記者発表は先々のことだから興味があれば話だけ聞いて帰ってくる……ただそれだけのことですが、
内覧会は本番直前に現物を見ることができる機会だったりするので、いそいそと出かけていきます。
ことわっておけば撮影もできるので、ついつい多めに写真を撮ってしまいますが、取材したことを全部
記事にできるわけもなく……うちはWEB媒体もまだまだ。開催中にかぎり紹介可という展覧会のこと、
さらっとお知らせしてみましょう。
1913年
6月10日に見たのは、上野の東京都美術館で9月22日まで開催中の「ポンピドゥーセンター傑作展」
の内覧会です。フランスのパリにある、主に現代美術を展示しているポンピドゥーセンターの収蔵品を
1906年から1977年まで、1年1芸術家1作品にしぼって展示しています。これがとても見やすい!
デュシャンの「自転車の車輪」が1913年のところにあるのを見ると、前後の年の展示とくらべていかに
画期的だったか想像しやすくなります。本人これを気晴らしで作ったときはアートのつもりなかったとか。
既製品をオブジェとして提示する「レディ・メイド」のアイデア(しかも動く!)は後に確立され、1964年に
本人がこしらえたレプリカがここにある現物です。
1年1作品に厳選してある
3フロアに分かれていて、1階は時系列で横並び、2階はこのようにジグザグになって、3階は円環。
しゃれてます。1945年は非常に重要な年なので、あえて作品は展示せず、壁が空白になってます。
そこにエディット・ピアフの「薔薇色の人生」が同時代の曲として流れてきます。
1935年
ピカソの「ミューズ」は人気ありますね。7月にまた見に行ったとき、人垣ができてました。2人の
女性が描かれていますが、妻のオルガと愛人のマリー・テレーズじゃないかといわれたりして。
この年、愛人が妊娠して妻と別居したピカソは絵を描かなくなり、つぎに描いたのが『ゲルニカ』
なんだそうです。しばらく詩ばかり作ってたとか。
1959年
これは作品ではなくて、作者の紹介(みんなの分ある)ですが、よりによって名前がエロ……、
どんなエロい作品を作ってるかと思ったら……。
エロのコラージュ
機械に愛着を覚えていたエロは、女性の顔と頭の部分を機械の部品に置き換えています。何か
こじらせちゃったのかもしれませんね。「マダム・ピカビア」という作品です。
1973年、1974年
3階で円環状に展示されてる作品のなかでも、色鮮やかで目を引く大作がジャン・デュビュッフェの
「騒がしい風景」です。たしかに騒がしい。その右隣に見切れている、写真のようにも見える絵画は
ジャン・オリヴィエ・ユクリューの「墓地6番」です。細部表現に驚き、ついもういちど7月に再訪する
きっかけになった変なアートです。こればっかりは写真で見ても意味がないです。
古代ギリシャ展の内覧会へ
ギリシャの古典期の彫刻と、縄文式土器に心がふるえる性分です。6月20日は、東京国立博物館で
9月19日まで開催中の「古代ギリシャ 時空を超えた旅」の内覧会にいきました。
写真のレリーフは浮彫のように見えて、向こう側まで彫ってあります。ギリシャ人のやることは本当に
どうかしてる! ほめ言葉です。ギリシャも古典期の前に長い歴史があり、古典期のあともヘレニズム、
ローマと続く歴史がありますが、この展示はそれらを含めて見渡す意欲的な試みです。
ごっそりギリシャからやってきた
そうはいってもクレタやミュケナイの文物は目にする機会が多少あるけど、キュクラデス文明の遺物
は初めて見たかも。モダンアートみたいですが、もともと彩色されて目玉なども描かれていたそうです。
その前の新石器時代は縄文風
新石器時代の文化はどこも何か通じる点があるように思えますが、どうして特徴が出るのでしょう?
ふしぎですね。
心がふるえる…
力が湧いてくる…
のちにキリスト教徒がギリシャの彫刻を破壊して、念入りに十字架を刻んだりした跡がいまも
かの地にゴロゴロ転がってますが、そんな様子を思い浮かべて展示を見ると格別です。
これも国立博物館
おなじ場所で、おなじ時期に始まった「ほほえみの御仏 二つの半跏思惟像」の内覧会もおなじ
日にあったので、ついでに見ました。こちらは奈良にある国宝半跏思惟像です。
これも半跏思惟像
韓国の国宝半跏思惟像です。日韓国交正常化50周年を記念して、日韓の国宝を対にして見せる
展示なんですが……あれれ7月10日で終了してますね。何だかフランスのポンピドゥーセンターや
ギリシャの展示品にくらべて、韓国の仏像は期間が極端に短いような?
江戸の博物学の内覧会へ
東急田園都市線の二子玉川駅から小さいバス(東急コーチバス)に乗って、静嘉堂文庫美術館で
「江戸の博物学」の内覧会を見たのは6月24日でしたか。こんなところに深い森が! とびっくり。
静嘉堂文庫美術館は、三菱創業者として知られる岩崎彌太郎の弟で、2代目社長の岩崎彌之助と
その息子で4代目社長の小彌太の父子2代にわたる蒐集品を収蔵・展示しているそうです。
蘭学の受容のことがわかる
中国の本草学、日本の本草学、蘭学の関係がよくわかる展示で、すごく興味深い。二子玉に住む
VERY妻にも夫と子を連れて見にきてほしい。8月7日まで開催中です。
ミケランジェロ展へ
その足でパナソニック汐留ミュージアムに行って、「ミケランジェロ展」の内覧会を見ました。今年
他界したプリンスが30年ほど前に作った、シーラ・Eの「Dear Michelangelo」という曲が、なぜだか
頭を離れませんでした。『ROMANCE 1600』というアルバムに入ってます。
詳細な素描がたくさん見られる
大きな美術作品や、建築を作るときは綿密な設計図というよりも、素描をしっかり描くんですね。
まるで模型を作るようにディテールまで詳しく描き込んで。コレクターは素描をいちばん重視する
(本人自筆だから)と聞いたことがあります。8月28日まで開催中。
エミール・ガレ展の内覧会へ
6月28日は、8月28日まで開催中の「生誕170周年エミール・ガレ」の内覧会にいきました。
六本木の東京ミッドタウンにあるサントリー美術館です。おなじ場所で以前みた「 没後百年
宮川香山」 を彷彿とするので、学芸員さんに質問してみたら、文字の記録として残っていない
けど明治の超絶技巧といわれる人々との影響関係は、ほぼ確実にあるという答でした。
こちらは宮川香山の作品
こちらはエミール・ガレの作品
宮川香山
エミール・ガレ
会場に1点だけ、宮川香山の作品を、よく説明を読まないと気づかないような形で展示してある
と聞いて、よく見たら確かにありました。とても馴染んでました。
他にもいろいろ内覧会には足を運んでますが、あまり長くなりすぎるのも何なのでこれくらいに
しておきます。 (じゅうぶん長すぎる……?)
関連記事: 超絶技巧
内覧会は本番直前に現物を見ることができる機会だったりするので、いそいそと出かけていきます。
ことわっておけば撮影もできるので、ついつい多めに写真を撮ってしまいますが、取材したことを全部
記事にできるわけもなく……うちはWEB媒体もまだまだ。開催中にかぎり紹介可という展覧会のこと、
さらっとお知らせしてみましょう。
1913年
6月10日に見たのは、上野の東京都美術館で9月22日まで開催中の「ポンピドゥーセンター傑作展」
の内覧会です。フランスのパリにある、主に現代美術を展示しているポンピドゥーセンターの収蔵品を
1906年から1977年まで、1年1芸術家1作品にしぼって展示しています。これがとても見やすい!
デュシャンの「自転車の車輪」が1913年のところにあるのを見ると、前後の年の展示とくらべていかに
画期的だったか想像しやすくなります。本人これを気晴らしで作ったときはアートのつもりなかったとか。
既製品をオブジェとして提示する「レディ・メイド」のアイデア(しかも動く!)は後に確立され、1964年に
本人がこしらえたレプリカがここにある現物です。
1年1作品に厳選してある
3フロアに分かれていて、1階は時系列で横並び、2階はこのようにジグザグになって、3階は円環。
しゃれてます。1945年は非常に重要な年なので、あえて作品は展示せず、壁が空白になってます。
そこにエディット・ピアフの「薔薇色の人生」が同時代の曲として流れてきます。
1935年
ピカソの「ミューズ」は人気ありますね。7月にまた見に行ったとき、人垣ができてました。2人の
女性が描かれていますが、妻のオルガと愛人のマリー・テレーズじゃないかといわれたりして。
この年、愛人が妊娠して妻と別居したピカソは絵を描かなくなり、つぎに描いたのが『ゲルニカ』
なんだそうです。しばらく詩ばかり作ってたとか。
1959年
これは作品ではなくて、作者の紹介(みんなの分ある)ですが、よりによって名前がエロ……、
どんなエロい作品を作ってるかと思ったら……。
エロのコラージュ
機械に愛着を覚えていたエロは、女性の顔と頭の部分を機械の部品に置き換えています。何か
こじらせちゃったのかもしれませんね。「マダム・ピカビア」という作品です。
1973年、1974年
3階で円環状に展示されてる作品のなかでも、色鮮やかで目を引く大作がジャン・デュビュッフェの
「騒がしい風景」です。たしかに騒がしい。その右隣に見切れている、写真のようにも見える絵画は
ジャン・オリヴィエ・ユクリューの「墓地6番」です。細部表現に驚き、ついもういちど7月に再訪する
きっかけになった変なアートです。こればっかりは写真で見ても意味がないです。
古代ギリシャ展の内覧会へ
ギリシャの古典期の彫刻と、縄文式土器に心がふるえる性分です。6月20日は、東京国立博物館で
9月19日まで開催中の「古代ギリシャ 時空を超えた旅」の内覧会にいきました。
写真のレリーフは浮彫のように見えて、向こう側まで彫ってあります。ギリシャ人のやることは本当に
どうかしてる! ほめ言葉です。ギリシャも古典期の前に長い歴史があり、古典期のあともヘレニズム、
ローマと続く歴史がありますが、この展示はそれらを含めて見渡す意欲的な試みです。
ごっそりギリシャからやってきた
そうはいってもクレタやミュケナイの文物は目にする機会が多少あるけど、キュクラデス文明の遺物
は初めて見たかも。モダンアートみたいですが、もともと彩色されて目玉なども描かれていたそうです。
その前の新石器時代は縄文風
新石器時代の文化はどこも何か通じる点があるように思えますが、どうして特徴が出るのでしょう?
ふしぎですね。
心がふるえる…
力が湧いてくる…
のちにキリスト教徒がギリシャの彫刻を破壊して、念入りに十字架を刻んだりした跡がいまも
かの地にゴロゴロ転がってますが、そんな様子を思い浮かべて展示を見ると格別です。
これも国立博物館
おなじ場所で、おなじ時期に始まった「ほほえみの御仏 二つの半跏思惟像」の内覧会もおなじ
日にあったので、ついでに見ました。こちらは奈良にある国宝半跏思惟像です。
これも半跏思惟像
韓国の国宝半跏思惟像です。日韓国交正常化50周年を記念して、日韓の国宝を対にして見せる
展示なんですが……あれれ7月10日で終了してますね。何だかフランスのポンピドゥーセンターや
ギリシャの展示品にくらべて、韓国の仏像は期間が極端に短いような?
江戸の博物学の内覧会へ
東急田園都市線の二子玉川駅から小さいバス(東急コーチバス)に乗って、静嘉堂文庫美術館で
「江戸の博物学」の内覧会を見たのは6月24日でしたか。こんなところに深い森が! とびっくり。
静嘉堂文庫美術館は、三菱創業者として知られる岩崎彌太郎の弟で、2代目社長の岩崎彌之助と
その息子で4代目社長の小彌太の父子2代にわたる蒐集品を収蔵・展示しているそうです。
蘭学の受容のことがわかる
中国の本草学、日本の本草学、蘭学の関係がよくわかる展示で、すごく興味深い。二子玉に住む
VERY妻にも夫と子を連れて見にきてほしい。8月7日まで開催中です。
ミケランジェロ展へ
その足でパナソニック汐留ミュージアムに行って、「ミケランジェロ展」の内覧会を見ました。今年
他界したプリンスが30年ほど前に作った、シーラ・Eの「Dear Michelangelo」という曲が、なぜだか
頭を離れませんでした。『ROMANCE 1600』というアルバムに入ってます。
詳細な素描がたくさん見られる
大きな美術作品や、建築を作るときは綿密な設計図というよりも、素描をしっかり描くんですね。
まるで模型を作るようにディテールまで詳しく描き込んで。コレクターは素描をいちばん重視する
(本人自筆だから)と聞いたことがあります。8月28日まで開催中。
エミール・ガレ展の内覧会へ
6月28日は、8月28日まで開催中の「生誕170周年エミール・ガレ」の内覧会にいきました。
六本木の東京ミッドタウンにあるサントリー美術館です。おなじ場所で以前みた「 没後百年
宮川香山」 を彷彿とするので、学芸員さんに質問してみたら、文字の記録として残っていない
けど明治の超絶技巧といわれる人々との影響関係は、ほぼ確実にあるという答でした。
こちらは宮川香山の作品
こちらはエミール・ガレの作品
宮川香山
エミール・ガレ
会場に1点だけ、宮川香山の作品を、よく説明を読まないと気づかないような形で展示してある
と聞いて、よく見たら確かにありました。とても馴染んでました。
他にもいろいろ内覧会には足を運んでますが、あまり長くなりすぎるのも何なのでこれくらいに
しておきます。 (じゅうぶん長すぎる……?)
関連記事: 超絶技巧