山形の駅前からバスに乗って月山口まで行くことにしました。月山で修業している山伏にインタビューするためです。
夏休みに羽黒山・月山・湯殿山……いわゆる出羽三山を観光したことを編集長に話したら、イラストレーターで山伏に
転身した坂本大三郎さんに話を聞いて、例の「感覚的身体論」の記事にしたらどうかと提案されたので、著書を読んで
そうすることにしたのです。本は3冊読んで、いよいよ興味津々です。
インタビュー場所として指定されたのは、五色沼に面した月山志津温泉の「変若水の宿つたや」のロビーでした。月曜
の午後に会うことにして、交通の便を調べたら、半日で行くことが接続の関係で難しい。そんなこともあろかと月曜に
しておいたので、日曜に移動して「変若水の宿つたや」に前泊し、翌日インタビューする段取りにしました。
月山口に到着すると、まわりには何もありません。宿の人に迎えに来てもらい、車で運んでもらいました。ちなみに
前泊の費用は自腹です。往復の交通費は経費で落とせるので、おあいこというのでしょうか……いえ、いいませんね。
前泊することをメールで山伏の坂本さんに伝えると、インタビューを午後ではなく午前中にしてくれました。帰りも
時間がかかるので、それはありがたい。町営バスは12:34のつぎが14:38なので、午前中で終われば2時間ほど早く
出発できるのみならず、午後の取材だと14:38も乗れずさらに2時間遅くなるかもしれませんでした。
とりあえず前日はすることもないので温泉につかり、月山をながめて部屋で本を読みました。日曜日なのでそれぐらい
でちょうどいいのです。寒いのではないかと一応ダウンを持参しましたが、9月末だとまだそこまでは必要ありません。
しかし山の天気や気温はわからないのでダウンぐらい、かさばらないし軽いし無駄になっても平気です。
晩ごはんを食べて、というよりこれは酒を飲まないと収まらないので飲みました。そうでなくても飲むに決まってるし、
日曜の夜だからそれくらいでちょうどいいのです、といいわけするのも2回目です。いいわけすることもないんですが、
つぎの写真までに3行ぐらいあったほうが体裁がいいかなと思いまして、ちょっと尺を稼いだ次第です。
翌朝は早起きするでもなく、8時ぐらいに朝ごはんを食べて、そこらへんをぶらぶら歩きました。インタビューは11時から
なので本腰を入れて月山をトレッキングしはじめると遅刻すると思い、非情なプロの鉄則として部屋に戻ってウトウト仮眠。
そうこうするうちに時間がきたのでフロントでお会計してロビーで山伏を待ち構えます。
音もなく現れた、はにかみがちな山伏の坂本さんに1時間ちょっと聞いた話は、いつものように咀嚼して聞き書きの文体で
11月28日発売のターザン777号から、3号にわたり掲載する予定です。まだ書いてないので2号になる可能性もありますが、
ご興味あれば2回か3回か「感覚的身体論」のコーナーをお楽しみください。じつはいま月山から帰宅したところなんです。
12:34の町営バスに乗り込んで、訛の強い運転手さんの話を聞きながら半分ぐらいしか理解できないけど相槌を打ち続けて
13:10に西川バスストップに着きました。そこには何もなく、昼ごはんを食べることもできず、14:15のバスを待ちます。
本でも読むしかありません。
こんな怪しい風体だったんですね。どうもすみません。会社がつぶれたら、つぶれなくてもクビになったら山伏になる……
というのはどうだろうと、妄想している顔です。わかりますか。定年まで勤続しても、その先することがないから山に入る
選択肢について考えてみたら? 太陽がまぶしいから本もろくに読めず、音楽をヘッドフォンで聴いて暇をつぶします。
行きは山形からバスに乗りましたが、帰りは乗り継ぎの関係で仙台までバスに乗ります。平日の午後なんてバスがらがらじゃ
ないかと思ったのに、けっこうお客さん乘ってる。宮城とか山形とか、もしかして電車よりバスのほうが移動しやすいのかも。
渋滞もあり、仙台に着いたのは16時すぎ。新幹線に乗れば東京に夜7時か8時には帰れそうだけど、帰ってもすることがない
(こともない)というか、インタビューが午後だったら東京に着くのは10時か11時だったはずだから、急いで帰ることもない。
とりあえず仙台21:30発、東京23:05着の新幹線はやぶさの切符を買って、そこらへんをぶらぶらしたり、酒浸りになったり
するのでした。
翌日からは10月24日発売のランニング特集(775号)を入稿したり、11月28日発売の自体重トレーニング特集を作り始めたり
……9月30日の現時点では確かなことがわかりませんが、たぶん真面目にやることでしょう。そしてすべて終わってるはず。
時は過ぎた。世界は目まぐるしく回った。時は動きがなくじっと立ち止まって千年を過ごした。そして誰もいなくなった……
みたいな?
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