いろいろな気苦労があるということです。済んでしまえばどうということはない。たとえば前の編集長のときは原則としてトレーニングをできるだけ道具なしで、自分の体重を負荷にして自宅で行うページを作ることになっていました。もちろん例外でギアトレの特集を組んだり、ジムトレの特集を組んだりもしますが、基本は自体重の自宅トレ。もちろん雑誌『ターザン』の話ですよ。
それが若干、変わってきたのは今の編集長になってからです。なるべく自宅で、自体重で可能なトレーニング中心にページを作るんですけど、特集の中で段階的に道具を使うことが「あり」になってきた。たとえば2019年5月発売の「部位別トレーニング」特集で腹以外の6部位(腹は前の号で1冊やってるので胸・背中・肩・腕・尻・脚)の鍛え方を6ページずつ紹介することになったとき、「背中で道具なしで6ページは厳しい」という話が会議で持ち上がって、では2ページごと3ステップの最終段階で懸垂器具を使おうということになりました。
自宅に用意できなければ、公園に立ち寄って鉄棒を使ってもいいじゃないか……という設定もあったと思います。そこで、さっそく懸垂ラックを購入してスタジオ撮影に使いました。過去に例がないわけじゃなく、その物証として倉庫に古びた懸垂ラックが眠っていたのですが、汚くて撮影に耐えない気がしたので新たに購入しました。懸垂はバリエーションが豊富なので、いろいろ撮影するうちに「これがないとき背中のトレーニングどうやってたんだっけ?」と思うほどでした。ダイアゴナルバックとか、バックエクステンションとか、いろいろ方法はあるんですけどね。
新しいラックは好評で、それから多くの人が撮影に使うようになりました。スタジオに置いておくことができないため、使用するたびに編集部からスタジオに送って組み立て、撮影が終わったら解体して梱包して編集部に送り返す。そんなことを繰り返すうちに、1年もしないうちにネジがバカになりかけて危険だから新しいのを買った方がよいのでは? と思ったりしましたが、しばらく自分は使う機会がなかったので忘れていました。6月30日、ひさしぶりに懸垂ラックを使って撮影することになったんですが、コロナ対策の在宅ワークが基本なので編集部に発送しに行く前に、いま元の位置にあるかどうか部内の一斉メールで確認して異常ないみたいだから見にいくと、いつもの位置にない。他の場所で見つかり、あったから問題ないやと思ってスタジオに送りました。撮影当日、梱包を解いて組み立てようとするとネジがない。
ネジなしで骨組だけあっても懸垂ラックは使えません。ネジなしで送り返す人があるだろうか。そう思いながら一応、また一斉メールでみんなに事情を伝えると、しばらくしてネジだけ別の箱に入れて保管していた人から連絡があり、親切に届けてくれました。よかった、と思って組み立てようとするとネジが足りない。残念ながら、懸垂ラックを使った撮影はできません。
やむをえず人力で、トレーナーさんと力を合わせて撮影機材の金属の棒を持ち、モデルがぶらさがって懸垂する間ひたすら持ちこたえて何とか撮影しました。誌面では両脇の人物が消えて、鉄棒の絵になるんじゃないかと思います。「なりました」じゃなくて「なるんじゃないかと思います」なんて言い方してるのは、現在が撮影日の夜だから。ブログ更新の2か月ほど前です。とりあえず、ネジが足りないので懸垂ラックは使用不能なこと。もともとガタが来ているから廃棄して新しいのを買ったほうがいいこと。スタジオで廃棄できないので編集部にいちど送り返して、会社で廃棄するのが妥当かなって思うことなど部内にメールしておいたから、あとは次の機会に懸垂ラックを使いたいと思った人が、購入を検討すればいいんじゃないかな……そんなふうに思いました。もう済んだことです。
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