Blog of SAKATE

“燐光群”主宰・坂手洋二が150字ブログを始めました。

内田樹氏「憲法講演」を神戸市と教育委員会が承認せず

2014-03-03 | Weblog
報道によれば、5月3日の憲法記念日に神戸芸術センターで開かれる「憲法集会」(神戸憲法集会実行委員会主催)について、神戸市と同市教育委員会が実行委からの後援依頼を承認しなかったという。
主催団体は護憲グループなどでつくる「神戸憲法集会実行委員会」。同集会は約50年間続いており、実行委は神戸市内の労働団体や護憲グループで構成。過去に開いた憲法集会では、神戸市と同市教育委員会は後援していた。1998年と2003年の集会に後援の名義使用が承認されている。
集会への後援を昨年12月に申請したところ、「政治的中立性を損なう恐れがある」との理由で市と市教委は承認しなかった。
理由については「憲法に関しては『護憲』『改憲』それぞれ政治的主張があり、憲法に関する集会そのものが政治的中立性を損なう可能性がある」と明記。
市教委の回答には「昨今の社会情勢を鑑み」とも記されていたという。
集会では、護憲の立場を明確にしている内田樹・神戸女学院大名誉教授の講演が含まれている。
同市の内部規定では、後援名義の使用を承認する要件を「政治的中立であり、宗教的活動でないこと」としている。同市行財政局庶務課は従来との整合性が問われる今回の対応について「憲法について多様な意見がある中で後援するのは差し控えた」と説明しているという。

安倍首相が解釈改憲による集団的自衛権行使容認に強い意欲を示すなど、憲法をめぐる議論が過熱する中、自治体がこのように憲法を尊重しない姿勢を示すのには、問題がある。

「憲法に関しては『護憲』『改憲』それぞれ政治的主張があり」だとしても、「憲法に関する集会そのものが政治的中立性を損なう可能性がある」という言い訳は、おかしい。
既にある、国家が認めている「憲法」についての集会を認めないというのは、ましてやそれを「護憲」と「改憲」の二分法で判断するなら、「護憲」の集会をみとめないということは、消去法によって、神戸市と同市教育委員会は「改憲」を考える立場である、ということになるからだ。
自治体には本来、憲法尊重擁護義務があるとも聞く。憲法を尊重することに何の問題があるというのだ。

かと思うと、憲法審査会では、自民党副幹事長・赤池誠章議員による「憲法自体が憲法違反の存在」という意味不明だけれども驚くべき発言がなされたという。
「マッカーサーの指示によってアメリカの押しつけ」という部分がまず正しくない。日本人も関わっている。
「日本の歴史や伝統文化はまったく反映されておりません」というが、国民主権の憲法にそうしたものは必要ではない。
なんといっても「旧ソ連の1936年スターリン憲法に影響されており、共産主義が紛れ込んでおります。第24条の家族生活における個人の尊重や、両性の平等、27条の勤労の権利および義務などは、その条項にあたるといわれております。社会主義者や共産主義者が護憲になる理由がここにあるわけです」という発言が、常軌を逸している。
憲法草案作りに関わった方々が「スターリン憲法に影響されて」というのは初耳である。メンバーにはニューディール派が混じっているが、リベラル=社会主義・共産主義ではない。とってつけた妄想である。
「日本国民は、現行憲法では自分自身や自分の家族、地域や国家を守ることができないのではないか」というが、安倍政権になってから、憲法を否定する、国際社会への差別と挑発に満ちた態度が続くからこそ、今の日本の危機的状況が生まれている。
さらに、この人物は、「両性の平等」を否定するのである。男女同権をきちんと謳った憲法の精神を否定するらしい。
そして「勤労の権利」までをも「共産主義」にまとめようとする。
「基本的人権」について学んだことがないのだろう。
政治家失格ではないか。

日本の憲法がどれだけこの国の人間を救ってきたか。しかし、徹底しておらず、すべてのことがすべての国民に対して果たされていない、まだ過渡期にあるのであり、無意味に変える暇などなく、これからまさに現憲法の精神が実現できるように更に努力すべきだということこそ、きちんと知るべきである。

私も憲法について話すよう求められることはある。
一昨年の5月3日の憲法記念日には、那覇市民会館で開かれた「憲法集会」で講演した。UAの歌と一緒だった。
市民会館を埋めた人々と、憲法によって繋がるという手応えは素晴らしく、教えられることは多かった。
これからは、どうなるのか。

内田樹さんの憲法についての講演はぜひ聞いてみたい。
コメント (1)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« クリミア半島が危ない | トップ | 石破幹事長はロシアのクリミ... »
最新の画像もっと見る

1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (かじもとしゅうし)
2014-04-02 08:09:46
ぜひ神戸にお越し下さい。神戸市は非核「神戸方式」という神戸港に関する行政を実施しています。神戸港に入港を希望する外国艦船に「核兵器を積んでいない」との証明書を提出することを義務づける措置です。1975年から続いています。日本の港湾の管理権は地方自治体にしかないので、港湾の利用についての手続きは自治体が決めることになっています。日本は非核三原則を国是としています(実際に守られているかは別として…)。これを実施した佐藤栄作首相がノーベル平和賞を受賞したほどです。神戸港はこの国是通りの施策を非核証明書の義務づけという形で実行しているのです。その結果、神戸港にアメリカの軍艦が入港しなくなりました。米国は、核兵器の存在を肯定も否定もしない政策をとっているので、「核兵器がない」との証明書を出せない(手続きが出来ない)のです。日米安保条約で日本中に基地を持ち、好き放題の行動をしている米軍が39年間も寄港もできない状態が生れているのは驚くべきことです。当然、日米両政府から、神戸港に米軍艦を寄港させよ(非核「神戸方式」やめよ)の圧力がかかってます。この記念集会(3月18日)には、神戸市も神戸市教育委員会も後援を続けています。
返信する

コメントを投稿

Weblog」カテゴリの最新記事