サ カ タ の ブ ロ グ 

やぁ、みんな。サカタだよ。

山伏

2019年11月27日 | サカタだよ

山形の駅前からバスに乗って月山口まで行くことにしました。月山で修業している山伏にインタビューするためです。

夏休みに羽黒山・月山・湯殿山……いわゆる出羽三山を観光したことを編集長に話したら、イラストレーターで山伏に

転身した坂本大三郎さんに話を聞いて、例の「感覚的身体論」の記事にしたらどうかと提案されたので、著書を読んで

そうすることにしたのです。本は3冊読んで、いよいよ興味津々です。

インタビュー場所として指定されたのは、五色沼に面した月山志津温泉の「変若水の宿つたや」のロビーでした。月曜

の午後に会うことにして、交通の便を調べたら、半日で行くことが接続の関係で難しい。そんなこともあろかと月曜に

しておいたので、日曜に移動して「変若水の宿つたや」に前泊し、翌日インタビューする段取りにしました。

月山口に到着すると、まわりには何もありません。宿の人に迎えに来てもらい、車で運んでもらいました。ちなみに

前泊の費用は自腹です。往復の交通費は経費で落とせるので、おあいこというのでしょうか……いえ、いいませんね。

前泊することをメールで山伏の坂本さんに伝えると、インタビューを午後ではなく午前中にしてくれました。帰りも

時間がかかるので、それはありがたい。町営バスは12:34のつぎが14:38なので、午前中で終われば2時間ほど早く

出発できるのみならず、午後の取材だと14:38も乗れずさらに2時間遅くなるかもしれませんでした。

とりあえず前日はすることもないので温泉につかり、月山をながめて部屋で本を読みました。日曜日なのでそれぐらい

でちょうどいいのです。寒いのではないかと一応ダウンを持参しましたが、9月末だとまだそこまでは必要ありません。

しかし山の天気や気温はわからないのでダウンぐらい、かさばらないし軽いし無駄になっても平気です。

晩ごはんを食べて、というよりこれは酒を飲まないと収まらないので飲みました。そうでなくても飲むに決まってるし、

日曜の夜だからそれくらいでちょうどいいのです、といいわけするのも2回目です。いいわけすることもないんですが、

つぎの写真までに3行ぐらいあったほうが体裁がいいかなと思いまして、ちょっと尺を稼いだ次第です。

翌朝は早起きするでもなく、8時ぐらいに朝ごはんを食べて、そこらへんをぶらぶら歩きました。インタビューは11時から

なので本腰を入れて月山をトレッキングしはじめると遅刻すると思い、非情なプロの鉄則として部屋に戻ってウトウト仮眠。

そうこうするうちに時間がきたのでフロントでお会計してロビーで山伏を待ち構えます。

音もなく現れた、はにかみがちな山伏の坂本さんに1時間ちょっと聞いた話は、いつものように咀嚼して聞き書きの文体で

11月28日発売のターザン777号から、3号にわたり掲載する予定です。まだ書いてないので2号になる可能性もありますが、

ご興味あれば2回か3回か「感覚的身体論」のコーナーをお楽しみください。じつはいま月山から帰宅したところなんです。

12:34の町営バスに乗り込んで、訛の強い運転手さんの話を聞きながら半分ぐらいしか理解できないけど相槌を打ち続けて

13:10に西川バスストップに着きました。そこには何もなく、昼ごはんを食べることもできず、14:15のバスを待ちます。

本でも読むしかありません。

こんな怪しい風体だったんですね。どうもすみません。会社がつぶれたら、つぶれなくてもクビになったら山伏になる……

というのはどうだろうと、妄想している顔です。わかりますか。定年まで勤続しても、その先することがないから山に入る

選択肢について考えてみたら? 太陽がまぶしいから本もろくに読めず、音楽をヘッドフォンで聴いて暇をつぶします。

行きは山形からバスに乗りましたが、帰りは乗り継ぎの関係で仙台までバスに乗ります。平日の午後なんてバスがらがらじゃ

ないかと思ったのに、けっこうお客さん乘ってる。宮城とか山形とか、もしかして電車よりバスのほうが移動しやすいのかも。

渋滞もあり、仙台に着いたのは16時すぎ。新幹線に乗れば東京に夜7時か8時には帰れそうだけど、帰ってもすることがない

(こともない)というか、インタビューが午後だったら東京に着くのは10時か11時だったはずだから、急いで帰ることもない。

とりあえず仙台21:30発、東京23:05着の新幹線はやぶさの切符を買って、そこらへんをぶらぶらしたり、酒浸りになったり

するのでした。

翌日からは10月24日発売のランニング特集(775号)を入稿したり、11月28日発売の自体重トレーニング特集を作り始めたり

……9月30日の現時点では確かなことがわかりませんが、たぶん真面目にやることでしょう。そしてすべて終わってるはず。

時は過ぎた。世界は目まぐるしく回った。時は動きがなくじっと立ち止まって千年を過ごした。そして誰もいなくなった……

みたいな?

 

関連記事:  出羽三山

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絵馬23

2019年11月20日 | サカタだよ

たまには絵馬でもチェックしようかと神社にでかけて写真を撮ったり、撮らなかったり。そんなこんなで

何らかの感慨をもたらす絵馬の写真が、無尽蔵の半分の3分の1の半分も集まりました。これどうしたら

いいでしょう? ブログに書いたらいいでしょうか?

 

航大のお風呂ぎらいがなおりますように

キラキラネームの男の子、よっぽどお風呂に入らないんですね。男の子だと決めつけましたが

中年のおじさんだったら嫌ですね。

 

あの病が治りますように。

なんでしょう、あの病って……お風呂ぎらいでしょうか。もっと深刻そうですね。がんならがん

と書きそうなものだし、はっきり書くのをはばかるということは、あれかな? あれ、あっちの

病気で家族の心と身体が蝕まれてるんですかね。

 

私の犯した罪をお許しください

あっちのほうの罪かな? 犯したのは……懺悔なら、こっちじゃなくて、あっちのほうの一神教で

やるのがふさわしいと思いますが、いいんでしょうか多神教の神に祈ったりして。こっちの神々は

寛大だから大丈夫でも、あっちの神はどうかな? ところで何の罪を犯したんでしょうか。

 

ください……。

何を? と思ったら、休日と(まともな)人員がほしくて、注射うちながら泣きながら頑張ってる

わけですね。よくあるブラックな職場にお勤めなのでしょうか。まともじゃない人員がくると逆に

たいへんになるようです、あるある。

 

ドラえもん下さい。

よくあるブラックな職場が、あまりにもひどすぎると、とうとうドラえもん下さいっていう事態に

なるのでしょうか。それともこれは、働きたくない系のフリーダム志向の人の願いごとでしょうか。

たとえば次のような人……。

 

働かずに食いたい

あとちゃんと新刊出す、って働いてるじゃんアクツハルツ。著者名で検索かけてみると、ときどき

Hな同人誌を出す、シンフォギアとかボンバーガールとかスト魔女とかアイカツが好きな人のよう

です。働いてるわけじゃないのかもしれませんでした。

 

晶文社より5月8日に出版される……

小林エリコ著「わたしはなにも悪くない」大ヒットしますように、ってことはちゃんと働いてる

のかもと著者名と書名で検索かけてみると、ありました。

精神疾患も自殺未遂も生活保護もみんな自己責任ですか? 苦難のフルコースを歩んできた

「多重当事者」エッセイ……ちゃんと働いてるわけではないのかもしれませんでした。これも

何かの縁だから取り寄せて読んでみようかな。

 

なくした財布が返ってきますように

せめて免許証だけでも……財布に免許証を入れて鍵つけてる人がいますが、落としたら住所バレて

鍵あけて盗難に遭うからやめたほうがいいですよ。このかたは鍵はべつにしていたみたいで、まだ

よかったです。まさか生年月日をカードの暗証番号にしてないでしょうね。

 

アンチョビのような元気で明るい彼女

てっきりペットの名前だろうと思ったら彼女……アンチョビのような彼女ってなんだろう。そんな

彼女が出来ることを、一緒に願って下さいとは、誰に頼んでるつもりかナゾです。わからん。

 

お布団と仲良くなれますように

どういうことなのでしょう? お布団と不仲なのでしょうか。寝つきが悪いのか、寝る時間がない

ブラック系のお仕事なのか……よくわかりませんが仲良くなれるといいですね。

 

ようこそ大洗へ

うっかり大洗の神社にきたら、ガールズ&パンツァーというパンツじゃなくてパンツァー(戦車)

のアニメの聖地だったらしくて、えらいことになっていました。絵馬掛けが女の子とパンツァーに

埋め尽くされています。

生きているうちにガルパンが完結してくれますように

それはいいとして、入れ墨デブに放火されてアニメ関係者がおびただしく死んだ事件の翌々日に

京都アニメーション再建してくれますように

と書き添えてあるから、あれ? ガルパンって京アニだっけと検索かけたら、ガルパンは京アニ

じゃありませんでした。アクタスでした。(制作会社の名前です)

 

筋肥大

筋トレ愛好家のお兄さんがいたようで、ガールズ&パンプアップだ! と書き残して行きました。

どうやら絵を描くのは、あまり得意じゃなかったようです。

 

私だ

こういうシーンがあるのでしょうか、ガルパンに。見たことがないのでわかりません。たぶん、

上からものを言うタイプのキャラがいるんでしょうね。ガルパンの絵馬ばかり目にしてきたので

そうじゃない絵馬をみるとホッとします。たとえば次のような……。

 

・・・読めない!

 

・・・もっと読めない!

 

・・・ちょっと読める

超・超・超とか絶対・絶対・絶対とか必ず・必ず・必ず・必ずとか本当に本当にとか書いてある

のが何となく読めます。5分おきに、たっぷり、たっぷり、たっぷりおしっこがでてぐっしょり、

びっしょり、びっしょりにおむつが毎回ぬれてるように絶対、ぜったい、ぜったいそうなってく

ださいとか、どうやらおしっこのことばかり。なんか疲れたので、たわいない絵馬ばかり何枚か

みて終わりにしましょう。

 

プールで上手に泳げられますように

泳げられますように、って言い回しがいいですね。

 

オヤのゆうことを木木ますように

木木ますように、って漢字使いがヘンですね。

 

いっそのこと厄年を楽しむ!!

ウサギの口から何か出てますが、大丈夫でしょうか? 飲みすぎて嘔吐してるぐらいならまだしも、

喀血じゃないでしょうね。

 

会社の飲み会でつぶれませんように…。

これから忘年会シーズンですからね。踏みつぶされないようにしないと……。

 

関連記事:  絵馬22

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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バカの王様

2019年11月13日 | サカタだよ

むかし、あるところに王様がいました。王様はバカでした。人前に出るときはバカなのがバレないように必ず

臣下に原稿を用意させましたが、バカなので字が読めず、反対の意味に読み間違えて国じゅう大騒ぎになる

ことが何度もありました。そんなときバカな王様は原稿を用意した臣下を「この大バカもの」と叱りつけて

間違いを臣下のせいにしました。原稿なしで発言すると間違いの数がどんどん増えて、間違いを隠すために

臣下に書類を書き直させたり、バカな臣下を高い地位につけたりするので、賢い臣下がみんないなくなって

バカな王様のお城はとうとうバカばかり。

そんなある日のこと、バカな臣下が提案したカタカナ6文字の政策をもっともらしいと思ったバカな王様は、

バカのひとつ覚えのように繰り返し、そのカタカナ言葉を口にしました。王様のまわりのバカな臣下たちは

「王様がなにやら自分の名前をもじった政策のようなものをお気に召したようだが意味が分からないぞ」

「何のことやら意味がわからないが、わからないとバカだと思われるから理解しているふりをしよう」

ひそひそとお城でささやき合い、誰ひとり意味を問うことなく、バカな王様の政策を議会に下ろします。

王様も「どういう意味ですか?」と尋ねられたら、まともに答えられなかったでしょう。

議会は議会でほとんどの議員がバカでした。ごく一握りの賢い人だけが政策に疑問を投げかけます。

「王様がいっていることは内容がまったくないどころか、その通りにすると国が亡びるようなことだぞ」

「王様を侮辱するのか? 我らが敬愛してやまない王様の意見は世界の中心で輝く素晴らしい名案だ」

「この素晴らしいアイデアは賢い人にしか理解できない……バカには何のことかわからないのだ」

「賛成!」

「賛成!」

「賛成!」

「王様万歳!」

「この国が大好きだ!」

「バカにはわからない名案」は圧倒的多数をもって議会で承認され、それを新聞が賛美したからサア大変です。

バカだと思われたくない国民がこぞって「王様は素晴らしい」「この国は豊かで幸せだ」「隣の国はバカだ」

と同調します。「そうか?」とでも言おうものなら、ただちに非国民扱いで「この国から出ていけ!」とか

「愛国心はないのか!」と罵倒されますが、国のために冷静な判断をするのが本当の愛国心なのです。

取り巻きがヨイショするので調子に乗ったバカな王様はある年、自分のことをチヤホヤしてくれる有名人を集め

予算の3倍の費用をかけて花見の宴を催し、へたな俳句をひねりました。バカなので俳句になってませんでした。

「ひどい句だけどバカにはわからない深い意味や芸術性があるのかもしれないから誉めておこう」

「ワビもサビもモノのアワレもない下衆な句だけど権力者なんてそんなものだから誉めておこう」

例年の3倍の費用をかけた振る舞い酒に酔った人々から嘘ばかりの賞賛を受けて気持ちよくなったバカな王様は

翌年、花見の宴の予算を3倍に増やしました。禁治産者のやることです。

「賛成!」

「賛成!」

「賛成!」

「王様万歳!」

「この国が大好きだ!」

純粋な少年が「王様はバカだね」とつぶやいたら兵士がやってきて連れ去りました。隊列を組んだデモ隊がきて

「この国が大好きだ!」「隣の国はバカだ!」と叫んで練り歩くと兵士がやってきて守りました。連れ去られた

少年は「ジュースを買ってあげようか?」と勧められても首を横に振り、二度と「王様はバカだ」という秘密を

人に言わないと誓わされて家に帰る途中で、穴を掘って「王様はバカだ」と思い切り叫びました。そんなことは

地球の裏側まで、とうのむかしに筒抜けでしたとさ。

 

関連記事:  キリギリスとアリ

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事実とは何か

2019年11月06日 | サカタだよ

どんなタイトルやねん? ある晩カレーを食べてると友達がね、「サカタのブログを読むと最後にぜったい

そんな思い出なかったってオチがあるぞと用心するから、普通の出来事だとオチ忘れたんじゃないかって

モヤモヤするよ」と言ったんですよ。実際、ぼくも最近はブログやSNSや雑誌のページに何か書くたびに、

「これって本当に事実かな? もしやフェイクなのでは……」ってモヤモヤを禁じ得ません。

 

高校カレー部のOB/OG会でスリランカ流のカレーをお腹いっぱい食べましたが、いくら男女平等に気を配った表現を心がけたところで、ぼくらの母校にカレー部など表向き存在しませんでした……裏でやってた記憶はあるけど記録がないから過去の事実はもうない。

裏でやってたカレー部の埋もれた活動について (リンク)

 

太陽も月も水星も火星も山羊座だから前世は山羊と信じて生きてきたけど木星は蠍座なので中年から蠍に転生して人の心を刺す生き方をしてるつもりが、そんな前世も転生もなかった……この現世も幻だろうか、まやかし? あやかし?

 

未来はもっとよくなるはず! と昭和の子供は信じていたし、人と人が真に理解し合う新しい時代が訪れるのを期待して育ったのに、選挙のたびに思い知る如く時代はどんどん悪くなる一方で、よくなるはずの未来がなかった。

 

午後8時を過ぎてきもだめしをしたあの夏の晩、クラスの女子でいちばん足が速くて浅黒い肌が元気の証みたいなあの子が戻ってこなくて、神隠しにあったんだとか、天狗に攫われたんだとか、さまざまな憶測が飛び交ったけど本当は犯人がみんなのよく知ってる人で、その人が何をしてるか全部ぼくは息を潜めて見てたんですよ……あまりにも恐ろしくて、そんなきもだめし、なかったことにしたいのに体の震えが止まりません。

 

夏の饐えた匂いを嗅ぐと、まだ生きてられる……秋に作物を刈り入れたらば、戦に駆り出されて雪の降るまで命がいくつあっても足んね、と生きるための田畑か死ぬための田畑かわからなくなりかけたあの頃の思い出が蘇って、ヴァレリーの「風立ちぬ、いざ生きめやも」は「死にめやも」の間違いでねえかと怒りに燃えたけども、そんな思い出も怒りも饐えた匂いもなかった。

 

この子たちも何かやりかけで命を落として吊るされたんだろうと思うと自分も遅かれ早かれ何かやりかけで死に、あとに残ったTwitterの下書きやFacebookの過去記事やブログの予約投稿や秘密の日記がやがて人目にさらされて恥ずかしさに身悶えるのかな……それだけならばまだいいが、見られちゃいけないあんなことや知られちゃいけないそんなことが白日の下に出されて決まりの悪さに呻吟するのかと思ったけど、死ねば恥ずかしさも決まりの悪さもなかった。

 

路線バスを乗り継ぐと最後にどこへ行き着く? 走り出した乗合車両の窓が切り取る景色は、徒歩や自転車や乗用車より高い視点であるためか何でもない家々が哀れ深げに見える……その中で営まれる人生の喜怒哀楽は無限の奥行きと広がりを備え、流れ去る町街のどこかにあったかもしれない第2の人生、第3の人生、いくつもの人生がチラッと見えたけど、そんな人生なかった。

 

iPhoneで片っぽずつイヤホンして盛り上がるカップル肴に飲む酒……ぼくにも、あんな時代があったようなカセットしかなかったような、片っぽずつイヤホンも音楽の趣味が合う男友達とした覚えしかなかったかも。(あっても忘れたよ)

 

そして誰もいなくなった、と思ったけど誰もいなくなった人などいなかった。

 

あの頃みたいにマウンテンバイクで転んで宙返りして右腕から右脚で受け身して土まみれになったけど、あの頃もどの頃もダウンヒルの経験など一切なくて記憶をたどればロードマンで高校の帰りに夜の環八で転んで宙返りし、同じような着地をして同じようにケガをしなかった。

 

子供の頃テレビでコマーシャルをみても自分がウイスキー飲むような年齢になるとは思いもしませんでしたが、気づいたら20年も生きてきたのに嘘の止めかたも知らなくて笑っちゃう……濃いってよくわからないけど焼けつく感じが素敵、20年っておよそ何十年ですか?

 

見知らぬ町に昭和からある喫茶店で昔の本を読みながら、つぎにこの町を通りかかったら店はもうなくなってるかもしれない……そう思った途端、みるみる目の前の光景が色を失っていき、遠くかすんだトーストサンドにどうにか手を伸ばしたら確かにそれはまだそこにあった。

 

毎日毎日ぼくらは丼ぶりの上で寝かされイヤになっちゃうよ、ある朝ぼくら店のおばさんとケンカして海に飛び込んだのさ……脳内で「およげ!丼ぶりくん」が無限ループしても、そんな歌なかったしJASRACには内緒だったが、ないはずの歌がどこからともなく聴こえるのは世界線の向こうのもう一つの現実かもと思っても、そんなこと確かめようがなかった。

 

朝起きて薔薇色の夏休みかと思ったのに灰色の平日だった

 
 

ハチは一度人を刺したら死ぬと言われています。今のわたしはハチと同じ心境です……テレビの女がいうのを聞いて真似をした三つ編みの君が死んでもうどれくらい経つだろう。生まれ変わってハチになって、さっきからぼくの身の回りにまとわりついて……痛ッ! やっぱり君だったのと涙をこらえて指を押さえたけど、よく考えたら君はとっとと嫁いで子育てをほぼ終えた元気な姿をSNSに昨日も今日も上げてるし、いいね!

ところがその後、これはハチじゃなくてアブなのではとの指摘があった……だとしたら君がいないとき一緒によく遊んだアブちゃん? それとも、ブヨちゃん? みんな仲よく暮らしてくれ~

 

トンボよどこへとカラオケでよく歌うあいつの早すぎる死のことを夏がくると毎年どうしても思い出すのは山からトンボに乗って下りてくるのを感じるから……しかし、複眼で見ると世の中どう見えるんだい? これが事実といえるものが何か複眼で見るとわかるのかい? トンボは首をかしげるばかりで、あいつはこれじゃなかった。

 
 

寺めぐりが暑くてあの世がチラッと見えたけど、そんなあの世などなかった。

 

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