サ カ タ の ブ ロ グ 

やぁ、みんな。サカタだよ。

何者?

2020年09月30日 | サカタだよ

まだ若くて元気だった頃ひとりでアフリカを旅していると、日本人(または東アジア人)が珍しいのか、

やたら話しかけられました。差別するつもりは毛頭ありませんが、正直なところ黒人の顔の見分けが全然

つかなかったので適当に受け流していると、向こうは二度目、三度目に日本人(か東アジア人)を見かけ

ーRemenber Me?

親しげに声をかけてきますが、もちろん覚えてるわけありません。見分けがついていないのです。みんな

同じに見えるのです。

ーNo!

正直にそう答えると、微妙な表情をしているようにも見えるし、べつに何ともない顔をしているようにも

見えます。民族も文化も違いすぎて、うまく表情を読み取れない部分がありました。そういう人を相手に

戸惑いながら意思の疎通をすることも、まだ若くて元気だった頃はわりと面白かった覚えがあります。

ーWhat is my name?

前に会った時に名前を聞かされたことでもあるのか、こんなことを言ってくる人もいます。覚えていない

のに覚えてるフリをすることもできないので、正直に

ーI don't know!

と笑顔で答えると、妙な顔つきになります。あれ? もしかして、こっちの名前が知りたいのか。いや、

「俺の名前は何だ?」とクイズ出してるのかもしれないから、知らないけど適当に答えちゃえ。

―John.

知ってる英語の名前を言ったら、満足そうに肩を叩いて何か話して立ち去りました。ジョンだったのか。

それとも何でもいいのか。

ーChina?

ーJapan.

―What is my name?

こっちの耳がおかしいのか、your name? ではなく、my name? と言ってるようにしか聞こえません。

あんたの名前なんか知らないよ、と内心で思いながら、ジョンの件もあるので適当に

ーPaul.

と言ってみたら、うなずいて「ここはいいところだろう」とか「なにをしにきたのか」とか「お前のこと

見たことがある」とかなんとか、ひとしきりしゃべって立ち去りました。なんのこっちゃ……それからも、

ときどき「俺の名前は何だ?」と片言の英語で声をかけられて、ミックとかピートとかデイブとか適当に

知ってる英語名前を答えて、お茶を濁してばかりいました。タローとかセブンとかゾフィーとか出まかせ

を織り交ぜながら……

―Taro!

見たことがあるような、ないような人が、どうやら自分を呼んでるようだと気づいたのは2~3日後です。

ほかに日本人がいないから、タローといえば自分のことに違いない……もしやジョンとかポールとかミック

とか、昨日まで何度か声をかけられたのではあるまいか? 自分のことだと思わずに無視したのではないか

と思い至り、これは困ったことになったと気づいても後の祭りです。

―Seven!

ーZoffy!

ーDave!

答えたことがあるかもしれない名前を呼ばれると、それが自分のことかどうか確かめるために振り向いたり

微笑んだり、自分のような自分じゃないような態度をせざるをえません。身に覚えのない名前でも、一応は

反応しながら何日かそこで過ごしていたら、だんだん自分が何者なのか、本当の名前はジョンなのかタロー

なのかポールなのかゾフィーなのか、マイケルなのかサモハンなのか、わからなくなってきました。以来、

ずっとです。自分が何者か判然としないまま何となく毎日を過ごしています。

 

関連記事:   茶碗むし

 

 

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ビール

2020年09月23日 | サカタだよ

オリンピックで金メダルを受賞したドイツ人には毎日2リットルのビールが生涯支給されるという話を思い出すたびに、ちょうどいいと思う。1リットルでは物足りないだろうからだ。毎日ビールを3リットル飲み続けたら痛風になってしまうかもしれないので、2リットルというのはちょうどいい。

もっとも、牛乳配達みたいに毎日ビールが2リットルずつ届けられるわけではなく、週に1度14リットルとか、10日ごとに20リットルとか、毎月62リットルとか計算して支給されるはずだから、毎日きっちり2リットル飲まなくてもいい。家族や友人と分け合って飲むことも自由だろう。

それも含めて1日2リットルのビールはちょうどいいと思う。ビール純粋令が守られているドイツのビールなら申しぶんない。エジプトではピラミッド建設に使役される人足の給料がビールで支払われたという。サラリーマンのサラリーの語源は塩だが、それはローマ時代の話だからビールのほうがサラリーとして先輩だ。

エジプトやメソポタミアで好まれたビールがギリシャやローマでワインに取って代わられたのはなぜだろう? そしてまたゲルマン人がビールを好み、サラリーの代わりにビールを支給するという。たいていの事物はオリエントからギリシャ・ローマとアラビアを経てヨーロッパに普及するけれど、ビールはその継承ルートを外れている。一体どこからヨーロッパに広まった?

ゲルマン人はハネムーンの際、1か月ステイホームして新妻が水と蜂蜜を混ぜて自然発酵させた蜂蜜酒をせっせと夫に飲ませては子作りに励んだ。その時点ではビールもワインも一般的じゃなかった。ローマを滅ぼすに及んでワインも手に入ったろうに、なんでまたビールなのか? キリストの血がワインならビールは異教または異端の飲み物なのでは?

2リットルぐらいビールを飲むと、そろそろ酔いが回ってくる。こんなことばかりしているのに、20歳も年下の若者が毎日ハイボール1リットルとビーフジャーキーごときで痛風になって自分はあいかわらず平気なのが不思議だ。オリンピックで金メダルを受賞したわけでもないし、人生に何の栄光もないのに浴びるようにビールを飲んで、ときどきブログを書いている。

 

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休日のシュウキンペイ

2020年09月16日 | サカタだよ

それは新型コロナウイルス感染拡大防止のためを装った、世間体のための緊急事態宣言が解除されてしばらく経ち、県をまたぐ移動をしても構わないことになった頃のことです。

なんの意味もなく、休日に本を読みながら電車で県をまたぐ移動を行い、とある県のとある駅ビルのとあるベーカリーカフェで飲み物とパンを買って腰を落ち着け、静かに本の続きを読んでおりましたら、異国の言葉をまくし立てる女性客が3人やってきました。

集・近・閉を避けるため、向かい合う席に着いてはいけないことになっており、イスにそのような貼り紙もしてあるのですが、お構いなしに向かい合ってテーブルの一角を占拠し、大きな声を出して飛沫を飛ばし合っています。

わたくしは自粛警察でもなければ、マスク警察でもないし、むしろ自粛にもマスクにも内心では積極的な意味を認めない立場の人間なのですが、静かに本を読みたい休日の午後に彼女たちと遭遇してしまったことは不幸というしかありません。

それにしても騒がしすぎる。3人で会話して、ここまでガチャガチャするだろうかと本から目を上げて彼女たちのほうを一瞥すると、それぞれがスマホで誰かとムービーつきの会話をしています。

どこの誰と何を話してるのか、まったくわかりませんが、時折このようにスマホを掲げて店内の様子が相手にリアルタイムで伝わるようにしたり、あからさまにカメラを向けてきたりするので、こちらも彼女たちの写真を堂々と撮ることにしました。

お互い様ということです。それにしても、3人がそれぞれスマホ越しに誰かとオンラインで通話し、それらの声が入り混じって聞こえてくるということは通常の3倍のやりとりが店内に響きわたるわけですから、うるさいはずです。

よく見ると彼女たちはパンだけ買って、持ち帰りの料金(軽減税率8%)しか払ってないかもしれません。レジのお姉さんが「お飲み物は」と尋ねても注文せず、ガヤガヤと店内のテーブルに移動して持参の水筒を置いてスマホを立てかけリモートで会話を始めたらしい。手前の人などは他店で買ったドリンクを持ち込んでる……。

緊急事態宣言が解けたとはいえ、国をまたぐ移動はまだ制限されていたから、彼女たちは観光客ではなく出稼ぎの外国人かもしれません。たまの休みに公共の場所で私的に羽根を伸ばして故郷の人とバカ話してるのかもしれないと思えば、腹も立たなくなりましたが、一応ブログに書き留めておいた次第です。

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シン・かえうた

2020年09月12日 | サカタだよ

モダンチョキチョキズの古いアルバムを聴いてましたら「新オバケのQ太郎」が流れてまいりまして、その瞬間できちゃいました。正常な判断ができないほど体調が悪いのにフルコースを食べてワインを飲む……翌日通院、たしかに正常じゃないですね。

 

「新オバケのQ太郎」のかえうた

 

あのネ 晋三はネ

頭に矢が三本しかないんだよ

晋、晋、晋、晋、晋、晋、晋三はネ

大馬鹿なんだ 大馬鹿なんだ 大馬鹿なんだけれど

ともだちにだけ やさしいやつさ

いつもおなかを 気にしているんだよ

だけど肉には とっても目がないんだってさ

 

あのネ 晋三はネ

何にもできないまんま 消えちゃうんだよ

晋、晋、晋、晋、晋、晋、晋三はネ

大馬鹿なんだ 大馬鹿なんだ 大馬鹿なんだけれど

ズッコケなんだ あわてん坊なのさ

いつも失敗ばっかり してるんだよ

だけど かっこいいつもりなんだってさ

 

あのネ 晋三はネ

診断書もないのに やめるんだよ

再、再、再、再、再、再、再発もネ

大嘘なんだ 大嘘なんだ 大嘘なんだけれど

わがままなんだ いやしいやつさ

いつもとぼけちゃっているんだよ

だけど とっても立派な大馬鹿なんだってさ

 

関連記事:   77才の別れ

 

 

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茶碗むし

2020年09月09日 | サカタだよ

わが幼少のみぎり(どんな書き出しやねん)ダンゴムシという生き物が石の下などにいることを知りそめ、世界は未知のムシに満ち溢れていると知りそめ、異様に興奮し、ほかにどのようなムシどものいるらんと虎視眈々とあたりを睥睨し、昆虫図鑑など読みそめし頃、茶碗むしの食卓に供せらるを聞き、まったく歓喜するに及べり。

ダンゴムシがダンゴの姿のムシであるなら、茶碗むしは茶碗の姿のムシであるべし。いかに茶碗そっくりならんと卓上を望めば、たしかに茶碗に似て茶碗ならざるもの、そこにあり。こはムシなるや? つつけば茶碗に擬態して静物のように振舞えど、静物にあらず生物なり。ゆえに動き出すを待てど動かず。

かくなる上は根競べじゃと茶碗むしを見つめるも、一向に身動きせず。「熱いからヤケドしないように気をつけて食べなさい」と親の言うに、「熱い?」「ヤケド?」「食べる?」親のフタを開けるに、いわんかたなくムシのはらわたのごときもの黄色く光れり。中からムシのエサのごときもの、あまた発掘され、ほじくられ、食べられ、今にして思えばカマボコ、ギンナン、ミツバのたぐいがムシのはらわたより現われ、かすかに震え……

茶碗むしはムシならず、蒸し物なりと知るに及び、もう二度と大人に騙されまいと覚悟した余は(どんな子やねん)長じてガンモドキを知るも慌てず騒がず、豆腐に人参、椎茸、牛蒡、蓮根の類を刻み入れて混ぜ合わせ、油で揚げて雁のごとき美味を得る倒錯であると悟り、禁欲の業の深さに慄きを覚ゆ。

夏に伊豆を訪ねし折、ちんちん揚げなる名物を知りそめ、さてはガンモドキのごとく禁欲の果てにちんちんのごとき味覚を得る倒錯であろうと悟り、いかなる感触ならんと所望す。聞けばサバ、イカ、タラのすり身を油で揚げて食感を楽しむ酒肴なり。なにゆえ、ちんちんモドキを拵えるに及ぶか。人の心とは……

熱い!熱きものよ、ちんちん揚げ。ときに柔らかく、ときに歯ごたえ強く、磯のかおり高く典雅なり。ガンモドキの雁に似るならば、ちんちん揚げの何に似るべし。されどそはモドキにあらず、揚げる折に「ちんちん」と音が立つゆえ名がついたとなん。そんな音するわけなかろうもん。またしても大人に騙られ、まったく下ネタでブログを書くに及べり。

 

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なかったなかった

2020年09月02日 | サカタだよ

友達の妹の元カレの勤め先の取引先の企業の宣伝部の仕事を受注してる電通のトンネル会社の社員がクラウドの書類をパソコンで処理してる様子がテレビの画面に映ったが、そんな社員は実在しなかった。給付金の中抜きを批判されたので仕方なく雇った桜だった。

 

豚貴族(だれがですか)が鳥貴族で
メガ金麦を流し込んでおりますと、
「サカタさん!」
肩に触れてくださるのは、もう25年も
よくしてくださる真のナイスガイ
「編集長ですよね?」
お世辞を繰り出されると否定できず
「ニセ編集長です!」
元気いっぱい、お連れの方にも笑顔を振りまくと
「本物でしょ?」
お連れの方が善良な問いかけをなさるので
「正真正銘のニセモノです!」
どぎついジョークを微笑みながら放って
そこそこウケたので助かったけど、
そんな正真正銘なかった。
バッタもんやった。

 

どこから犯人は襲撃した? いまから160年前、この桜田門の交差点のあたりで彦根藩主で幕府の大老、井伊直弼が惨殺されたというから見にきてみたけど、いく年も前からここにはアスファルトの道があり、渡り切るのが大変そうな横断歩道があり、LEDの信号機があり、思いに沈んだ探偵の暗い顔とさびしい女の髪の毛とが震えているかと思ったが、そんな探偵も女の髪の毛もなく車が走り去るばかりだった。萩原朔太郎の「干からびた犯罪」とごっちゃになっちゃった。

  干からびた犯罪

どこから犯人は逃走した?

ああ、いく年もいく年もまへから、

ここに倒れた椅子がある、

ここに兇器がある、

ここに屍體がある、

ここに血がある、

さうして靑ざめた五月の高窓にも、

おもひにしづんだ探偵の暗い顔と、

さびしい女の髪の毛とが震へて居る。

 

定食屋さんでつけっぱなしのテレビ眺めながら「ビックリするほど面白くないなあ」「そういえば家でテレビ見なくなったなあ」……そのとき制作会社のスタッフが生放送で声を漏らして「俺だってこんなことやりに業界入ったわけじゃねえよ!」と確かに聞こえたんだけど、そんな放送事故なかった。空耳だった。

 

いつも写真が先で文章が後なのに、うっかり文章が先で写真が後のパターンにしてしまった。ここから先はいつものパターンに戻しますよ

 

誰のために咲いたの、それはあなたのためよ……と歌っても、そんなあなたいないし咲いてなかった私はもちろん「ひまわり娘」でも「ひまわり息子」でもなかった。どなたですか? 「ひまわりおやじ」といってるのは!

 

「ひと夏の恋 純米吟醸」で喉を湿らせながら五十回もの夏を振り返っても、とんと思い当たる節がない人生百年時代だけど、そうやすやすと百年も生きるわけなかった。これが涙? 泣いているのは私? と、つぶやいても頬を伝う熱いものなどなかった。

 

並のライターさんより原稿早いから人に頼むの躊躇することがあるのは編集者として隠れた長所のつもりだったのに、そんなの長所じゃなくて短所だった。反省してるっぽいけど、いまさらどうしようもないので毎回ちょいちょい原稿書くしかなかった。成長性ゼロ。あと早いだけで別にうまくなかった。まいっか。

 

世間体のためなら蒸暑くても効果なくてもマスクをつけて出歩くし夜の街を叩きつつ通勤電車に乗る……こうして徐々に判断力をなくした人々が世間体のために接種するワクチンはもちろん効果がなく利権にまみれた偽薬で、それを打つことにより権力者のでたらめを批判しなくなる成分が含まれているから気をつけろ! と、注意喚起しても誰も聞く耳を持たなかった。狂人扱いされて私刑を受けるだけだった。そして何も言わなくなった。

 

「こどもは風の子」という由来は、ふうふの間にできた子だからと判明した途端「不倫の子はどうなる」「婚外子の立場がない」として放送禁止用語になるかと思われたが、そんな配慮なかった。そもそも風の子がもういなかった。

 

人が自殺したとき「どうして」「早すぎる」とお悔やみをいうのは無関心の極みで本当に故人の気持ちを汲むなら「やっぱり」「遅すぎる」というべきだと生前これだけ強調しておけば、ぼくのときは「やっぱり」「遅すぎる」と悔やんでもらえると安心したが、そんなこと死んでみないと分からないし死んだら確認できなかった。

祖母の妹の夫の葬儀に世間の義理で参列したとき経文もろくに読めぬ、僧ともいえぬような坊主がしくじりばかりするので親類縁者から文句が出たが、そのころパンクだった自分は「形ばかり体裁を取り繕うインチキ僧侶より、こいつのようにありのままの自分に向き合う者のほうがよほど仏の道に近いわバカ者共!」と一喝したものの、そんな仏の道もパンクもなかった。

 

毎日その表情を変える海を眺めると思う。波乗りを始めたのは競技会で勝つためじゃなく自然の中で自分を見出す喜びのためだったのに、いつのまにか初心を忘れて勝ち負けにこだわり過ぎていないか? 胸に手を当て己に問うと、波乗りをしたこともなかった。

 

「わたしきれい?」
たしか口裂け女もマスクをして化粧ばっちりだった。
と思いながら電車の中でメイクする女を見ていたら隣の化粧っ気ないおばさんやその夫と何度も目が合う。
この夫婦がマスクを外して口が裂けてたら面白いなあと思ったが、もちろんそんなことはなかった。
老夫婦はこちらがマスクしてないことに苛立ってるだけだった。

この夏こそは丸いスイカを太い棒で叩き割りたい、空いちめんの花火を仰ぎ見たい、日焼けでボロボロの肌を指で剥がしたい、蚊取り線香のうずまきの灰を端からきれいに崩したい、とけたかき氷を一気に飲みたいと思ったのに今年もそんな夏なかった。

 

関連記事:   ありそでなかった

 

 

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