サ カ タ の ブ ロ グ 

やぁ、みんな。サカタだよ。

散逸と死

2018年01月10日 | サカタだよ
いまでてるクロワッサンの「本を読んで、会いたくなって」というページで、書誌学とメディア論が
専門で創作も手がける紀田順一郎さんに『蔵書一代 なぜ蔵書は増え、そして散逸するのか』
という著書についてお話を聞きました。12畳の書斎と10畳半の書庫からあふれ出し廊下にまで
積み上げられた約3万冊の蔵書を、よんどころない事情で手放した経験を書いた本です。


25年ほど前の記録をめくると…

紀田さんの著書を初めて読んだのは『内容見本に見る出版昭和史』で、「本の雑誌の本」という
叢書の第1回の配本だったような。本棚を探しても見つからないから、当時ルーズリーフに記録
していた蔵書リストをめくったら、ちゃんと出てきました。 (写真の上から3行目)


学生時代に作ったリスト

半生を通じて集めた全蔵書に紀田さんが別れを告げたのは、80歳のとき。妻が大腿骨を骨折し、
階段のない手狭なマンションに移り住むことにしたので、命にも等しい蔵書を維持できなくなって
自家用車のほか4トントラック2台を使って古書市場に運んだそうです。


ぼくもまた……そして、ぼくもまた

あらゆる命がいずれ終わるように、蔵書はいつか散逸します。2年たって紀田さんが処分した本を
懐かしく思い出すころ、やがて蔵書を維持できなくなる日がくるなんて考えたこともなかったサカタ
もまた、約3万冊の書物を家に積み上げているのでした。


こんなんじゃスペース足りない!

この蔵書も遅かれ早かれ散逸して、サカタの命も終わるのでしょうか。 「サカタさんね、これはね、
80を越えると相当ね、体力も衰えるし、気力も衰えるんですよ。上の方に置いてある本をね、これ、
自分で下ろしてくるのが大変なんですから……」と語られる老いを、ただ聞いてました。


たいした蔵書もないですけどね

欧米にくらべて日本の蔵書家・愛書家のスケールが小さく感じられたり、蔵書が散逸しやすいのは、
住宅事情がよくないうえに、所有者の没後などに受け皿になる公共機関が予算不足だから。寄贈
してもなかなか引き取ってもらえないそうです。そりゃ散逸しますわな。


ほんとうはこんなかんじの書斎

「尾崎紅葉がね、がんで亡くなったわけだけど、亡くなる1週間ぐらい前に当時たいへんな一財産の
ブリタニカ百科事典を丸善から買ったっていうんで……これは紅葉はえらい。紅葉の文学的評価は
ずいぶん下がっちゃったけど、それだけはえらい」記事に書けなかったけど紀田さんが言いました。
「齢をとるとね、もう先がとにかくないわけだから、何かするには遅すぎるという考えが起こるわけ。
分厚い全集を買っても、読み切れないという思いが先に立つ」3万冊処分しても、まだ本買うことを
考えている、82歳の紀田さんがすごいと思いました。
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