いわれたよ

もしかして自分が何をいうかより、何をいわれたかのほうが大事なんじゃないだろうか……
ある朝ふと思い立ち、つぶやきの履歴を「いわれた」で検索したら、こんなん出ましたけど？

２０１０

リツイ―トしちゃだめっていわれたよ　　5/20

目が坂本龍馬に似ているといわれたよ　　7/10

一人なのに余分三兄弟っていわれたよ　　7/27

一人なのに相撲協会っていわれたよ　　7/27

ラッキーカラーは「海老茶色」っていわれてもね　　8/5

お婆さんがボトッと財布を落として気づかずに歩いていく。仕方ないから拾って渡したら「ありがとうございます」って何百回も言われたよ　　9/1

popeye物語―若者を変えた伝説の雑誌 (新潮文庫 し 67-2) 　 「カラダも家庭もボロボロにして雑誌を作る覚悟あるんですか？」って、入社したとき新役員だった著者にいわれたっけ　　10/18

野茂英雄に似てるって言われたことあるよ。あと、とくダネ！の気象予報士あまたつ　　11/3

「荷物それだけですか？」って言われたよ　　12/7

２０１１

食べものに例えるとホテルのブッフェって言われたよ　　5/11

犬に例えたらマスチフって言われたよ　　5/12

２０１２

足を踏まれて、「びっくりした〜！」っていわれたよ。びっくりしたのはこっちだよ。（ちなみに踏んだのはニット着てブーツ履いた20代後半のポニーテール）　　1/21

いまじゃ腹黒いっていわれてるけど、高１のクラスメイトたちの証言によると、昔は色が白かったらしいよ。「白かったね」「うん白かった」「俺も白かったけどサカタはもっと白かった」ってさ。意外だよ　　3/11

ぼくの名前じゃないけど、ぼくの名前じゃないけど、最近よくやってるねって言われたよ　　7/3

カフェで飲み物を渡されるとき、「失礼でございます」っていわれたよ。こっちが失礼みたいだから「失礼いたします」といってほしいよ　　8/21

好みそうといわれたものが好みじゃないときほど心外なことはないね　　8/26

将来とてつもなくビッグになるっていわれたのは体型のことだったのか　　9/20

オランケがくるぞっていわれたことある人まだ生きてるかな　　10/14

そういえば企画会議のとき「破壊的に面白い」って言われたよ。破壊するつもりはなかったんだけど、なにか壊しちゃったかなぼく　　10/17

２０１３

先週「あんたなんか丁寧だからフリーになっても仕事くるよ」って言われたの思い出したけど、そうは思えないんだよね　　2/18

高２のときの担任の数学教師から「死んだほうがマシ！」って言われたことも、四半世紀たつと笑い話だよ。（鉄板でウケてありがたい…）　　5/20

雑誌に実名で原稿を書きすぎといわれてペンネーム考えてるよ、何がいいかな？　　6/10

「ちょうどいい、あーした」っていわれたのは、もしかして「ちょうどいただきます、ありがとうございました」かな？　　6/14

宛名マガジンハウスで領収書くださいって頼んだら「マガジンカオスですか？」って聞かれて、いわれてみれば確かにそうだなと思ったよ　　8/23

明日までに他の雑誌120ページ補填しろっていわれたら、ものすごくイヤだろうな　　9/1

サラリーマン３人、エレベーターの前ふさいでLINEやってるからボタン見たら押されてない。手を伸ばしてエレベーター呼んだら「あ、すいません」といわれたよ　　11/5

校了責任者に「サカタは明日から休んでよし」っていわれたけど、毎日サカタは休んでるようなもんだから明日も来るだけは来るよ　　12/9

２０１４

モデルにお守りあげたら「おはようございます」っていわれたけど「ありがとうございます」っていいたかったんだろうね、外国人だから……　　2/1

正午に予約したお弁当が早く届きがちだから１時間前から待機してたんだけど……かけだしのころ、編集者は現場１時間前が基本といわれたのを自分が実践するとはね　　3/4

２年くらい前かな？ 「きみは『サカタだよ〜！』ってハダカで世界に飛び出したいんだろう」っていわれたけど、さすがにそんなことはないよ　　4/7

返却に行ったらプレスの人に、バッジかわいいですねっていわれたよ　　5/1

よその子にパパっていわれたよ　　6/2

顔を見るなり「喫煙席でよろしいですか？」っていわれたよ、禁煙席あいてるのに……吸いそうな顔してるってことか　　6/5

なんとかに似てるっていわれたけど何に似てるのかわからずじまいだよ　　8/1

「ありがとうございました。またありがとうございます！」っていわれたよ　　9/23

腹黒といわれたり優しいといわれたりだよ　　10/7

だいぶ体重落とされたんですか？　っていわれたよ　　11/1

しらないアイドルグループが道ばたの仮設ステージで歌いはじめたからスマホで写真撮ってたら肩をガシッと掴まれて「ステージ中やめて！MCのときだけ！」っていわれたよ……そういうもんなの？　　11/6

さっきまで羽振りのいいこといってた商事の人がカード不可っていわれた途端みんなから徴収して領収書もらうとき「漢数字の三に草かんむりに……」って説明を余儀なくされるご時世だよ　　11/26

２０１５

きょうもまた痩せたといわれたよ、複数の人から……つけ麺とか食べてるし連続飲酒もしてるのにおかしいな　　2/5

朝起きたら明日の晩ごはんがないっていわれたよ　　2/21

正常ですっていわれるよりか異常ですっていわれたほうが大体の場合うれしいよね　　2/27

またクマムシに似てるっていわれたよ　　3/17

少々ございませっていわれたよ　　4/15

商店街を歩いてたら「こんにちは」っていわれたので「こんにちは」って返しながら、私服だから印象ちがうけど夜ときどき飲みに行くとサービスで一品つけてくれたりする店長さんだって思い出したよ　　4/15

結　論

たいしたこといわれてない

こっそり１Ｐ

だいたい９９ページか、その前後に text_Shigehisa Sakata って、こっそり入ってるのが
こちらの連載であります。雑誌 Hanako から派生したムック Hanako FOR MEN の後ろ
の方に出ております。ただいま年４回、Hanako FOR MEN は発行されているのですが、
秋…冬…春…夏…ちょうど季節をひと巡りしたところです、このコーナーが始まって。
慎太郎が往く　GINZA
銀座８丁目に「サロン・ド・慎太郎」「魁」を営む経営者であり、銀座を愛する各界の
著名人をもてなす接客のプロフェッショナルである慎太郎さんが、銀座のレジェンド
を訪ねて対談するコーナーです。ほんとうは２ページでも４ページでも繰り広げたい
濃ゆい内容を１ページに凝縮して、堂々とお届けしています。無記名でよいところに
こっそり自分の名前を入れて……思い入れがあるんですね。



初回は文壇バーとして知られる「アイリーン・アドラー」の智子ママとの対談でした。
通うと出世するお店の雰囲気が伝わるといいんですけど……新入社員だったころ、
ダカーポの副編集長（当時）に連れてきてもらったことがあるのを思い出しました。
でも、そのあと通わなかったので出世しませんね。第二回は“港区病”の人たちを
銀座に引き込んで人の流れを変えた「Salonたかはし」の敬子さん。お会いしたら
高校の同級生にそっくりで、それもそのはず、いとこでした！（知ってた）



第三回は、銀座のゲイバーの伝統を受け継ぐ「ぎんざ 紫」の富士子ママ。じつに
オープンなトークが弾けて、１ページに凝縮するのもいいけどロングバージョンを
デジタル版かなにかで尺を気にせずアーカイブしたら、文化遺産になりそうです。
年４回のペースだと、一期一会の感じが強まり、これがラストチャンスかも？って
どこかで思いながら臨んでいます。（なんの取材でもそうですが）



もうすぐ出る号に載ってる第四回は、キャリアを銀座でスタートしたデザイナー、
コシノジュンコさん。2020年の東京オリンピック・パラリンピックの文化教育委員
として銀座をどうするべきか熱く語り、銀座の思い出を懐かしみ、読み応えある
のがＰＣのモニターで伝わりますか？　６月25日発売スナック特集の、だいたい
９９ページぐらいです。

医療過誤

「当院に以前お越しになったことはありますか？」

「はい」

「ではフルネームをお願いします」

「さかたしげひさです」

「さかた……ひげしささん」

「いえ、しげひさです」

「ひげしさ……」

「さしすせそのしで、し・げ・ひ・さ」

「し・げ・し・さ」

「３つめは、はひふへほのひで、し・げ・ひ・さ」

「……さかた、ひげしささん」

「逆です」

「ひげしさ、さかたさん」

「いえ……さかた、しげひさです」

「わかりました大丈夫です」

「……大丈夫ですか？」

「さかた、ひげしさ」

「し・げ・ひ・さ」

「し・げ・し・さ」

「（いまどき江戸っ子？） し・げ・ひ・さ」

「ひ・げ……し・げ……ひ・さ……」

「そうです」

「さかたしげしささん、では11時半にお取りします」

「（いえてないけど、まいっか） よろしくお願いします」




これで、ひげしさという人物とカルテを取り違えて医療過誤が起きたら
怖いなーと思いましたが、そんな人物いないようです。

五十歩百歩

時代の１歩先じゃ早すぎるから半歩先を行けって標語はわりと古典ぽくて、いまや業種が何であれ
半歩先、半歩先って繰り返されてるとか。１歩先より半歩先……これをいいだしたのは文藝春秋の
３代目社長、池島信平ときいたような、なにかで読んだような？　マガジンハウスでも、剽窃なのか
オマージュなのか折にふれて半歩先、半歩先っていってる。にもかかわらずウワサに聞いた話では
集英社で折にふれて「マガジンハウスが時代の１歩先をゆくなら、われわれは半歩先を……」という
話が繰り返されてるとか聞いちゃった。１歩先なのか半歩先なのか、五十歩百歩なのかわからない
とはいえ、半歩先の呪縛が連鎖してるみたいなのが面白いような……べつにそうでもないか。