き飛車の対抗です。
5筋を突き合う旧型で
大山先生の早繰り銀は何局か見ました。このところのお気に入りです。
でも後手の73桂を見て66歩では、作戦がちぐはぐな感じがします。
後手から65歩の攻めは、角交換して66角や39角~66角成のときに、57角や77角と合わせられるので大丈夫でしょう。
矢倉の形よりも、雁木に組むほうが良いと思いますが。
金子先生は雁木です。
57銀引に45歩
もう1歩あるので45の位を保てます。
後手陣のほうが姿が良いように感じます。先手陣は65歩からの攻めには強いのですが、攻められないと手詰まりです。
金子先生は位を守り、もう少し駒組みが続きますが
大山先生は端から仕掛けました。でも攻め駒は飛香だけなので無理筋でしょう。13同角15香57角成同銀15香でもまずそうです。13同香は1歩足らないので75歩84飛を入れて、74歩同飛14歩同香24歩同歩同飛~14飛というねらいですが、これも反撃が怖い(46歩同銀13角21飛成31金)です。
金子先生は13歩を取らずに46歩でした。46同銀に13角が銀取りになるということでしょう。
大山先生は75歩84飛を入れてから15香。端は破れますから有利になるか。
金子先生は45銀~53角。36銀28飛47歩成というねらいです。
48歩に16歩というのがわかりにくいですが
18歩に17歩成同歩16歩同歩まで入れて36銀。
17歩を打って、18歩成同飛27銀成19飛28成銀というのがねらいです。
でも18歩成を取らなければ飛は死なないわけですから、駒得の大山先生が指しやすいか。
しかし金子先生は29桂を取れます。
馬、成香を作り合いますが
大山先生のほうが、先に成駒を使えるので有利でしょう。
でも75歩に65歩、金を取らなかったので逃げられてしまいました。ならば23成香が正しいように思うのですが、45桂もあるので
66銀に36馬。飛を取られるのは悩ましいです。
75銀81飛を入れて飛を逃げるのは良いとして
次の55歩の評価は難しいです。飛を縦に逃げようというわけですが
成銀を使われて詰めろ。
97角に68成銀同金引は互角だとして、またも馬で飛を追われます。ここで大山先生は飛の逃げ方を間違えました。
66飛65歩86飛というのが甘い手で、飛を交換してもらえるはずがありません。銀を打たれて飛が死にました。ただ他の逃げ方も76桂を打たれる傷があるので、正解はよくわかりません。
飛を取られて76桂が急所で、68桂成に同金とは取れないから
69金には88歩が詰めろ。
辛抱の98銀には66歩68歩65桂。65同桂は77歩ですね。こういう後手に気持ち良い手が続くと受けはなくなっていきます。
やむを得ない88角を取ってもらえず、57桂成は逆モーションのようですが
63香(詰めろではない)に39飛が詰めろ。59銀も68成桂から詰みます。必至ではないですが、ここで投了でした。
まだ攻め筋が開発されていない時代ですが(江戸時代の天野宗歩先生の頃から進んでいないのかも)、大山先生の攻めは早すぎました。それでも金子先生の反撃策はひねり過ぎで、大山先生が有利になったのです。そこから飛を攻められて間違うというのは、我々アマチュアだけではないようです。
#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.41 棋譜ファイル ----
開始日時:1947/12/05
手合割:平手
先手:大山7段
後手:金子金五郎8段
手数----指手--
1 2六歩(27)
2 8四歩(83)
3 2五歩(26)
4 8五歩(84)
5 7八金(69)
6 3二金(41)
7 4八銀(39)
8 6二銀(71)
9 6九玉(59)
10 8六歩(85)
11 同 歩(87)
12 同 飛(82)
13 8七歩打
14 8四飛(86)
15 7六歩(77)
16 3四歩(33)
17 2四歩(25)
18 同 歩(23)
19 同 飛(28)
20 2三歩打
21 2八飛(24)
22 5二金(61)
23 5六歩(57)
24 5四歩(53)
25 5七銀(48)
26 4一玉(51)
27 3六歩(37)
28 7四歩(73)
29 4六銀(57)
30 7三桂(81)
31 6六歩(67)
32 4二銀(31)
33 6八銀(79)
34 6四歩(63)
35 5八金(49)
36 1四歩(13)
37 6七金(58)
38 4四歩(43)
39 9六歩(97)
40 4三銀(42)
41 5七銀(46)
42 4五歩(44)
43 4六歩(47)
44 同 歩(45)
45 同 銀(57)
46 4五歩打
47 5七銀(46)
48 5三銀(62)
49 7九玉(69)
50 4四銀(53)
51 4八飛(28)
52 3三桂(21)
53 1六歩(17)
54 9四歩(93)
55 2八飛(48)
56 3一角(22)
57 2七飛(28)
58 8二飛(84)
59 1五歩(16)
60 同 歩(14)
61 1三歩打
62 4六歩(45)
63 7五歩(76)
64 8四飛(82)
65 1五香(19)
66 4五銀(44)
67 1二歩成(13)
68 5三角(31)
69 4八歩打
70 1六歩打
71 1八歩打
72 1七歩成(16)
73 同 歩(18)
74 1六歩打
75 同 歩(17)
76 3六銀(45)
77 2八飛(27)
78 1七歩打
79 1一と(12)
80 1八歩成(17)
81 3八飛(28)
82 2七銀成(36)
83 3九飛(38)
84 7五歩(74)
85 2一と(11)
86 2九と(18)
87 6九飛(39)
88 1七角成(53)
89 1三香成(15)
90 3五馬(17)
91 2二成香(13)
92 3八成銀(27)
93 6五歩(66)
94 4二金(32)
95 6六銀(57)
96 3六馬(35)
97 7五銀(66)
98 8一飛(84)
99 5九飛(69)
100 2八と(29)
101 5五歩(56)
102 4八成銀(38)
103 5六飛(59)
104 5八成銀(48)
105 9七角(88)
106 6八成銀(58)
107 同 金(67)
108 4五馬(36)
109 6六飛(56)
110 6五歩(64)
111 8六飛(66)
112 8五銀打
113 6四銀(75)
114 7七歩打
115 同 桂(89)
116 8六銀(85)
117 同 歩(87)
118 7六桂打
119 6九金(68)
120 8八歩打
121 9八銀打
122 6六歩(65)
123 6八歩打
124 6五桂(73)
125 8八角(97)
126 5七桂成(65)
127 6三香打
128 3九飛打
129 投了
まで128手で後手の勝ち
先手番大山先生の手を考えます。
第1問
中央で戦います。
A 56同銀 B 45歩 C 66銀
第2問
攻め続けます。
A 44歩 B 55銀左 C 37桂
第3問
金取りの受け方は?
A 35銀 B 35歩 C 24同飛
第4問
攻め続けるには?
A 43歩 B 35歩 C 11角成
第5問
寄せ方は?
A 43金 B 43馬 C 35金
今日の棋譜20200429
昭和22年11月、梶一郎先生と第2期順位戦です。
ちょっと変わったオープニングで
大山先生は横歩を取ります。
梶先生は中央位取りから中飛車、ではなくて居飛車です。
大山先生は8筋を矢倉で受けて
新旧対抗のような形ですが、1歩得です。ただし2手損しているので作戦勝ちになるかどうかはこれから。
鎖鎌銀にしましたが、33銀と受けられると、せいぜい銀交換だけなので
引いてしまいました。4手損しています。
梶先生は34歩がないのですが、形は良いです。中央から動かれて、歩の交換だけならばよいのですが
銀を出られると位は消えます。
でも持ち歩が2枚になったので互角くらい。
大山先生がどんどん動きます。45同歩には55歩~45銀とするか、55銀左とぶつけるか。45同銀同銀同歩55銀というのも難しいです。
梶先生は筋で攻めるタイプ、機関銃と言われたのではなかったかな?8筋を継ぎ歩してから45歩を取ります。十字飛車あるいは86歩~85飛というねらいですが、ややぬるいかんじはします。
大山先生は持ち歩が多いので22歩同銀55銀左。44歩を打てるので攻めが切れることはなさそうです。ということは先手有利、後手は仕掛けからこの図に至るまでになにかできたか、無いならば作戦負け(最初の86歩の交換のところで手損しているから、31玉とか73桂を急ぐ)になっていたということです。
梶先生は銀を交換して57歩~24角の筋で反撃しますが
34歩がないので35銀を打たれて15角では急所から外れます。大山先生は銀をぶつけるのではなくて44歩。
重そうですが、銀を出れば、43歩成からの攻めがあります。
梶先生は39銀~48角成。4筋は受けにくいので、反撃の筋はこれくらいです。
大山先生はさらに34銀と力をためておきます。
梶先生は持ち駒がほしいので銀をぶつけますが
銀金の取り合いから
11角成というのは地味に見えるかもしれませんが、大きな手です。形勢は良くなりません。
大山先生は48銀不成の金取りを無視して44香から
21馬で32金の攻めがあります。
51玉には金をとって
42同玉には33金33玉43馬。取れば詰みます。
銀を取って詰めろ。
自玉は飛の横利きがあり、王手はかかりますが詰まないのでここまで。
梶先生は35歳、指し盛りではあるのですが、戦前の感覚を変えるのは大変でしょう。それでも個性派を通しました。時代の節目を超えて、大山先生よりも上の世代は苦労していると思います。
戦後は序盤も変わりましたし、スピードを重視するようになりました。本局で見るように、大山先生は4手損しているわけで、スピード感覚はあまり磨かなかったように思います。だから後年に振り飛車に転向したというのは棋風にあっているのでしょう。
#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.41 棋譜ファイル ----
開始日時:1947/11/03
手合割:平手
先手:大山7段
後手:梶一郎8段
後手省略名:梶
手数----指手--
1 2六歩(27)
2 3四歩(33)
3 2五歩(26)
4 3二金(41)
5 2四歩(25)
6 同 歩(23)
7 同 飛(28)
8 5四歩(53)
9 3四飛(24)
10 5五歩(54)
11 2四飛(34)
12 6二銀(71)
13 2八飛(24)
14 2三歩打
15 7六歩(77)
16 4一玉(51)
17 7八金(69)
18 8四歩(83)
19 6八銀(79)
20 8五歩(84)
21 7七銀(68)
22 5三銀(62)
23 4八銀(39)
24 4二銀(31)
25 5八金(49)
26 7四歩(73)
27 4六歩(47)
28 5二金(61)
29 4七銀(48)
30 5四銀(53)
31 3六銀(47)
32 3三銀(42)
33 6九玉(59)
34 4四歩(43)
35 9六歩(97)
36 3一角(22)
37 4七銀(36)
38 4三金(52)
39 5六歩(57)
40 同 歩(55)
41 6六銀(77)
42 6四歩(63)
43 5六銀(47)
44 8六歩(85)
45 同 歩(87)
46 同 飛(82)
47 8七歩打
48 8二飛(86)
49 3六歩(37)
50 4二角(31)
51 4五歩(46)
52 8六歩打
53 同 歩(87)
54 8五歩打
55 同 歩(86)
56 4五歩(44)
57 2二歩打
58 同 銀(33)
59 5五銀(66)
60 5七歩打
61 同 金(58)
62 5五銀(54)
63 同 銀(56)
64 2四角(42)
65 3五銀打
66 1五角(24)
67 4四歩打
68 4二金(43)
69 5四銀(55)
70 3九銀打
71 1八飛(28)
72 4八角成(15)
73 5八金(57)
74 4九馬(48)
75 3四銀(35)
76 5七歩打
77 同 金(58)
78 3三銀(22)
79 4三歩成(44)
80 3四銀(33)
81 4二と(43)
82 同 金(32)
83 1一角成(88)
84 4八銀(39)
85 4四香打
86 5九馬(49)
87 7九玉(69)
88 5七銀成(48)
89 2一馬(11)
90 5一玉(41)
91 4二香成(44)
92 同 玉(51)
93 5三金打
94 3三玉(42)
95 4三馬(21)
96 2二玉(33)
97 3四馬(43)
98 6八銀打
99 同 金(78)
100 同 成銀(57)
101 同 飛(18)
102 投了
まで101手で先手の勝ち
後手番大山先生の手を考えます。
第1問
先手の34銀は防ぎましたが、24歩同歩同銀という攻めがあります。一番無難な受け方でした。
A 88角成 B 33桂 C 33角
第2問
34歩の攻め筋があります。
A 12角 B 34角 C 55銀
第3問
受け方はいくつかありますが、大山先生らしいです。
A 44銀 B 37角 C 36歩
第4問
後手玉の危険度を考えましょう。
A 39銀不成 B 23同金 C 35馬
今日の棋譜20200428
昭和22年10月、渡辺東一先生と第2期順位戦です。
相掛かりで引き飛車と浮き飛車
4筋6筋を突く新型の対抗です。
まだ腰掛銀(ガッチャン銀)は指されていないのでしょうか、渡辺先生は鎖鎌銀です。
大山先生は65歩~88角成で受けます。
33銀ではなくて桂を跳ねるほうが普通でしょう。これは棒銀への受けと同じことです。
大山先生は何度か24歩を指しているのですが、現代では17桂~25歩の攻めがあるので疑問手とされます。ここでは17桂15歩同歩16歩で桂を殺せるのですが、24飛17歩成同香として、後手は歩切れなので指しにくい感じがします。
渡辺先生の47銀~36歩~37桂が自然な構想です。でもここで25歩同歩同桂と攻めると37角を打たれる(29飛に28歩、27歩、25桂同飛19角成、25桂同飛24歩29飛55桂など)変化が煩わしくて、決行しにくいのです。よって29飛~(48金~)25歩同歩同桂くらいか。
渡辺先生は35歩同歩56角。狭いところに角を打つので、ちょっと無理をしている感じがあります。
角は死ぬのですが、桂を殺して
角歩歩と銀桂の交換では駒得とは言えません。45桂の攻めがあるので大山先生は受けねばなりませんが
32金(44歩もある)と受けました。渡辺先生は27桂、控えの桂の手筋です。
34銀には45銀を打ち
45同銀同桂で桂1枚はさばけました。大山先生は37角から
馬を作って受けます。桂取りなので
35桂に37歩。
33歩が入るので怖いのですが、飛を逃げられたら
危ないようでも28銀を打ち、35桂を取れたら勝てるでしょう。渡辺先生は23銀ですが、これが敗着です。もっと急いで32銀のほうがよく、その前に43桂成や23歩の筋を加えるかどうかを検討すべきでした。何れにせよ39飛は捨てるつもりですが、ここで39銀不成とは指してもらえなくて
35馬。桂を取られて攻めが切れてしまいました。
22銀成同玉で投了図。
渡辺先生が無理に攻めて、ちょっと思わしくなくて、最善を逃したら簡単に負けてしまいました。後手を持って(画面をひっくり返して)並べて(眺めて)考えてみると良いです。
#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.41 棋譜ファイル ----
開始日時:1947/10/29
手合割:平手
先手:渡辺東一8段
後手:大山7段
手数----指手--
1 2六歩(27)
2 8四歩(83)
3 2五歩(26)
4 8五歩(84)
5 7八金(69)
6 3二金(41)
7 2四歩(25)
8 同 歩(23)
9 同 飛(28)
10 2三歩打
11 2八飛(24)
12 9四歩(93)
13 9六歩(97)
14 6二銀(71)
15 4八銀(39)
16 8六歩(85)
17 同 歩(87)
18 同 飛(82)
19 8七歩打
20 8四飛(86)
21 1六歩(17)
22 1四歩(13)
23 7六歩(77)
24 3四歩(33)
25 4六歩(47)
26 5二金(61)
27 5八金(49)
28 6四歩(63)
29 6九玉(59)
30 6三銀(62)
31 4七銀(48)
32 4一玉(51)
33 3六銀(47)
34 6五歩(64)
35 2五銀(36)
36 8八角成(22)
37 同 銀(79)
38 2二銀(31)
39 7七銀(88)
40 3一玉(41)
41 3六銀(25)
42 3三桂(21)
43 7九玉(69)
44 2四歩(23)
45 4七銀(36)
46 2三銀(22)
47 3六歩(37)
48 7四歩(73)
49 3七桂(29)
50 5四銀(63)
51 3五歩(36)
52 同 歩(34)
53 5六角打
54 5五銀(54)
55 3四歩打
56 5六銀(55)
57 3三歩成(34)
58 同 金(32)
59 5六歩(57)
60 3二金(33)
61 2七桂打
62 3四銀(23)
63 4五銀打
64 同 銀(34)
65 同 桂(37)
66 3七角打
67 3八飛(28)
68 2六角成(37)
69 3五桂(27)
70 3七歩打
71 3三歩打
72 2二金(32)
73 3九飛(38)
74 2八銀打
75 2三銀打
76 3五馬(26)
77 2二銀成(23)
78 同 玉(31)
79 投了
まで78手で後手の勝ち
後手番大山先生の手を考えます。
第1問
盤面を広く見ましょう。
A 73角 B 39角 C 66歩
第2問
この35歩は少し甘かったのです。
A 45香 B 65香 C 24銀
昭和22年9月、丸田祐三先生と名人候補東西三番勝負第3局です。
始めての角換わりです。
丸田先生の68玉は早くて、棒銀にされると指しにくいのですが、まだ角換わりからどんな攻撃型にできるかは手探りの時代です。
大山先生は64角を打ちました。46角と86歩同歩同角のねらいですが、後者は87歩77角成同玉とすれば大したことはないです。つまり47銀とされてうまくいかなかったはずですが
丸田先生は78玉と守ったので46歩を取られました。筋違い角ではない自陣角で歩を取られるのは互角に近いです。
その後の駒組みに苦労するので指しにくいかもしれません。
中央の位を取りますが
7筋の歩を交換されて
金銀4枚は7段目へ。
この形は角落ちの上手みたいな陣形で、形勢は互角です。3筋の歩を交換すれば歩切れを解消できるので
6筋をねらわれたら
金を寄って受けておきます。
6筋を飛角銀桂で攻められる前に75歩を突き出しました。
75同角に95角。後手の75角が狭いので
角を取り合うのかな(後手の得)と思えば
73角成。同歩75歩ならば桂得です。大山先生は66歩の取り込み。68金も67歩成同金57角成なので、66同銀左(右が正解なのかも)
66同角に62馬。99角成もありそうですが
57角成同金寄62金で一段落です。丸田先生は銀銀と飛桂交換で少し駒得か。
51飛(81飛が良かった)に39角。57金にはひもがついているので怖くなさそうですが
金をとって61金打ちの粘りでした。39角には68飛でしたか。飛は捕獲されているので
32金と刺し違えて
角を打って
54歩同歩64銀と受けられ83角成から
馬を引いて粘ります。
先手玉は薄いのですが、47馬が働いています。底歩をうち
2筋を攻めれば、やはり形勢は互角くらいか。
先手玉を乱され、香を取られて駒損、ちょっと勝ちにくそうです。
玉を固める余裕はないので、攻めねばなりません。2筋を押し込み、桂を跳ねて
52金上だったので、33桂成と銀を取るチャンスでしたが、35歩を打って銀をかわされたのは失敗したかもしれません。
34歩の取り込みには37歩のたたき。37同飛36歩というのは応対しにくく、33歩成、33金など、他にも手が広いのですがうまくいかないようです。
68飛(銀取り)65歩に36桂。手筋のようですが、25桂を取られて
銀を取り返せるものの、後手玉には届きません。
大山先生は57銀から66銀成。87香を打てるので
86玉には81香。85歩74桂から香を走って飛を取れるのでここまで。
まだ角換わりの腰掛銀、早繰り銀、棒銀などが開発されていない時代です。もう何年か先には角換わり腰掛銀の流行があり、木村定跡、升田定跡などが作られました。そういえば腰掛銀で45歩同歩35歩に44銀と受けるのは丸田先生が考案したと聞いています。
角換わりらしくない展開になりましたが、やはり玉が堅いほうが勝ちやすいようですね。形勢は難しいのですが。
#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.41 棋譜ファイル ----
開始日時:1947/09/16
手合割:平手
先手:丸田祐三7段
後手:大山7段
手数----指手--
1 2六歩(27)
2 8四歩(83)
3 2五歩(26)
4 8五歩(84)
5 7六歩(77)
6 3二金(41)
7 7七角(88)
8 3四歩(33)
9 8八銀(79)
10 7七角成(22)
11 同 銀(88)
12 2二銀(31)
13 4八銀(39)
14 3三銀(22)
15 6八玉(59)
16 6二銀(71)
17 4六歩(47)
18 5二金(61)
19 5八金(49)
20 4二玉(51)
21 1六歩(17)
22 1四歩(13)
23 3六歩(37)
24 6四角打
25 7八玉(68)
26 4六角(64)
27 3七桂(29)
28 7四歩(73)
29 5六歩(57)
30 7三角(46)
31 4七金(58)
32 8四角(73)
33 6八金(69)
34 6四歩(63)
35 5五歩(56)
36 6三銀(62)
37 6六歩(67)
38 7五歩(74)
39 同 歩(76)
40 同 角(84)
41 6七金(68)
42 8四角(75)
43 7六歩打
44 3一玉(42)
45 5七銀(48)
46 4四歩(43)
47 4六金(47)
48 2二玉(31)
49 3五歩(36)
50 同 歩(34)
51 同 金(46)
52 3四歩打
53 3六金(35)
54 7三桂(81)
55 4六金(36)
56 6五歩(64)
57 5六金(46)
58 6二飛(82)
59 7五歩(76)
60 同 角(84)
61 9五角打
62 7二歩打
63 7六歩打
64 9四歩(93)
65 7三角成(95)
66 6六歩(65)
67 同 銀(77)
68 同 角(75)
69 6二馬(73)
70 5七角成(66)
71 同 金(67)
72 6二金(52)
73 5一飛打
74 3九角打
75 3八飛(28)
76 5七角成(39)
77 同 金(56)
78 6一金打
79 4一飛成(51)
80 5二銀(63)
81 3二龍(41)
82 同 玉(22)
83 2四歩(25)
84 同 歩(23)
85 6五角打
86 5四歩(53)
87 同 歩(55)
88 6四銀打
89 8三角成(65)
90 5九飛打
91 4七馬(83)
92 8六歩(85)
93 6九歩打
94 4三銀(52)
95 2五歩打
96 5六歩打
97 同 金(57)
98 8七歩成(86)
99 同 玉(78)
100 8六歩打
101 7七玉(87)
102 5五歩打
103 4六金(56)
104 1九飛成(59)
105 2四歩(25)
106 2二歩打
107 2五桂(37)
108 5二金(61)
109 3五歩打
110 2四銀(33)
111 3四歩(35)
112 3七歩打
113 6八飛(38)
114 6五歩打
115 3六桂打
116 2五銀(24)
117 2四桂(36)
118 4一玉(32)
119 2五馬(47)
120 5七銀打
121 8八飛(68)
122 6六銀成(57)
123 8六玉(77)
124 8一香打
125 投了
まで124手で後手の勝ち
負けましたが後手番丸田先生の手を考えます。
第1問
先手の59角が甘いので、理想形を目指します。
A 65歩 B 75歩 C 54銀
第2問
攻めたくなるところですが。
A 66歩 B 95歩 C 63銀
第3問
変な手ですがこれで有利です。
A 27銀 B 57銀 C 45銀打
第4問
31金や44金を許すと危なくなります。
A 51香 B 52香 C 38飛
第5問
丸田先生は間違えてしまったのですが。
A 77銀 B 77成桂 C 68飛成
今日の棋譜20200426
昭和22年9月、丸田祐三先生と名人候補東西三番勝負第2局です。
角換わりはもう少し後に大流行するのですが、大山先生は角交換せずに66歩と止め
矢倉にしました。
丸田先生も矢倉を選びます。
丸田先生のほうが古い矢倉ですが、角の動きで1手得になるので悪くはありません。
大山先生は角で3筋の歩を切ります。
また36銀型を目指すのかと思えば、位を取ってしまいました。これは見た目よりも得ではありません。
丸田先生も7筋の歩を交換して
74銀型を作れば作戦勝ちです。
先に仕掛けますが、総矢倉で受けられているので
飛も使ってもすぐに攻め潰せるわけではありません。大山先生は右側で石田流の駒組みです。でも持ち歩がない(1歩損)ので作戦負けです。とりあえず6筋は大丈夫なので
銀を引いて、攻めてくれと催促します。
丸田先生は銀を繰り替えて待ちます。作戦勝ちのときは相手に動いてもらうのが理想ですから。
大山先生の方から動きました。15歩同歩75歩。丸田先生は16歩74歩66歩~65桂で十分ですが
75同角は15香~74歩で73桂が危ないです。
角を切り
桂を逃げました。15香を取れるので駒損にはなりませんが、ピッタリした感じではないです。
大山先生は73歩成ではぬるいので、73角~63歩。63同飛は91角成、63同銀は65銀です。
銀香と角の交換ですが、と金を作り
馬も作ります。丸田先生は27銀。変なところに打ちますが
飛を殺しました。
飛は助からないので
と金をもう一枚作り、44香を打ちます。
飛銀桂香歩2 VS 角金の交換ですが、馬2枚と金2枚を主張します。
丸田先生は51香(52香は同馬)~47歩成。寄せ合いを目指しました。
51香を犠牲に と金を使います。
銀を取れたし、攻撃力は十分です。
44歩を打たれるのは痛いですが、寄せ合いです。
大山先生は銀を取って24歩。24同歩同馬となれば、詰めろ成桂取りです。
しかし△68成桂は詰めろ。桂を跳ねて脱出路を作るのですが
脱出ルートは86だけですね。77と縛られたら詰めろではないけれど負けです。
丸田先生は77成桂の詰めろでした。しかし玉を逃げ出されて寄らないのです。
仕方なく攻防に金を打ちますが
後手玉は安全にはなりませんし、飛取りです。
詰めろではないけれど飛を逃げつつ攻めたのですが、ここで82金を打たれて
飛を取られると先手玉が寄りません。
71竜も81飛があるので無効、点数も足りません。
33玉と逃げ出してみましたが、銀を打たれて
(わざと)詰まされて終わりです。
丸田先生は好局を落としました。詰めろの77成桂が敗着で、詰めろではない77銀が正解とは、ついていないです。
プロの将棋は矢倉崩しの理想形を作っても、そのまま攻めて終わりということにはならないです。相振り飛車ならば石田流には矢倉が有効というのが左右反転で出現しました。そういう駒組みの相性も面白いです。
#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.41 棋譜ファイル ----
開始日時:1947/09/15
手合割:平手
先手:大山7段
後手:丸田祐三7段
手数----指手--
1 2六歩(27)
2 3四歩(33)
3 2五歩(26)
4 3三角(22)
5 7六歩(77)
6 2二銀(31)
7 6六歩(67)
8 3二金(41)
9 7八金(69)
10 8四歩(83)
11 6八銀(79)
12 8五歩(84)
13 7七銀(68)
14 4一玉(51)
15 4八銀(39)
16 5一角(33)
17 5六歩(57)
18 6二銀(71)
19 7九角(88)
20 3三銀(22)
21 5八金(49)
22 5二金(61)
23 6九玉(59)
24 4四歩(43)
25 3六歩(37)
26 6四歩(63)
27 1六歩(17)
28 9四歩(93)
29 9六歩(97)
30 6三銀(62)
31 3五歩(36)
32 同 歩(34)
33 同 角(79)
34 4三金(52)
35 7九玉(69)
36 3一玉(41)
37 8八玉(79)
38 2二玉(31)
39 6八角(35)
40 7四歩(73)
41 6七金(58)
42 8四角(51)
43 3五歩打
44 7三桂(81)
45 3八飛(28)
46 8一飛(82)
47 5九角(68)
48 7五歩(74)
49 同 歩(76)
50 同 角(84)
51 5七銀(48)
52 8四角(75)
53 7六歩打
54 7四銀(63)
55 3六飛(38)
56 6五歩(64)
57 3七桂(29)
58 5四歩(53)
59 4八角(59)
60 1四歩(13)
61 3九角(48)
62 6一飛(81)
63 5五歩(56)
64 同 歩(54)
65 1七角(39)
66 5一飛(61)
67 6八銀(57)
68 6三銀(74)
69 2六角(17)
70 5四銀(63)
71 1五歩(16)
72 同 歩(14)
73 7五歩(76)
74 同 角(84)
75 1五香(19)
76 1四歩打
77 7四歩打
78 6六歩(65)
79 同 銀(77)
80 同 角(75)
81 同 金(67)
82 6五桂(73)
83 7三角打
84 6一飛(51)
85 6三歩打
86 1五歩(14)
87 6二歩成(63)
88 8一飛(61)
89 6四角成(73)
90 2七銀打
91 4六飛(36)
92 4五香打
93 3四歩(35)
94 同 銀(33)
95 4五桂(37)
96 同 歩(44)
97 7一と(62)
98 8三飛(81)
99 7三歩成(74)
100 9三飛(83)
101 4四香打
102 4六歩(45)
103 4三香成(44)
104 同 銀(34)
105 5三角成(26)
106 5一香打
107 6二馬(53)
108 4七歩成(46)
109 5一馬(62)
110 5七と(47)
111 同 銀(68)
112 7七歩打
113 同 桂(89)
114 5七桂成(65)
115 4四歩打
116 3八飛打
117 4三歩成(44)
118 同 銀(54)
119 2四歩(25)
120 6八成桂(57)
121 8五桂(77)
122 7八成桂(68)
123 9七玉(88)
124 7七成桂(78)
125 8六玉(97)
126 7八飛成(38)
127 7五玉(86)
128 6七成桂(77)
129 7六金(66)
130 5二金打
131 2三歩成(24)
132 同 金(32)
133 4一馬(51)
134 7四歩打
135 同 と(73)
136 6三桂打
137 8四玉(75)
138 8三歩打
139 7三玉(84)
140 9二飛(93)
141 8二金打
142 7六龍(78)
143 9二金(82)
144 5三銀打
145 8六馬(64)
146 6二金(52)
147 8二玉(73)
148 7四龍(76)
149 9一玉(82)
150 3三玉(22)
151 3五銀打
152 4四銀(43)
153 3一飛打
154 投了
まで153手で先手の勝ち